92 / 110
第八章 あなたと選択
127.忘れられない日〜大人へ
しおりを挟む
大公はマリアンヌとネリオスを連れ転移の術でアギルに先に帰る。マリアンヌを医者に見せる為と本日の後始末と、そして明日の婚姻式について采配する為に。
開けた場所に降り立っていたオーガリオは楔が消えた事でまた宙界へと戻ると言う。
『ではな、大地の娘達。私も早く帰ってクリスオーラを迎えに行かねば』
「オーガリオ様の番様はやっぱり大きい方なんですか?」
『クリスオーラは人型だ。大きくはない』
「な!何ですって!.................い、いえ。もうなんでも有りな気がします」
『ふふ。宙界では私の形など何とでもなるからな。大地の娘達よ。どうか息災で。君達の悲しみは大地の悲しみ。憂いを晴らす為大地は籌策していた。我々も楽しみにしているよ。君達の未来を」
「..........でも、大地の管理者様は......」
『その内成る可くして成る。心配する必要はない。ああ、楽しみだ。ふふふ』
オーガリオはそう言うと大きな翼を広げ、足で地を蹴り上げる。スッと空に舞い上がり翼を2、3回はためかせた。
『さらばだ。大地の娘達。またな』
「はい、オーガリオ様もお元気で!ありがとうございました!ラン様やクリスオーラ様にもお礼申し上げます!さようなら!」
『ああ』
そうして宙界の管理者オーガリオは帰って行った。
*
「ミア」
ダヤンがゆっくりと歩み寄る。
「ダヤン様...........帰りましょう。アギルへ。お式........無茶苦茶にしてしまいました。ごめんなさい」
シュンとするミリアーナ。
「君の所為だと思ってるの?違うよ。半分はユリオで半分は父上の所為だ。俺は........俺の所為でもあるな。家族と距離を取っていた。知ろうとしなかった。そのツケが来たんだ。これはマクロサーバス家の者の罪だよ。年単位で後始末をしないとな」
ダヤンは一旦言葉を切り、眉を下げミリアーナを見る。
「ミア。君を巻き込んでしまった。俺の存在が。盾に成るべき俺が君を危険に晒した。これからも.......でも、もう離せない。離したくない。ミア、俺と夫婦になってくれる?」
ミリアーナはダヤンの顔を見上げキョトンとする。
「.........ダヤン様酷いですわ。わたくしの心を疑うのですか?わたくしだって......魔術師の貴方でも公爵家の跡取りでもない、ただのダヤン様が好きなんです。貴方の優しさも誠実さも真っ直ぐな所や.....少しイヤラシイ所も、ふふ。全部好き。これから来る困難な事にだって負けません。お互い様ですわ。だから2人で。2人なら」
ミリアーナはダヤンの頬を柔らかく撫でる。
「それだけで幸せなんです」
そう言ってニコリと微笑んだ。
「.....うん。俺も」
ダヤンもふわりと嬉しげに笑う。
「ダヤン~~鳥さん帰ったか?行こうぜー」
レジンはオーガリオが飛び去った夕暮の空を眺め歩きながら声を掛けてくる。
「ああ。行こう。待たせたな。レジン。お前まだ話して無い事無いだろうな?もう、今話しとけよ。全部受け入れてやる」
「ふーん?じゃあ、ミリアーナと2人で話したいんだけど良いか?」
「調子乗るなよ?」
レジンの頬をぎゅむッと掴むダヤン。
「........良いですよ。帰ったら慌ただしいかと思いますし。わたくしも..........レジン様の話が聞きたいです」
グッと詰まるダヤン。口をパクパクするが、諦めた様にふうっと息を吐き、やがてレジンの頬を離す。
「........変な事するなよ?燃やすぞ」
ダヤンはそのまま踵を返し大木の有る丘の方へ1人歩いて行ってしまった。
「........へえ」
その様子を見ながらレジンはふふっと笑う。
「ダヤン様、変わりましたか?」
「そうだな。何やかんやあったけど飲み込めたのか、落ち着いたな」
「明日は婚姻式と戴冠式で爵位授与ですか。わたくし達も、大人になるんですね。レジン様」
