寝取られ王太子妃のウチごはん。今日も元気にいただきます!

糸掛 理真

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2.まずいぞ王宮

3

 王太子は、裏切りを知った時のアマールカの様子を思い出していた。

 初めはただ驚き、そして信じられないという顔をしていた。

 しかし、それが事実だと悟った時の、一瞬見せたあの表情。

 すぐさま顔を隠すように俯き、一呼吸置いてこちらをまっすぐ見たときにはもう何の感情も読み取れなかった。

 常に穏やかに微笑んでいるかのような、いつもの柔和な顔つきに戻っていた。

 だが、青の中の青と称される美しいあの目は、おそらくあの時何も見てはいなかった。

 そして、そこには『諦め』と『失望』の色があった。

 王太子には、痛いほど分かっていた。

 一番大切な人を、女性にとって最も残酷な方法で裏切り、傷つけてしまったということを。

 しかし王太子は甘かった。

 誠心誠意努力すれば、アマールカとの関係は修復できるだろうと心のどこかで思っていたのだ。

 都合の良い未来を描き、妻の寛容さに甘えようとしていた。

 アマールカはいつも通り外交面で両陛下や王太子の力となり、また一方で熱心に国内の学校や福祉施設の視察や訪問を行い、予定通りサロンを開催した。

 他にも、外国語の勉強に音楽会にと生き生きと活動しているように見えた。

 王太子に対しても他の誰に対しても普段と変わらぬ態度で接した。

 夜に自室にひとりでいるところを訪ねた時には、少し疲れたような顔をしていたときもあったが、それでも笑顔で優しく話をしてくれた。

 内々で行った、くだんの男爵令嬢との顔合わせの時ですら、嫌な顔ひとつせず丁寧に対応し、本当に頭の下がる思いだった。

 そんな天使のようなアマールカなら自分の過ちを許してくれるのではないかという考えをシュタイナーは無意識にもってしまっていた。

 アマールカがほとんど食事を摂らないという異常事態に気づかなかったのは、彼女の表面しか見ていなかったことの証拠だった。
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