流行りじゃない方の、ピンク髪のヒロインに転生しました。

文字の大きさ
9 / 39
第一章

9 ※

しおりを挟む



「転移」


 と、ルカ君が呟く。
 気がついたら、どこかの部屋に、いた。

「……ルカ君?」

 ルカ君が、頭に顔を埋める。

「良い匂いがする」
「ちょ、ちょっと待って、ここは……?」

 ルカ君を押し返し、周りを見回す。
 ベッドに、椅子に、テーブル。
 ……いつも使っている、高級ラブホテルの様な部屋だ……

「……なんで」
「ごめん、……他の男に、ミアさんを見せたくなくて」

 ……ちょっと待って、理解が追いつかない。

「髪を下ろしてるのも、眼鏡をかけてないのも、こんな綺麗なドレスを着てるのだって……、初めて見た。こんなの、他の男に見せたら、駄目だ」
「……なん、で、ん」

 頭を抱え込む様に、キスをされる。
 ルカ君の舌が入ってきて、口の中を、ぐちゃぐちゃに掻き回されてしまう。

「ん、んっ、ゃ だ、キスは、……やだ」

 顔を横に向け、無理矢理ルカ君の唇を、引き剥がす。

「……どうして?」

 ルカ君が余裕の無い声で言う。
 
「っ、だって、勘違いしてしまうから」
「……勘違い?」
「恋人みたいだな、って、」
「…………」
「私の為に、恋人のふりをしてくれて、私が聖属性だから、こういう事になってしまったけど……そんな風にされたら勘違いしそうだから、……やめて欲しい」
「………………僕にキスされるのも、触れられるのも、本当は嫌だった?」
 
「……嫌じゃないから、駄目なのっ」

 思わず感情的になって、言ってしまう。

「それは…………、僕は、ミアさんが好きだよ。小さくて、柔らかくて、簡単に壊れてしまいそうなのに、ミアさんの中に、温かくて強いものがある。……そんなミアさんが、好きなんだ」
「………………好き……私を?」
「うん。……いつも穏やかで優しいのに、人の事になると、意志が強くなるミアさんが、好きだよ」
 
 ルカ君が、花冠にそっと手で触れる。

「……ローズマリーとデイジー、ミアさんにぴったりの花言葉だ」
「……どんな意味があるんですか?」
「確か、デイジーは『平和』に『無垢』、ローズマリーが、『誠実さ』『静かな力強さ』……、『私を想って』だったかな? ……僕の願望も入ってるね」

 ルカ君に微笑んで言われ、顔が熱くなってしまう。

「……私も、ルカ君が好きです」
「……………………本当に?」

 ルカ君が呟く様に言う。

「はい。……ルカ君といる、穏やかな時間が好きです。いつも、相手に気づかせない様に、気遣ってくれる優しい所も、無邪気に笑う顔も、優しい声も、手も、全部、大好き、です」

 この気持ちが、恋なのか、愛なのか、よく分からないけれど、ルカ君が大切で、愛しい、という気持ちは、私の中にちゃんとある。

 
 ルカ君に、ぎゅっと抱きしめられる。

「キスしても良い……?」

 頷くと、顎を持たれ、ちゅっと口づけられる。唇を優しく何度も喰まれる。

「……もっと、ミアさんに触れたい」

 ひょいっと抱えられ、すたすたと歩いてベッドの上に下ろされてしまう。
 
 この部屋を何度も訪れたけれど、ベッドを使うのは初めてだった。
 靴を脱がされ、ルカ君も、もどかしそうに自分のブーツを脱ぎ捨てる。

 覆い被さる様にして、深くキスされる。

「っはぁ、んっ」

 ドレスの襟に手を入れ、コルセットの隙間から、指が差し込まれる。
 胸の先を狭い所で弄られてしまう。

「ん、ゃ、あっ」

 ドレスを肩から下ろされ、コルセットから覗く胸の膨らみが露わになり、首筋から、肩や鎖骨へと、吸いつく様にキスされる。

「んっ、あ、」

 コルセットをグッと押し下げられ、胸がふるりと揺れながら溢れ出てしまう。
 下から掬う様に揉まれ、指先で胸の頂きをきゅっと摘まれた。

「あっ」
「……ここに、セオドアも、触れた?」

 胸の先を、くにくにと指で弄りながら、ルカ君に聞かれる。

「んっ、ぁ、はい……」
「…………ミアさん、『聖蜜』が、胸以外からも、摂取出来るって知ってる?」
「え?」
「きっと、嫌がるだろうと思って、今まで言わなかったんだけど……、僕だけが、触れられる場所が欲しい」

