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2.まずいぞ王宮
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ノルメール領は、王家にとって特別な場所である。
それを語るには、少しばかり昔話をしなければならない。
その昔、誠実で心優しく文武に秀でた王子がいた。
王の初めての息子で、王にとりわけ愛されながらも、側妃の生んだ子どもだからというのを理由に王太子に立つことはなかった。
その息子は、王になりたいなどという野望は露ほども持たなかったが、彼には統治者としての才能と人心を掌握する魅力が備わっていた。
王はあえてその愛息から王子の称号を取り上げて臣下とし、遠くの地へと行かせることにした。
彼を担ぎ上げて王座につかせようとする輩がでてくることを懸念してである。
平和を愛する大切な息子を血生臭い争いに巻き込むことをしたくなかった。
そして彼に王都から遠く離れた領地を与え、そこを治めさせた。
絵に描いたように美しく、肥沃で広大な土地。
吟遊詩人たちがこぞって題材にし、歌う、麗しのノルメール。
その王子の血を引くノルメール公爵家の令嬢であるアマールカはマルメロ王太子より二歳歳下で、その可憐さと利発さで社交界にデビューするずっと前から有名だった。
大臣の中には、近隣諸国から王太子妃を選ぶことで関係を強固にすることを勧める者もいたが、結局は却下された。
ずいぶん前に戦争が終わって小康状態を保っている今は必要ない、むしろ大国であるマルベリー王国が近隣のひとつの国とだけ婚姻による同盟を結ぶことこそ、角が立ちかねない危険な行為だというのが理由のひとつであった。
もし今後情勢が変われば、外国から側妃として迎える打診をするなり、現代風に婚姻関係を結ばない形での同盟の締結をすればいいという結論に落ち着いた。
そしてもうひとつの理由は、まだアマールカが婚約者候補のうちのひとりだったときに、王太子が彼女をいたく気に入ったからであった。
彼が成人してすぐ、初めての公務としてノルメールに視察で訪れたときにふたりは出会った。
それからほどなくして婚約の儀を行い、アマールカの成人を待った。
彼女の社交界デビューの舞踏会では、もちろん王太子がファーストダンスの相手をつとめた。
どんどん美しくなるアマールカは、その内面も成長していった。
王太子のアマールカに対する愛はますます強くなっていった。
それなのに、彼は愛する妻を裏切った。
この生き馬の目を抜く王宮で、愚かにもまんまと陰謀にひっかかったのだ。
それを語るには、少しばかり昔話をしなければならない。
その昔、誠実で心優しく文武に秀でた王子がいた。
王の初めての息子で、王にとりわけ愛されながらも、側妃の生んだ子どもだからというのを理由に王太子に立つことはなかった。
その息子は、王になりたいなどという野望は露ほども持たなかったが、彼には統治者としての才能と人心を掌握する魅力が備わっていた。
王はあえてその愛息から王子の称号を取り上げて臣下とし、遠くの地へと行かせることにした。
彼を担ぎ上げて王座につかせようとする輩がでてくることを懸念してである。
平和を愛する大切な息子を血生臭い争いに巻き込むことをしたくなかった。
そして彼に王都から遠く離れた領地を与え、そこを治めさせた。
絵に描いたように美しく、肥沃で広大な土地。
吟遊詩人たちがこぞって題材にし、歌う、麗しのノルメール。
その王子の血を引くノルメール公爵家の令嬢であるアマールカはマルメロ王太子より二歳歳下で、その可憐さと利発さで社交界にデビューするずっと前から有名だった。
大臣の中には、近隣諸国から王太子妃を選ぶことで関係を強固にすることを勧める者もいたが、結局は却下された。
ずいぶん前に戦争が終わって小康状態を保っている今は必要ない、むしろ大国であるマルベリー王国が近隣のひとつの国とだけ婚姻による同盟を結ぶことこそ、角が立ちかねない危険な行為だというのが理由のひとつであった。
もし今後情勢が変われば、外国から側妃として迎える打診をするなり、現代風に婚姻関係を結ばない形での同盟の締結をすればいいという結論に落ち着いた。
そしてもうひとつの理由は、まだアマールカが婚約者候補のうちのひとりだったときに、王太子が彼女をいたく気に入ったからであった。
彼が成人してすぐ、初めての公務としてノルメールに視察で訪れたときにふたりは出会った。
それからほどなくして婚約の儀を行い、アマールカの成人を待った。
彼女の社交界デビューの舞踏会では、もちろん王太子がファーストダンスの相手をつとめた。
どんどん美しくなるアマールカは、その内面も成長していった。
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それなのに、彼は愛する妻を裏切った。
この生き馬の目を抜く王宮で、愚かにもまんまと陰謀にひっかかったのだ。
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