怠惰令嬢の玉の輿計画 昼寝してたら侯爵様と面倒なことになりました

糸掛 理真

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第二十六話 変えなくても変わったものがありました

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 翌日から、
 何かが劇的に変わったわけではなかった。
 朝食。
 執務。
 会話の量。
 すべて、同じ。

 ◇

 だが、セシリアは気づいた。

(……近い)

 物理的な距離ではない。
 遠慮の距離が、消えている。

 ◇

 プリップルは、以前より自由だった。
 だらける。
 昼寝する。
 何も考えない。
 それを、誰も咎めない。

 ◇

 アデルバートも、同じだ。
 干渉しない。
 管理しない。
 だが、
 不在になることも、ない。

 ◇

 ある日。
 プリップルが、何気なく言った。
「今日は、何もしない日です」
「承知した」
「許可、いらないんですけど」
「分かっている」
 即答。

 ◇

 そのやり取りを見て、
 セシリアは確信する。

(……ああ)

 言葉は、交わされていない。
 約束も、ない。
 でも。

(……逃げ道が、ない)

 ◇

 夜。
 プリップルは、ふと思った。

(……溺れてはいない)

 縛られてもいない。
 甘やかされてもいない。
 でも。

(……戻る場所が、ここになってる)

 それだけ。
 それが、
 彼女にとっては、十分だった。
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