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20.
深い夜の遺跡に暖かい風が吹く。サワサワと葉が擦れる音がそこらかしこで聞こえていた。優しげで少し悲しい音。
流石に野獣も逃げている様で声を発する生き物は居ない。白い鱗が月の光を浴びボンヤリと遺跡全体を照らしている様に見える。だがその姿は薄く透けてきていた。
「魔力使い過ぎたんじゃないのか?」
『ふふ…だね。でも良いんだ。スッキリしたから』
そう返したミカポンの声は…大蛇の姿に似つかわしくない程明るいものだった。
『リル、ありがとう。楽しかったよ。人とお喋りしたのも久しぶりだった。それに…悲しいなって思っていた事も気持ちが楽になったよ。僕には何もしてやれなかったから』
「…すまなかった。謝るよ」
俺はゆらゆらと霧の様に形を失くし消え行くミカポンを見上げながら愚かで、でも一途な男達を最後に思い描いた。
『行くんだね?大好きな彼女の元へ』
そして…俺もまたあの人達と変わらない。どうにかしようともがいていたんだ。彼女を…幸せにする為に。それが出来るのは自分だけだと信じて。
「…ああ。彼女は俺の生きる意味だ…でも結局奴らと俺の違いなんて無いんだよ。酷いもんだ…こんな賢者の子孫でごめんな?」
『…それでも君は…愛する人の幸せを願っているじゃないか。彼らの身勝手さとは違うよ。取り戻したかった愛も、自分の物だけにしたかった愛も、相手を思いやる心が有ればきっと結末は変わっていた筈さ。君とは違う。だって…』
「これしか方法が無いだけだ」
『ふふ…それでも凄いよ。僕は君を尊敬する。誰かの為に神の領域に辿り着いた君を』
「…ああ、俺もだ。凄いと思うよ…」
『ははっ自分で言ってら!…さあ、もう行きな。少しでも長く一緒に、そして彼女を救ってあげるんだ』
「…ミカポンに会えて良かった。たった数日だったけど…本当にありがとう。いつか…また」
転移動の術式を唱える。青白い魔力の陣が俺を包み込んだ。
これはある男が作り出した奇跡の術式の一つ。
最後にミカポンに向かいニコリと笑って俺は遺跡を後にした。
『…今度こそ彼女を…君の幸せを護れると良いね、リル。でもね、これは偶然じゃなくて必然だったと思うんだ。前の君も今の君も。いつか、それがわかる日が来る…さよならリル。ひっそりと、だが一輪で香り咲き誇る百合の大華を持つ者よ…』
****
転移動した先はレシェと俺の家の前。すると村の中心部に松明が煌々としていた。風に乗って木の焼ける焦げ臭いと煙が村に充満している。こんな時間に松明を燃やすなんて…有り得ない!
「何が…! まさか!」
急いで村長の家に向かい走り出した。まさか…アレが来た?
「リル!」
「リルじゃないか!」
走る道すがら声が聞こえて来る。松明が集まる奥に村長の家と村民達の姿があった。やっぱり何かあったんだ!
「村長!一体何があったんですか!?」
松明を持つ男達が一斉に此方を向いた。その顔は……何故か穏やかだ。
「ん?」
「おお!リル!帰ったのか?」
「…はい、今しがた…これは?」
「ああ…盗賊がな…」
やはり回帰前、東から流れて来た盗賊達が来たのか!俺が居ない間に…くそっ
「村の皆んなは無事ですか?」
グルリと周りを見渡すがどうやら此処には怪我をしている者はいなさそうだが…
ポンと俺の肩を叩きニヤッと歯を出して笑う村長。
「我々にはリルが居た。お前が造った石壁と二重の門。ここは要塞だな。外のリンゴ農園は少し焼かれたが怪我なく皆無事だ。火矢が飛んで来ても村の上で火が消えゆっくりと羽の様に落ち、壁を登ろうとする奴らは弾かれた」
「村の中に奴らの仲間が数人居たんだが自警団が所持していたタリスマンで無傷で捕まえられたし、酔っ払いを入れる檻もあるから丁度良かったぜ!」
「カーザん所の商団に沢山仕入れてもらった網。ほら、農園の鳥除けに張ろうって言ってたやつ。途中まで囲ってたんだけど、あれも奴らの足留になったみたい。燃やされたのもあるけど虫みたいに引っ掛かってる奴もいてさ」
口々に事の報告をしてくれる村民達。そうか、役に立ったんだな…良かった。
