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第5日目
第35話 到着5日目・昼その5
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コンジ先生の話を聞いていた一同はみな黙りこくって静かだった。
人狼がビジューさんに化けて、私たちと一緒に堂々と行動していた……!?
いきなりそんなことを言われたら、誰だって声が出なくなってしまいます。
一番初めに静寂を破ったのは、スエノさんでした。
「キノノウ様! ですが、ビジューさんが階段を下りていくところを私とジニアス……、さんは一緒に目撃しておりますのよ!?」
「そ……、そうです! 確かにスエノ……、さんと一緒に僕も見ました!」
ちっ……。
なぜだか知りませんが、いちいち、呼び捨てでお互いを呼びかけて、『さん』を付け足すのって、なんだかムカついてくるの、私だけかしら……?
リア充め、爆ぜろ!
コンジ先生は余裕たっぷりに返答しました。
「ええ。それはすでに聞いております。……ですが、あなた方が見たのは、階段を下りようとしているビジューさんであって、部屋や廊下から階段に向かって下りていったビジューさんではないじゃあありませんか?」
コンジ先生の問いに、ジニアスさんとスエノさんの二人は黙ってこくんと頷きました。
「え……、ええ。たしかにそうですが、それがどう違うのでしょうか? キノノウ様!」
スエノさんがなおも疑問を口にする。
「ですから、人狼は、『左翼の塔』側の階段の間に入った直後、早変わりでビジューさんに化けて、ガウンを用意していたのか、人狼の能力で服も偽装できるのかはわかりませんが、とにかくビジューさんに化けたのです。そして、階段のところで少し待っていて、あなた方が出てきたところで、わざと見られるようにして、階下の1階へまた下りて戻ってきたということなのです。」
しーん……
そんな擬音が聞こえるかと思うほどの衝撃でした。
そんなことがあの一瞬で行われただなんて!?
「しかし、キノノウ様? ビジューさんが怪しいとは言え、人狼は人智を超えた化け物、他に可能性もあるのではないですか?」
アネノさんが、よくわかっていないだろう感じで、質問をする。
「ええ。まあ、まったくの未知数の能力とか持っていたりしていたらお手上げですが、人狼については古くから研究されており、アレクサンダー神父からも聞いた限り、地面に溶け込んだり、壁をすり抜けたり、それこそワームホールをつないで、エンタープライズ号で逃げたりなんてことはできませんよ。」
コンジ先生……、ユーモアのつもりで言ったみたいですが、ここでスタートレックがわかる人なんて、私くらいじゃあないでしょうか……?
その証拠にみなさん、本日何回目かっていうポカン顔をされていますよ。
「あと……。ビジューさんって、部屋はどこだか知っておられますか? みなさん……。」
「あ、コンジ先生! たしか私の部屋の奥の奥ですよ!」
「グラッチェ! ジョシュア! そうなんだよ! ビジューさんの部屋は『右翼の塔』側2階の奥の部屋なんですよ。そのビジューさんが、いったいどうしてガウン姿で、『左翼の塔』側の2階の階段から、下りてきたんでしょうかね? 銃声を聞いて下りてきたにしては、おかしくありませんか!? 銃声は『右翼の塔』の階段の間でしたのですから……。」
そう、コンジ先生はまるであの奇妙な冒険マンガのようなきざったらしい格好で立ち上がり、みなさんを見回したのでした。
「たしかに……! キノノウくん! それは変だな。ビジューさんはしかも、あれから行方がわからなくなっておる。そうか!? だから、あの後、ビジューさんの部屋を見に行ったのだな?」
「ええ。その通りです。ジェニー警視。」
「しかし、逃げられた後だった……。一歩遅かった! くぅうううっ……!」
ジェニー警視が悔しそうです。
「そう言えば、あのとき、ビジューさんは熱っぽいとかおっしゃられて、部屋に戻るといって2階へ上がって行ったよ!」
「そうでした! 私も聞きましたよ! まさかあの時のビジューさんが人狼だったなんて……! なんて恐ろしい……。」