「.........ああ。3人して同じ歳なんてな。成長具合が判って面白いな。自慢じゃ無いが俺達年齢以上の困難を乗り越えて来てると思うぞ?」
「ふふっ。ええ。その通りですね。レジン様。ありがとうございました。貴方が居なければ今のダヤン様もわたくしも居なかったでしょう。《花の聖女》、シーラも自らの罪の贖罪に挑む勇気が持てたのです。貴方があの時シーラを救ったのですよ。彼女は........いえ。良かったです。少しずつですがこの世界からいずれ魔力は無くなって行くでしょう。魔力過多症の方達も」
「そうか。済んだんだな」
「実はまだ終わってませんの」
「え?まだ?後、何が残ってるんだ?」
「大地の管理者様に会わねばなりません。ですが.................」
「管理者?」
「ですが、まだいらっしゃらないそうなのです」
「え?」
「シャルの魂を大地に還す為には大地と妖精界と宙界の3界の管理者様に『許し』の証を受け取って頂かねばなりません。シーラはどうしてもシャルを助けたいと《妖精王》様にお願いしました。シャルは長い年月をシーラに会う為だけに費やし、漸く見つけましたが大地の強い力が不幸を呼ばないようにと魂を分け彼女を護ったのです。彼は既に魂の磨耗によって存在出来なくなる手前でした。妖精を犠牲にして命を存えた罪の為、魂も消滅するはずでしたが、シーラは彼の魂の存続を願い今、二つ証を受け取って頂いてるのです」
「シーラはシャルが好きなのか?」
「.................恋や異性としてと言う意味で言うなら違うかと。彼はとてもシーラを大事に想っていて下さいました。とても優しくて。純粋で。真っ直ぐで。胸が痛くなるほど。ですが愛されるその想いに心は追いついてはいません。彼女は今.......あまり話すと怒られてしまいます。ふふっ」
「ミリアーナ.........俺は君が好きだった。けどさ、ダヤンの君を想う気持ちに敵わないんだよな。そのシャルって奴にしろ無償の愛の度合いが半端ない。俺は自分の立場が解ってる。憧れるけど、出来るか解らない。いや、何もかも捨て切れ無い。君を........君の心を手に入れるには半端じゃダメなんだ」
「レジン様」
「でも、ありがとう。出会ってくれて。君に出会えたからここまで来れた。魔力過多症の事も。俺はシーラを恨んで無いよ。逆に幸せにしてやりたいと思ったくらいだ。俺の双子の妹は魔力過多症で儚くなったけどきっと許してくれるよ。またいつかあいつに会えたらちゃんと説明しとくから」
「.................」
「ミリアーナ。これで終わりにする。悪かったな、付き合わせて。ありがとうな。じゃ、行こうか」
「.................はい。レジン様。わたくしこそありがとうございました。あ、そうだレジン様」
「ん?」
「手を繋ぎましょう」
「え!」
「あの大木まで。きっと明日からはわたくし達大人になりますから。最後の思い出に。そうだ、ダヤン様とも繋いで下さいませ!」
「い、いや、ミリアーナ?それは.........えっと」
ミリアーナは問答無用でレジンの左手を握る。するとダヤンが鬼の形相で転移して来る。
「レジン!お前何手なんか繋いで「はい、ダヤン様も繋ぎましょう?」るん.................何で?」
「ふふっだって何だか楽しいじゃ有りませんか。ふふふっ」
「ミア........」
「.....ほれ、ダヤン。繋ぐ?」
右手を差し出す。レジンは受け入れたようだ。
「馬鹿。出来るか!」
「8歳の時は繋いでたぜ?ふふっ」
「あれは転移の術の為だっただろ。まだ不安定だったし........ちゃんと握ってないとどっかに飛ばされるから。て、よく覚えてるな」
「ほら、早く。ダヤン様。もう、しようがないですね。わたくしと繋ぎますか?」
「........なんか悔しいんだけど」
ダヤンはそう言いながらミリアーナと手を繋いだ。
「あの大木まで。ハサルの花を見ながら行きましょう。きっと忘れられない日になります。そうだ。レジン様の誕生日パーティーでハサルの花束を差し上げましたね」
3人は並んでゆっくりと歩いて行く。
「あれな。花で全然顔見えなくてちょっと笑ったよ」
「ミアは小さかったから」
「割と最近まで小さかったんですけどね」
「可愛いかったよ。ふわふわしてて。ビックリすると固まって。婚約式の時もプルプルしてたな」
「ユリオにちょっかい出されてたからな。全くあの頃から節操が無い奴だった」
右手がレジンで左手がダヤン。ミリアーナは2人の暖かい手に包まれて涙が出そうになるのを喉の奥で堪えていた。
「何かさ、後1ピース。埋まって無い気がするんだわ。何だろな。色々有り過ぎて判らないだけかな?」
「俺は容量とっくに超えてるから。でも、そうだな。明日全て揃うんじゃ無いか?ただの感だけど」
「そうだと良いですね。あ、そうだ!わたくし今日18歳になりましたよ?お2人より少しお姉さんです。ふふ」
「そうだ。アギルに置いて来たな、プレゼント。後で渡すから。ごめんな?」
「俺は.........止めとく。その代わり」
レジンは繋いだミリアーナの手を持ち上げ甲にキスをした。
「!!!こら!」慌てるダヤン。
「誕生日おめでとう。ミリアーナ。これからもよろしくな?」
微笑むレジン。
「はい。レジン様。こちらこそ」
ニコリと笑うミリアーナ。
「くっそ!先越された。今日はもう酒飲もうかな!」
「ぶっ!ふはははは。ダヤンが可愛い過ぎる」
「ふふふふふっ。もう、ダヤン様。ふふふ」
こうして大木のある丘まで3人は手を繋いで笑いながら歩いた。掛け替えの無い出会いに感謝をしながら。
子供の時代に別れを告げた今日と言う日を。
辛い過去世の思い出のある丘を愛しい記憶に替えて。
脳裏に焼き付かせるように赤い赤いハサルの花が一斉に風でふわりふわりと優しく揺れていた。
開けた場所に降り立っていたオーガリオは楔が消えた事でまた宙界へと戻ると言う。
『ではな、大地の娘達。私も早く帰ってクリスオーラを迎えに行かねば』
「オーガリオ様の番様はやっぱり大きい方なんですか?」
『クリスオーラは人型だ。大きくはない』
「な!何ですって!.................い、いえ。もうなんでも有りな気がします」
『ふふ。宙界では私の形など何とでもなるからな。大地の娘達よ。どうか息災で。君達の悲しみは大地の悲しみ。憂いを晴らす為大地は籌策していた。我々も楽しみにしているよ。君達の未来を」
「..........でも、大地の管理者様は......」
『その内成る可くして成る。心配する必要はない。ああ、楽しみだ。ふふふ』
オーガリオはそう言うと大きな翼を広げ、足で地を蹴り上げる。スッと空に舞い上がり翼を2、3回はためかせた。
『さらばだ。大地の娘達。またな』
「はい、オーガリオ様もお元気で!ありがとうございました!ラン様やクリスオーラ様にもお礼申し上げます!さようなら!」
『ああ』
そうして宙界の管理者オーガリオは帰って行った。
*
「ミア」
ダヤンがゆっくりと歩み寄る。
「ダヤン様...........帰りましょう。アギルへ。お式........無茶苦茶にしてしまいました。ごめんなさい」
シュンとするミリアーナ。
「君の所為だと思ってるの?違うよ。半分はユリオで半分は父上の所為だ。俺は........俺の所為でもあるな。家族と距離を取っていた。知ろうとしなかった。そのツケが来たんだ。これはマクロサーバス家の者の罪だよ。年単位で後始末をしないとな」
ダヤンは一旦言葉を切り、眉を下げミリアーナを見る。
「ミア。君を巻き込んでしまった。俺の存在が。盾に成るべき俺が君を危険に晒した。これからも.......でも、もう離せない。離したくない。ミア、俺と夫婦になってくれる?」
