54 / 62
【解決編】 第8日目
第48話 【解決編】 到着8日目・朝
しおりを挟む「誰かぁ!? ジニアスを助けてぇえっ!!」
そんな悲痛な叫び声が聞こえたのが、この日の朝の始まりでした。
日が昇るまで絶対に部屋から出てはいけない。
そう昨夜、みんなで確認したはず……。
なのに、この叫び声が聞こえたのは、朝日が登る数十分も前のことだったのです。
午前8時前、7時半ごろのことでした。
「ジェニー警視! 聞こえましたか!?」
「ああ! キノノウくん! まだ夜明けまで少しあるが……。緊急事態だ! 急いで行くとしよう!」
「コンジ先生! 何があったのでしょうか!?」
「……ま、まだわからないな。とりあえず、行ってみよう。」
コンジ先生、ジェニー警視、……そして遅ればせながら、ジョシュア。
急いで現場と思われる『左翼の塔』側2階へ急ぐ。
「あ! メッシュさん!? もう駆けつけてくれていたんですね?」
「ああ! みなさん! へい! あっしは早起きでさぁね。ですが、何も見当たりませんですぜ?」
廊下にいたのは、メッシュさんでした。
しかし、他には誰の姿も見えません。
おかしいですね……。
この2階から声が聞こえたのは間違いないのですけど……。
「スエノさんは? さっきの声はスエノさんだろう……。」
コンジ先生が素早く、スエノさんの部屋の前に移動する。
「スエノさん!? 無事ですか!?」
ジェニー警視がスエノさんの部屋の中に向かって声をかける。
スエノさんの部屋の扉はきっちり閉められている。
『銀の粉』が光っている。
「はい! 私は無事です。だけど……、ジニアスが! ジニアスがっ……!」
部屋の中からスエノさんの声がした。
良かった。
スエノさんは無事なようです。
そして、スエノさんが自室のドアノブに巻いたワイヤーを外し、扉を開けて部屋の外に出てきた。
「お待たせしました。ジニアスが私を助けるために一人で人狼に向かっていったのです! ジニアスは!? 彼はどこに!?」
「スエノさん! ジニアスさんは一緒だったのですか?」
「はい。夜の間、ずっと一緒でした。そして、さきほど夜が明けたと言って…。ああ!? メッシュ! あなた!?」
スエノさんはメッシュさんを見て、怯えだした。
「お嬢様! ご無事でしたか!? って……、ど、どうかしやしたか……!?」
「お……、おまえっ!! さっき、私の部屋に来た人狼じゃあないのか!?」
……え?
メッシュさんが?
人狼……?
「キノノウ様! ジェニー警視! このメッシュが私の部屋を訪ねてきたのです! 人狼はメッシュに化けているのです!」
スエノさんが叫んだ!
「なんだって!? メッシュさんが!? どういうことですか?」
ジェニー警視が素早く、メッシュさんの両手を後ろ手にし、取り押さえていた。
「いえ……! あっしじゃあありませんよ!?」
メッシュさんがそう言って、抵抗しようとする。
「ジェニー警視。メッシュさんを離してあげてください……。スエノさんも落ち着いてください。スエノさんのところに来た人狼はメッシュさんに化けていたのでしょう。ですが、今、ここにいるメッシュさんが人狼ではないのです。」
「え……? そうなのですか?」
「スエノさん……。話は後です! ジニアスさんはどこへ行ったのですか?」
「ああ! そうでした! ジニアスは襲ってきた人狼から私を守るため、廊下に飛び出していったのです! そして……、人狼は彼の後を追って、階段を下りて行きました!」
スエノさんが証言する。
「ジェニー警視! 1階へ急ぎましょう!」
「わかった! キノノウくんがそう言うなら、メッシュさんの件はとりあえず信じよう。メッシュさん、すまなかったな……。」
そして、全員で急いで1階へ下りました。
廊下を見ても何も跡が残っていません……が、玄関ホールの扉は開けっ放しになっていました。
その向こうに見える玄関のほうに……。
玄関ホールの中に雪が舞い込んでいた。
だが、玄関前に、血溜まりが見える……。
赤い。
鮮血の赤……。
たった今、飛び散ったかに見える赤の溜まり。
それが見えた。
「あれは!? 血……。外に逃げたのね!?」
外へと続く血……。
玄関扉が開きっぱなしだった。
だから、館内に雪が舞い込んでいたのだった。
「ジニアス! 外へ逃げたのね!?」
スエノさんが叫ぶ。
「ふむ……。この血の乾き具合からすると、襲われてまだ間もない……。そして、外の吹雪が止み始めている……。ひょっとすると……、ジニアスさんは外へ逃げたのであれば、まだ生きているやもしれない!」
「ええ!? コンジ先生! 本当ですか!?」
「ああ。人狼も外まで深追いしなかったと見える……。ほら!? 足跡がジニアスさんと思われるものが一対だけしか外へ向かっていないだろう?」
「本当だ! キノノウくん! さすがの観察力だな!?」
「……となると、ジニアスのだんなは、あの吹雪の向こうに……?」
「そうだな……。雪が止めば、この『或雪山山荘』へ戻ってこられるかもしれない……。」
「今すぐ! ジニアスを助けに行かなきゃ!」
スエノさんがそう叫んだ。
「スエノさん……。それは危険だ。吹雪は止み始めているとは言え、まだ迷ってしまう危険がある。」
「そんな!? ジニアスを見捨てろっていうんですか!?」
スエノさんが憤って反論する。
そこまで黙って聞いていたコンジ先生がスエノさんに向かって冷たく言い放ったのだ。
「スエノさん……。そんなにジニアスさんが心配なら、なぜ、ジニアスさんが人狼と出会って逃げていた時、あなた自身は部屋の扉の鍵をかけて部屋の中に閉じこもっていたんですか? もちろん……、危険に身を晒せって言いたいのではありませんよ? 今も同じく外に出るのは危険だと申し上げているのです。吹雪はもうすぐ止みます。止んでからみんなでジニアスさんの捜索に向かいましょう……。」
「……っ! そ……、それは……。」
スエノさんはそれ以上反論はできませんでした……。
そして、私たちはそれから小一時間の間、吹雪が完全に止むのを待ってから、ジニアスさん捜索に向かうのでしたー。
****
雪も止んだようで、みんな揃って来たときと同じように、厚手の服に着替え、館の外へ出ました。
この1週間、猛烈な吹雪に閉じ込められていたのですが、ようやく晴れたのです!
