過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第6章

160話 四人の二つ名 2

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 リガス、チルと二つ名の話し声が聞こえてきて、次は……。

 俺か!? 俺なのか?!

 凄い楽しみにして噂話に耳を傾けている。

「おい! ならあそこに居るのが……」
「あぁ。恐らくアイツが居なかったらパーティが全滅していたって商人達が言ってたな……」

 三人目の話に切り替わった瞬間に周りの喧騒がより一層騒がしくなる。
 それはまるでステージにメインキャストが登場した時に起こる盛り上がりだ。

 おいおい、こんなに騒がれるって事は次は俺か?!
 しかし、現実は甘く無く次の噂の対象はロピであった……。

「おい、雷弾だぜ!」
「あれが、雷弾か……雷弾のロピ……」

 ロピの話題になった瞬間に周りにいる人達は全員ロピを注目し騒ぐ。

「まさか、雷弾まで知らないとか言わないよな?」
「いや、流石の俺でも雷弾は知っている……」
「雷弾は人間を捕食した小型を一撃で倒したらしい……」
「バケモンじゃねぇーか……」
「今や遠距離最強の座も夢じゃないと言われているからな」
「まだ最強じゃないのが驚きだぜ」
「一人、不動の遠距離最強が居るからな……、そいつの功績を超えられたら……」
「俺は断然雷弾を応援する! 剛腕同様綺麗だ!」
「あぁ。それに表情や仕草が可愛くて、またそれが美人とのギャップで最高だな……」

 なんか、ロピがメチャクチャ褒められている。

「ほっほっほ。ロピ殿大人気ですな」
「さすが私の姉さん!」
「えへへ。なんか照れるな……」
「ふむ。ですがあの一撃は騒がれる程の一撃でしたのでしょうがありませんな」
「あの技に比べたら、この喧騒は足りないくらいだと思う」
「ほっほっほ。チル様に同意ですな」
「あの技を見たら姉さんが遠距離最強なのに……悔しい……」
「雷弾とか二つ名カッコ良すぎだろ!!」

 どうやら、姉を差し置いて遠距離最強の座にいる者が妬ましいらしい。

「ふっふっふ。とうとう私にスポットライトが当たったよー!」

 ロピは喧騒のど真ん中で両手を上げて叫ぶ。
 すると、それに応える様に周りの人達も騒ぎ始め、より一層盛り上がりを見せた。

「ほっほっほ。チル様もロピ殿もどちらも人気ですな」
「リガスも、老紳士として女性から人気あるみたい」

 チルの言葉に俺はキョロキョロと辺りを見回すと確かに妙齢の女性から若い人までリガスに手を振り、目にはハートマークが浮かび上がっているんじゃないかと言わんばかりに熱い視線をリガスに送っている。

 いいな……。

 それからロピに関しての騒ぎはまだ収まらないのであった。

「どうやら、雷弾の武器が壊れてドワーフ達に武器の作成依頼をしに来たらしいが、断られたらしいぜ?」
「えぇ!? なんでだよ」
「なんか、雷弾の武器が特殊らしくて、伝統を重んじるドワーフ達が邪道とか言って門前払いされたらしい」
「ドワーフの奴らもバカだな……」
「あはは。だよなー、今慌てて雷弾に再度アタックを掛けようとしているらしい」

 喧騒の方から一人のドワーフが人を押しのけて俺達の方に来るのが見える。俺達はそのドワーフ達に見覚えがあった。

「ら、雷弾!」

 息を切らせながら人混みから現れたドワーフは、俺達が一番最初に入った店のドワーフであった。店の規模からしてこの村一番の武器職人と言われているドワーフらしい。

「昨日は悪かった、是非俺に雷弾の武器を作らせてくれ!」

 昨日の怒気の篭った態度とは一変し今は必死な表情を浮かび上がらせている。またこの騒ぎに乗じて他のドワーフ達もこぞって人混みを掻き分けながら俺達の方に向かってきた。

「おい、テメェ抜け駆けしてんじゃねぇーよ!」
「そうだ。雷弾、是非俺に武器を作らせてくれ」

 そこからは、次々とドワーフがロピに向かって武器を作らせてくれと懇願しに来た。

「ほっほっほ。これでは昨日と逆ですな」
「うん。今頃姉さんの凄さに気付いても遅い」

 ロピの方を見ると顔がだらしなく緩んでいるのが見える。本人もここまで騒がれたりするとは思わなかったんだろう。
 チルの場合は恥ずかしがっていたが、どうやらロピの方はこの状況を楽しめているらしい。

「雷弾、俺の所で作らせてくれたら代金はイラネェ!」
「お、俺もだ! 更に材料は最高級のを使用するぜ」
「こっちは、装飾も豪華に出来るぜ!」
「まてまて、俺の所なら防具も特注で作るぜ?」
「それなら、こっちは装備一式をオーダーメイドにしてやるぜ!」

 ロピを囲む様にドワーフ達は自分自身をアピールする。
 そして、ロピは調子に乗る。

「フハハ、私の武器を作るには相応の覚悟が必要だよ!」
「も、勿論だ!」
「俺にもその覚悟はあるぜ」

 ロピの奴やりたい放題だな……。
 でも、いいな……。

「ほっほっほ。ロピ殿は絶好調ですな」
「正当な評価だと思う! 姉さんは凄い!」

 そして、ドワーフ達が騒いでいる間に、次はとうとう俺に視線が集まる。

 き、緊張して来たぜ。俺の皆んなみたいにカッコいい二つ名がいいな。

 そして一人の獣人が俺を見る。

「おい、アイツは何をしたんだ?」

 来た!

「ん? あぁアイツか」

 もう一人の獣人が俺の方を見て言う。

「アイツはよくわかんない奴だ」

 ……ん? なんかの聞き間違いか?

 俺の隣に居たチルは、顔から冷や汗を滴らせながら横目で俺を盗み見ている。

「アイツは戦闘中何をしていたか、よく分からなかったらしい」
「へー。きっと何もやってなかったんだろ!」
「いや、それが商人達はこぞってアイツが居たから勝てたとも言ってたぞ?」
「なんだそりゃ? よくわかんない奴だな」
「そうなんだよ、アイツはよくわからない奴なんだよ」

 ……ひどい……あんまりだ!
 ピタ達商人共! どんな説明しやがった!?

 鉄壁のリガス、剛腕のチル、雷弾のロピ、そしてよくわからない奴……。

 俺だけカッコ悪すぎだろ……

 かっこいい二つ名を期待していた為、地面に膝を突いて落ち込んだ……。

「ア、アトス様! アイツらはアトス様の良さが分かっていない愚か者達です!」

 かなり焦っている様子でチルが俺を慰めてくれる。

「ほっほっほ。アトス様は面白いですな」
「リガス! 空気読んで!」

 チルは落ち込んでいる俺に大丈夫ですよ! アトス様の良さは私が分かっていますので! あんな奴ら気にしないで平気です! などずっと慰めてくれていた。

 なんて優しいんだ……。

 そして俺が落ち込んでいる傍らでロピは高笑いしながらドワーフ達と話していた……。

 
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