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第一章 「番」と「想い」
12.許さん!
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「おお。着いたか。早かったな」
ワインをグイッと煽る爺さん。
「早かったじゃねえよ!ジジイ。何してんだ!サラを連れて来るって言ってあっただろうが!こんなん見られたら泣いて逃げられるわ!!」
「お前じゃ無いんだから大丈夫だよ」
「大丈夫な訳あるか!おい!女共早く服着ろ!たくっエロジジイ。こんな森の中に引っ込んで何してるかと思えば良い歳こいて女侍らして。婆さんは知ってんのか?」
「まさか。バラして無いよ。知られたら殺される。たまに抜き打ちされるけど」
「しっかり怪しまれてるじゃねーか!全く懲りないな。ほら、胸揉んでないで爺さんも早く服ちゃんと着ろ!」
「アウィンはお堅いな~。息子ソックリ。風の血が流れてるのに。あれだよ?中では出せないけど口とか股は出せるんだからね?」
「馬鹿。新婚なんだよ。後、どんだけ忙しかったか。そんなどころじゃなかったし。倫理観破錠するような言動を身内にするんじゃねえ!」
俺はプリプリ怒りながらソファにドカリと座る。
爺さんはプラチナブロンドの長い髪を一つに括り髭を蓄えてはいるがかなり見た目は若い。男前と言うか優男。完全に俺は爺さん似だ。
神族は長命になるらしい。それは同時に.................伴侶も。婆さんもまだまだ元気だ。母に分けてやりたいくらい。
母は身体が丈夫では無いが俺を産んだ。耐えられないだろうと言われていたらしいが、相手が親父だったから何とかなった。神の血族だ。力が働いたのだろう。だがもう産めない身体になってしまった。罪の意識に囚われた親父は、それはもう母を大事にしてる。まあ、良い事だと思っている。俺だって........サラを。
「全くそんな事じゃ本来奔放な風の気質に反するじゃ無いか」
「じゃあ、なんで番なんてものが存在するんだよ?無けりゃ俺だって.................いや、この話は良いや。兎に角サラの前では普通にしてくれ。乱行パーティなんか始めたら切り刻んでやるからな」
「楽しいのに」
「このやろ!俺達の居ないとこでやってくれ」
「あ、そうそう、ちゃんと言っておかないと行けない事があったんだ。あんまり早く言うとアウィンは無茶しそうだったからさ。宣誓証出したんだよね?」
「ん?ああ。ちゃんと出した。何だ?」
「えっとね......凄く言い難いんだけど...。サラちゃんの事なんだけどね......」
「? サラ?サラが何かあったのか?」
俺は眉間に皺を寄せ聞き返した。
ん?
あれ?なんだか胸騒ぎがする。
チリッと左手が.................
ハッとして薬指の指輪を見る。
光ってる!?
「サラ!!」ガタンとソファから立ち上がり走り出した。扉を開け放ちサラの居る方へ走る。場所が判る。凄い。ちゃんと指輪着けといて良かった。いや、ちょっと待て!此処は爺さんの屋敷だぞ?何で?
俺は混乱しながらもサラの元へ走る。すると何やら前方の方からキャーとか止めてとか男女の叫ぶ声が多数聞こえてきた。あそこか!俺は風に混じり一気に長い廊下を駆け抜け件の部屋の中へ。
そこには
薙ぎ倒された侍女が2人。血塗れになって倒れた侍従が3人。奥に着ていたワンピースをビリビリに破られ胸を剥き出しにされ両手を2メートル級のごつい大男に掴まれ持ち上げられたサラの姿が。
相手は俺の眷族..........では無い!!
サラの右腕に切り傷が見えた。血が。
カッと頭に血が昇り、一瞬で首から下、腕を粉々に細切れにする。
「サラ!!」
崩れ落ちるサラを掠め取り血溜まり予定の場所から見えない所に離れた。
「バシャッ」と背後から音が鳴る。
サラの白い腕が赤くあざになっている。ガタガタと震え、目を開け放ち泣きながら固まっていた。声も出せない。ああ、何でこんな事.................くそ!俺も分からん。サラを胸に抱き込み近くにいた青い顔で震える侍女に怒鳴る。
「おい!何か羽織るものよこせ!それから誰か状況を説明しろ!」
ヤンが渋い顔で走って来る。ジジイも慌てて現れた。侍女から毛布を受け取りサラを包んで横抱きにする。辺りは騒然となる。
「兎に角今居る眷族の奴らに警備、不審者の捜索させろ。いくら引退したとは言え風の神族の館に入り込み俺の妻に暴行を働いたんだ。許される事では無い。どこの誰か調べろ」
俺は冷静にそう言い放ち離れた場所に新たな客室を用意させる。サラの部屋は残骸と血塗れになっているから。
サラは.................安心したのか泣きながら気を失っていた。
ああ.................くそ!くそ!許さん!俺の妻に傷を付けやがって。どこの誰だあいつは。.................いや、何か引っ掛かる。人間じゃないのは確かだ。今日の招待客は俺の眷族のみ。他には居ない。.................どこの眷族だ。
何処だろうと許さん。天に誓いし神族の伴侶に手を出したんだ。どう言うつもりか問い詰めてやる!