「まあ、まだ辺りを彷徨いているようだから安心は出来ない。国が盗賊団討伐に兵を挙げる迄に数ヶ月は掛かるだろう。他の村や街も襲われないか心配だな…武器を持った大規模な盗賊団だ。しかも移動速度が異様に速いみたいでな。もしかしたら魔術師が居るのかもって皆んなで話してたんだ」
「魔術師…?」
その時「リル!!」と俺を呼ぶ声にハッとして振り向くと、村長の家からレシェが顔を出した。ゆっくりとこちらに向かって歩いて来る。足を引き摺っているようだ。
「レシェ!怪我したのか!?」
急いで走り寄り彼女を抱き寄せた。ああ…俺のレシェ。
「リル…良かった無事で…」
「用事は調べ物だよ。長い間ごめんな?…レシェ足は?」
「うん。力入らなくて。あ、怪我じゃ無いよ?痛く無いし大丈夫!母さんや皆んなに助けてもらってたから…へへっ」
「…そうか…すまなかったな。後で皆んなにお礼言って回るよ」
「うん、ありがとうリル」
そう言ってニコリと笑うレシェ。久しぶり…七日振りの彼女はやっぱり可愛くて…回帰後の十二年間、こんなに離れていた事が無かったから、更に百倍愛しい。
無事で良かったと顔をスリスリとレシェの頭に擦り付けてぎゅうぎゅう抱き締めた。レシェの「ひゃぁぁぁ」と言う声も照れてる姿も全部可愛い。
「リル、イチャつくのは良いけど今は抑えて」
村長の奥さんが苦笑しながらポンポンと背中を叩いて来る。
「結婚して二年も経つのに本当熱いんだから」
「リルってレシェの前だと人変わるよな」
「こりゃ一生頭が上がんないだろ~~」
「母ちゃんが強い方が上手くいくらしいぜ?なぁ?」
『「ぶははははははっ」』
…しまった。つい油断して村民の前でかいぐりしてしまった。まあ、別に良いか。夫婦だし…可愛いし。
「さて、この村に居れば安心だと言う事も分かったし、リルも戻った。皆んな今日は一旦戻りなさい。暫く門からの出入りは禁止。安全確認の為極小の偵察団を幾つか組もうと思ってる。まあ、そこら辺はまた朝に集まって決めようか。仕事もあるだろうが命あっての事だからな」
村長の号令で皆それぞれ家に戻って行く。温泉客も宿に入って行った。しかし盗賊団か…まあ
「相手の姿が見えたのなら俺も動き易い」
「え?リルなんて言ったの?」
「ん?いや、何でもないよ。さあ、俺達も帰って休もうか。村長、ありがとうございました。また明日」
そう声を掛け、レシェを抱き上げて二人の家に戻る。
暖炉に火を入れやかんで湯を沸かし、少し薄めにお茶を淹れレシェにコップを渡した。
「熱いから気を付けて」
「うん、ありがとうリル」
ニコリと笑うレシェ。彼女に何も無くて本当に良かった。茶を飲み一息付いて漸くホッとする。
「怖かったろ?盗賊団の事は心配しなくて良いよ」
「ありがとうリル。村を護ってくれて。きっとリルが居なかったらこの村は燃やされて皆んな酷い目に遭ってた。石の壁も門もそれにタリスマンも全部リルが造ってくれたもんね」
「役目を果たせて良かったよ。誰も傷付いて無くて良かった」
「…うん。でもリル…貴方はとても疲れているでしょ?何だか…とても悲しそう。用事って辛い事だったの?」
「え?そんな事は…無いよ…」
「もう、リルったら。誤魔化せると思ってるの?私は幼馴染で妻でずっと貴方と一緒にいたのよ、判らない訳ないんだからね?…聞いちゃダメな事?」
「……いや…話すよ。でも長くなるから…」
「じゃあ少しずつで良いわ。私の知らない貴方の事教えて?リルの事なら何でも知りたいよ。そして一緒に辛い事も嬉しい事も分かち合いたいの」
「レシェ…」
「良い、よね?」
「…ああ、勿論。その代わり二人の秘密な?」
「うん!」
レシェは普段凄く大人しくていつもニコニコしているが、喜怒哀楽がハッキリしててコロコロ表情が変わる。言い換えれば裏が無い。かと言って無粋に知りたがる子では無いんだ。今みたいな時は遠回しに気遣ってくれる事が多い。
でもきっと…俺の顔が酷かったのかな?自分では…平気なつもりだったんだけど…いや、それは嘘だ。
真っ直ぐに俺を見つめる彼女の瞳が今は辛くて…
椅子からゆっくり立ち上がり彼女の座る背から抱き絞める。レシェの頭に顔を埋め目を閉じた。