この辺りの天気は7日吹雪くと1日晴れる特殊な天気と聞いていました。
そして、今日がこの館に来て、ちょうど8日目なのです。
……ということは、今日1日は晴れるのです。
だから、今日が麓の村まで助けを求めに行けるチャンスというわけです。
もし人狼が館内や、あるいは館周辺の森に隠れ潜んでいたとしても、昼間の間なら襲われることはありませんからね。
そういうことで、みんな一同に着替えて、麓の村まで向かいながら、ジニアスさんを捜索しようということになったのでした。
コンジ先生、ジェニー警視、スエノさん、メッシュさん、そして……ジョシュア。
「じゃあ、みなさん! 準備はいいですか!?」
そして、先頭に立って、後ろを振り返り、みんなに声をかけました。
みなさん、そろって横一列に並んでいます。
「じゃ、出っ……発ーっつ……!」
と、そう言った時ー。
後ろから誰かがジョシュアを、ギュッと抱きしめたのです!
え……!
誰……?
なんと……。
コンジ先生でした!
コンジ先生がなんと、後ろからジョシュアを抱きしめているのです……。
「つかまえた……。もう、離さないよ?」
コンジ先生が後ろから耳元でささやく……。
ええ……!?
まさか?
愛の告白……!?
きゃぁああ!?
どうしましょう……!?
そして、突然の出来事にうろたえていると……。
コンジ先生がさらに、こう言ったのです!
「人狼……。捕まえた! もう逃しはしないよ?」
~続く~
※ホラーミステリー大賞、応募しています。
「続きが気になる!」
「犯人、わかった!」
「怖いけど、面白い!」
と思ったら、
作品への応援よろしくお願いいたします!
お気に入りに追加をしていただけると本当に嬉しいです(*´ω`*)b
何卒よろしくお願い致します!!
あっちゅまん
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】結界守護者の憂鬱なあやかし幻境譚 ~平凡な男子高校生、今日から結界を繕います~
御崎菟翔
キャラ文芸
【平凡な高校生 × 妖従者たちが紡ぐ、絆と成長の主従現代和風ファンタジー!】
「選ぶのはお前だ」
――そう言われても、もう引き返せない。
ごく普通の高校生・奏太(そうた)は、夏休みのある日、本家から奇妙な呼び出しを受ける。
そこで待っていたのは、人の言葉を話す蝶・汐(うしお)と、大鷲・亘(わたり)。
彼らに告げられたのは、人界と異界を隔てる結界を修復する「守り手」という、一族に伝わる秘密の役目だった。
「嫌なら断ってもいい」と言われたものの、放置すれば友人が、家族が、町が危険に晒される。
なし崩し的に役目を引き受けた奏太は、夜な夜な大鷲の背に乗り、廃校や心霊スポットへ「出勤」することに!
小生意気な妖たちに絡まれ、毒を吐く蛙と戦い、ついには異世界「妖界」での政変にまで巻き込まれていく奏太。
その過程で彼は、一族が隠し続けてきた「残酷な真実」と、従姉・結(ゆい)の悲しい運命を知ることになる――
これは、後に「秩序の神」と呼ばれる青年が、まだ「ただの人間」だった頃の、始まりの物語。
★新作『蜻蛉商会のヒトガミ様』
この物語から300年後……神様になった奏太の物語も公開中!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/174241108/158016858
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
アガルタ・クライシス ―接点―
来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。
九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。
同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。
不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。
古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。
「魔物の討伐で拾われた少年――アイト・グレイモント」
(イェイソン・マヌエル・ジーン)
ファンタジー
魔物の討伐中に見つかった黄金の瞳の少年、アイト・グレイモント。
王宮で育てられながらも、本当の冒険を求める彼は7歳で旅に出る。
風の魔法を操り、師匠と幼なじみの少女リリアと共に世界を巡る中、古代の遺跡で隠された力に触れ——。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

