【読者への挑戦状あり!】化け物殺人事件~人狼伝説・狼の哭く夜~

あっちゅまん

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第7日目

第45話 到着7日目・昼その1

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 ついに、私たちがこの『或雪山山荘』に到着してから、第7日目の朝がやってきました。

 この7日目がこの地域の特殊な猛吹雪の期間の最終日になるはずで、明日、つまり第8日目は晴れ渡るということを意味しています。

 そして、昨日の話し合いから、今日こそは何もなく過ごせるだろうという期待が一番大きかったのも覚えています。

 しかし、その期待はすぐに打ち砕かれることとなったのでした。




 「ジョシュア! いるのか!?」

 「ジョシュアくん! 無事か?」

 部屋の外からコンジ先生とジェニー警視の声が聞こえてきた。

 どうやら、朝を迎えたようです。



 「はぁーい! 今、起きます!」

 私はとりあえず返事をした。

 まだ、服を着替えていなくて、寝起きのままだった私は下着姿でした。

 急いで、服をまとい、大慌てで部屋の扉を開けるため、ドアノブと部屋の中の柱に結びつけたワイヤーを外していく。



 ガチャ……

 「お待たせしました! おはようございます! みなさん、無事で何よりです!」

 私がそう言うと、コンジ先生とジェニー警視は少し表情を曇らせたのです。



 「どうしたんですか……? まさか……!?」

 私は嫌な予感がして聞いてみる。


 「ああ。シュジイ医師が亡くなった……。」

 「シュジイ医師が……!? どうして? もう神父さんはこの館のどこにも隠れていなかったというのに……。」



 「ここからは推測になるんだが……。おそらく地下室に安置していた遺体に化けていたのかもしれないんだ……。」

 「ええ!? 遺体に……?」

 「そうなんだよ。ジョシュアくん。遺体そのものに成り済ましていたとしたら……。盲点だったのだ。」



 つまりコンジ先生とジェニー警視が言っているのは、昨日、館内をくまなく確認した際、遺体そのものに人狼が化けていたなら、その遺体を確認した際も怪しむことはなかったということだ。

 たしかに、昨日の時点でそんな考えは一切なかったから、地下室を確認しても、遺体に化けているとは露ほども思わなかったに違いない。

 現に地下室を確認したのは、ジェニー警視とスエノさん、ジニアスさんの3名で一緒に確認したとのことだ。

 その時、誰一人として、遺体を見たとしても、その『死』を確認したものはいない……。



 「朝、ジェニー警視が僕を呼びに来たんだが……。すぐに異変に気がついたよ。1階の階段の間に血の跡があったからね。」

 「ああ。そうだったね。とにかく確認しに行ったが、シュジイ医師だということはすぐにわかった。顔の損傷はなかったのでな……。」

 「そうだったんですね……。じゃあ、シュジイ医師は地下室で襲われたのですか?」

 「ああ。そうだ……。地下室に彼の無残な死体があったよ。どうやら、シュジイ医師も地下室の遺体を調べに行ったらしいな……。」

 「ええ!? じゃあ、シュジイ医師も人狼が遺体に化けていたと考えて確認しに行ったのですか!?」

 「どうやら、そのようだな。朝になってから行けば良かったのだが……。夜明け前に自ら地下室へ行ったようだ。私の見立てによると、シュジイ医師は夜明け前近くに殺されたらしい。」



※ダイニングルーム席順・夕方
赤=死亡 ピンク=行方不明




 私たちはとりあえず、ダイニングルームへと移動した。

 すでにコンジ先生とジェニー警視に起こされたのか、ジニアスさん、スエノさん、メッシュさんも集まっていた。


 「どういうことでしょうか!? キノノウ様。昨夜はもう被害は出ないだろうと仰ったではありませんか!?」

 スエノさんが開口一番、コンジ先生に食って掛かるように言ったのです。



 「ああ……。それはすまなかった。だが、僕は自室から絶対に出ないように忠告はしていた。シュジイ医師は自ら自室を出て、犠牲になったのだ。それは言わば自業自得と言えよう?」

