351 / 492
第8章
350話
しおりを挟む
「へへ、敵が逃げて行くぞー!」
周りを確認すると、次々とエルフの村から人間族、オーガ族、ゴブリン族が逃げて行く様子が見える。
「がはは、おい──お前のお陰だぜ?」
「いてーよッ」
敵が武器を投げ捨てて逃げて行く様を見てドワーフが笑いながら俺の背中をバシバシと叩いてくる。
「ほっほっほ。確かに、この光景は爽快ですな」
俺を守る為に、この場に残ったリガスも退却する様子を見て笑顔であった。
「リガス、ここはもう大丈夫そうだから、ロピとチルの方を助けに行ってくれ」
先程から、爆音が聞こえなくなった為、ロピと炎弾の戦いがどうなったか、気になってしょうがない!
「ふむ。恐らく、もう大丈夫でしょう」
「何言って──」
その時、背後からいきなり衝撃を受ける。
「──ッ!?」
「お兄さん、ただいま!」
「アトス様、戻りました」
後ろを向くと、服のあちこちが焦げているロピとチルが居た。
「ふ、二人共無事か?!」
「あはは、お兄さん心配し過ぎだよー! 私は大丈夫」
「私も問題ありません」
「そ、そうか……良かった」
二人の無事を確認出来、俺は安堵のため息を吐いた。
「それにしても心配したぞ。ロピなんて、あの炎弾を一人で相手してたんだからな……」
「あはは、あの頭がおかしい人は、私が追い出したよ!」
ロピは両腕を上げて力こぶを見せる様なポーズを取る。
「あの、おかしい人とは、もう会いたくない!」
何かあったのか、不満タラタラな表情で愚痴るロピの頭を俺は優しく撫でてあげる。
「はは、でもよく頑張ったな……」
「……うん……でも、御免なさい……」
「ん? なんで謝るんだ?」
「──だって、あの頭おかしい人はお兄さんの事を……」
「俺?」
何かを話そうとして口を開けるロピであったが、結局口を閉じて、目を閉じるのであった。
「ふふ、なんでもなーい!」
「はは、なんだそれ」
「お兄さんは、そのまま私の頭を撫でてればいいよー。チルちゃんもこっちおいでー!」
ロピに引っ張られたチルは姉の隣に移動する。
「はは、チルもか?」
「……」
俺の問いに、チルは顔を真っ赤にして慌てて、口を開く。
「い、いえ。今回私は何も出来なかったので、アトス様にその様な事をして頂く訳には」
「あはは、チルちゃん何言っているのー? 遠慮する必要ないよ!」
「チルもよく頑張ったな」
片腕が無い為、俺はロピの頭から手を離して、隣のチルを撫でる。
「幸せです……」
「お兄さーん、わーたーしーもー!」
「はいはい」
俺は順番ずつ、二人を撫でる事で、感謝の意を表す。
「あはは、チルちゃんも幸せだねー」
「うん、極上の一時……」
「ほっほっほ。アトス殿、是非私もお願いします」
「「「え?」」」
リガスまでもが、頭を撫でて貰いたい様で撫でやすい様に少ししゃがむ。
「い、いや……流石にリガスは冗談だろ?」
「そうだよー! 魔族さんはダメー!」
「ほっほっほ。これは手厳しいですな」
「でも、リガスも頑張ったから、私が撫でてあげる」
チルは、俺の様に優しくリガスの頭を撫でてあげている。
「ほっほっほ。チル様、最高です」
リガスは普段、見せない様な表情を浮かべて、喜んでいる。
「あはは、魔族さんも私達と同じだねー!」
「みんな一緒」
「ふむ。これは毎日でも良いですな」
「それはダメ。いい事した時だけ」
「ほっほっほ。それでは頑張らないとですな」
「私もアトス様に褒めて貰う為に頑張る」
「私も、私もー!」
俺は、三人の様子を見て微笑む。
この戦いで少なからず仲間達が死んだ。
誰が犠牲になっても良い訳では無いが、やはり身近な者が死ななくて本当に良かった。
そんな事を考えていると、次々と仲間達が集まって来た。
「アトス達も無事だったか」
シャレとトラク、ニネット達が近付いて来る。
「アトスよ、サポート助かったぞ!」
「あれは、本当にあの人間族がやったのか……?」
ギルとニルトン達も万全では無いが、命に支障は無い様だ。
「さすがに、敵は全員退却していったか……?」
