群雄割拠した異世界では訳アリな人物で溢れていた

霧矢風月

文字の大きさ
31 / 110

第31話 シェーナとサリーニャ②

しおりを挟む
 シェーナは鍋に魔法で火をかけると、コンソメ、ご飯、水を入れてほぐしていく。
 いい具合に煮たら、そこに牛乳を加えて煮詰めていくと粉チーズと塩を適量に入れていく。
 皿に盛り付けていくと、コショウをかけてチーズリゾットを完成させる。

「お待たせ。今日はリゾットを作ってみたよ」
「チーズの香りが食欲をそそるね」
「本当はそこにハムやベーコンを加えたいところだけど、異世界にないからね」
「えっ? エルフの酪農業者が作っているわよ。最近は市場にも流れ始めているし、『森の聖弓』に依頼すれば割と簡単に入手できるわよ」
「そうなのか……」

 それどころか家畜として豚も飼育されているから驚いた。
 森の加護を受けているエルフは手先が器用で農作物や穀物を育てることに特化している。最近になってエルフの集落に人間がノウハウを学びに訪れることもあると言う。

「でも普通に美味しいわよ。料理や剣の腕も抜群な女騎士様なら、良いお嫁さんになるわよ」
「お嫁さんね……」
「君の場合は耳が痛いか。まあ料理に関しては、あの人妻ダークエルフと組んだら間違いなく繁盛すると思うよ」

 サリーニャは皿のリゾットを口に入れながら、太鼓判を押してくれた。
 料理を褒めてくれるのは嬉しいが、あまり気を抜いて変な事を口走ったら録音機器でサリーニャを別の意味で満足させてしまうのは避けたい。可愛らしいエルフの少女が食事をしているのに、残念な言動がなければとシェーナは切に思う。
 サリーニャはチーズリゾットを食べ終えると、冷蔵庫のことで確認を取る。

「冷蔵庫は明日にでも届けられるから、設置場所は決めてあるの?」
「ああ、すぐそこの台所に設置するつもりだ」
「わかった。朝方に設置業者が運びに行くからね。それと保証の問題だけど、一年以内に不具合で故障したら無料で修理を引き受けるわ。冷蔵庫と一緒に保証書も渡すから、無くさないで保管してね」
「何だか家電量販店みたいな対応だね」
「これぐらいのサービスは基本よ。もっとサービスして欲しかったら、女騎士様や人妻ダークエルフの強気なお言葉が必要になるわ」

 シェーナはこれ以上の過剰なサービスは結構と押し退けて、サリーニャは無念そうな顔をする。
そんなやりとりをしていると、サリーニャは腕を伸ばして工房へと戻り、最後の仕上げに取り掛かる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

処理中です...