「おそらく逃げ出したのでしょうな。そのときに……。逃げるところはどこにでもあった。」
「そうですね。僕としたことが、あのとき、すぐに気がついていれば……!」
コンジ先生も悔しそうです。
それはそうか……。目の前に人狼がいたんですものね。
でも、私はコンジ先生が人狼に襲われなくて、少しだけホッとしていたのも事実でした……。
「とにかく、今、そのビジューさんの姿は見当たりません。もう一度、館内をくまなく調べて見る必要があるかもしれません……。」
コンジ先生の提案に、ジェニー警視も黙ってうなづくのみです。
すると、そこでジニアスさんが発言をしてきました。
「でもですよ!? 僕たちはその人狼を見てはいませんし、もしかしたらですけど……。」
と、言いにくそうにして、口つぐんだ。
「ジニアスさん……。なんでもいいですよ? 気がかりなことがあればはっきりとおっしゃったほうがいい!」
コンジ先生が続きを話すよう促しました。
「その……、キノノウさんやジェニーさんは夜通しの徹夜でお疲れだったので人狼が出たと錯覚されたのではないかと……。」
ジニアスさんが答えた。
「なんですって!? ジニアスさん! 私たちが徹夜でいくら疲れていても二人とも同時に幻覚でも見たとおっしゃりたいのですか!?」
と、ジェニー警視がすぐに反論した。
「その人狼はメッシュさんだけが見たと言っただけなのでは……!? つまり、人狼はその……、メッシュさんなのではないかと! そ、そう考えると一瞬でビジューさんになりすまして入れ替わっていたと考えるより自然なのではないかと思うのですよ、僕はっ!!」
「そんな!? あっしは被害者ですぜ! この目でしっかりと見ましたし、怪我も負わされましたんですぜ!?」
メッシュさんが鼻息を荒くして抗議をする。
「ジニアスさん。それだけは決してありえません。僕もそうですが、ジェニー警視は警察の方です。徹夜で容疑者を見張ったりすることなど日常茶飯事なんですよ。つまり、そんな我々二人ともども、襲ってきた人狼の幻覚や妄想をしていたなどということは断固あり得ないのです!」
コンジ先生が冷静にさらりと答えたのでした。
「オオ! そうデスネー! アナタガタは勘違いをされているのやもしれませんゾ!?」
と、少々鼻につくような喋り方で、アレクサンダー神父が得意げに話し出しました。
「そのジンロウは! そこのミスター・メッシュとぶつかったんですヨネ!?」
「あ……、はい。急にあの『右翼の塔』の扉から飛び出してきて……、あっしのほうへすっごい勢いでぶつかってきやしたんですぜ……。」
メッシュさんが答えた。
「ヤハリ、そうデスカ!? その後、アナタガタ、ミスター・キノノウとミズ・ジェニーは、『左翼の塔』側の玄関ホールの扉が閉まった瞬間に、ジンロウの姿を一度、見失われマシタネ?」
「あ、ああ。それはそうだが、でも私とキノノウくんはその後、ものの数秒で扉を開き、『左翼の塔』側の階段の間に入ったんだぞ!? そうしたら、人狼の姿が消えていたのさ! だからさっき、キノノウくんが言ったとおり、ビジューさんと入れ替わりの早変わりをしていたんじゃあないのか? いいや、私はキノノウくんの意見に賛成だな!」
「オオ! ミズ・ジェニー! 確かに、ミスター・ビジューにジンロウは化けていたのかもしれマセン! デスガ、ジンロウは素早い。アナタガタが『左翼の塔』側の階段ルームに入り込んだと同時に、扉の上、シーリング(天井)近くから、逆に玄関ルームに戻り、また引き換えしたのやもしれマセン!」
「え……!? なんだって? 私は、しかし、そんな気配は……、感じなかったが……。そんなことが……。」
ジェニー警視も一瞬のことだったから、その可能性があるかもしれないと疑心暗鬼になられたようです。
「ソウデス! そうして引き換えしたジンロウは、平然とそこにいるドクター・シュジイに成り替わったのデース!!」
アレクサンダー神父がシュジイ医師に指を差して、ニヤリと笑ったのでした。
指を差され、人狼だと名指しされたシュジイ医師の顔は完全に真っ青で、まさに顔面蒼白の状態でありましたー。
~続く~
人狼がビジューさんに化けて、私たちと一緒に堂々と行動していた……!?