俺の問いにシャレが答えてくれる。
「あぁ、部下達の報告では村内には、既に敵が居ないらしい」
「ふぅ……なら、もういいな」
俺は、円陣を解除した。
すると、今まで地面に張り付いていた青く光る円陣が掻き消えて、動く事が出来る様になった。
ふぅ……やはり、動けなかった理由はスキルの影響だったか。
すると、シャレが独り言の様に呟いた。
「この光はやはりアトスのスキルだったんだな……」
「ははは、アトスのお陰で俺は助かったぜ! サポートが無ければ今頃ゴブリンにやられてたからな」
「私もだ、アトスのサポートが無ければ、私も、トラクもニネットも今頃どうなっていたか」
二人を見ると、ギルとシャレはボロボロである。
いや、目の前の二人以外も──この戦闘に参加した殆ど者達が満身創痍である。
「今回はアトスのお陰でどうにかなったが、敵は戦力の半分も投入していなかったな……」
シャレが攻めて来た人数を思い出しながら呟く。
「えー?! あの人数より更に多いのー?」
「あぁ、向こうからしたら、まだ序の口だろ」
「な、なら、これからどうするのー?」
ロピの言葉に、全員が考える。
「ほっほっほ。確かにやる事は、まだまだありますが、とりあえず今日は休みませんかな?」
リガスの言う通り、休んだ方がいいな……このままでは、皆んな倒れるまで働きそうだ。
こうして、少なくない犠牲者を出しながらも、俺達は炎弾率いる軍隊との戦いに勝利する事が出来た……
周りを確認すると、次々とエルフの村から人間族、オーガ族、ゴブリン族が逃げて行く様子が見える。
「がはは、おい──お前のお陰だぜ?」
「いてーよッ」
敵が武器を投げ捨てて逃げて行く様を見てドワーフが笑いながら俺の背中をバシバシと叩いてくる。
「ほっほっほ。確かに、この光景は爽快ですな」
俺を守る為に、この場に残ったリガスも退却する様子を見て笑顔であった。
「リガス、ここはもう大丈夫そうだから、ロピとチルの方を助けに行ってくれ」
先程から、爆音が聞こえなくなった為、ロピと炎弾の戦いがどうなったか、気になってしょうがない!
「ふむ。恐らく、もう大丈夫でしょう」
「何言って──」
その時、背後からいきなり衝撃を受ける。
「──ッ!?」
「お兄さん、ただいま!」
「アトス様、戻りました」
後ろを向くと、服のあちこちが焦げているロピとチルが居た。
「ふ、二人共無事か?!」
「あはは、お兄さん心配し過ぎだよー! 私は大丈夫」
「私も問題ありません」
「そ、そうか……良かった」
二人の無事を確認出来、俺は安堵のため息を吐いた。
「それにしても心配したぞ。ロピなんて、あの炎弾を一人で相手してたんだからな……」
「あはは、あの頭がおかしい人は、私が追い出したよ!」
ロピは両腕を上げて力こぶを見せる様なポーズを取る。
「あの、おかしい人とは、もう会いたくない!」
何かあったのか、不満タラタラな表情で愚痴るロピの頭を俺は優しく撫でてあげる。
「はは、でもよく頑張ったな……」
「……うん……でも、御免なさい……」
「ん? なんで謝るんだ?」
「──だって、あの頭おかしい人はお兄さんの事を……」
「俺?」
何かを話そうとして口を開けるロピであったが、結局口を閉じて、目を閉じるのであった。
「ふふ、なんでもなーい!」
「はは、なんだそれ」
「お兄さんは、そのまま私の頭を撫でてればいいよー。チルちゃんもこっちおいでー!」
ロピに引っ張られたチルは姉の隣に移動する。
「はは、チルもか?」
「……」
俺の問いに、チルは顔を真っ赤にして慌てて、口を開く。
「い、いえ。今回私は何も出来なかったので、アトス様にその様な事をして頂く訳には」
「あはは、チルちゃん何言っているのー? 遠慮する必要ないよ!」
「チルもよく頑張ったな」
片腕が無い為、俺はロピの頭から手を離して、隣のチルを撫でる。
「幸せです……」
「お兄さーん、わーたーしーもー!」
「はいはい」
俺は順番ずつ、二人を撫でる事で、感謝の意を表す。
「あはは、チルちゃんも幸せだねー」
「うん、極上の一時……」