ああ…色々あり過ぎた。
ああ…
ああ…もう…
「悔しい」
ギュッと閉じた目の代わりに、ポロリと弱くひり付いた心の本音が口から漏れ、柔らかい彼女の髪の中に消えて行った。
流石に野獣も逃げている様で声を発する生き物は居ない。白い鱗が月の光を浴びボンヤリと遺跡全体を照らしている様に見える。だがその姿は薄く透けてきていた。
「魔力使い過ぎたんじゃないのか?」
『ふふ…だね。でも良いんだ。スッキリしたから』
そう返したミカポンの声は…大蛇の姿に似つかわしくない程明るいものだった。
『リル、ありがとう。楽しかったよ。人とお喋りしたのも久しぶりだった。それに…悲しいなって思っていた事も気持ちが楽になったよ。僕には何もしてやれなかったから』
「…すまなかった。謝るよ」
俺はゆらゆらと霧の様に形を失くし消え行くミカポンを見上げながら愚かで、でも一途な男達を最後に思い描いた。
『行くんだね?大好きな彼女の元へ』
そして…俺もまたあの人達と変わらない。どうにかしようともがいていたんだ。彼女を…幸せにする為に。それが出来るのは自分だけだと信じて。
「…ああ。彼女は俺の生きる意味だ…でも結局奴らと俺の違いなんて無いんだよ。酷いもんだ…こんな賢者の子孫でごめんな?」
『…それでも君は…愛する人の幸せを願っているじゃないか。彼らの身勝手さとは違うよ。取り戻したかった愛も、自分の物だけにしたかった愛も、相手を思いやる心が有ればきっと結末は変わっていた筈さ。君とは違う。だって…』
「これしか方法が無いだけだ」
『ふふ…それでも凄いよ。僕は君を尊敬する。誰かの為に神の領域に辿り着いた君を』
「…ああ、俺もだ。凄いと思うよ…」
『ははっ自分で言ってら!…さあ、もう行きな。少しでも長く一緒に、そして彼女を救ってあげるんだ』
「…ミカポンに会えて良かった。たった数日だったけど…本当にありがとう。いつか…また」
転移動の術式を唱える。青白い魔力の陣が俺を包み込んだ。
これはある男が作り出した奇跡の術式の一つ。
最後にミカポンに向かいニコリと笑って俺は遺跡を後にした。
『…今度こそ彼女を…君の幸せを護れると良いね、リル。でもね、これは偶然じゃなくて必然だったと思うんだ。前の君も今の君も。いつか、それがわかる日が来る…さよならリル。ひっそりと、だが一輪で香り咲き誇る百合の大華を持つ者よ…』
****
転移動した先はレシェと俺の家の前。すると村の中心部に松明が煌々としていた。風に乗って木の焼ける焦げ臭いと煙が村に充満している。こんな時間に松明を燃やすなんて…有り得ない!
「何が…! まさか!」
急いで村長の家に向かい走り出した。まさか…アレが来た?
「リル!」
「リルじゃないか!」
走る道すがら声が聞こえて来る。松明が集まる奥に村長の家と村民達の姿があった。やっぱり何かあったんだ!
「村長!一体何があったんですか!?」
松明を持つ男達が一斉に此方を向いた。その顔は……何故か穏やかだ。
「ん?」
「おお!リル!帰ったのか?」
「…はい、今しがた…これは?」
「ああ…盗賊がな…」
やはり回帰前、東から流れて来た盗賊達が来たのか!俺が居ない間に…くそっ
「村の皆んなは無事ですか?」
グルリと周りを見渡すがどうやら此処には怪我をしている者はいなさそうだが…
ポンと俺の肩を叩きニヤッと歯を出して笑う村長。
「我々にはリルが居た。お前が造った石壁と二重の門。ここは要塞だな。外のリンゴ農園は少し焼かれたが怪我なく皆無事だ。火矢が飛んで来ても村の上で火が消えゆっくりと羽の様に落ち、壁を登ろうとする奴らは弾かれた」
「村の中に奴らの仲間が数人居たんだが自警団が所持していたタリスマンで無傷で捕まえられたし、酔っ払いを入れる檻もあるから丁度良かったぜ!」
「カーザん所の商団に沢山仕入れてもらった網。ほら、農園の鳥除けに張ろうって言ってたやつ。途中まで囲ってたんだけど、あれも奴らの足留になったみたい。燃やされたのもあるけど虫みたいに引っ掛かってる奴もいてさ」
口々に事の報告をしてくれる村民達。そうか、役に立ったんだな…良かった。