いきなりそんなことを言われたら、誰だって声が出なくなってしまいます。
一番初めに静寂を破ったのは、スエノさんでした。
「キノノウ様! ですが、ビジューさんが階段を下りていくところを私とジニアス……、さんは一緒に目撃しておりますのよ!?」
「そ……、そうです! 確かにスエノ……、さんと一緒に僕も見ました!」
ちっ……。
なぜだか知りませんが、いちいち、呼び捨てでお互いを呼びかけて、『さん』を付け足すのって、なんだかムカついてくるの、私だけかしら……?
リア充め、爆ぜろ!
コンジ先生は余裕たっぷりに返答しました。
「ええ。それはすでに聞いております。……ですが、あなた方が見たのは、階段を下りようとしているビジューさんであって、部屋や廊下から階段に向かって下りていったビジューさんではないじゃあありませんか?」
コンジ先生の問いに、ジニアスさんとスエノさんの二人は黙ってこくんと頷きました。
「え……、ええ。たしかにそうですが、それがどう違うのでしょうか? キノノウ様!」
スエノさんがなおも疑問を口にする。
「ですから、人狼は、『左翼の塔』側の階段の間に入った直後、早変わりでビジューさんに化けて、ガウンを用意していたのか、人狼の能力で服も偽装できるのかはわかりませんが、とにかくビジューさんに化けたのです。そして、階段のところで少し待っていて、あなた方が出てきたところで、わざと見られるようにして、階下の1階へまた下りて戻ってきたということなのです。」
しーん……
そんな擬音が聞こえるかと思うほどの衝撃でした。
そんなことがあの一瞬で行われただなんて!?
「しかし、キノノウ様? ビジューさんが怪しいとは言え、人狼は人智を超えた化け物、他に可能性もあるのではないですか?」
アネノさんが、よくわかっていないだろう感じで、質問をする。
「ええ。まあ、まったくの未知数の能力とか持っていたりしていたらお手上げですが、人狼については古くから研究されており、アレクサンダー神父からも聞いた限り、地面に溶け込んだり、壁をすり抜けたり、それこそワームホールをつないで、エンタープライズ号で逃げたりなんてことはできませんよ。」
コンジ先生……、ユーモアのつもりで言ったみたいですが、ここでスタートレックがわかる人なんて、私くらいじゃあないでしょうか……?
その証拠にみなさん、本日何回目かっていうポカン顔をされていますよ。
「あと……。ビジューさんって、部屋はどこだか知っておられますか? みなさん……。」
「あ、コンジ先生! たしか私の部屋の奥の奥ですよ!」
「グラッチェ! ジョシュア! そうなんだよ! ビジューさんの部屋は『右翼の塔』側2階の奥の部屋なんですよ。そのビジューさんが、いったいどうしてガウン姿で、『左翼の塔』側の2階の階段から、下りてきたんでしょうかね? 銃声を聞いて下りてきたにしては、おかしくありませんか!? 銃声は『右翼の塔』の階段の間でしたのですから……。」
そう、コンジ先生はまるであの奇妙な冒険マンガのようなきざったらしい格好で立ち上がり、みなさんを見回したのでした。
「たしかに……! キノノウくん! それは変だな。ビジューさんはしかも、あれから行方がわからなくなっておる。そうか!? だから、あの後、ビジューさんの部屋を見に行ったのだな?」
「ええ。その通りです。ジェニー警視。」
「しかし、逃げられた後だった……。一歩遅かった! くぅうううっ……!」
ジェニー警視が悔しそうです。
「そう言えば、あのとき、ビジューさんは熱っぽいとかおっしゃられて、部屋に戻るといって2階へ上がって行ったよ!」
「そうでした! 私も聞きましたよ! まさかあの時のビジューさんが人狼だったなんて……! なんて恐ろしい……。」
「おそらく逃げ出したのでしょうな。そのときに……。逃げるところはどこにでもあった。」
「そうですね。僕としたことが、あのとき、すぐに気がついていれば……!」
コンジ先生も悔しそうです。