ミリアーナはダヤンの顔を見上げキョトンとする。
「.........ダヤン様酷いですわ。わたくしの心を疑うのですか?わたくしだって......魔術師の貴方でも公爵家の跡取りでもない、ただのダヤン様が好きなんです。貴方の優しさも誠実さも真っ直ぐな所や.....少しイヤラシイ所も、ふふ。全部好き。これから来る困難な事にだって負けません。お互い様ですわ。だから2人で。2人なら」
ミリアーナはダヤンの頬を柔らかく撫でる。
「それだけで幸せなんです」
そう言ってニコリと微笑んだ。
「.....うん。俺も」
ダヤンもふわりと嬉しげに笑う。
「ダヤン~~鳥さん帰ったか?行こうぜー」
レジンはオーガリオが飛び去った夕暮の空を眺め歩きながら声を掛けてくる。
「ああ。行こう。待たせたな。レジン。お前まだ話して無い事無いだろうな?もう、今話しとけよ。全部受け入れてやる」
「ふーん?じゃあ、ミリアーナと2人で話したいんだけど良いか?」
「調子乗るなよ?」
レジンの頬をぎゅむッと掴むダヤン。
「........良いですよ。帰ったら慌ただしいかと思いますし。わたくしも..........レジン様の話が聞きたいです」
グッと詰まるダヤン。口をパクパクするが、諦めた様にふうっと息を吐き、やがてレジンの頬を離す。
「........変な事するなよ?燃やすぞ」
ダヤンはそのまま踵を返し大木の有る丘の方へ1人歩いて行ってしまった。
「........へえ」
その様子を見ながらレジンはふふっと笑う。
「ダヤン様、変わりましたか?」
「そうだな。何やかんやあったけど飲み込めたのか、落ち着いたな」
「明日は婚姻式と戴冠式で爵位授与ですか。わたくし達も、大人になるんですね。レジン様」
「.........ああ。3人して同じ歳なんてな。成長具合が判って面白いな。自慢じゃ無いが俺達年齢以上の困難を乗り越えて来てると思うぞ?」
「ふふっ。ええ。その通りですね。レジン様。ありがとうございました。貴方が居なければ今のダヤン様もわたくしも居なかったでしょう。《花の聖女》、シーラも自らの罪の贖罪に挑む勇気が持てたのです。貴方があの時シーラを救ったのですよ。彼女は........いえ。良かったです。少しずつですがこの世界からいずれ魔力は無くなって行くでしょう。魔力過多症の方達も」
「そうか。済んだんだな」
「実はまだ終わってませんの」
「え?まだ?後、何が残ってるんだ?」
「大地の管理者様に会わねばなりません。ですが.................」
「管理者?」
「ですが、まだいらっしゃらないそうなのです」
「え?」
「シャルの魂を大地に還す為には大地と妖精界と宙界の3界の管理者様に『許し』の証を受け取って頂かねばなりません。シーラはどうしてもシャルを助けたいと《妖精王》様にお願いしました。シャルは長い年月をシーラに会う為だけに費やし、漸く見つけましたが大地の強い力が不幸を呼ばないようにと魂を分け彼女を護ったのです。彼は既に魂の磨耗によって存在出来なくなる手前でした。妖精を犠牲にして命を存えた罪の為、魂も消滅するはずでしたが、シーラは彼の魂の存続を願い今、二つ証を受け取って頂いてるのです」
「シーラはシャルが好きなのか?」
「.................恋や異性としてと言う意味で言うなら違うかと。彼はとてもシーラを大事に想っていて下さいました。とても優しくて。純粋で。真っ直ぐで。胸が痛くなるほど。ですが愛されるその想いに心は追いついてはいません。彼女は今.......あまり話すと怒られてしまいます。ふふっ」
「ミリアーナ.........俺は君が好きだった。けどさ、ダヤンの君を想う気持ちに敵わないんだよな。そのシャルって奴にしろ無償の愛の度合いが半端ない。俺は自分の立場が解ってる。憧れるけど、出来るか解らない。いや、何もかも捨て切れ無い。君を........君の心を手に入れるには半端じゃダメなんだ」