「ほっほっほ。アトス殿、是非私もお願いします」
「「「え?」」」
リガスまでもが、頭を撫でて貰いたい様で撫でやすい様に少ししゃがむ。
「い、いや……流石にリガスは冗談だろ?」
「そうだよー! 魔族さんはダメー!」
「ほっほっほ。これは手厳しいですな」
「でも、リガスも頑張ったから、私が撫でてあげる」
チルは、俺の様に優しくリガスの頭を撫でてあげている。
「ほっほっほ。チル様、最高です」
リガスは普段、見せない様な表情を浮かべて、喜んでいる。
「あはは、魔族さんも私達と同じだねー!」
「みんな一緒」
「ふむ。これは毎日でも良いですな」
「それはダメ。いい事した時だけ」
「ほっほっほ。それでは頑張らないとですな」
「私もアトス様に褒めて貰う為に頑張る」
「私も、私もー!」
俺は、三人の様子を見て微笑む。
この戦いで少なからず仲間達が死んだ。
誰が犠牲になっても良い訳では無いが、やはり身近な者が死ななくて本当に良かった。
そんな事を考えていると、次々と仲間達が集まって来た。
「アトス達も無事だったか」
シャレとトラク、ニネット達が近付いて来る。
「アトスよ、サポート助かったぞ!」
「あれは、本当にあの人間族がやったのか……?」
ギルとニルトン達も万全では無いが、命に支障は無い様だ。
「さすがに、敵は全員退却していったか……?」
俺の問いにシャレが答えてくれる。
「あぁ、部下達の報告では村内には、既に敵が居ないらしい」
「ふぅ……なら、もういいな」
俺は、円陣を解除した。
すると、今まで地面に張り付いていた青く光る円陣が掻き消えて、動く事が出来る様になった。
ふぅ……やはり、動けなかった理由はスキルの影響だったか。
すると、シャレが独り言の様に呟いた。
「この光はやはりアトスのスキルだったんだな……」
「ははは、アトスのお陰で俺は助かったぜ! サポートが無ければ今頃ゴブリンにやられてたからな」
「私もだ、アトスのサポートが無ければ、私も、トラクもニネットも今頃どうなっていたか」
二人を見ると、ギルとシャレはボロボロである。
いや、目の前の二人以外も──この戦闘に参加した殆ど者達が満身創痍である。
「今回はアトスのお陰でどうにかなったが、敵は戦力の半分も投入していなかったな……」
シャレが攻めて来た人数を思い出しながら呟く。
「えー?! あの人数より更に多いのー?」
「あぁ、向こうからしたら、まだ序の口だろ」
「な、なら、これからどうするのー?」
ロピの言葉に、全員が考える。
「ほっほっほ。確かにやる事は、まだまだありますが、とりあえず今日は休みませんかな?」
リガスの言う通り、休んだ方がいいな……このままでは、皆んな倒れるまで働きそうだ。
こうして、少なくない犠牲者を出しながらも、俺達は炎弾率いる軍隊との戦いに勝利する事が出来た……
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。
薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜
仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。
森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。
その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。
これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語
今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ!
競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。
まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる