過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

文字の大きさ
398 / 492
第9章

397話

しおりを挟む
 部屋に突然と入って来た者達は、皆が煌びやかな服装だったりした。

「カール様、これはどうなっているんですか?」

 カールの倍以上の年齢はあろうかと思われる男はカールを敬う様にして少し腰を曲げた。

「カール様だと……?」

 そんな様子を見たグンドウは訝しげな表情を浮かべた。

「グンドウ殿、直ぐにその手に持っている剣を納めなされッ! ──新王の前ですぞッ!!」

 一人の老人の言葉にグンドウは困惑する。

 そして、この部屋で今の状況を理解していないのは私とグンドウだけの様で、他の者達は既に理解しているみたいだった。

「新王とは、どういう事だ?」
「見て分かりませんか? ラシェン王が死んだ今、新しい王を決める必要があります」
「それは分かるッ。だが、何故コイツが新王になる!」

 グンドウの質問はごく当たり前の筈だが、他の者達は何を今さら? と言わんばかりの雰囲気であった。

「どういう事ですかな?」
「どういう事だとッ? 普通に考えれば次の王はラシェン王の血族に決まっているだろ!」
「あぁ……そういう事ですか……確かに普通なら、そうですが今回は緊急事態です──これから他種族と戦争するには決断力のある王が必要なんです」

 何やら偉そうな奴が語り始める。

「ラシェン王が死んだ今、次期当主である息子が本来であれば新しい王となるでしょうが、まだ幼い──そんな年齢で一国を指揮するなんて無理に決まっていますな」

 偉そうな奴はもっともそうな事を口にする。

「確かに、ラシェン王の息子はまだ幼いが、それを支えるのが我々の仕事では無いのかッ!?」
「えぇ、ですから先程も言いましたが本来であれば、そうです。ですが今回は緊急自体なんですよ──他種族との全面戦争まで時間がありません」
「先に伸ばせばいいだろう」
「いえ、ダメです。アイツらを放置していれば、どんな事になるか分かりません」

 この段階で、グンドウはコレが作られたストーリーだと悟る。
 そして、そのストーリーを組み立て者がカールである事も……

「……ラシェン王の息子については分かった。だが、なぜ新しい王がコイツなのだ!」

 これ以上は無駄たと考えたグンドウは次の疑問をぶつける。
 それは、個人的なものなのか国としてのもなのか……あるいは両方なのか……

「俺はコイツが人間族の王になる事は反対だッ!」
「話し合いで我々が色々考えた末に次の王はカール様が最も相応しいと判断しました」

 話し合い? そんなの知らないと、言うような表情を浮かべ──それが又もやカールが裏で手を回した事に気がつくグンドウ。

「それならば、俺が王になってもいいのだろう?」
「いえ、グンドウ殿には軍全体の総隊長として戦場で前線に出て貰う必要があるので、それは無理ですな」

 恐らく、グンドウがこれから何を言ってもカールが新しく王になる事は覆らなさそうだな……

 私はチラリとカールの方を見ると、本人はニヤニヤとグンドウの事を見ていた。

 そんな視線に、イライラするグンドウはいつカールに飛び掛かるか分からない雰囲気だ。

「グンドウ殿、納得して下さい。あなたは他の仕事があって、無理。ヘラデス様は王の座など興味が無い──だとすると、戦闘経験が有り、実績も有り、判断力が優れている者と言えば、後はカール様しかおりません」

 ラシェン王、自慢の三人の中で一番弱いのは確実にカールであるが、どうやら戦闘面以外は他の二人より一枚も二枚も上手の様だ。

 すると、ここまでダンマリだったカールが口を開く。

「あはは、グンドウさん。これで分かってくれましたか? ──もちろん私が王になったからと言って貴方を蔑ろになんてしません。寧ろ今以上の待遇をお約束致しますよ?」

 その言葉は本心によるものだろう、しかしカールの表情は完全に勝ち誇った顔付きである。

 グンドウ自身も両拳を強く握り締めて、なにかを耐えている様子だ。

 そんな様子がカールを更に喜ばせ、肩を揺らして笑っていた。

「まぁ、これからも宜しく頼みますよ?」

 カールはグンドウの肩を気軽にポンと一度叩く。
 そして、カールはグンドウにしか聴こえないくらいの声色で呟いた。

「アンタの家族は預かった」
「ッ?!」
「大人しくすれば危害を与える気は無い」
「貴様……」
「返して欲しければ、次の全面戦争に全力で協力して貰う──そして、勝利した暁には無事に返そう」

 これまで、なんとしてでもカールを新しい王にしない為に反論して来たグンドウであったが、カールの最後の言葉で折れた……

 ふむ、どうやらここまでの様だな。
 時間も大分経過したので、ガルル達も逃げ切れただろう……

「あー、そうそう。グンドウさん、あそこの獣人を殺しといてよ──今まで我慢してたけど、俺もラシェン王と同じで他種族の事が嫌いなんだよね」

 今まで私達獣人族に見せていた表情は既に無くなっており、殺意を持った目で私を睨むカール。

「シクさんだっけか? ここで死んで貰うよ? アンタ達はラシェン王が死ねば、他種族達による酷い仕打ちが無くなると思っていた様だけど、それは諦めなよ」
「……」
「俺はラシェン王以上にお前達他種族が嫌いなんだよッ! お前達みたいなものが居るから俺が認められないんだよ──俺は皆んなから認められたい!」

 途中からは、私にでは無く自分自身に語り掛けている感じで、目の焦点が合っていない様だった。

 クソ……折角危ない橋を渡ったのに、結局は振り出しに戻る所か更に状況が悪化してしまった。

「これは、早くネークに知らせないとな……」
「あはは? 何だって?」

 私の独り言が聞こえない様子のカール。

「グンドウさん、それでは新王である俺からの最初の命令だ──あのラシェン王を殺した獣人を殺せ」

 カールの言葉にグンドウは起き上がり私の方に近付いて来た。


 そして、私は、扉に向かって走り出す──誰も捉えられないスピードを出す事で私は部屋を出る事に成功した。

 後は逃げるだけ……
 



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...