 「たしかに……だな。キノノウくんも私も昨夜は絶対に部屋の外に出ないように言っていたはず……。シュジイ医師は残念だが、それを守らなかったのだ。」


 「そ……、それはそうですけど……。その、人狼はどこに潜んでいたのですか?」

 「そうだ! 昨日あれほどこの館内を探したじゃあないか?」



 そのとおりです。

 あれほど隈なく『或雪山山荘』内を探したというのに……、そう疑問を抱くのも間違いないでしょう。


 「おそらく……、死体に化けていたのでしょうな。地下の遺体安置所で、シュジイ医師が襲われたのも、その秘密を暴いたからじゃあないかと思われる。」

 ジェニー警視が見解を示した。

 コンジ先生は黙っている。

 何やら思案している様子でした。



 「うーん……、まだそう決めつけるのは早計ですが、その可能性は否定はできませんね。いずれにしても、シュジイ医師は自ら部屋を出たために、人狼の犠牲になったのは間違いないでしょう。ですから、やはり夜間に部屋から出るのは無謀ということです。今日の夜を越せば、明日はこの館周囲の吹雪が晴れると聞いています。明日、晴れたら麓の村までみんなで下りて生還いたしましょう!」

 「そうですね……。とにかく、明日まで待てば吹雪は晴れます。人狼も麓の村までは追ってこないでしょう?」

 「そうだな。スエノ。そうしたら、僕と一緒に故郷のイタリアに行こう。」

 「まあ!? ジニアス! それって……!?」

 「そうだ。結婚しよう!」

 「嬉しい! ジニアス!!」





 スエノさんがジニアスさんに飛びついて抱きついた!

 なんですか……。これは……。

 見せつけてくれますね。

 お幸せに……って言うしか無いじゃあありませんか?



 「キノノウ様……! あっしも明日になれば、無事に麓の村まで下りられるということはわかっちゃあいますが、本当にこの館内にもう人狼はいないということでいいんですかい?」

 メッシュさんがここで誰もが思っている不安と疑問を投げかけたのです。

 そうですよね。

 不安ですよね。

 コンジ先生はいったいどう推理されているのでしょうか?

 私たちは安心していいのでしょうか……。




 「そうだな……。僕の見解では、今少し警戒する必要はあるだろう。だが、神父の残してくれた聖なる結界とやらの『銀の粉』は、人狼にとって苦手な物質であるという可能性は非常に高いようだ。だから、夜の間、自室に閉じこもっていれば襲われることはないと確信している。」

 「それは良かった! じゃあ、夜までは問題ないですか?」

 私も思わず聞く。



 「ああ。それは問題ないだろう。人狼は昼の間は特に脅威はない。昼間は人狼に変身できないのだからな。」

 「そっかぁ……。じゃあ、メッシュさん! お昼はちょっと美味しいものをお願いしますね?」

 「なんだよ。食事のことが心配だったのか? ジョシュアは……。」

 「いえいえ! そうじゃあありませんよ! ただ、食事は美味しく頂きたいじゃあありませんか!?」




 「了解しましたぜ! ジョシュア様。あっしの腕をふるって昼食をお作りしましょう!」

 メッシュさんは快く引き受けてくれました。

 ここ数日は、人狼を警戒して料理は作り置きしたものになってしまっていたのです。

 これは昼食と夕食、期待できますね。



 そういうわけで、この日、お昼にメッシュさんが用意してくれたのは、ロブスターの身を使ったサンドウィッチ……でした!

 カナダといえば、ロブスター料理というくらい国民的料理になっていますが、メッシュさんは、バキバキと豪快に殻から身を取り出し、溶かしたバターをつけて、サンドウィッチにしてくれました。

 ロブスターは、エビというよりカニのような味で歯ごたえがあっておいしかった!



 そして、私たちは昼食後は自由行動となりました。

 人狼が昼間は襲ってこないということが、わかっているからこそ、昼間くらいは自由に過ごしましょう……というふうになったというわけです。



 スエノさんとジニアスさんは、やはりお二人でお部屋で一緒に過ごすそうで、ちょっと嫉妬しちゃうくらい仲良しです。

 私とコンジ先生は部屋に戻り、ジェニー警視を交えて、今まで起きた事件を振り返り、事のあらましを整理しようということになりました。

 メッシュさんは、やはり今まで一緒にお仕事をしてきたシープさんやカンさんがお亡くなりになり、少し感情を落ち着けたいと一人で過ごしたいと仰っていました。

 お昼の後、夕方まで、みなそれぞれ過ごすということで別れたのです。




 ビュゥウウォオオオォ……


 館の外は明日本当に晴れるのかというくらい、激しく風巻く吹雪の音だけが低く、ゴォゴォと響いていたのでしたー。




 ~続く~


※料理参照
SEKAIEさんのサイトの【カナダの食べ物】有名&おいしい料理ランキング15選!名物グルメも という記事より。
https://sekai-e.com/canada-food/



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