 ドレスの裾をたくし上げられ、ルカ君の手が足を撫でる様に、中へと入ってくる。
 内腿をするりと摩られ、下着にくちゅりと触れられた。

「濡れてるね」

 ルカ君が嬉しそうに言い、下着越しに、割れ目に沿って、指を動かされる。

「やっ、ぁ、だめ」

 擦られる度に、中から何かが溢れてきて、下着を余計に濡らしてしまう。
 下着の紐を解かれ、すでにぐちゃぐちゃになってしまった下着を剥ぎ取られる。

 膝を立てられ、間を割る様に、ルカ君の顔が近づく。

「だ、だめっ」

 膝を閉じようするけれど、更に足を開かされてしまう。

「やあ、だめ、っ!」

 すりっと、粒立ったところを擦られ、身体がびくりと震える。舌の温かい感触が、中に入ってくる。

「っ、あッ、や、ぁんッ」

 浅いところを舌で舐めとられ、割れ目の周りを、そっと喰む様に吸いつかれる。

「ンッ、ぁ、それ、だめ、」

 ぷくりと膨れた小さな粒を、口に含まれ、舌先で緩く刺激される。
 とろとろと中から、溢れ出てしまったものを、ルカ君の舌で丁寧に舐められる。

「は、あッ、ンンッ」

 ビクンと、身体がしなる様に震える。

 息を吐いて、ルカ君が顔を上げた。
 身体の力が抜けてしまい、頭がぼんやりとする。
 ルカ君に、覆い被さる様に、ぎゅっと抱きしめられた。

「……ごめん。嫌だった……?」

 ぷるぷると首を振る。

「……初めての事で、びっくり、しただけ……です。あ、……ル、ルカ君、シーツを汚してしまったかも、しれません……」

 ドレスが捲れ上がり、シーツに肌が直接触れている部分が、冷たく湿っている。
  
「シーツは、このままにしておいたら、洗ってもらえるよ。ミアさんも濡れてしまったよね」
「……っ」

 恥ずかしくて、顔がとても熱くなってしまう。
 ルカ君が、濡らした布巾を持って来てくれた。

「じ、自分でします……」
「僕のせいなんだから。ミアさんはじっとしてて?」

 と、濡らした所を、丁寧に拭かれてしまう。
 色々と、恥ずかしすぎる……。
 


 乱れた服を整えていると、

「…………そのドレス、とても似合ってるね」
「このドレスは……、ディアナさんが、貸してくれたんです」
「そうだったんだね。……今度は、僕がミアさんにドレスを贈りたいな」
「……そんな高価なもの、もらえない、です」
「ミアさんに物を贈るのは、難しいのかな……」
「……だって、もらう理由がないですし……」

 ルカ君が、何か考えている顔をしているけど、さっきから気になっていた事を聞いてみる。

「あの……、ルカ君は転移魔法が使えるんですね」
「あ、さっきの、……うん、元々得意だったんだけど、使えなくなってたんだ。ミアさんのおかげで、力が安定してきて、使える様になったんだよ。何回も連続してとか、長距離の場合は、まだ無理なんだけどね」
「そうだったんですね……」
「うん。それに、夜寝られる様にもなったんだ。僕の力は、夜に強くなってしまうから、薬でも中々抑えられなくて。……でも、ミアさんのおかげで、夜も穏やかに眠れる様になった」
「……そうなんですね。良かった……」

 最近、図書館で、お昼寝する事が減っていたのは、そういうことだったんだ。

「……ミアさんには、感謝しても、しきれないんだ。だから、何かさせて欲しいと思ったんだけど……」
「自分のたまたま持ってるものが、人の為に使えるなら、それだけで嬉しいです。自己満足だけど。だから、気にしないで下さい」
「……僕だって、ミアさんが喜んでくれたら、嬉しいよ。……だから、考えとく。ミアさんに喜んでもらえそうな物」
「……じゃあ、楽しみにしておきますね」
 
