転生というキーワードを入れないとアクセスが伸びないので転生を入れてみたが実は転生ではないことがバレないかとビクビクしている魔法少女の物語。

杉山薫

文字の大きさ
36 / 38
第三部 復活の魔女 第一章 非正規探偵の受難

第5話

しおりを挟む
 肩を揺すられる感覚で僕は目が覚めた。

「ちょっと、あんたどこ行ってんのよ。探しても分からないから、リセットしたんだよ。5歳児に大人が心配かけんなよ」

「ごめん。僕もどこ、いや場所はN大学キャンパスなんだけどね。なんか今じゃないような気がするんだよ」

「はあ、今じゃないわけないでしょ。5歳児だからってバカにすんな! じゃあ、もう一度行って来い。スイッチオン!」

うわっ!
目の前のミホが消えた。

「さっさと行くよ。かおるは本当グズなんだから」

僕はメガネを掛ける。

『カオル、助けて⋯⋯』

なんか空耳が聞こえたような。

僕は製薬会社の研究室に直行する。途中、前回同様にミホが守衛さんに捕まったが僕は無視して研究室に向かう。研究室に入ると、警官がいない。警官がいない代わりにあのメガバンクでずっと座っていたオジサンがいる。他の4人は前回同様だ。

さあ、推理開始だ。

研究室の中には前回同様4人いる。

『数』

そうだ。
魔法使いの数ではなく、僕が認識した人の数が実際と違っていた?
多分、それで間違いない。

じゃあ、あと1人は……。
まさかね。
冗談はやめようよ。
実際に現実世界で殺されたオジサンを認識していたなんて。

もういいや。僕は聞き込みを開始する。まずは机に両肘をつき呆然として椅子に座っている女。

「わたし見たの?」

なんだよ。
前回と一緒だ。

念のためもう一度。

「わたし見たの?」

次に窓際で本を読んでいる男。

「エリーゼのために」

ラノベじゃなくなった。

念のためもう一度。

「エリーゼのために」

次は一番前の席で寝ている男。

「……」

念のためもう一度。

「……」

やっぱり寝ているだけだ。

次は前の出入口でドアに向かって歩いている女。

「研究室ではRPGの研究が行われていた」

RPGって、これもRPGの世界だって言ってたような。言っていなかったような。

念のためもう一度。

「研究室ではRPGの研究が行われていた」

最後にメガバンクにもいたオジサンに話掛ける。

「⋯⋯」

念のためもう一度。

「ガルがへましなければ……」

ガルって、金庫破りのガル?
このオジサンはガルの仲間?

僕は黒縁メガネに手を掛ける。

ポチッ!

この研究室での会話が走馬灯のように駆けていく。

所長を殺した犯人はわかった。
わかったけど、それだけ。

それにこれでは現実世界の殺人事件は解決できない。

人の配置は。

研究室の前方でメガバンクでずっと座っていたオジサンが警官2人に挟まれて立っている。

民間人4人はそのままの配置。

僕は聞き込みを再開する。まずは机に両肘をつき呆然として椅子に座っている女。

「女の人が時の狭間で迷子になっているのをわたし見たの」

時の狭間って?
頭がパンクする!

念のためもう一度。

「時の狭間……」

き、き、消えた!
なんだよ。
何が起こった?

仕方ない。
窓際で本を読んでいる男に話掛ける。

「魔法の種の名前」

何が?

念のためもう一度。

「魔法の種の名前」

次は一番前の席で寝ている男。

「魔法の種はもうここにはない」

念のためもう一度。

「魔法の種はもうはここにはない」

次は前の出入口でドアにぶつかりながら歩いている女。

「現実世界に帰りたい」

何言ってんだよ。

念のためもう一度。

「現実世界に帰りたい」

最後に研究室の前の方にいる3人。

メガバンクにもいたオジサンに話掛ける。

「クソッ! なんでわかったんだ」

念のためもう一度。

「クソッ! なんでわかったんだ」

警官Bに声を掛ける。

「警部、まずいですよ。証拠もないのに逮捕なんて」

マジ。
マジですか?
証拠でも捏造すんのかよ。

念のためもう一度。

「警部、まずいですよ。証拠もないのに逮捕なんて」

警官Aに話掛ける。

「さあ、名探偵。君の推理を聞こうじゃないか」

だからね。
民間人に頼るのはやめろ!

