56 / 110
第56話 報告
しおりを挟む
朝方はルトルスのパンケーキやキシャナの牛丼の注文が多く、今日も食堂は満席になる。
比較的、牛丼の提供は他のメニューに比べると早く提供できるので冒険者達に人気が高い。炊飯器が手に入れば、更に時短は期待できる。
「五番テーブルのお客様! 料理が出来上がりましたので、取りに来てください」
店の回転効率を考えて、『森の聖弓』所属のエルフを二人雇って注文係を担当に置いた。昨日、キシャナが温泉に浸かりに行った後、冒険者ギルド『森の聖弓』に出向いて従業員募集を呼びかけたところ、二人集めることができた。人事に関してキシャナはシェーナと前々から相談していたことで、初日の客数を考慮して人員を増やした。
注文が決まると、その場にいる注文係に会計を済ませて、注文票に従って料理を提供。セルフサービスの方法で客に料理を運ばせることにした。食べ終わった後もトレー返却口を設けて客に皿は運んでもらい、空いた席を注文係の者が布巾で軽く拭いて次の客を招き入れる。
二階からグラナが下りて来ると、店の盛況ぶりに声を驚かす。
「昨日も凄かったけど、今日もお客さんはたくさん入ってるね。あの子たちは疲れて眠ってしまったよ」
「二人の面倒を見てくれてありがとう。早速で悪いが、皿洗いを頼んでもいいか?」
「うわ……結構溜まっているね。誰か手伝ってくれないかなぁ」
シェーナはカロとマウロを寝かしつけてくれたことに礼を言うと、山のように積まれている食器を見てグラナは辺りを見回すが、手を貸せる者はいない。
「そんな余裕はなさそうだね。粛々と皿洗いの従事に就かせてもらうとしますか」
「客足が落ち着いたら、俺も皿洗いを手伝う。それまでどうか頑張ってくれ」
「……これは勇者一行より手強いかもなぁ」
かつて死闘を繰り広げた勇者一行の猛撃を振り返りながら、グラナは皿洗いを始める。
食洗器でもあれば楽ができるのだろうが、サリーニャに頼んで作ってもらったとして『闇核』の使用量が増えて、ルトルスの負担は増える。
まだまだ店の課題は山積みのようにあるが、片付けるにはしばらく時間がかかりそうだ。
夕方になると、どうにか今日も無事に食材を使い果たして店を閉めることができた。
シェーナは注文係を引き受けてくれたエルフ二人に給金を渡すと礼を言って帰した。
「お疲れさまでした。皆のおかげさまで今日も無事に乗り切ることができました。明日は休日になりますので、明後日から営業を再開します。今までの疲れを癒すために体を十分に休めて下さい」
シェーナは店の責任者として締め括ると、次の本題へと移る。
「俺とルトルスは一旦、リィーシャさんと面会してカロとマウロの件を報告してくるよ。キシャナとグラナは二人の面倒を見てもらってもいいかな?」
「いいよ。留守番しているから行っておいで」
「私も止める理由はないから、子供達と戯れているよ」
キシャナは快く承諾すると、グラナはカロとマウロのいる部屋へ移動してシェーナとルトルスを見送った。
行政地区の宮殿へ足を運び、衛兵にリィーシャと面会したいことを告げると、待合室の扉に通される。
「今日は美味しいパンケーキと私の我儘に付き合わせてもらって……感謝の言葉しかない」
「そんな改まらなくても、私はシェーナのために働いているんだ。私より年上のオジサンが何度も謝る姿はカッコ悪いぞ」
シェーナは用意された椅子に腰掛けてルトルスに頭を下げると、ルトルスにしては冗談がきつい言葉が返ってきた。
「まあ……オジサンを否定はできないけど、ルトルスからそんなことを言われるとはなぁ」
「ふふ……あの子達にとっては、シェーナはカッコいいお姉さんだ。私はカッコいいお姉さんのシェーナであってほしいよ」
ルトルスは微笑みかけると、シェーナは照れ臭そうに俯いてしまう。
あの時、カロとマウロは恐怖心で支配された状態で人間不信に陥っていた。
無理強いして二人を連れ出したとしても、心の傷を更にえぐるだけと判断したシェーナは説得に応じさせようと努力した。
「待たせてすまないね。おや? 珍しい組み合わせだ」
待合室の扉が開くと、リィーシャはシェーナとルトルスが視界に入って物珍しそうにする。
言われてみれば、ルトルスと二人でリィーシャを訪ねたのは初めてかもしれない。
「さて、今日はどうしたんだい?」
リィーシャは椅子に腰掛けると、シェーナは今朝の出来事を事細かに語り始めた。
比較的、牛丼の提供は他のメニューに比べると早く提供できるので冒険者達に人気が高い。炊飯器が手に入れば、更に時短は期待できる。
「五番テーブルのお客様! 料理が出来上がりましたので、取りに来てください」
店の回転効率を考えて、『森の聖弓』所属のエルフを二人雇って注文係を担当に置いた。昨日、キシャナが温泉に浸かりに行った後、冒険者ギルド『森の聖弓』に出向いて従業員募集を呼びかけたところ、二人集めることができた。人事に関してキシャナはシェーナと前々から相談していたことで、初日の客数を考慮して人員を増やした。
注文が決まると、その場にいる注文係に会計を済ませて、注文票に従って料理を提供。セルフサービスの方法で客に料理を運ばせることにした。食べ終わった後もトレー返却口を設けて客に皿は運んでもらい、空いた席を注文係の者が布巾で軽く拭いて次の客を招き入れる。
二階からグラナが下りて来ると、店の盛況ぶりに声を驚かす。
「昨日も凄かったけど、今日もお客さんはたくさん入ってるね。あの子たちは疲れて眠ってしまったよ」
「二人の面倒を見てくれてありがとう。早速で悪いが、皿洗いを頼んでもいいか?」
「うわ……結構溜まっているね。誰か手伝ってくれないかなぁ」
シェーナはカロとマウロを寝かしつけてくれたことに礼を言うと、山のように積まれている食器を見てグラナは辺りを見回すが、手を貸せる者はいない。
「そんな余裕はなさそうだね。粛々と皿洗いの従事に就かせてもらうとしますか」
「客足が落ち着いたら、俺も皿洗いを手伝う。それまでどうか頑張ってくれ」
「……これは勇者一行より手強いかもなぁ」
かつて死闘を繰り広げた勇者一行の猛撃を振り返りながら、グラナは皿洗いを始める。
食洗器でもあれば楽ができるのだろうが、サリーニャに頼んで作ってもらったとして『闇核』の使用量が増えて、ルトルスの負担は増える。
まだまだ店の課題は山積みのようにあるが、片付けるにはしばらく時間がかかりそうだ。
夕方になると、どうにか今日も無事に食材を使い果たして店を閉めることができた。
シェーナは注文係を引き受けてくれたエルフ二人に給金を渡すと礼を言って帰した。
「お疲れさまでした。皆のおかげさまで今日も無事に乗り切ることができました。明日は休日になりますので、明後日から営業を再開します。今までの疲れを癒すために体を十分に休めて下さい」
シェーナは店の責任者として締め括ると、次の本題へと移る。
「俺とルトルスは一旦、リィーシャさんと面会してカロとマウロの件を報告してくるよ。キシャナとグラナは二人の面倒を見てもらってもいいかな?」
「いいよ。留守番しているから行っておいで」
「私も止める理由はないから、子供達と戯れているよ」
キシャナは快く承諾すると、グラナはカロとマウロのいる部屋へ移動してシェーナとルトルスを見送った。
行政地区の宮殿へ足を運び、衛兵にリィーシャと面会したいことを告げると、待合室の扉に通される。
「今日は美味しいパンケーキと私の我儘に付き合わせてもらって……感謝の言葉しかない」
「そんな改まらなくても、私はシェーナのために働いているんだ。私より年上のオジサンが何度も謝る姿はカッコ悪いぞ」
シェーナは用意された椅子に腰掛けてルトルスに頭を下げると、ルトルスにしては冗談がきつい言葉が返ってきた。
「まあ……オジサンを否定はできないけど、ルトルスからそんなことを言われるとはなぁ」
「ふふ……あの子達にとっては、シェーナはカッコいいお姉さんだ。私はカッコいいお姉さんのシェーナであってほしいよ」
ルトルスは微笑みかけると、シェーナは照れ臭そうに俯いてしまう。
あの時、カロとマウロは恐怖心で支配された状態で人間不信に陥っていた。
無理強いして二人を連れ出したとしても、心の傷を更にえぐるだけと判断したシェーナは説得に応じさせようと努力した。
「待たせてすまないね。おや? 珍しい組み合わせだ」
待合室の扉が開くと、リィーシャはシェーナとルトルスが視界に入って物珍しそうにする。
言われてみれば、ルトルスと二人でリィーシャを訪ねたのは初めてかもしれない。
「さて、今日はどうしたんだい?」
リィーシャは椅子に腰掛けると、シェーナは今朝の出来事を事細かに語り始めた。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる