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第8章
302話 隻腕の噂
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「な、なんでキルさんは、人間族なんかに頭を下げているんだ……?」
目の前の光景が信じられ無いのかドワーフ達が騒ぎ始める。
そしてエルフ達も少なからず動揺した様子だ。
「お、おい──早く頭上げろよ!」
俺は慌てて二人の顔を上げさせる。
それから、シャレが再びステージから呼び掛ける。
「これで、私が本気なのが分かってくれたと思う──確かに人間族は憎いが例外もいる。その例外がここにいるアトスだ」
続いてキルも話す。
「ワシも同じ意見だ。アトス見たいな良い人間も少なからずいる事を最近学ばさせて貰った──それに、この戦いはタダでさえワシらが不利だ。だがアトスの力があれば勝てる見込みがかなり上がる!」
キルの言葉を聞いて、胡散臭さそうな目線を向けてくる。
「アイツ強いのか?」
「大した事無いだろう、片腕失っているしよ」
そんな声が聞こえるが、別の場所からは俺を認める様な声も上がる。
「お前らはバカだな──あそこに居るアトスが居たから前回俺達は村に戻る事が出来たんだぜ?」
「そうさ──それにお前らドワーフの村での噂を知らねぇーのか?」
噂……?
何やら、ドワーフ達がニヤリと笑っていた。
よく見ると、俺を擁護してくれているドワーフ達は前回一緒に戦った者達だ。
「噂ってなんだよ?!」
「ふふ、お前達も最近、一度は聞いた事があるんじゃないか? ──隻腕のアトスの噂を」
隻腕?
俺は分からず頭を傾げていたが、他のドワーフ達は違った。
「え……? 村で噂になっていた隻腕ってアイツの事なのか……?」
「あぁ、そうだ。あの人間族こそが俺達ドワーフをモンスターから守ってくれた隻腕のアトスだ」
ドワーフの一人が周りに聞こえる様に大声で宣言すると、他のドワーフ達が一斉に俺の方に向き始めた──それも先程の様な侮蔑する様な表情では無く単純に驚いた様子に見える。
「ど、どうなっているんだ?」
状況が飲み込め無い俺に対して、隣に居るキルが笑いながら説明してくれる。
「はははは、実はな」
キルの話を聞くと、どうやら以前俺達が二つ名を付けられた時と同じく、村に帰って来たドワーフやフィール達人間族が俺の事を村中で噂した様で、今ではドワーフの村にいる者なら誰も知らない奴は居ないくらいに有名になった様だ……俺が……
「あはは、お兄さん良かったね──なんかカッコイイ呼び名だよ!」
ロピの声に俺は頷く。
「あ、あぁ! マジで良かったぜ! ──何か良く分からない奴、みたいな呼ばれ方はもう嫌だ!」
隻腕とか、めちゃくちゃカッコいいな、おい!
俺が喜んでいると、キルがドワーフ達に問い掛ける。
「どうだ、お前ら! 隻腕の噂は既に知らねぇー奴はいないと思うが、あの噂は全て事実だぜ? ──そんな隻腕がココに居て俺達に協力してくれるって言ってくれているんだ、拒否する理由がねぇーよな?」
キルの言葉に先程とは真逆の答えがドワーフ達から返って来る。
「おう! 俺は隻腕のお陰であの戦いを生き抜けたんだよ!」
「俺もだ!」
「隻腕が居れば人間族相手にするのなんて余裕だぜ!」
前回一緒に戦ったドワーフ達がまずは俺の協力に同意してくれる。
「お、俺は隻腕のお陰で親が戻ってきた、是非一緒に戦って欲しい!」
「噂を聞いてから、ずっと憧れていたんだ、俺はキルさんの考えに賛成だぜ!」
そして、他のドワーフ達までもが協力する事を認め始めた。
「よし、お前ら──俺達ドワーフ族は隻腕の協力に賛成って事で良いんだよな?!」
不敵な笑みを同胞に向けるキルにドワーフ族全員が声を合わす。
「「「「「「「おう!!」」」」」」」
こうして、いつの間にかドワーフ達は俺の事を認めていた。
そして、先程とは明らかに違う目付きになっており、尊敬の眼差しを感じる時さえある。
「ほっほっほ。流石アトス殿ですな──知らない所で、こんなにも噂になっているなんて」
リガスは愉快そうに笑う。
「このドワーフ達、見所がある……」
何やら少し怖い事を言いながらチルは首を縦に頷きドワーフ達を見回す。
ドワーフ達が賛成した後に、エルフ達も嫌々ながら一緒に戦う事を承知した──しかし、ドワーフ達みたいに心から認めた訳では無く俺を見る視線は未だ変わらず侮蔑する様に見てくる。
後の細かい所や今後の動きに対しては両族の代表達が集まって会議すると言う事になり解散する。
そして、シャレはかなり落ち込んだ様子で俺に近付き謝って来る。
「アトス、すまない……」
「いや、気にするな──それに戦う事は認めたんだろ?」
「あぁ──其処だけは押し通させて貰った」
「なら、良いじゃないか」
俺は、気を使う様にシャレに微笑む。
その後、俺達は再びフィール達に会いに行って色々話すが、結局エルフの村に入る事は認められ無かった様で一度ドワーフの村に帰る事にした様だ。
「さて、協力する事も決まったし俺もやる事やらないとな……」
俺は前々からある事を考えていたので、それを実行しようと動き出す……
目の前の光景が信じられ無いのかドワーフ達が騒ぎ始める。
そしてエルフ達も少なからず動揺した様子だ。
「お、おい──早く頭上げろよ!」
俺は慌てて二人の顔を上げさせる。
それから、シャレが再びステージから呼び掛ける。
「これで、私が本気なのが分かってくれたと思う──確かに人間族は憎いが例外もいる。その例外がここにいるアトスだ」
続いてキルも話す。
「ワシも同じ意見だ。アトス見たいな良い人間も少なからずいる事を最近学ばさせて貰った──それに、この戦いはタダでさえワシらが不利だ。だがアトスの力があれば勝てる見込みがかなり上がる!」
キルの言葉を聞いて、胡散臭さそうな目線を向けてくる。
「アイツ強いのか?」
「大した事無いだろう、片腕失っているしよ」
そんな声が聞こえるが、別の場所からは俺を認める様な声も上がる。
「お前らはバカだな──あそこに居るアトスが居たから前回俺達は村に戻る事が出来たんだぜ?」
「そうさ──それにお前らドワーフの村での噂を知らねぇーのか?」
噂……?
何やら、ドワーフ達がニヤリと笑っていた。
よく見ると、俺を擁護してくれているドワーフ達は前回一緒に戦った者達だ。
「噂ってなんだよ?!」
「ふふ、お前達も最近、一度は聞いた事があるんじゃないか? ──隻腕のアトスの噂を」
隻腕?
俺は分からず頭を傾げていたが、他のドワーフ達は違った。
「え……? 村で噂になっていた隻腕ってアイツの事なのか……?」
「あぁ、そうだ。あの人間族こそが俺達ドワーフをモンスターから守ってくれた隻腕のアトスだ」
ドワーフの一人が周りに聞こえる様に大声で宣言すると、他のドワーフ達が一斉に俺の方に向き始めた──それも先程の様な侮蔑する様な表情では無く単純に驚いた様子に見える。
「ど、どうなっているんだ?」
状況が飲み込め無い俺に対して、隣に居るキルが笑いながら説明してくれる。
「はははは、実はな」
キルの話を聞くと、どうやら以前俺達が二つ名を付けられた時と同じく、村に帰って来たドワーフやフィール達人間族が俺の事を村中で噂した様で、今ではドワーフの村にいる者なら誰も知らない奴は居ないくらいに有名になった様だ……俺が……
「あはは、お兄さん良かったね──なんかカッコイイ呼び名だよ!」
ロピの声に俺は頷く。
「あ、あぁ! マジで良かったぜ! ──何か良く分からない奴、みたいな呼ばれ方はもう嫌だ!」
隻腕とか、めちゃくちゃカッコいいな、おい!
俺が喜んでいると、キルがドワーフ達に問い掛ける。
「どうだ、お前ら! 隻腕の噂は既に知らねぇー奴はいないと思うが、あの噂は全て事実だぜ? ──そんな隻腕がココに居て俺達に協力してくれるって言ってくれているんだ、拒否する理由がねぇーよな?」
キルの言葉に先程とは真逆の答えがドワーフ達から返って来る。
「おう! 俺は隻腕のお陰であの戦いを生き抜けたんだよ!」
「俺もだ!」
「隻腕が居れば人間族相手にするのなんて余裕だぜ!」
前回一緒に戦ったドワーフ達がまずは俺の協力に同意してくれる。
「お、俺は隻腕のお陰で親が戻ってきた、是非一緒に戦って欲しい!」
「噂を聞いてから、ずっと憧れていたんだ、俺はキルさんの考えに賛成だぜ!」
そして、他のドワーフ達までもが協力する事を認め始めた。
「よし、お前ら──俺達ドワーフ族は隻腕の協力に賛成って事で良いんだよな?!」
不敵な笑みを同胞に向けるキルにドワーフ族全員が声を合わす。
「「「「「「「おう!!」」」」」」」
こうして、いつの間にかドワーフ達は俺の事を認めていた。
そして、先程とは明らかに違う目付きになっており、尊敬の眼差しを感じる時さえある。
「ほっほっほ。流石アトス殿ですな──知らない所で、こんなにも噂になっているなんて」
リガスは愉快そうに笑う。
「このドワーフ達、見所がある……」
何やら少し怖い事を言いながらチルは首を縦に頷きドワーフ達を見回す。
ドワーフ達が賛成した後に、エルフ達も嫌々ながら一緒に戦う事を承知した──しかし、ドワーフ達みたいに心から認めた訳では無く俺を見る視線は未だ変わらず侮蔑する様に見てくる。
後の細かい所や今後の動きに対しては両族の代表達が集まって会議すると言う事になり解散する。
そして、シャレはかなり落ち込んだ様子で俺に近付き謝って来る。
「アトス、すまない……」
「いや、気にするな──それに戦う事は認めたんだろ?」
「あぁ──其処だけは押し通させて貰った」
「なら、良いじゃないか」
俺は、気を使う様にシャレに微笑む。
その後、俺達は再びフィール達に会いに行って色々話すが、結局エルフの村に入る事は認められ無かった様で一度ドワーフの村に帰る事にした様だ。
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