僕は黒縁メガネに手を掛ける。

ポチッ!

人の配置は?

メガバンクでずっと座っていたオジサンが警官2人に挟まれてしゃがみ込んでいる。

民間人3人はそのままの配置。

僕は聞き込みを再開する。

窓際で本を読んでいる男に話掛ける。

「時の狭間は時間の迷宮。永遠に抜け出せない」

マジ?

念のためもう一度。

「時の狭間は時間の迷宮。永遠に抜け出せない」

次は一番前の席で寝ている男。

「タイムマシーンはガルが盗んだ」

そりゃ大変。

念のためもう一度。

「タイムマシーンはガルが盗んだ」

次は前の出入口でドアにぶつかりながら歩いている女。

「ここの皆は元は現実世界の人間」

マジ?

念のためもう一度。

「教授がこの中に閉じ込めた」

ま、ま、マジですか!
教授って誰?

最後に教室の前の方にいる3人。

メガバンクにもいたオジサンに話掛ける。

「へへへ、オレは持ってねえぞ」

念のためもう一度。

「へへへ、オレは持ってねえぞ」

警官Bに声を掛ける。

「警部、こいつ持ってないですよ」

何をだよ。

念のためもう一度。

「警部、こいつ持ってないですよ」

警官Aに話掛ける。

「そうか。プレイヤーに渡したのか。じゃあ、こいつにプレイヤーの居所を吐かせればいいんだね。名探偵」

このオジサン何盗んだの?


 僕は後ろの出入口に戻る。

「ご苦労様。今回はこれで終わりね」

ミホが僕にそう言うと僕の意識は消えていった。

気がつくと自分の部屋で寝ていた。

いや、何も解決していないし、殺人事件も解決していない。

僕は黒縁メガネを握りしめた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

ざまぁされるための努力とかしたくない

こうやさい
ファンタジー
 ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。  けどなんか環境違いすぎるんだけど?  例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。  作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。  恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。  中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。  ……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

無能令嬢、『雑役係』として辺境送りされたけど、世界樹の加護を受けて規格外に成長する

タマ マコト
ファンタジー
名門エルフォルト家の長女クレアは、生まれつきの“虚弱体質”と誤解され、家族から無能扱いされ続けてきた。 社交界デビュー目前、突然「役立たず」と決めつけられ、王都で雑役係として働く名目で辺境へ追放される。 孤独と諦めを抱えたまま向かった辺境の村フィルナで、クレアは自分の体調がなぜか安定し、壊れた道具や荒れた土地が彼女の手に触れるだけで少しずつ息を吹き返す“奇妙な変化”に気づく。 そしてある夜、瘴気に満ちた森の奥から呼び寄せられるように、一人で足を踏み入れた彼女は、朽ちた“世界樹の分枝”と出会い、自分が世界樹の血を引く“末裔”であることを知る——。 追放されたはずの少女が、世界を動かす存在へ覚醒する始まりの物語。

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 最終回まで予約投稿済みです。 毎日8時・20時に更新予定です。

私の作るおにぎりが、騎士団の士気を異常に上げています(犯人は副団長)

星乃和花
恋愛
おにぎりを配っただけで、騎士団の士気が異常値になりました。 団長は警戒、監察部は呪術検査、国まで動きかけるのに――副団長だけが平然と断言。 副団長「彼女のご飯は軍事物資です」 私「えっ重い」 胃袋で落ちた策略家副団長の“最適化溺愛”に巻き込まれ、気づけば専属補給係(=婚約)寸前!? ほのぼの爆笑&甘々の騎士団ラブコメです。 (月水金21:00更新ー本編16話+後日談6話)

処理中です...