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第8章
271話 ラシェン王 2
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「皆の者、本日は良く集まった。今回集まって貰った理由はある事を皆に伝えたくてな──」
ラシェン王の左右には立派な装飾の服を着た者達がおり、一人は白のロングマントを来た総隊長である、グンドウであった。
そしてもう一人は……
「おい、マーズよ──グンドウ殿の隣に立っている女性は誰だ?」
「あれが遠距離最強と呼ばれている炎弾のヘラデス殿です」
マーズの説明にリンクスは何度も首を動かす。
「あれが良く噂に聞く炎弾か──美しい……」
そう、リンクスが言うように炎弾のヘラデスは美しいのだ。自分の強さによる自信の現れなのか真っ赤な瞳は釣り上がっており、更に口角は常に上に向いている。正に自分が最強と態度で示している様な女性である。
髪は真っ赤なロングヘアーであり、女性にしたら珍しく身長も高く隣で立っているグンドウと同じくらいに見える。そして、グンドウ同様ヘラデスも真っ赤なロングコートを身につけており、ラシェン王の少し後ろの位置で手を組みながら不敵に笑っている。
「マーズよ──ヘラデス殿とお近づきになるにはどうすればいい……?」
既にリンクスは一目惚れしたのか、ヘラデスを見る目はハートになっている。
「まずは功績を残さないと話をする事すら無理です」
マーズの言葉にリンクスは途端に表情を歪める。
「クソ……ドワーフの村で功績が残せていたら……」
リンクス自身は助かったが、その代わり金品になる物は全て冒険者達に奪われてしまったのだ。
──命が助かっただけでもリンクスの場合は運がいいんですけどね……
どうやら、リンクスは何も分かって無い様である。
「皆の者、近々我々は他の種族を奴隷にするか滅ぼそうと思う!」
ラシェン王の言葉にマーズは驚いた表情を浮かべるが、他の者達は反応が違った。
「おぉ……ラシェン王よ──ついに、ついに我ら人間族がこの世を制する時が来たのですね!」
「ラシェン王が本気を出したぞ!」
「はは、血が滾りますな!」
どうやら他の者達は、むしろこの事を待ち望んでいた様である。
「はは、遂にか──あのドワーフの村に居た奴らをこれで殺せるな」
リンクス自身も楽しみにしていた様で笑いながらブツブツと呟いて居た。
──な、なんて事だ……早くアトスさん達に伝えないと……
マーズだけは、他の者達と違って焦っている様である。
どうやらマーズ本人は既に人間族など、どうでも良い様でスパイ的な感じで情報をアトス達に渡そうと思っている様だ。
「そこで、これから各隊長から皆に話があるので聞く様に!」
そう言うとラシェン王は王座に座り込み左右に居たグンドウとヘラデスに話す様に促す。
「私から話そう」
「はは、私は後でいいぜ」
どうやら話が決まった様で、まずは白のロングマントを着たグンドウが前に出て話始める。
「近接部隊隊長であり部隊全体の総隊長をしているグンドウだ」
大きな声で、威厳の篭った声と周りを畏怖させる威厳さは、ラシェン王より余程王に見える。
「これから決戦までの期間、我々人間族が頂点に立つ為の大切な準備時間になる」
皆が大きく頷く。
「諸君らは戦場で私と一緒に戦闘をする者は少ないだろう。そして戦闘において戦力にならないのも知っている──だが、諸君らの武器は単純な戦闘力では無い事も理解している!」
グンドウはこういう場に慣れているのか声の強弱を上手く利用しながら周りに向かって話している。
「だからこそ! 諸君らが一番輝ける戦場と言うのが、この準備期間だと言う事を忘れないで貰いたい! 手を抜く事は許さん。しっかりと見ているからズルをしようとは思うな──しかし、手を尽くした者達もしっかりと見ているので、そういう奴らには私から褒美をやろう」
グンドウの言葉に話を聞いていた者達は盛り上がりを見せる。
「流石、グンドウ殿だ!」
「我々にお任せあれ! 最高の戦場を用意して見せましょう」
「私達の家系が一番な所をラシェン王とグンドウ殿に認めて貰う為精一杯頑張りますぞ!」
周りの偉い人間達はやる気が漲っている様で戦いの準備によるモチベーションが向上した様だ──そして、その中にはガバイも混じっており興奮した様子に見える。
どうやら、ここに居る人間達は既にこの時から戦いは始まった様だ。
グンドウが後ろに下がると続いて、真っ赤に輝く髪と目──そして赤のロングマントを揺らして、堂々と前に出る、ヘラデス。
「お前ら、私は常に最強でありたい」
ニヤリと口角を上げて笑う。
「私より強い奴がいる事が気に食わないが──まぁ、中にはとんでもないバケモン達がいるわな」
少し詰まらなそうな表情をしながら、グンドウの方を見る。
「だがよ! こと、遠距離だけに関しては私は誰にも負けない自信があるぜ?」
再び、笑い周りを見る。
「まぁ、戦争に勝つ事に越した事はねぇーわな。私は負けるのが大っ嫌いだからよ──だけど私の今回の一番の目的は遠距離最強の名を揺るぎないものにしたい」
