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第52話 スエード王国
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「最初にしては上出来だよ。冷蔵庫とやらを使うのに『闇核』が必要なのだろ? 補充も兼ねて、魔物討伐をしながら『聖核』の扱い方を教えるよ」
「悪いが、そんな時間はない。この力は興味深いが、これから開店の準備を始めないといけない」
シェーナは剣を鞘に収めると、キシャナと食材の確認と仕込んである野菜スープの味付けをしないといけない。『闇核』の残量はあと三日あるので、明日にはルトルスに魔物退治に出向いてもらい、回収をお願いするつもりだ。
「私の瞬間魔法を使えば、シェーナ達の実力で一時間あれば『闇核』は満足に回収できるさ。他の二人には了承してもらっているし、あとはシェーナ次第さ」
店からルトルスが装備を整えて、シェーナと合流する。
瞬間魔法が本当なら、一時間空けても開店に支障はない。
「キシャナは店の準備をして待っているそうだ。魔物討伐は私の担当だが……」
「店の責任者として、ルトルスの魔物討伐は一度見ておきたいと思っていたんだ。足を引っ張らないように頑張るから同行させてくれ」
前回はルトルスに任せて『闇核』の回収を任せたが、予想以上の量を回収してくれた。
どんな魔物討伐をしたのかルトルスに訊ねたが、「色々討伐したから覚えていない」と返答された。
「危ないと思ったら、そいつを盾に使うといい。勇者一行でも致命傷を与えられない怪物だからな」
「ひどいなぁ。これでも痛覚はあるのだよ。まあ盾に使ってくれても構わないけど、もう少し優しくしてくれると……」
「さっさと私達を瞬間魔法で移動させろ!」
「はいはい、仰せのままに」
ひどく激昂するルトルスはグラナに瞬間魔法を唱えさせる。
過去にガフェーナで面識のある二人だが、シェーナが知らない事情が二人の中でありそうだ。
シェーナとルトルスはグラナの手を握ると、古代語のような詠唱を唱えて瞬間魔法が発動する。
周囲の風景は城塞都市の町並みと違って、辺り一面は平原が広がっている。
どうやら瞬間魔法は成功し、グラナが大陸の地図を広げて現在位置を確認する。
「ここは中央の城塞都市から西に移動したスエード王国の領内だね」
「スエードか。あまり長居はしたくない場所だな」
シェーナはスエードと聞いて表情を曇らせた。
スエードは五大国の中で、奴隷を生業とする商売を公認している国だ。
ガフェーナが魔王を復活した際、戦争へ参加表明を示したのも終戦間近だった。
噂だと、ガフェーナの敗残兵がスエード側に渡って奴隷にされていると聞いたことがある。
勇者一行も、スエードに度々訪れて奴隷解放を呼びかけたが受け入れられずに平行線のままだ。
「俺達は正式な手続きをしないで、スエード王国の地を踏んでいる。これがどういうことか分かるか?」
「……奴隷にされても文句は言えないな」
「そういうことだ。グラナ、悪いが他の場所を……」
シェーナはグラナに瞬間魔法を促すが、平原を隊商キャラバンの一団が駆け抜けて声がかき消される。
シェーナ達は身を隠してやり過ごすと、周囲を警戒して安全を確認する。
「あれは『奴隷隊商』だな。実物を見るのは初めてだ」
王族に献上する奴隷を運搬する組織だと聞いたことはあるが、スエードの実情は他国に比べると情報量は少ない。入国審査もかなり厳しく、情報統制は徹底しているのだ。
スエード王国は別名――神隠しの国と呼ばれている。
「悪いが、そんな時間はない。この力は興味深いが、これから開店の準備を始めないといけない」
シェーナは剣を鞘に収めると、キシャナと食材の確認と仕込んである野菜スープの味付けをしないといけない。『闇核』の残量はあと三日あるので、明日にはルトルスに魔物退治に出向いてもらい、回収をお願いするつもりだ。
「私の瞬間魔法を使えば、シェーナ達の実力で一時間あれば『闇核』は満足に回収できるさ。他の二人には了承してもらっているし、あとはシェーナ次第さ」
店からルトルスが装備を整えて、シェーナと合流する。
瞬間魔法が本当なら、一時間空けても開店に支障はない。
「キシャナは店の準備をして待っているそうだ。魔物討伐は私の担当だが……」
「店の責任者として、ルトルスの魔物討伐は一度見ておきたいと思っていたんだ。足を引っ張らないように頑張るから同行させてくれ」
前回はルトルスに任せて『闇核』の回収を任せたが、予想以上の量を回収してくれた。
どんな魔物討伐をしたのかルトルスに訊ねたが、「色々討伐したから覚えていない」と返答された。
「危ないと思ったら、そいつを盾に使うといい。勇者一行でも致命傷を与えられない怪物だからな」
「ひどいなぁ。これでも痛覚はあるのだよ。まあ盾に使ってくれても構わないけど、もう少し優しくしてくれると……」
「さっさと私達を瞬間魔法で移動させろ!」
「はいはい、仰せのままに」
ひどく激昂するルトルスはグラナに瞬間魔法を唱えさせる。
過去にガフェーナで面識のある二人だが、シェーナが知らない事情が二人の中でありそうだ。
シェーナとルトルスはグラナの手を握ると、古代語のような詠唱を唱えて瞬間魔法が発動する。
周囲の風景は城塞都市の町並みと違って、辺り一面は平原が広がっている。
どうやら瞬間魔法は成功し、グラナが大陸の地図を広げて現在位置を確認する。
「ここは中央の城塞都市から西に移動したスエード王国の領内だね」
「スエードか。あまり長居はしたくない場所だな」
シェーナはスエードと聞いて表情を曇らせた。
スエードは五大国の中で、奴隷を生業とする商売を公認している国だ。
ガフェーナが魔王を復活した際、戦争へ参加表明を示したのも終戦間近だった。
噂だと、ガフェーナの敗残兵がスエード側に渡って奴隷にされていると聞いたことがある。
勇者一行も、スエードに度々訪れて奴隷解放を呼びかけたが受け入れられずに平行線のままだ。
「俺達は正式な手続きをしないで、スエード王国の地を踏んでいる。これがどういうことか分かるか?」
「……奴隷にされても文句は言えないな」
「そういうことだ。グラナ、悪いが他の場所を……」
シェーナはグラナに瞬間魔法を促すが、平原を隊商キャラバンの一団が駆け抜けて声がかき消される。
シェーナ達は身を隠してやり過ごすと、周囲を警戒して安全を確認する。
「あれは『奴隷隊商』だな。実物を見るのは初めてだ」
王族に献上する奴隷を運搬する組織だと聞いたことはあるが、スエードの実情は他国に比べると情報量は少ない。入国審査もかなり厳しく、情報統制は徹底しているのだ。
スエード王国は別名――神隠しの国と呼ばれている。
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