過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第8章

350話

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「へへ、敵が逃げて行くぞー!」

 周りを確認すると、次々とエルフの村から人間族、オーガ族、ゴブリン族が逃げて行く様子が見える。

「がはは、おい──お前のお陰だぜ?」
「いてーよッ」

 敵が武器を投げ捨てて逃げて行く様を見てドワーフが笑いながら俺の背中をバシバシと叩いてくる。

「ほっほっほ。確かに、この光景は爽快ですな」

 俺を守る為に、この場に残ったリガスも退却する様子を見て笑顔であった。

「リガス、ここはもう大丈夫そうだから、ロピとチルの方を助けに行ってくれ」

 先程から、爆音が聞こえなくなった為、ロピと炎弾の戦いがどうなったか、気になってしょうがない!

「ふむ。恐らく、もう大丈夫でしょう」
「何言って──」

 その時、背後からいきなり衝撃を受ける。

「──ッ!?」
「お兄さん、ただいま!」
「アトス様、戻りました」

 後ろを向くと、服のあちこちが焦げているロピとチルが居た。

「ふ、二人共無事か?!」
「あはは、お兄さん心配し過ぎだよー! 私は大丈夫」
「私も問題ありません」
「そ、そうか……良かった」
 
 二人の無事を確認出来、俺は安堵のため息を吐いた。

「それにしても心配したぞ。ロピなんて、あの炎弾を一人で相手してたんだからな……」
「あはは、あの頭がおかしい人は、私が追い出したよ!」

 ロピは両腕を上げて力こぶを見せる様なポーズを取る。

「あの、おかしい人とは、もう会いたくない!」

 何かあったのか、不満タラタラな表情で愚痴るロピの頭を俺は優しく撫でてあげる。

「はは、でもよく頑張ったな……」
「……うん……でも、御免なさい……」
「ん? なんで謝るんだ?」
「──だって、あの頭おかしい人はお兄さんの事を……」
「俺?」

 何かを話そうとして口を開けるロピであったが、結局口を閉じて、目を閉じるのであった。

「ふふ、なんでもなーい!」
「はは、なんだそれ」
「お兄さんは、そのまま私の頭を撫でてればいいよー。チルちゃんもこっちおいでー!」

 ロピに引っ張られたチルは姉の隣に移動する。

「はは、チルもか?」
「……」

 俺の問いに、チルは顔を真っ赤にして慌てて、口を開く。

「い、いえ。今回私は何も出来なかったので、アトス様にその様な事をして頂く訳には」
「あはは、チルちゃん何言っているのー? 遠慮する必要ないよ!」
「チルもよく頑張ったな」

 片腕が無い為、俺はロピの頭から手を離して、隣のチルを撫でる。

「幸せです……」
「お兄さーん、わーたーしーもー!」
「はいはい」

 俺は順番ずつ、二人を撫でる事で、感謝の意を表す。

「あはは、チルちゃんも幸せだねー」
「うん、極上の一時……」
「ほっほっほ。アトス殿、是非私もお願いします」
「「「え?」」」

 リガスまでもが、頭を撫でて貰いたい様で撫でやすい様に少ししゃがむ。

「い、いや……流石にリガスは冗談だろ?」
「そうだよー! 魔族さんはダメー!」
「ほっほっほ。これは手厳しいですな」
「でも、リガスも頑張ったから、私が撫でてあげる」

 チルは、俺の様に優しくリガスの頭を撫でてあげている。

「ほっほっほ。チル様、最高です」

 リガスは普段、見せない様な表情を浮かべて、喜んでいる。

「あはは、魔族さんも私達と同じだねー!」
「みんな一緒」
「ふむ。これは毎日でも良いですな」
「それはダメ。いい事した時だけ」
「ほっほっほ。それでは頑張らないとですな」
「私もアトス様に褒めて貰う為に頑張る」
「私も、私もー!」

 俺は、三人の様子を見て微笑む。

 この戦いで少なからず仲間達が死んだ。

 誰が犠牲になっても良い訳では無いが、やはり身近な者が死ななくて本当に良かった。

 そんな事を考えていると、次々と仲間達が集まって来た。

「アトス達も無事だったか」

 シャレとトラク、ニネット達が近付いて来る。

「アトスよ、サポート助かったぞ!」
「あれは、本当にあの人間族がやったのか……?」

 ギルとニルトン達も万全では無いが、命に支障は無い様だ。

「さすがに、敵は全員退却していったか……?」

 俺の問いにシャレが答えてくれる。

「あぁ、部下達の報告では村内には、既に敵が居ないらしい」
「ふぅ……なら、もういいな」

 俺は、円陣を解除した。

 すると、今まで地面に張り付いていた青く光る円陣が掻き消えて、動く事が出来る様になった。

 ふぅ……やはり、動けなかった理由はスキルの影響だったか。

 すると、シャレが独り言の様に呟いた。

「この光はやはりアトスのスキルだったんだな……」
「ははは、アトスのお陰で俺は助かったぜ! サポートが無ければ今頃ゴブリンにやられてたからな」
「私もだ、アトスのサポートが無ければ、私も、トラクもニネットも今頃どうなっていたか」

 二人を見ると、ギルとシャレはボロボロである。

 いや、目の前の二人以外も──この戦闘に参加した殆ど者達が満身創痍である。

「今回はアトスのお陰でどうにかなったが、敵は戦力の半分も投入していなかったな……」

 シャレが攻めて来た人数を思い出しながら呟く。

「えー?! あの人数より更に多いのー?」
「あぁ、向こうからしたら、まだ序の口だろ」
「な、なら、これからどうするのー?」

 ロピの言葉に、全員が考える。

「ほっほっほ。確かにやる事は、まだまだありますが、とりあえず今日は休みませんかな?」

 リガスの言う通り、休んだ方がいいな……このままでは、皆んな倒れるまで働きそうだ。

 こうして、少なくない犠牲者を出しながらも、俺達は炎弾率いる軍隊との戦いに勝利する事が出来た……


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