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第六章 あなたとわたしの罪
87.シーラの記憶⑵(シーラside)
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婚姻して5日後。
私の力を手に入れる為隣国の大きな国が攻めてきた。沢山の人達が武装している。どうしてこんな事になってしまったのか。どうすれば良いのか。
私は護衛の人達に守られて息を潜めていた。いつも穏やかなこの領地が悲鳴と異臭に覆われる。そこかしこで金属の打ち合う音がする。火の燃える匂いと建物が崩れる音。私の為に戦う人達。私は限界に近い状態だった。
ふと、婚姻してからいつも隣にいてくれた彼の姿が無くなっている。私は不安になり、力を使って彼の場所を探す。
地に足を付けていれば探せた。
彼は何故か村の外にある雑木林の中に居た。
嫌な予感に胸が脈打つ。何があったのか.......。
私はそこに行くまでの道に花でトンネルを作る。何重にも絡み合う花。数分は持つだろう。私は一気にその中を走り抜けた。シャルが追いかけてくる。別な構わない。ただ、自分の夫を探しに行くだけなのだから。連れて帰れば大人しくするつもりだ。
雑木林までトンネルを作り続ける。かなり遠い。何故彼はこんな場所に?何が。何があるんだろう?無事なのか。もしや隣国の兵士に捕まってしまったのかも。助けなければ!
漸く雑木林に着き、息を切らせながらフラフラと中に入って行く。シャルも一緒だ。地面は一昨日の雨でぬかるんでいたが私には問題無い。何故だか足を取られる事無く進めた。
彼の居る場所はそう奥まった所ではなかった。薄暗い中にも所々で月明りが細い線を落としていた。
次第に声が聞こえる。いや、これは.......男女の.....睦声.......。
体にピリピリとした何かが走る。きっとこれ以上行けば見てはいけないものを見る。唇をぐっと噛みしめる。
行きたくない。でも足は勝手にフラフラ前へ進んだ。頭の中で心臓の音が激しく鳴り響く。
私はヒュッと息を飲んだ。
目の前に飛び込んで来たのは5日前に私の夫になった男。
そして美しい妖艶な女。
2人は立ったまま激しく繋がっていた。
あ.................ああ.................あ.................あ.................
私の夫は
たった5日で
.................他の女を抱いていた
ぐらりと膝から崩れ落ちる。シャルが咄嗟に受け止めてくれた。涙がポロポロ溢れてくる。
私の存在に気づいた彼はこう言い放った。
「シ、シーラ!何故ここに!どうやって.......!いや、これは、その........」
すると女が笑いながら私の夫の首に腕を絡ませて言った。
「あら、聖女様はなんでもお見通しなのよ。凄い力をお持ちなんだわ。でも、残念ね。彼は私の身体が大好きなの。婚姻する前からね。だってまだ日が空いてないのに私を欲しいって。しかも激しいから腰が痛くなっちゃうわ。ね?聖女様?治してくれる?ふふ」
ズキンズキンと胸が痛む。喉がカラカラに乾く。身体中がヒリヒリとする。手が痺れて震える。
息が.......吸えない。
もう.................
もういい...............
もう...............
私はふらりと立ち上がり来た道を.........冷えて痛む胸を押さえ、フラつきながら戻る。
後ろから女の笑い声が聞こえた。
彼の声は............しなかった。
シャルは私の肩を支えながらゆっくりと歩いてくれる。
雑木林を抜けると隣国の兵士に囲まれていた。花のトンネルは壊され火を放たれ燃え上がっていた。
その兵士の中から1人若い暗い金髪の服装が華美な太った男が進み出てくる。ニヤニヤと下卑た笑いを湛えて。
「どうした大地の娘よ?夫にでも裏切られたか?」
シャルが剣を構える。
「.................」
「これでなんの憂いもなく我が国に来れるだろ?心配するな。お前はわたしが可愛がってやるからな。男を知った体だ。疼いて寂しいだろう?」
「......何が.......欲しいの?この力が欲しいの?」
「勿論だ。その力があれば世界を御するのも夢じゃない。そうだろ?」
「分かったわ。じゃあ.................あげる」
涙が溢れ落ちる。流れ続ける
悲しみで胸が焼ける
悔しさで燃え上がる
ああ、下らない。下らない愚か者共
私は両腕を前に突き出し自分の力を.....
