過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第9章

398話

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「ど、奴隷が逃げたぞ?! 追えッ」

 スキルを使用して、部屋を出ると室内から慌てた声が聞こえた。

 しかし、既に遅い。

 逃げたと気が付いた時には私の姿は消えているだろう。

 そして、私はあっという間に城門を出る。

「ふむ。外に出てしまえば、こっちのものだな」

 外に出るとある事に気が付いた。

「どうやら、ガルル達も逃げた様だな……」

 周りを見ると、城が盛大に燃え上がっており、普通の燃え方とは違い勢いが凄まじい。

「油か何かを使ったのか?」

 少しの間、状況を伺っていると……

「ん?」

 そこには一枚の紙切れが地面に落ちていた。

 そして、急いでいたのか書き殴りの様な感じで、「先に行って待っています」と書かれている。

「律儀な奴らだ」

 すると、後方からバタバタと大きな音を立てながら兵士達が城内から出て来る。

 その後、カールやグンドウも続いて出て来て、私に向かって口を開いた。

「お仲間さんは……どうやら逃げたようだね」
「あぁ、先に行って貰ったよ」
「まぁ、いいよ。それじゃ、シクさん貴方は悪いけど捕まって貰うよ? ──なんて言ったってラシェン王を殺した張本人なんだから」

 カールは白々しく言い放つ。

 確かに、殺したのは私だが、カール自体もラシェン王が死ぬのを期待して敢えて私達を招き入れたのだから同罪だろと思う。

 カールの隣にいるグンドウは頭を下げて地面を見ている──恐らく未だ、この状況を受け止め切れないのだろう。

「断る──私はこのまま、逃げさせて貰おう」
「あははは、まぁ別に行けけど逃げられるのかい?」

 カールの言葉に周りの者達の顔付きが少しだけ、緩んだのを感じる。

「貴方はダブル持ちで、足の身体強化を持っている様だけど、恐らくランクはCだろう?」

 成る程……どうやらカールは私がガルル達と一緒になって走った所しか見た事が無かった様だ。

「そういう、お前はランクいくつなんだ?」
「俺かい? 俺はランクBの身体強化持ちさ。だから、諦めてくれないかい?」

 今まで、足の速さで負けた事が無いのかカールには絶対的な自信が浮かび上がっていた。

 すると、カール達から遅れてある者が城内から出て来た。

「はぁはぁはぁ──皆さん早いですね」

 その男はでっぷりとした体格を大きく揺らし、そして疲れたのか肩で息をして大量の汗を流していた。

 その男の様子を見たカールは笑いながら気遣うのであった。

「あはは、ガバイさんも、少しは運動した方が良いんじゃ無いですか?」
「認めたくは無いですが、どうやらカールさんの言う通り少し運動が──ッ?!」

 話している内に息が整ったのか、ガバイは状態を起こす。
 すると、私と目が合った……

「な、何故お前が……」

 私の顔を見て、目を見開くガバイ。

「久しぶりだな、ガバイ」

 私とガバイが知り合いであるのを知らないカールは会話に入ってくる。

「ガバイさん、こちらの奴隷と知り合いで?」
「奴隷? そうか……プブリウスさんから貰い受けたお気に入りの奴隷とは……」

 ガバイの言葉にカールは頷く。

「えぇ、ガバイさんの考え通り、ここに居る奴隷と他9名です──他の奴隷は既に逃げちゃった様だから、今からソコの奴隷を捕まえる所ですね」
「捕まえる……? そこの者をですか?」

 誰一人、私が逃げ切れるとは思っていない様だ──しかし、ガバイは知っている。
 私のランクを、そしてこの立ち位置で有れば確実に逃げ切れる事を……

「み、皆さん早くその奴隷を囲みな──」
「──ガバイよ、お前がコナにした酷い行いを私達は許さない。それだけは覚えとけ」

 私はそれだけ言うとカール達に背を向けスキルを発動する。

「な、何をしている早くあの奴隷を囲めッ!」

 ガバイが騒ぎ立てる様にして兵士達に指示を出すが、遅い。

「あはは、本当に追いかけっこするのかい? 無駄だと──ッ!?」

 私は、チラリとカールを見た後に前に向かって走り出した。

 そして、周りの風景を置き去りにしてあっという間に人間族の住処を脱出したのであった……






「あ、あはは。ガバイさん、あれどういう事です?」

 シクが逃げた後を追うとしていたカールだが、あまりの速さに自分では追い付けないと一瞬で悟る。

「あの奴隷のランクはAです」
「ッ?!」
「恐らく、この世界で一番早いでしょう……」

 カールは自身が読み間違えた事を悔やむ。
 しかし、直ぐに気持ちを切り替えた様だ。

「はは、やるねぇ……。まぁ、どっちにしろ全面戦争の時に顔を合わすだろうから、その時にタップリお返ししてやれば良いか……」

 カールには珍しく苦笑いを浮かべていた。
 そして、直ぐに次の戦いの準備に取り掛かるのであった。

「さぁ、皆んな。これからが大事だよ! 新王になったからにはラシェン王以上にこの国をより良いものにしていくから協力してくれ!」

 カールの言葉に皆が頷く。恐らく、かなり前から色々な者達に手を回していたのだろう。
 カールという平民出の者が王になったと言うのに反対する者は、この場に居なかった。

 唯一、グンドウだけは未だ地面を見ていた。
 そんなグンドウの前まで歩いたカールは上官が部下にやる様な気軽さで肩に手を置いて呟く。

「グンドウさんにも、もちろん協力して貰いますよ、ねぇ?」
「…………ッ」

 グンドウの悔しそうな表情と肩から伝わる震えに満足したのか、カールは笑いながら歩き去って行った……





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