 ルカ君の気持ちが嬉しくて、そう答える。

「……ご馳走様食べ損ねちゃいましたね」
「……持って来ようか?」
「自分で選びたいです」
「…………駄目、です」
「エマも心配してると思いますし、ドレスを貸して下さった、ディアナさんにも見せたいです。……戻りませんか?」
「…………分かった。ミアさん、男とは目を合わせないでね」

 ……心配性なのかな? ヤンデレにはならないで欲しい、な……。
 
「大丈夫ですよ。ルカ君は、初めての、サウィンの前夜祭でしょう? 一緒に楽しみたいです」
「……………うん、分かった」


 ルカ君が子供みたいに言うので、つい笑ってしまう。
 ルカ君の手を握り、

「行きましょう」

 と言うと、
 
「うん、行こう」

 と言って、ようやく立ち上がった。
 

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる

マチバリ
恋愛
 貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。  数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。 書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

氷の公爵さまが何故か私を追いかけてくる

アキナヌカ
恋愛
私は馬車ごと崖から転落した公爵さまを助けた、そうしたら私は公爵様に俺の嫁だと言って追われることになった。

独身皇帝は秘書を独占して溺愛したい

狭山雪菜
恋愛
ナンシー・ヤンは、ヤン侯爵家の令嬢で、行き遅れとして皇帝の専属秘書官として働いていた。 ある時、秘書長に独身の皇帝の花嫁候補を作るようにと言われ、直接令嬢と話すために舞踏会へと出ると、何故か皇帝の怒りを買ってしまい…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

敵国に嫁いだ姫騎士は王弟の愛に溶かされる

今泉 香耶
恋愛
王女エレインは隣国との戦争の最前線にいた。彼女は千人に1人が得られる「天恵」である「ガーディアン」の能力を持っていたが、戦況は劣勢。ところが、突然の休戦条約の条件により、敵国の国王の側室に望まれる。 敵国で彼女を出迎えたのは、マリエン王国王弟のアルフォンス。彼は前線で何度か彼女と戦った勇士。アルフォンスの紳士的な対応にほっとするエレインだったが、彼の兄である国王はそうではなかった。 エレインは王城に到着するとほどなく敵国の臣下たちの前で、国王に「ドレスを脱げ」と下卑たことを強要される。そんなエレインを庇おうとするアルフォンス。互いに気になっていた2人だが、王族をめぐるごたごたの末、結婚をすることになってしまい……。 敵国にたった一人で嫁ぎ、奇異の目で見られるエレインと、そんな彼女を男らしく守ろうとするアルフォンスの恋物語。

婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!

柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。

氷の魔術師(引きこもり)のはずなのに、溺愛されても困ります。

入海月子
恋愛
「もう、なんですぐ石になるのよ〜!」 没落貴族のサナリは突然、天才だけど人嫌いの魔術師シーファから世話係に指名された。面識もないのにと疑問に思うが、騙し取られた領地を取り戻すために引き受けることにする。 シーファは美形。でも、笑顔を見たことがないと言われるほどクール……なはずなのに、なぜかサナリには蕩ける笑みを見せる。 そのくせ、演習に出てくださいとお願いすると「やだ」と石(リアル)になって動かない。 なんでよ!?

乙女ゲームの世界に転移したら、推しではない王子に溺愛されています

砂月美乃
恋愛
繭(まゆ)、26歳。気がついたら、乙女ゲームのヒロイン、フェリシア(17歳)になっていた。そして横には、超絶イケメン王子のリュシアンが……。推しでもないリュシアンに、ひょんなことからベタベタにに溺愛されまくることになるお話です。 「ヒミツの恋愛遊戯」シリーズその①、リュシアン編です。 ムーンライトノベルズさんにも投稿しています。

期間限定の関係のはずでは?〜傷心旅行に来たら美形店長に溺愛されてます〜

水無月瑠璃
恋愛
長年付き合った彼氏から最悪な形で裏切られた葉月は一週間の傷心旅行に出かける。そして旅先で出会った喫茶店の店長、花村とひょんなことから親しくなり、うっかり一夜を共にしてしまう。 一夜の過ちだとこれっきりにしたい葉月だが、花村は関係の継続を提案してくる。花村に好感を抱いていた葉月は「今だけだしいっか」と流されて関係を続けることになるが…。

処理中です...