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夏の日
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たっちゃんと別れた後私は数日仕事に取り掛かることができなかった。
絵本作家をしている私は最近ちょっと有名になったことで割と多忙だった。
しないといけない仕事はたくさんあったし、今は休んでいる暇なんてなかった。
でもどうしても物語が出てこなくて、パソコンと向き合っては何も書くことなく終わることが多かった。
私の絵本がヒットしたのは絵本作家を初めて5年目に出した夢物語シリーズの3作目だった。
私の各物語は既刊全てがシリーズ化しているもので、主な内容としては主人公の女の子が夢の中で過去や未来にタイムリープし人助けをするという物語だ。
既にシリーズ5作目までは完成しており来月発売予定のシリーズ6作目を今月中には仕上げないといけないのだ。
なのにまだ1ページもかけていない。
締め切りまではあと二週間ほどで普通に考えるととても厳しい状況だった。
ため息をつくと私はまた机に向かった。
しかし物語は全くとして出てこなかった。
「はぁ、、、青山さんに電話しよ、、、」
私は携帯を取り出して担当者の青山さんに電話をかけた。
何コールめだろうか。
「はい?」渋い声で青山さんが電話に出る。
この声の時の青山さんは何を言っても基本頑張ってとしか言わないのだ。
「あの、、物語が思い浮かびません」
数秒の沈黙が続いて青山さんは頑張ってっといった。
「今回の締め切り遅らせてもいいですか?」
投げやりに返す青山さんに私も投げやりに返す。
「ダメに決まってるでしょ。何?何がダメなの?今何ページ目よ。」
青山さんの興味がやっとこっちに向いたと思ったら青山さんは電話の向こうで子供とコラ、やめなさい。離しなさい。と何やら立て込んでいる状況だった。
「あーもしかしてのプライベートっすか。じゃあ早く済ませますね。かけてるページ0ページです。」
男に振られたくらいで仕事ができなくなる私はプロ失格だ。
けど、自分の納得のいかない絵本を他人に。それも子供に読んでもらうとなると妥協もしていられない。
「若ちゃんさ、違うシリーズ書いてもいいんだよ?別に夢物語シリーズじゃないとダメってこともないんだから。」
そういうと青山さんはとりあえず切るから。一日考えて。明日家行くわ。とだけ言って電話を切ってしまった。
確かに夢物語のシリーズは5作目まで進んでおり、わざわざ無理して6作目を書かなくてもいい。
違う作品を大量に出した後でも6作目を出すことなんて簡単だ。
でも、、、このシリーズから逃げるのはなんだか嫌だった。
たっちゃんと出会ったころこのシリーズはまだ2作目だった。
その頃はバイトをいくつも掛け持ちしていたし、絵本での稼ぎなんてほとんどなかった。
でもたっちゃんと出会って描いた物語はものの見事に成功し、絵本作家としての安定を得たのだ。
このシリーズが書けなくなったのはそういう意味もあるのか、、、。
私は布団に寝転がり天井を見上げた。
それからこのシリーズの打ち切りもあるのかな、、
私は首を振って誰もいない部屋でないない!と叫んでみる。
でも明日青山さんに会ったら終わってしまう気がする。
気が進まないなら仕方ないと私はそのまま眠ることにした。
絵本作家をしている私は最近ちょっと有名になったことで割と多忙だった。
しないといけない仕事はたくさんあったし、今は休んでいる暇なんてなかった。
でもどうしても物語が出てこなくて、パソコンと向き合っては何も書くことなく終わることが多かった。
私の絵本がヒットしたのは絵本作家を初めて5年目に出した夢物語シリーズの3作目だった。
私の各物語は既刊全てがシリーズ化しているもので、主な内容としては主人公の女の子が夢の中で過去や未来にタイムリープし人助けをするという物語だ。
既にシリーズ5作目までは完成しており来月発売予定のシリーズ6作目を今月中には仕上げないといけないのだ。
なのにまだ1ページもかけていない。
締め切りまではあと二週間ほどで普通に考えるととても厳しい状況だった。
ため息をつくと私はまた机に向かった。
しかし物語は全くとして出てこなかった。
「はぁ、、、青山さんに電話しよ、、、」
私は携帯を取り出して担当者の青山さんに電話をかけた。
何コールめだろうか。
「はい?」渋い声で青山さんが電話に出る。
この声の時の青山さんは何を言っても基本頑張ってとしか言わないのだ。
「あの、、物語が思い浮かびません」
数秒の沈黙が続いて青山さんは頑張ってっといった。
「今回の締め切り遅らせてもいいですか?」
投げやりに返す青山さんに私も投げやりに返す。
「ダメに決まってるでしょ。何?何がダメなの?今何ページ目よ。」
青山さんの興味がやっとこっちに向いたと思ったら青山さんは電話の向こうで子供とコラ、やめなさい。離しなさい。と何やら立て込んでいる状況だった。
「あーもしかしてのプライベートっすか。じゃあ早く済ませますね。かけてるページ0ページです。」
男に振られたくらいで仕事ができなくなる私はプロ失格だ。
けど、自分の納得のいかない絵本を他人に。それも子供に読んでもらうとなると妥協もしていられない。
「若ちゃんさ、違うシリーズ書いてもいいんだよ?別に夢物語シリーズじゃないとダメってこともないんだから。」
そういうと青山さんはとりあえず切るから。一日考えて。明日家行くわ。とだけ言って電話を切ってしまった。
確かに夢物語のシリーズは5作目まで進んでおり、わざわざ無理して6作目を書かなくてもいい。
違う作品を大量に出した後でも6作目を出すことなんて簡単だ。
でも、、、このシリーズから逃げるのはなんだか嫌だった。
たっちゃんと出会ったころこのシリーズはまだ2作目だった。
その頃はバイトをいくつも掛け持ちしていたし、絵本での稼ぎなんてほとんどなかった。
でもたっちゃんと出会って描いた物語はものの見事に成功し、絵本作家としての安定を得たのだ。
このシリーズが書けなくなったのはそういう意味もあるのか、、、。
私は布団に寝転がり天井を見上げた。
それからこのシリーズの打ち切りもあるのかな、、
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でも明日青山さんに会ったら終わってしまう気がする。
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