それはそうか……。目の前に人狼がいたんですものね。
でも、私はコンジ先生が人狼に襲われなくて、少しだけホッとしていたのも事実でした……。
「とにかく、今、そのビジューさんの姿は見当たりません。もう一度、館内をくまなく調べて見る必要があるかもしれません……。」
コンジ先生の提案に、ジェニー警視も黙ってうなづくのみです。
すると、そこでジニアスさんが発言をしてきました。
「でもですよ!? 僕たちはその人狼を見てはいませんし、もしかしたらですけど……。」
と、言いにくそうにして、口つぐんだ。
「ジニアスさん……。なんでもいいですよ? 気がかりなことがあればはっきりとおっしゃったほうがいい!」
コンジ先生が続きを話すよう促しました。
「その……、キノノウさんやジェニーさんは夜通しの徹夜でお疲れだったので人狼が出たと錯覚されたのではないかと……。」
ジニアスさんが答えた。
「なんですって!? ジニアスさん! 私たちが徹夜でいくら疲れていても二人とも同時に幻覚でも見たとおっしゃりたいのですか!?」
と、ジェニー警視がすぐに反論した。
「その人狼はメッシュさんだけが見たと言っただけなのでは……!? つまり、人狼はその……、メッシュさんなのではないかと! そ、そう考えると一瞬でビジューさんになりすまして入れ替わっていたと考えるより自然なのではないかと思うのですよ、僕はっ!!」
「そんな!? あっしは被害者ですぜ! この目でしっかりと見ましたし、怪我も負わされましたんですぜ!?」
メッシュさんが鼻息を荒くして抗議をする。
「ジニアスさん。それだけは決してありえません。僕もそうですが、ジェニー警視は警察の方です。徹夜で容疑者を見張ったりすることなど日常茶飯事なんですよ。つまり、そんな我々二人ともども、襲ってきた人狼の幻覚や妄想をしていたなどということは断固あり得ないのです!」
コンジ先生が冷静にさらりと答えたのでした。
「オオ! そうデスネー! アナタガタは勘違いをされているのやもしれませんゾ!?」
と、少々鼻につくような喋り方で、アレクサンダー神父が得意げに話し出しました。
「そのジンロウは! そこのミスター・メッシュとぶつかったんですヨネ!?」
「あ……、はい。急にあの『右翼の塔』の扉から飛び出してきて……、あっしのほうへすっごい勢いでぶつかってきやしたんですぜ……。」
メッシュさんが答えた。
「ヤハリ、そうデスカ!? その後、アナタガタ、ミスター・キノノウとミズ・ジェニーは、『左翼の塔』側の玄関ホールの扉が閉まった瞬間に、ジンロウの姿を一度、見失われマシタネ?」
「あ、ああ。それはそうだが、でも私とキノノウくんはその後、ものの数秒で扉を開き、『左翼の塔』側の階段の間に入ったんだぞ!? そうしたら、人狼の姿が消えていたのさ! だからさっき、キノノウくんが言ったとおり、ビジューさんと入れ替わりの早変わりをしていたんじゃあないのか? いいや、私はキノノウくんの意見に賛成だな!」
「オオ! ミズ・ジェニー! 確かに、ミスター・ビジューにジンロウは化けていたのかもしれマセン! デスガ、ジンロウは素早い。アナタガタが『左翼の塔』側の階段ルームに入り込んだと同時に、扉の上、シーリング(天井)近くから、逆に玄関ルームに戻り、また引き換えしたのやもしれマセン!」
「え……!? なんだって? 私は、しかし、そんな気配は……、感じなかったが……。そんなことが……。」
ジェニー警視も一瞬のことだったから、その可能性があるかもしれないと疑心暗鬼になられたようです。
「ソウデス! そうして引き換えしたジンロウは、平然とそこにいるドクター・シュジイに成り替わったのデース!!」
アレクサンダー神父がシュジイ医師に指を差して、ニヤリと笑ったのでした。
指を差され、人狼だと名指しされたシュジイ医師の顔は完全に真っ青で、まさに顔面蒼白の状態でありましたー。
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