「レジン様」
「でも、ありがとう。出会ってくれて。君に出会えたからここまで来れた。魔力過多症の事も。俺はシーラを恨んで無いよ。逆に幸せにしてやりたいと思ったくらいだ。俺の双子の妹は魔力過多症で儚くなったけどきっと許してくれるよ。またいつかあいつに会えたらちゃんと説明しとくから」
「.................」
「ミリアーナ。これで終わりにする。悪かったな、付き合わせて。ありがとうな。じゃ、行こうか」
「.................はい。レジン様。わたくしこそありがとうございました。あ、そうだレジン様」
「ん?」
「手を繋ぎましょう」
「え!」
「あの大木まで。きっと明日からはわたくし達大人になりますから。最後の思い出に。そうだ、ダヤン様とも繋いで下さいませ!」
「い、いや、ミリアーナ?それは.........えっと」
ミリアーナは問答無用でレジンの左手を握る。するとダヤンが鬼の形相で転移して来る。
「レジン!お前何手なんか繋いで「はい、ダヤン様も繋ぎましょう?」るん.................何で?」
「ふふっだって何だか楽しいじゃ有りませんか。ふふふっ」
「ミア........」
「.....ほれ、ダヤン。繋ぐ?」
右手を差し出す。レジンは受け入れたようだ。
「馬鹿。出来るか!」
「8歳の時は繋いでたぜ?ふふっ」
「あれは転移の術の為だっただろ。まだ不安定だったし........ちゃんと握ってないとどっかに飛ばされるから。て、よく覚えてるな」
「ほら、早く。ダヤン様。もう、しようがないですね。わたくしと繋ぎますか?」
「........なんか悔しいんだけど」
ダヤンはそう言いながらミリアーナと手を繋いだ。
「あの大木まで。ハサルの花を見ながら行きましょう。きっと忘れられない日になります。そうだ。レジン様の誕生日パーティーでハサルの花束を差し上げましたね」
3人は並んでゆっくりと歩いて行く。
「あれな。花で全然顔見えなくてちょっと笑ったよ」
「ミアは小さかったから」
「割と最近まで小さかったんですけどね」
「可愛いかったよ。ふわふわしてて。ビックリすると固まって。婚約式の時もプルプルしてたな」
「ユリオにちょっかい出されてたからな。全くあの頃から節操が無い奴だった」
右手がレジンで左手がダヤン。ミリアーナは2人の暖かい手に包まれて涙が出そうになるのを喉の奥で堪えていた。
「何かさ、後1ピース。埋まって無い気がするんだわ。何だろな。色々有り過ぎて判らないだけかな?」
「俺は容量とっくに超えてるから。でも、そうだな。明日全て揃うんじゃ無いか?ただの感だけど」
「そうだと良いですね。あ、そうだ!わたくし今日18歳になりましたよ?お2人より少しお姉さんです。ふふ」
「そうだ。アギルに置いて来たな、プレゼント。後で渡すから。ごめんな?」
「俺は.........止めとく。その代わり」
レジンは繋いだミリアーナの手を持ち上げ甲にキスをした。
「!!!こら!」慌てるダヤン。
「誕生日おめでとう。ミリアーナ。これからもよろしくな?」
微笑むレジン。
「はい。レジン様。こちらこそ」
ニコリと笑うミリアーナ。
「くっそ!先越された。今日はもう酒飲もうかな!」
「ぶっ!ふはははは。ダヤンが可愛い過ぎる」
「ふふふふふっ。もう、ダヤン様。ふふふ」
こうして大木のある丘まで3人は手を繋いで笑いながら歩いた。掛け替えの無い出会いに感謝をしながら。
子供の時代に別れを告げた今日と言う日を。
辛い過去世の思い出のある丘を愛しい記憶に替えて。
脳裏に焼き付かせるように赤い赤いハサルの花が一斉に風でふわりふわりと優しく揺れていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる