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第57話 軍事国家の影
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「そうか……スエード領内に足を踏み入れたのか」
「それで保護した子供二人について、リィーシャさんに相談へ参りました」
シェーナが経緯を語り終えると、リィーシャは腕を組んで苦渋の色を浮かべる。
「プライデン領内やスエード以外の五大国で人身売買の取引があれば、君達の正当性が認められて子供達の保護に問題はないよ。しかし、スエードは特殊な国柄で我々も手を焼いているのが本音だよ」
スエード王国にはハルセンティス大陸から西のバールゼン大陸にある軍事大国のヒュムリス王国と同盟関係にある。大陸の三分の二を領土に治めるヒュムリス王国は一等民、二等民、三等民と序列を設けて、一等民は王族や貴族を含めた特権階級、二等民は自国の民や三等民が一定の戦果を挙げて這い上がった者、三等民は敗戦国の民や奴隷で構成されている。
ヒュムリス王国から流れてくる奴隷をスエード王国は取引しており、スエード王国と敵対すれば、自然にヒュムリス王国とも敵対関係になる。
「すみません……俺が軽率な行動を取ったおかげで、リィーシャさんに迷惑をかける結果になってしまった」
「まあ、私や勇者君がその場にいたら子供達を助けただろうし、気にすることはないよ。何かあったら、この件は私が対処するよ。居住地区に私のギルドが運営する孤児院があるから、子供達はそこで生活をしてもらおうかな。手続きはこちらで済ませておくから、明日にでも孤児院を訪ねて来てくれ」
「色々と手を回していただき、ありがとうございます」
シェーナは深々と頭を下げると、ルトルスと共に待合室から退出する。
行政地区から商業地区の中央広場を通ると、沿道に人垣ができている。
どうやら、旅の一座が大道芸を披露していたようで拍手喝采がわき起こっている。
「シェーナ、少し遠回りをしながら散歩して戻らないか?」
「ルトルスから誘ってくれるなんて珍しいね。別に構わないよ」
「じゃあ決まりだ」
ルトルスはシェーナの手を握ると、冒険者で賑わう武具店を中心に見て回る。
武具に関する知識が豊富のルトルスはオシャレに洋服を着こなす女子のように装備品を試着して買い物を楽しむ。
「これ何てどうだ? 機能性を重視して剣を振るうには問題ない」
「それはちょっと……露出が多くて恥ずかしいな」
「シェーナも試着して確かめてみろ。絶対、気に入ると思うから」
ルトルスは強制的に同じ防具をシェーナに試着させると、確かに機能性は抜群だ。
お揃いになった姿でルトルスは会計を済ませると、二人はそのまま散歩を続ける。
「たまにはこうしてルトルスと散歩するのも悪くないね。少しこの格好は恥ずかしいけど」
「なかなか似合っていると思うよ。誰かと買い物をするなんて初めての経験だから、楽しかったよ」
ルトルスがガフェーナの暗黒騎士だった頃は支給された装備品のみしか扱っていなかった。
プライデンに訪れてからは自由に装備品を新調することもできて、ルトルスにとって新鮮で衝撃的な出会いであった。
「……シェーナは私がグラナを嫌っている理由を知りたいのだろ?」
唐突にルトルスはグラナのことについて触れると、シェーナは曖昧な返事をする。
「まあ……でもルトルスが喋りたくなければ、喋らなくてもいいよ」
「険悪になっていたことをシェーナは気にしていたからな。店に戻ったら、グラナを交えて話すよ」
ルトルスは再びシェーナの手を握ると、「ただいま」と声を揃えて帰路に就いた。
「それで保護した子供二人について、リィーシャさんに相談へ参りました」
シェーナが経緯を語り終えると、リィーシャは腕を組んで苦渋の色を浮かべる。
「プライデン領内やスエード以外の五大国で人身売買の取引があれば、君達の正当性が認められて子供達の保護に問題はないよ。しかし、スエードは特殊な国柄で我々も手を焼いているのが本音だよ」
スエード王国にはハルセンティス大陸から西のバールゼン大陸にある軍事大国のヒュムリス王国と同盟関係にある。大陸の三分の二を領土に治めるヒュムリス王国は一等民、二等民、三等民と序列を設けて、一等民は王族や貴族を含めた特権階級、二等民は自国の民や三等民が一定の戦果を挙げて這い上がった者、三等民は敗戦国の民や奴隷で構成されている。
ヒュムリス王国から流れてくる奴隷をスエード王国は取引しており、スエード王国と敵対すれば、自然にヒュムリス王国とも敵対関係になる。
「すみません……俺が軽率な行動を取ったおかげで、リィーシャさんに迷惑をかける結果になってしまった」
「まあ、私や勇者君がその場にいたら子供達を助けただろうし、気にすることはないよ。何かあったら、この件は私が対処するよ。居住地区に私のギルドが運営する孤児院があるから、子供達はそこで生活をしてもらおうかな。手続きはこちらで済ませておくから、明日にでも孤児院を訪ねて来てくれ」
「色々と手を回していただき、ありがとうございます」
シェーナは深々と頭を下げると、ルトルスと共に待合室から退出する。
行政地区から商業地区の中央広場を通ると、沿道に人垣ができている。
どうやら、旅の一座が大道芸を披露していたようで拍手喝采がわき起こっている。
「シェーナ、少し遠回りをしながら散歩して戻らないか?」
「ルトルスから誘ってくれるなんて珍しいね。別に構わないよ」
「じゃあ決まりだ」
ルトルスはシェーナの手を握ると、冒険者で賑わう武具店を中心に見て回る。
武具に関する知識が豊富のルトルスはオシャレに洋服を着こなす女子のように装備品を試着して買い物を楽しむ。
「これ何てどうだ? 機能性を重視して剣を振るうには問題ない」
「それはちょっと……露出が多くて恥ずかしいな」
「シェーナも試着して確かめてみろ。絶対、気に入ると思うから」
ルトルスは強制的に同じ防具をシェーナに試着させると、確かに機能性は抜群だ。
お揃いになった姿でルトルスは会計を済ませると、二人はそのまま散歩を続ける。
「たまにはこうしてルトルスと散歩するのも悪くないね。少しこの格好は恥ずかしいけど」
「なかなか似合っていると思うよ。誰かと買い物をするなんて初めての経験だから、楽しかったよ」
ルトルスがガフェーナの暗黒騎士だった頃は支給された装備品のみしか扱っていなかった。
プライデンに訪れてからは自由に装備品を新調することもできて、ルトルスにとって新鮮で衝撃的な出会いであった。
「……シェーナは私がグラナを嫌っている理由を知りたいのだろ?」
唐突にルトルスはグラナのことについて触れると、シェーナは曖昧な返事をする。
「まあ……でもルトルスが喋りたくなければ、喋らなくてもいいよ」
「険悪になっていたことをシェーナは気にしていたからな。店に戻ったら、グラナを交えて話すよ」
ルトルスは再びシェーナの手を握ると、「ただいま」と声を揃えて帰路に就いた。
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