周りで聞いている者達は、炎弾のヘラデスが何を言っているのか分からなかった……
ラシェン王の左右には立派な装飾の服を着た者達がおり、一人は白のロングマントを来た総隊長である、グンドウであった。
そしてもう一人は……
「おい、マーズよ──グンドウ殿の隣に立っている女性は誰だ?」
「あれが遠距離最強と呼ばれている炎弾のヘラデス殿です」
マーズの説明にリンクスは何度も首を動かす。
「あれが良く噂に聞く炎弾か──美しい……」
そう、リンクスが言うように炎弾のヘラデスは美しいのだ。自分の強さによる自信の現れなのか真っ赤な瞳は釣り上がっており、更に口角は常に上に向いている。正に自分が最強と態度で示している様な女性である。
髪は真っ赤なロングヘアーであり、女性にしたら珍しく身長も高く隣で立っているグンドウと同じくらいに見える。そして、グンドウ同様ヘラデスも真っ赤なロングコートを身につけており、ラシェン王の少し後ろの位置で手を組みながら不敵に笑っている。
「マーズよ──ヘラデス殿とお近づきになるにはどうすればいい……?」
既にリンクスは一目惚れしたのか、ヘラデスを見る目はハートになっている。
「まずは功績を残さないと話をする事すら無理です」
マーズの言葉にリンクスは途端に表情を歪める。
「クソ……ドワーフの村で功績が残せていたら……」
リンクス自身は助かったが、その代わり金品になる物は全て冒険者達に奪われてしまったのだ。
──命が助かっただけでもリンクスの場合は運がいいんですけどね……
どうやら、リンクスは何も分かって無い様である。
「皆の者、近々我々は他の種族を奴隷にするか滅ぼそうと思う!」
ラシェン王の言葉にマーズは驚いた表情を浮かべるが、他の者達は反応が違った。
「おぉ……ラシェン王よ──ついに、ついに我ら人間族がこの世を制する時が来たのですね!」
「ラシェン王が本気を出したぞ!」
「はは、血が滾りますな!」
どうやら他の者達は、むしろこの事を待ち望んでいた様である。
「はは、遂にか──あのドワーフの村に居た奴らをこれで殺せるな」
リンクス自身も楽しみにしていた様で笑いながらブツブツと呟いて居た。
──な、なんて事だ……早くアトスさん達に伝えないと……
マーズだけは、他の者達と違って焦っている様である。
どうやらマーズ本人は既に人間族など、どうでも良い様でスパイ的な感じで情報をアトス達に渡そうと思っている様だ。
「そこで、これから各隊長から皆に話があるので聞く様に!」
そう言うとラシェン王は王座に座り込み左右に居たグンドウとヘラデスに話す様に促す。
「私から話そう」
「はは、私は後でいいぜ」
どうやら話が決まった様で、まずは白のロングマントを着たグンドウが前に出て話始める。
「近接部隊隊長であり部隊全体の総隊長をしているグンドウだ」
大きな声で、威厳の篭った声と周りを畏怖させる威厳さは、ラシェン王より余程王に見える。
「これから決戦までの期間、我々人間族が頂点に立つ為の大切な準備時間になる」
皆が大きく頷く。
「諸君らは戦場で私と一緒に戦闘をする者は少ないだろう。そして戦闘において戦力にならないのも知っている──だが、諸君らの武器は単純な戦闘力では無い事も理解している!」
グンドウはこういう場に慣れているのか声の強弱を上手く利用しながら周りに向かって話している。
「だからこそ! 諸君らが一番輝ける戦場と言うのが、この準備期間だと言う事を忘れないで貰いたい! 手を抜く事は許さん。しっかりと見ているからズルをしようとは思うな──しかし、手を尽くした者達もしっかりと見ているので、そういう奴らには私から褒美をやろう」
グンドウの言葉に話を聞いていた者達は盛り上がりを見せる。
「流石、グンドウ殿だ!」
「我々にお任せあれ! 最高の戦場を用意して見せましょう」
「私達の家系が一番な所をラシェン王とグンドウ殿に認めて貰う為精一杯頑張りますぞ!」
周りの偉い人間達はやる気が漲っている様で戦いの準備によるモチベーションが向上した様だ──そして、その中にはガバイも混じっており興奮した様子に見える。
どうやら、ここに居る人間達は既にこの時から戦いは始まった様だ。
グンドウが後ろに下がると続いて、真っ赤に輝く髪と目──そして赤のロングマントを揺らして、堂々と前に出る、ヘラデス。
「お前ら、私は常に最強でありたい」
ニヤリと口角を上げて笑う。
「私より強い奴がいる事が気に食わないが──まぁ、中にはとんでもないバケモン達がいるわな」
少し詰まらなそうな表情をしながら、グンドウの方を見る。
「だがよ! こと、遠距離だけに関しては私は誰にも負けない自信があるぜ?」
再び、笑い周りを見る。
「まぁ、戦争に勝つ事に越した事はねぇーわな。私は負けるのが大っ嫌いだからよ──だけど私の今回の一番の目的は遠距離最強の名を揺るぎないものにしたい」
周りで聞いている者達は、炎弾のヘラデスが何を言っているのか分からなかった……
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