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第八章 あなたと選択
133.5つの選択⑴
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「.................!」
「さあ、こちらにおいで。『選択する者』よ」
(選択?)
レジンは一拍間、意を決し、ゆっくりと玉座の前を目指して歩く。勿論意味は分からない。この白い男が《妖精王》だと呼ばれていたのは聞いた。レジンは固まっている王太子をチラリと見ながら横を通り過ぎ、白い男の前まで移動する。
「これから君は5つの選択をする」
「5つ?」
「まず一つ目。この選択をやるかやらないか」
「!」
「どうする?『選択する者』よ」
「散々『選択する者』とか呼んどいて、やるかやらないか聞くとか.........意地が悪いな」
「ふふ」
「ミリアーナが泣いてる原因は管理者とか言うのに証を渡せないからだろ?俺が選択しなければ進まないのか?」
「そうだよ。レジン・バドワージウ。君の選択次第だ」
「何でだよ。どう言う意味が........」
「.......やるのか、やらないのか。答えると良い。選択とはそう言う事だ」
「ーーーっ!.................やるよ。何を選択させるつもりか知らないが、避けて通れない事は判ってる」
「そうか、やるか。では続けよう。第二の選択だ」
「大地の管理者に成るか、成らないか」
「は?」
「《妖精王》様........?」
ミリアーナが目を剥いた。
「.................いや、それって.......。俺は何も特別な力は無いぞ?出来ないだろ?何するのか知らないけど」
「何故特別な力がいるのか。そのようなものは君には必要無いよ」
「ええ?要らないのか?」
「必要無い。さあ、選ぶのだ。成るか、成らないか」
「.................ああ、もう!選ばす気あるのか?解らん事だらけだろ!くそっ......」
「どうする?成らないのなら此処で終わりだ」
「くっ.........良いよ。成るよ。管理者に成る。何をさせたいのか知らないが、このまま終われない」
「ふふ。そうか。さあ、じゃあ、第三の選択だ」
「シーラの身体を地上に出現させるか、させないか」
「!!」
「え?そんな事出来るのですか?」
ミリアーナが叫んだ。
「それを決めるのは彼だけだ」
「それなら................「ただし.........」」
「管理者の彼から寿命を16年分貰う事になる」
ミリアーナは言葉を失う。
「な、何故.................」
「言っただろう?管理者にキツイ罰を与えて貰おうと」
「寿命を取るなんて!それが罰だと言うのですか?」
「そうだよ。シャルの魂を助けたいのだろう?それには大地の管理者に『許し』の証を受け取って貰わねばならない。だが、ミリアーナ1人では証は作れない。シーラの身体が必要だ。だが、簡単では無い。管理者より寿命を抜き取りシーラの身体に吹き込む。これこそが君達への罰。【奪い取ると言う罰】なのだ。そして、その選択は、寿命を与える彼だけが出来る選択」
ミリアーナはガクリと泣き崩れた。
また、また不幸にするのだ。シャルの魂は助けたい。だがレジンの寿命を奪ってしまう。そんな事出来る訳が無い。
「わたくしの........わたくしの寿命を...........使って.......」
「それでは罰にならないだろう?」
「うううぅぅーーー」
「こらこら。あんまりいじめるな。折角綺麗にしてるのにぐしゃぐしゃじゃないか。式はまだなんだぞ」
レジンはミリアーナの前まで行き胸元のポケットからハンカチを取り出し差し出した。
「なあ、ミリアーナ。俺の選択..........受け入れてくれ」
「う、うう、ダ、ダメ。ダメです。こんな、こんな酷い。貴方が、これ以上、何かを失う、必要は、何も.........無いのにぃ.....」
「いや。俺は既に選択したんだよ。大地の管理者とやらになるってな。だからもう、俺も当事者だ。構わない」
「決めたかね?シーラの身体出現させるか、否か」
「ああ。出現とやらしてくれ。妖精界にあるのか?」
「いいや」
「どこにあるんだ?」
「君は既に持っている」
「は?」
「私達が作った宝玉はシーラの宝玉。あの日、自ら死を選んでしまったシーラを失った大地を慰め、来世での約束と共に閉じ込めた.......シーラそのもの」
レジンは目だけを動かし胸元の魔力玉と宝玉を見やる。
「さあ、レジン・バドワージウ。寿命を貰おうか。シーラの為に。君は選択したんだよ。シーラを出現させる事を」
「ああ。構わない。やってくれ」
「ふふ。良いね。流石管理者だ」
「?」
そう言い終わると《妖精王》はレジンの胸元に手をやる。二つの玉に触れた。そして、小さく呟く。
「..........これはシーラなんだよ。私達の取りこぼした愛し子なんだ。.................君に預けるよ」
「え?」
その瞬間
パリンッと音を立て二つの玉が弾け飛んだ。
眩い光がレジンを包む。ぐっと目を閉じ堪える。次第に光が収まり、レジンはゆっくりと目を開けた。
ボンヤリした青緑色の光に包まれ宙に浮くそこには、
薄紫色の髪がふわふわと波打っている。
「シーラ.................シーラ.................」
ミリアーナは泣きながらそれを見つめた。
レジンは息を飲む。
身長はミリアーナよりも少し低い。まだ少女を脱したばかり。目を閉じた姿であっても可憐な儚い美しさが判る。肌は透けるように白く、華奢で薄い肩。触ったら壊れそうだ。
16年分のレジンの寿命と引き換えに16歳の姿のシーラの身体が目の前に出現したのだ。
だが同時にレジンは眉を寄せる。
胸の真ん中に深く突き刺さる短剣が、今尚彼女の身体を貫いていた。
「宝玉に閉じ込めていた身体を出現させたよ。どうだい?可愛いし美しいだろ?」
「....ああ。そうだな。だが.............似つかわしく無い物が刺さってるじゃないか」
「それは我々では抜けないのだよ。シーラの魂までも傷を付けた悲しみの象徴。だが、それを抜かなければ魂は戻らない。抜け殻のままさ」
「俺が抜くのか?」
「抜ければね」
「...........抜ける条件が有るのか?」
「シーラが望めば」
「.................」
レジンは目の前に浮く少女にそっと語りかけた。
「.................シーラ。お前はどうしたい?シャルって奴を助けたいんだろ?.................戻って来いよ」
レジンはそう言うと短剣の柄に手をやる。
「こんな細いか弱い女の子が自分で胸に刺すなんて。本当間違ってるわ。.......なあ、シーラ。俺が抜いてやる。俺に抜かせてくれよ」
「俺に君を救わせてくれ」
レジンは柄を持つ手に力を入れ、
一気に引いた。
それは少しの抵抗も無く、シーラの胸からズルリと抜ける。
引き抜いた短剣が切っ先からボロボロと崩れやがて塵になり消えていった。
「ふふ。やはり君は管理者に相応しいな」
《妖精王》は泣きながら見つめていたミリアーナに歩み寄る。
「さあ、シーラ。おいで。君を救う為に大地の管理者が命を分けてくれたよ。泣いてばかりではいけない。君にはする事があるだろう?」
そう言うと《妖精王》はミリアーナに手をかざす。同時にミリアーナから淡い白いモノがふんわりと抜け出てくる。
「あ.................ああ」
ミリアーナは胸を押さえ蹲った。ダヤンは跪き、ミリアーナを抱き起す。
「ミア、大丈夫か?」
「ああ.................シー.......ラが」
そう呻くミリアーナの姿に徐々に変化が起こる。
右の顔の横の髪の色が一房だけミルクティー色に変わって、顔も以前のミリアーナが成長したような作りに変わっていった。物語の中の精霊の様な美しさはそのままだ。身体もほぼ変わらない。
「ミアの髪が..........」
「ダヤン様。わたくしの中のシーラが.......」
「.........うん」
「身体があるんだ。二つに分けられるよ。さあ、お帰り」
《妖精王》がそう言うと、淡い青緑に包まれたシーラの身体に白く淡く光るモノが入って行く。胸に空いた穴を徐々に塞いでやがて全て身体の中に納まると浮いていた身体が重みで下に下がって行く。レジンが慌てて両手を出し横抱きにする。その身体は....温かかった。
「あ...........生きてる。軽っ!細!」
思わずレジンが声を上げる。
「........ふ........ぅ.................あ」
「! ........シーラ!」
シーラの色の無い唇が徐々に色をつけて行き薄く開かれた隙間から少女の声が溢れ出す。薄っすらと長い睫毛が開いて何度か瞬きをした。
そして漸く開かれた瞳を見てレジンは
「ああ。そうか。君の瞳の色だったんだな。魔力玉。透き通る青に濃い緑色が.......綺麗だな」
そう言って微笑んだ。
「さあ、こちらにおいで。『選択する者』よ」
(選択?)
レジンは一拍間、意を決し、ゆっくりと玉座の前を目指して歩く。勿論意味は分からない。この白い男が《妖精王》だと呼ばれていたのは聞いた。レジンは固まっている王太子をチラリと見ながら横を通り過ぎ、白い男の前まで移動する。
「これから君は5つの選択をする」
「5つ?」
「まず一つ目。この選択をやるかやらないか」
「!」
「どうする?『選択する者』よ」
「散々『選択する者』とか呼んどいて、やるかやらないか聞くとか.........意地が悪いな」
「ふふ」
「ミリアーナが泣いてる原因は管理者とか言うのに証を渡せないからだろ?俺が選択しなければ進まないのか?」
「そうだよ。レジン・バドワージウ。君の選択次第だ」
「何でだよ。どう言う意味が........」
「.......やるのか、やらないのか。答えると良い。選択とはそう言う事だ」
「ーーーっ!.................やるよ。何を選択させるつもりか知らないが、避けて通れない事は判ってる」
「そうか、やるか。では続けよう。第二の選択だ」
「大地の管理者に成るか、成らないか」
「は?」
「《妖精王》様........?」
ミリアーナが目を剥いた。
「.................いや、それって.......。俺は何も特別な力は無いぞ?出来ないだろ?何するのか知らないけど」
「何故特別な力がいるのか。そのようなものは君には必要無いよ」
「ええ?要らないのか?」
「必要無い。さあ、選ぶのだ。成るか、成らないか」
「.................ああ、もう!選ばす気あるのか?解らん事だらけだろ!くそっ......」
「どうする?成らないのなら此処で終わりだ」
「くっ.........良いよ。成るよ。管理者に成る。何をさせたいのか知らないが、このまま終われない」
「ふふ。そうか。さあ、じゃあ、第三の選択だ」
「シーラの身体を地上に出現させるか、させないか」
「!!」
「え?そんな事出来るのですか?」
ミリアーナが叫んだ。
「それを決めるのは彼だけだ」
「それなら................「ただし.........」」
「管理者の彼から寿命を16年分貰う事になる」
ミリアーナは言葉を失う。
「な、何故.................」
「言っただろう?管理者にキツイ罰を与えて貰おうと」
「寿命を取るなんて!それが罰だと言うのですか?」
「そうだよ。シャルの魂を助けたいのだろう?それには大地の管理者に『許し』の証を受け取って貰わねばならない。だが、ミリアーナ1人では証は作れない。シーラの身体が必要だ。だが、簡単では無い。管理者より寿命を抜き取りシーラの身体に吹き込む。これこそが君達への罰。【奪い取ると言う罰】なのだ。そして、その選択は、寿命を与える彼だけが出来る選択」
ミリアーナはガクリと泣き崩れた。
また、また不幸にするのだ。シャルの魂は助けたい。だがレジンの寿命を奪ってしまう。そんな事出来る訳が無い。
「わたくしの........わたくしの寿命を...........使って.......」
「それでは罰にならないだろう?」
「うううぅぅーーー」
「こらこら。あんまりいじめるな。折角綺麗にしてるのにぐしゃぐしゃじゃないか。式はまだなんだぞ」
レジンはミリアーナの前まで行き胸元のポケットからハンカチを取り出し差し出した。
「なあ、ミリアーナ。俺の選択..........受け入れてくれ」
「う、うう、ダ、ダメ。ダメです。こんな、こんな酷い。貴方が、これ以上、何かを失う、必要は、何も.........無いのにぃ.....」
「いや。俺は既に選択したんだよ。大地の管理者とやらになるってな。だからもう、俺も当事者だ。構わない」
「決めたかね?シーラの身体出現させるか、否か」
「ああ。出現とやらしてくれ。妖精界にあるのか?」
「いいや」
「どこにあるんだ?」
「君は既に持っている」
「は?」
「私達が作った宝玉はシーラの宝玉。あの日、自ら死を選んでしまったシーラを失った大地を慰め、来世での約束と共に閉じ込めた.......シーラそのもの」
レジンは目だけを動かし胸元の魔力玉と宝玉を見やる。
「さあ、レジン・バドワージウ。寿命を貰おうか。シーラの為に。君は選択したんだよ。シーラを出現させる事を」
「ああ。構わない。やってくれ」
「ふふ。良いね。流石管理者だ」
「?」
そう言い終わると《妖精王》はレジンの胸元に手をやる。二つの玉に触れた。そして、小さく呟く。
「..........これはシーラなんだよ。私達の取りこぼした愛し子なんだ。.................君に預けるよ」
「え?」
その瞬間
パリンッと音を立て二つの玉が弾け飛んだ。
眩い光がレジンを包む。ぐっと目を閉じ堪える。次第に光が収まり、レジンはゆっくりと目を開けた。
ボンヤリした青緑色の光に包まれ宙に浮くそこには、
薄紫色の髪がふわふわと波打っている。
「シーラ.................シーラ.................」
ミリアーナは泣きながらそれを見つめた。
レジンは息を飲む。
身長はミリアーナよりも少し低い。まだ少女を脱したばかり。目を閉じた姿であっても可憐な儚い美しさが判る。肌は透けるように白く、華奢で薄い肩。触ったら壊れそうだ。
16年分のレジンの寿命と引き換えに16歳の姿のシーラの身体が目の前に出現したのだ。
だが同時にレジンは眉を寄せる。
胸の真ん中に深く突き刺さる短剣が、今尚彼女の身体を貫いていた。
「宝玉に閉じ込めていた身体を出現させたよ。どうだい?可愛いし美しいだろ?」
「....ああ。そうだな。だが.............似つかわしく無い物が刺さってるじゃないか」
「それは我々では抜けないのだよ。シーラの魂までも傷を付けた悲しみの象徴。だが、それを抜かなければ魂は戻らない。抜け殻のままさ」
「俺が抜くのか?」
「抜ければね」
「...........抜ける条件が有るのか?」
「シーラが望めば」
「.................」
レジンは目の前に浮く少女にそっと語りかけた。
「.................シーラ。お前はどうしたい?シャルって奴を助けたいんだろ?.................戻って来いよ」
レジンはそう言うと短剣の柄に手をやる。
「こんな細いか弱い女の子が自分で胸に刺すなんて。本当間違ってるわ。.......なあ、シーラ。俺が抜いてやる。俺に抜かせてくれよ」
「俺に君を救わせてくれ」
レジンは柄を持つ手に力を入れ、
一気に引いた。
それは少しの抵抗も無く、シーラの胸からズルリと抜ける。
引き抜いた短剣が切っ先からボロボロと崩れやがて塵になり消えていった。
「ふふ。やはり君は管理者に相応しいな」
《妖精王》は泣きながら見つめていたミリアーナに歩み寄る。
「さあ、シーラ。おいで。君を救う為に大地の管理者が命を分けてくれたよ。泣いてばかりではいけない。君にはする事があるだろう?」
そう言うと《妖精王》はミリアーナに手をかざす。同時にミリアーナから淡い白いモノがふんわりと抜け出てくる。
「あ.................ああ」
ミリアーナは胸を押さえ蹲った。ダヤンは跪き、ミリアーナを抱き起す。
「ミア、大丈夫か?」
「ああ.................シー.......ラが」
そう呻くミリアーナの姿に徐々に変化が起こる。
右の顔の横の髪の色が一房だけミルクティー色に変わって、顔も以前のミリアーナが成長したような作りに変わっていった。物語の中の精霊の様な美しさはそのままだ。身体もほぼ変わらない。
「ミアの髪が..........」
「ダヤン様。わたくしの中のシーラが.......」
「.........うん」
「身体があるんだ。二つに分けられるよ。さあ、お帰り」
《妖精王》がそう言うと、淡い青緑に包まれたシーラの身体に白く淡く光るモノが入って行く。胸に空いた穴を徐々に塞いでやがて全て身体の中に納まると浮いていた身体が重みで下に下がって行く。レジンが慌てて両手を出し横抱きにする。その身体は....温かかった。
「あ...........生きてる。軽っ!細!」
思わずレジンが声を上げる。
「........ふ........ぅ.................あ」
「! ........シーラ!」
シーラの色の無い唇が徐々に色をつけて行き薄く開かれた隙間から少女の声が溢れ出す。薄っすらと長い睫毛が開いて何度か瞬きをした。
そして漸く開かれた瞳を見てレジンは
「ああ。そうか。君の瞳の色だったんだな。魔力玉。透き通る青に濃い緑色が.......綺麗だな」
そう言って微笑んだ。
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