「お前たちに分け与えよう。強欲なお前達に。卑劣な愚者ども。私のように苦しめば良い。子々孫々この魔力によって.................苦しめぇ!!」
解放した。
大地から魔力を吸い上げる。それを一気に解き放った。それは無数の人の中に入り込み身体を駆け巡る。
この地に暮らす領民以外隣国の兵士へ広範囲へ届くように。遠くまで魔力を広げた。細かい事など考えなかった。
しばらくした後、私はゆっくりと辺りを見回す。そこには魔力によって体の中から破壊された者達が呻き声を上げ倒れ伏していた。
「魔力が欲しいんでしょ。これで生き残れば術でも使えるようになるわよ。.....きっと」
私はそう言うと、足元に倒れた白髪の剣士を見た。
「ごめんなさいシャル。巻き込んで。今治すから」
「.................シ......ラ様」
「大丈夫。この領地の傷ついた人達は治療しておくから。こんな魔力なんて必要ないからね。ごめんなさい。貴方は.....近くに居過ぎて魔力を持ってしまうかも知れないけど、許してね」
私はシャルを治療し、そのまま眠らせた。累々と倒れ込んだ隣国の兵士達の間を通り過ぎ村に戻る。
村の入り口で再び両手を広げて領民へ向け広範囲に治療と要らない魔力は大地に返した。
(.........皆んな....ごめんなさい.........)
私はそのまま村を出る。
途中で兵士が持っていただろう短い剣を拾い上げた。
月明かりを受け鈍い光が顔を照らす。
私はぎゅっと目を閉じ笑った。
ああ。これで..良い
足を引きずり砂地を歩く。
赤く染めた糸で婚礼の帯を半年掛けて刺繍した。毎日毎日。薬を作る合間に少しずつ。手がボロボロになった。でもそれすら嬉しくて、待ち遠しくて.........
婚姻して5日。
あの日、花の中2人で歩いたこの道を
今度は1人で歩いて行く。
先程までの戦闘の音や悲鳴は消え去り、静寂が支配していた。春の夜の風は生暖かくて、何かが燃える匂いと草の青い匂いを乗せて私の足に絡みつき、行く先を拒んでいる。
(わかってる。でも....もう.......いいの)
目指すのはあの大木のある丘。全てはあそこから始まったから。
彼と出会ったあの場所へ
小さな花が咲くあの場所へ
彼に恋した.........あの場所へ
ポロポロと涙が溢れては落ちて行く。
ごめんなさい。弱くて
ごめんなさい。父さん母さん
こんな力いらなかった
この力で私は.........愛した人を失った
青く瑞々しい草を踏み、丘まで登った私は最後にもう一度魔力を解放した。それはこの土地で暮らす皆に祝福と感謝を込めて。
『花を.......咲かせましょう。枯れない花を。いつでも癒されるように。いつでも心穏やかに過ごせるように』
ごめんなさい.........さよなら
丘いっぱいに一斉に咲き始める色とりどりの優しい花の中で
私は1人
剣で胸を突いた。
最後に目に映ったのは.........私の血に塗れた真っ赤な.........可哀想な花だった。
****
「.................」
「............これがもう1人のわたくし。シーラの記憶です」
「.........先に謝っとくな。ごめん」
そう言うと、レジンはベッドから立ち上がり椅子に座るミリアーナの背後に立つ。そのままミリアーナの顔の前で腕を交差させて薄紫色の髪を湛えた頭に顔を埋め抱き締めた。
「.......もう.........なんだよ。それ。もう.......」
「.................」
「何を怒れって言うんだよ」
「.................」
「兎に角、これからは幸せになるんだ。いや、曖昧か。家族を作るんだ。大丈夫。ずっと愛されて行けるから。何なら俺なんてどう?絶対裏切らないから。一生愛し抜く自信がある」
ミリアーナの瞳からポロポロと涙が溢れる。
「ありがとうございますレジン様。ふふ」
「.....マジで言ってるから。聞き流さないで」
「え?」
「選択肢の1つだよ。だが、これだけは言っとく。本気だから。後、ここの生まれ変わりの王太子には絶対やらんからな!間違っても惹かれないように。ダヤンか俺以外は認めないから。わかった?」
「.......は..........はい」
「良し!じゃあ、決着付けに行こうか」
ミリアーナから体を離し、んーっと背伸びをする。
そしてレジンは.........
吹っ切れたように微笑んだ。
私の力を手に入れる為隣国の大きな国が攻めてきた。沢山の人達が武装している。どうしてこんな事になってしまったのか。どうすれば良いのか。
私は護衛の人達に守られて息を潜めていた。いつも穏やかなこの領地が悲鳴と異臭に覆われる。そこかしこで金属の打ち合う音がする。火の燃える匂いと建物が崩れる音。私の為に戦う人達。私は限界に近い状態だった。
ふと、婚姻してからいつも隣にいてくれた彼の姿が無くなっている。私は不安になり、力を使って彼の場所を探す。
地に足を付けていれば探せた。
彼は何故か村の外にある雑木林の中に居た。
嫌な予感に胸が脈打つ。何があったのか.......。
私はそこに行くまでの道に花でトンネルを作る。何重にも絡み合う花。数分は持つだろう。私は一気にその中を走り抜けた。シャルが追いかけてくる。別な構わない。ただ、自分の夫を探しに行くだけなのだから。連れて帰れば大人しくするつもりだ。
雑木林までトンネルを作り続ける。かなり遠い。何故彼はこんな場所に?何が。何があるんだろう?無事なのか。もしや隣国の兵士に捕まってしまったのかも。助けなければ!
漸く雑木林に着き、息を切らせながらフラフラと中に入って行く。シャルも一緒だ。地面は一昨日の雨でぬかるんでいたが私には問題無い。何故だか足を取られる事無く進めた。
彼の居る場所はそう奥まった所ではなかった。薄暗い中にも所々で月明りが細い線を落としていた。
次第に声が聞こえる。いや、これは.......男女の.....睦声.......。
体にピリピリとした何かが走る。きっとこれ以上行けば見てはいけないものを見る。唇をぐっと噛みしめる。
行きたくない。でも足は勝手にフラフラ前へ進んだ。頭の中で心臓の音が激しく鳴り響く。
私はヒュッと息を飲んだ。
目の前に飛び込んで来たのは5日前に私の夫になった男。
そして美しい妖艶な女。
2人は立ったまま激しく繋がっていた。
あ.................ああ.................あ.................あ.................
私の夫は
たった5日で
.................他の女を抱いていた
ぐらりと膝から崩れ落ちる。シャルが咄嗟に受け止めてくれた。涙がポロポロ溢れてくる。
私の存在に気づいた彼はこう言い放った。
「シ、シーラ!何故ここに!どうやって.......!いや、これは、その........」
すると女が笑いながら私の夫の首に腕を絡ませて言った。
「あら、聖女様はなんでもお見通しなのよ。凄い力をお持ちなんだわ。でも、残念ね。彼は私の身体が大好きなの。婚姻する前からね。だってまだ日が空いてないのに私を欲しいって。しかも激しいから腰が痛くなっちゃうわ。ね?聖女様?治してくれる?ふふ」
ズキンズキンと胸が痛む。喉がカラカラに乾く。身体中がヒリヒリとする。手が痺れて震える。
息が.......吸えない。
もう.................
もういい...............
もう...............
私はふらりと立ち上がり来た道を.........冷えて痛む胸を押さえ、フラつきながら戻る。
後ろから女の笑い声が聞こえた。
彼の声は............しなかった。
シャルは私の肩を支えながらゆっくりと歩いてくれる。
雑木林を抜けると隣国の兵士に囲まれていた。花のトンネルは壊され火を放たれ燃え上がっていた。
その兵士の中から1人若い暗い金髪の服装が華美な太った男が進み出てくる。ニヤニヤと下卑た笑いを湛えて。
「どうした大地の娘よ?夫にでも裏切られたか?」
シャルが剣を構える。
「.................」
「これでなんの憂いもなく我が国に来れるだろ?心配するな。お前はわたしが可愛がってやるからな。男を知った体だ。疼いて寂しいだろう?」
「......何が.......欲しいの?この力が欲しいの?」
「勿論だ。その力があれば世界を御するのも夢じゃない。そうだろ?」
「分かったわ。じゃあ.................あげる」
涙が溢れ落ちる。流れ続ける
悲しみで胸が焼ける
悔しさで燃え上がる
ああ、下らない。下らない愚か者共
私は両腕を前に突き出し自分の力を.....
「お前たちに分け与えよう。強欲なお前達に。卑劣な愚者ども。私のように苦しめば良い。子々孫々この魔力によって.................苦しめぇ!!」
解放した。
大地から魔力を吸い上げる。それを一気に解き放った。それは無数の人の中に入り込み身体を駆け巡る。
この地に暮らす領民以外隣国の兵士へ広範囲へ届くように。遠くまで魔力を広げた。細かい事など考えなかった。
しばらくした後、私はゆっくりと辺りを見回す。そこには魔力によって体の中から破壊された者達が呻き声を上げ倒れ伏していた。
「魔力が欲しいんでしょ。これで生き残れば術でも使えるようになるわよ。.....きっと」
私はそう言うと、足元に倒れた白髪の剣士を見た。
「ごめんなさいシャル。巻き込んで。今治すから」
「.................シ......ラ様」
「大丈夫。この領地の傷ついた人達は治療しておくから。こんな魔力なんて必要ないからね。ごめんなさい。貴方は.....近くに居過ぎて魔力を持ってしまうかも知れないけど、許してね」
私はシャルを治療し、そのまま眠らせた。累々と倒れ込んだ隣国の兵士達の間を通り過ぎ村に戻る。
村の入り口で再び両手を広げて領民へ向け広範囲に治療と要らない魔力は大地に返した。
(.........皆んな....ごめんなさい.........)
私はそのまま村を出る。
途中で兵士が持っていただろう短い剣を拾い上げた。
月明かりを受け鈍い光が顔を照らす。
私はぎゅっと目を閉じ笑った。
ああ。これで..良い
足を引きずり砂地を歩く。
赤く染めた糸で婚礼の帯を半年掛けて刺繍した。毎日毎日。薬を作る合間に少しずつ。手がボロボロになった。でもそれすら嬉しくて、待ち遠しくて.........
婚姻して5日。
あの日、花の中2人で歩いたこの道を
今度は1人で歩いて行く。
先程までの戦闘の音や悲鳴は消え去り、静寂が支配していた。春の夜の風は生暖かくて、何かが燃える匂いと草の青い匂いを乗せて私の足に絡みつき、行く先を拒んでいる。
(わかってる。でも....もう.......いいの)
目指すのはあの大木のある丘。全てはあそこから始まったから。
彼と出会ったあの場所へ
小さな花が咲くあの場所へ
彼に恋した.........あの場所へ
ポロポロと涙が溢れては落ちて行く。
ごめんなさい。弱くて
ごめんなさい。父さん母さん
こんな力いらなかった
この力で私は.........愛した人を失った
青く瑞々しい草を踏み、丘まで登った私は最後にもう一度魔力を解放した。それはこの土地で暮らす皆に祝福と感謝を込めて。
『花を.......咲かせましょう。枯れない花を。いつでも癒されるように。いつでも心穏やかに過ごせるように』
ごめんなさい.........さよなら
丘いっぱいに一斉に咲き始める色とりどりの優しい花の中で
私は1人
剣で胸を突いた。
最後に目に映ったのは.........私の血に塗れた真っ赤な.........可哀想な花だった。
****
「.................」
「............これがもう1人のわたくし。シーラの記憶です」
「.........先に謝っとくな。ごめん」
そう言うと、レジンはベッドから立ち上がり椅子に座るミリアーナの背後に立つ。そのままミリアーナの顔の前で腕を交差させて薄紫色の髪を湛えた頭に顔を埋め抱き締めた。
「.......もう.........なんだよ。それ。もう.......」
「.................」
「何を怒れって言うんだよ」
「.................」
「兎に角、これからは幸せになるんだ。いや、曖昧か。家族を作るんだ。大丈夫。ずっと愛されて行けるから。何なら俺なんてどう?絶対裏切らないから。一生愛し抜く自信がある」
ミリアーナの瞳からポロポロと涙が溢れる。
「ありがとうございますレジン様。ふふ」
「.....マジで言ってるから。聞き流さないで」
「え?」
「選択肢の1つだよ。だが、これだけは言っとく。本気だから。後、ここの生まれ変わりの王太子には絶対やらんからな!間違っても惹かれないように。ダヤンか俺以外は認めないから。わかった?」
「.......は..........はい」
「良し!じゃあ、決着付けに行こうか」
ミリアーナから体を離し、んーっと背伸びをする。
そしてレジンは.........
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