「まあ、まだ辺りを彷徨いているようだから安心は出来ない。国が盗賊団討伐に兵を挙げる迄に数ヶ月は掛かるだろう。他の村や街も襲われないか心配だな…武器を持った大規模な盗賊団だ。しかも移動速度が異様に速いみたいでな。もしかしたら魔術師が居るのかもって皆んなで話してたんだ」
「魔術師…?」
その時「リル!!」と俺を呼ぶ声にハッとして振り向くと、村長の家からレシェが顔を出した。ゆっくりとこちらに向かって歩いて来る。足を引き摺っているようだ。
「レシェ!怪我したのか!?」
急いで走り寄り彼女を抱き寄せた。ああ…俺のレシェ。
「リル…良かった無事で…」
「用事は調べ物だよ。長い間ごめんな?…レシェ足は?」
「うん。力入らなくて。あ、怪我じゃ無いよ?痛く無いし大丈夫!母さんや皆んなに助けてもらってたから…へへっ」
「…そうか…すまなかったな。後で皆んなにお礼言って回るよ」
「うん、ありがとうリル」
そう言ってニコリと笑うレシェ。久しぶり…七日振りの彼女はやっぱり可愛くて…回帰後の十二年間、こんなに離れていた事が無かったから、更に百倍愛しい。
無事で良かったと顔をスリスリとレシェの頭に擦り付けてぎゅうぎゅう抱き締めた。レシェの「ひゃぁぁぁ」と言う声も照れてる姿も全部可愛い。
「リル、イチャつくのは良いけど今は抑えて」
村長の奥さんが苦笑しながらポンポンと背中を叩いて来る。
「結婚して二年も経つのに本当熱いんだから」
「リルってレシェの前だと人変わるよな」
「こりゃ一生頭が上がんないだろ~~」
「母ちゃんが強い方が上手くいくらしいぜ?なぁ?」
『「ぶははははははっ」』
…しまった。つい油断して村民の前でかいぐりしてしまった。まあ、別に良いか。夫婦だし…可愛いし。
「さて、この村に居れば安心だと言う事も分かったし、リルも戻った。皆んな今日は一旦戻りなさい。暫く門からの出入りは禁止。安全確認の為極小の偵察団を幾つか組もうと思ってる。まあ、そこら辺はまた朝に集まって決めようか。仕事もあるだろうが命あっての事だからな」
村長の号令で皆それぞれ家に戻って行く。温泉客も宿に入って行った。しかし盗賊団か…まあ
「相手の姿が見えたのなら俺も動き易い」
「え?リルなんて言ったの?」
「ん?いや、何でもないよ。さあ、俺達も帰って休もうか。村長、ありがとうございました。また明日」
そう声を掛け、レシェを抱き上げて二人の家に戻る。
暖炉に火を入れやかんで湯を沸かし、少し薄めにお茶を淹れレシェにコップを渡した。
「熱いから気を付けて」
「うん、ありがとうリル」
ニコリと笑うレシェ。彼女に何も無くて本当に良かった。茶を飲み一息付いて漸くホッとする。
「怖かったろ?盗賊団の事は心配しなくて良いよ」
「ありがとうリル。村を護ってくれて。きっとリルが居なかったらこの村は燃やされて皆んな酷い目に遭ってた。石の壁も門もそれにタリスマンも全部リルが造ってくれたもんね」
「役目を果たせて良かったよ。誰も傷付いて無くて良かった」
「…うん。でもリル…貴方はとても疲れているでしょ?何だか…とても悲しそう。用事って辛い事だったの?」
「え?そんな事は…無いよ…」
「もう、リルったら。誤魔化せると思ってるの?私は幼馴染で妻でずっと貴方と一緒にいたのよ、判らない訳ないんだからね?…聞いちゃダメな事?」
「……いや…話すよ。でも長くなるから…」
「じゃあ少しずつで良いわ。私の知らない貴方の事教えて?リルの事なら何でも知りたいよ。そして一緒に辛い事も嬉しい事も分かち合いたいの」
「レシェ…」
「良い、よね?」
「…ああ、勿論。その代わり二人の秘密な?」
「うん!」
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でもきっと…俺の顔が酷かったのかな?自分では…平気なつもりだったんだけど…いや、それは嘘だ。
真っ直ぐに俺を見つめる彼女の瞳が今は辛くて…
椅子からゆっくり立ち上がり彼女の座る背から抱き絞める。レシェの頭に顔を埋め目を閉じた。
ああ…色々あり過ぎた。
ああ…
ああ…もう…
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