ベリーショコラ

夏の日

１－１

話がある。

そういって呼び出されてのはもうずいぶん前のことだ。
それなのに呼び出した本人と来たらファミレスのドリンクバーで入れてきたオリジナルドリンクのアップルレモンジュースの入ったコップの氷をくるくると回しては少し飲み、回しては少し飲みを繰り返していた。
アップルレモンジュース何て趣味の悪いものを好んで飲むなんて彼くらいだと私は思う。

コップはいい具合に汗をかいていて時間がったていることを指した。

「で？話って何？」
少し苛立った声だっただろうか。
でも仕方ないだろう。大事な仕事があると伝えたのにそれよりも大事な話だ。なんて言うからわざわざこの真夏の中自転車で彼の好きなジュースがあるファミレスまで来たのだ。

彼と私の家はいうほど遠くもない。自転車で２０分かかるかかからないかくらいだった。
そのちょうど中間地点にファミレスが二件あるのだが彼がここのオリジナルドリンクが大好きということで自然にここに集ることになっていた。

彼の様子からしてまともな話じゃないとはなんとなく思っていたけどここまで延ばされるといっそのこと思い切ってくれたほうが良かった。

「あ、あのさ、、俺、、、」
やっと口を開いた。
なんだ？会社をクビにでもなったか？お金を貸してほしいのか？さあ。どんと来い。
「俺、、今度結婚するんだ。」

おい。それはどんときすぎじゃないか？
私の口から飲みかけのジュースが滴り落ちた。

「、、、、！？！？！？！？！？！？」
とりあえず言葉にできない驚きを見せた。

「待って。整理させて。君は、、、私の彼氏だよね、、、？」

うんと頷く。
叩き潰そうかな☆

「え？何で結婚？誰と？は？え？」
私はとりあえず質問せずにはいられなかった。
私じゃないよね？その質問に頷く。
あ、、こいつダメな奴だ。

「俺、春にはパパになるんだ。若菜、、ごめんね」
パパ？え？まさかの浮気とかの話じゃなかった。

「え？たっちゃんはその女の人とヤッたってことでおけ？」
小さくうなずく。

私が二年間愛してやまなかった人はただのクズでした。
わかった。もういい。そういって私は伝票を手に取る。

「あ、、ここは俺が出すから若菜は帰っていいよ。」

は、、、？たかがドリンクバー２１６円×２でいきれたもんだな。

「わかった。じゃあね」

私は店をでて駐輪場まで歩いた。なのに視界がぼやけてうまく歩けない。
大好きだった。
本当に付き合っていた二年間幸せだった。なのに浮気って、、
でも私にたっちゃんを責める資格はないんだ。
私がたっちゃんを好きになったときたっちゃんには彼女がいた。

でも私の猛アタックと猛アピールでたっちゃんは私と付き合うことになった。
たっちゃんは子供ができたから。そういった。
もう私にはどうすることもできない。でも視界が滲んでどうしようもないから自転車を押していつもの数倍の時間をかけて家まで歩いて帰った。