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第89話 親書
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食事を終えると、シェーナはキシャナと一緒に料理の仕込みを手伝っていた。
「今日はお互いに大変だったな。デートの成果は結局どうだった?」
「……楽しかったよ。普段は恐いイメージだったけど、女の子らしい一面が沢山あった」
「ルトルスは可愛らしい女の子だよ。昨日作った南瓜の煮付けはシェーナが好きな味付けを教えてくれってルトルスから頼まれたんだ。彼女、相当シェーナのことを想っているよ」
シェーナにとって、女性から好意を持たれるのは初めての経験だ。
じゃがいもの皮を剥きながら、シェーナはキシャナに提案をする。
「今度の休日に、エルフの森へ行かないか? ここの食材はエルフの森で生産された物がほとんどだし、一度覗いてみたいと思う。自然が多い場所らしいから、ルトルスの治療に効果はあるかもしれない」
「そうだな。色々な食材を見て回れるだろうし、ルトルスのためなら喜んで協力するよ」
「ありがとう」
シェーナは深く頭を下げると、キシャナは「水臭い真似はやめろ」と言ってくれた。
一週間後、早朝から馬車に乗ってエルフの森へ出発する。
今回はリィーシャも休暇を取ったようで、一緒にエルフの森を目指すことになった。
「本当に瞬間魔法は使わなくていいのか?」
「たまには魔法を使わないで目的地へ辿るのも悪くないよ」
馬車に揺られながら、グラナはシェーナに訊ねる。
ここ最近、長距離移動はグラナの瞬間魔法に頼りっ放しだったので、たまには馬車に揺られて目的地を目指してもいいだろうと話し合って決定された。
「ルトルス、調子はどうだい?」
「問題ないよ。シェーナと一緒なら心が落ち着く」
「気分が悪くなったりしても、無理しないで教えてね」
「ああ、我慢しないから安心してくれ」
ルトルスの顔色も良いし、雨が降る気配もないので大丈夫だろう。
念のために、グラナにはいつでも魔法で治療できるように話はつけている。
「まるで母親になったようだね。母性本能をくすぐるよ」
「リィーシャさん。からかわないで下さいよ」
「実際に君達のお店の評判は上々だし、街の活気と共に成長している。故郷のご両親もきっと喜んでいるよ」
「……いや、勝手に出奔した身ですから親不孝者と思われていますよ」
「そんなことはないよ。ハシェル王と君のご両親には親書を送ったからね」
「えっ?」
「あれ、話していなかったっけ? ハシェル王とウラバルト家領主には私から親書を書き記して承諾しているよ。プライデン発展のために貴君の兵士をお借りしますってハシェル王に、お嬢さんをお借りしますとウラバルト家領主にそれぞれ伝わっている筈だよ」
「では……私がハシェルの地を踏んでも問題は?」
「お咎めはないよ。もし問題視されたら、私が直接出張ってもいいよ」
シェーナは腰に力が抜けたように座り込んでしまった。
故郷の国へ行くことができる。
勝手に家を飛び出してしまったことを両親に謝りたい。
元気な姿を見せてあげたい。
プライデンで出会った仲間のことを話したい。
意外な場所で意外な事実を聞き出したシェーナは様々な思いが溢れ出して涙を浮かべた。
「今日はお互いに大変だったな。デートの成果は結局どうだった?」
「……楽しかったよ。普段は恐いイメージだったけど、女の子らしい一面が沢山あった」
「ルトルスは可愛らしい女の子だよ。昨日作った南瓜の煮付けはシェーナが好きな味付けを教えてくれってルトルスから頼まれたんだ。彼女、相当シェーナのことを想っているよ」
シェーナにとって、女性から好意を持たれるのは初めての経験だ。
じゃがいもの皮を剥きながら、シェーナはキシャナに提案をする。
「今度の休日に、エルフの森へ行かないか? ここの食材はエルフの森で生産された物がほとんどだし、一度覗いてみたいと思う。自然が多い場所らしいから、ルトルスの治療に効果はあるかもしれない」
「そうだな。色々な食材を見て回れるだろうし、ルトルスのためなら喜んで協力するよ」
「ありがとう」
シェーナは深く頭を下げると、キシャナは「水臭い真似はやめろ」と言ってくれた。
一週間後、早朝から馬車に乗ってエルフの森へ出発する。
今回はリィーシャも休暇を取ったようで、一緒にエルフの森を目指すことになった。
「本当に瞬間魔法は使わなくていいのか?」
「たまには魔法を使わないで目的地へ辿るのも悪くないよ」
馬車に揺られながら、グラナはシェーナに訊ねる。
ここ最近、長距離移動はグラナの瞬間魔法に頼りっ放しだったので、たまには馬車に揺られて目的地を目指してもいいだろうと話し合って決定された。
「ルトルス、調子はどうだい?」
「問題ないよ。シェーナと一緒なら心が落ち着く」
「気分が悪くなったりしても、無理しないで教えてね」
「ああ、我慢しないから安心してくれ」
ルトルスの顔色も良いし、雨が降る気配もないので大丈夫だろう。
念のために、グラナにはいつでも魔法で治療できるように話はつけている。
「まるで母親になったようだね。母性本能をくすぐるよ」
「リィーシャさん。からかわないで下さいよ」
「実際に君達のお店の評判は上々だし、街の活気と共に成長している。故郷のご両親もきっと喜んでいるよ」
「……いや、勝手に出奔した身ですから親不孝者と思われていますよ」
「そんなことはないよ。ハシェル王と君のご両親には親書を送ったからね」
「えっ?」
「あれ、話していなかったっけ? ハシェル王とウラバルト家領主には私から親書を書き記して承諾しているよ。プライデン発展のために貴君の兵士をお借りしますってハシェル王に、お嬢さんをお借りしますとウラバルト家領主にそれぞれ伝わっている筈だよ」
「では……私がハシェルの地を踏んでも問題は?」
「お咎めはないよ。もし問題視されたら、私が直接出張ってもいいよ」
シェーナは腰に力が抜けたように座り込んでしまった。
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勝手に家を飛び出してしまったことを両親に謝りたい。
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意外な場所で意外な事実を聞き出したシェーナは様々な思いが溢れ出して涙を浮かべた。
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