怒りで身体が震える。グウッと押さえ込む。今冷静にならなければ取り零す。サラを手当てしてから侍女を呼び着替えさせてベッドに寝かせた。右腕の切り傷と両腕の圧迫によるアザ以外は無事のようだ。
俺はサラの横に椅子を持って来て一部始終を見たと言う侍従に話を聞く。
その侍従も怪我をしたようで頭に包帯と左腕を三角帯で吊っていた。
ワインをグイッと煽る爺さん。
「早かったじゃねえよ!ジジイ。何してんだ!サラを連れて来るって言ってあっただろうが!こんなん見られたら泣いて逃げられるわ!!」
「お前じゃ無いんだから大丈夫だよ」
「大丈夫な訳あるか!おい!女共早く服着ろ!たくっエロジジイ。こんな森の中に引っ込んで何してるかと思えば良い歳こいて女侍らして。婆さんは知ってんのか?」
「まさか。バラして無いよ。知られたら殺される。たまに抜き打ちされるけど」
「しっかり怪しまれてるじゃねーか!全く懲りないな。ほら、胸揉んでないで爺さんも早く服ちゃんと着ろ!」
「アウィンはお堅いな~。息子ソックリ。風の血が流れてるのに。あれだよ?中では出せないけど口とか股は出せるんだからね?」
「馬鹿。新婚なんだよ。後、どんだけ忙しかったか。そんなどころじゃなかったし。倫理観破錠するような言動を身内にするんじゃねえ!」
俺はプリプリ怒りながらソファにドカリと座る。
爺さんはプラチナブロンドの長い髪を一つに括り髭を蓄えてはいるがかなり見た目は若い。男前と言うか優男。完全に俺は爺さん似だ。
神族は長命になるらしい。それは同時に.................伴侶も。婆さんもまだまだ元気だ。母に分けてやりたいくらい。
母は身体が丈夫では無いが俺を産んだ。耐えられないだろうと言われていたらしいが、相手が親父だったから何とかなった。神の血族だ。力が働いたのだろう。だがもう産めない身体になってしまった。罪の意識に囚われた親父は、それはもう母を大事にしてる。まあ、良い事だと思っている。俺だって........サラを。
「全くそんな事じゃ本来奔放な風の気質に反するじゃ無いか」
「じゃあ、なんで番なんてものが存在するんだよ?無けりゃ俺だって.................いや、この話は良いや。兎に角サラの前では普通にしてくれ。乱行パーティなんか始めたら切り刻んでやるからな」
「楽しいのに」
「このやろ!俺達の居ないとこでやってくれ」
「あ、そうそう、ちゃんと言っておかないと行けない事があったんだ。あんまり早く言うとアウィンは無茶しそうだったからさ。宣誓証出したんだよね?」
「ん?ああ。ちゃんと出した。何だ?」
「えっとね......凄く言い難いんだけど...。サラちゃんの事なんだけどね......」
「? サラ?サラが何かあったのか?」
俺は眉間に皺を寄せ聞き返した。
ん?
あれ?なんだか胸騒ぎがする。
チリッと左手が.................
ハッとして薬指の指輪を見る。
光ってる!?
「サラ!!」ガタンとソファから立ち上がり走り出した。扉を開け放ちサラの居る方へ走る。場所が判る。凄い。ちゃんと指輪着けといて良かった。いや、ちょっと待て!此処は爺さんの屋敷だぞ?何で?
俺は混乱しながらもサラの元へ走る。すると何やら前方の方からキャーとか止めてとか男女の叫ぶ声が多数聞こえてきた。あそこか!俺は風に混じり一気に長い廊下を駆け抜け件の部屋の中へ。
そこには
薙ぎ倒された侍女が2人。血塗れになって倒れた侍従が3人。奥に着ていたワンピースをビリビリに破られ胸を剥き出しにされ両手を2メートル級のごつい大男に掴まれ持ち上げられたサラの姿が。
相手は俺の眷族..........では無い!!
サラの右腕に切り傷が見えた。血が。
カッと頭に血が昇り、一瞬で首から下、腕を粉々に細切れにする。
「サラ!!」
崩れ落ちるサラを掠め取り血溜まり予定の場所から見えない所に離れた。
「バシャッ」と背後から音が鳴る。
サラの白い腕が赤くあざになっている。ガタガタと震え、目を開け放ち泣きながら固まっていた。声も出せない。ああ、何でこんな事.................くそ!俺も分からん。サラを胸に抱き込み近くにいた青い顔で震える侍女に怒鳴る。
「おい!何か羽織るものよこせ!それから誰か状況を説明しろ!」
ヤンが渋い顔で走って来る。ジジイも慌てて現れた。侍女から毛布を受け取りサラを包んで横抱きにする。辺りは騒然となる。
「兎に角今居る眷族の奴らに警備、不審者の捜索させろ。いくら引退したとは言え風の神族の館に入り込み俺の妻に暴行を働いたんだ。許される事では無い。どこの誰か調べろ」
俺は冷静にそう言い放ち離れた場所に新たな客室を用意させる。サラの部屋は残骸と血塗れになっているから。
サラは.................安心したのか泣きながら気を失っていた。
ああ.................くそ!くそ!許さん!俺の妻に傷を付けやがって。どこの誰だあいつは。.................いや、何か引っ掛かる。人間じゃないのは確かだ。今日の招待客は俺の眷族のみ。他には居ない。.................どこの眷族だ。
何処だろうと許さん。天に誓いし神族の伴侶に手を出したんだ。どう言うつもりか問い詰めてやる!
怒りで身体が震える。グウッと押さえ込む。今冷静にならなければ取り零す。サラを手当てしてから侍女を呼び着替えさせてベッドに寝かせた。右腕の切り傷と両腕の圧迫によるアザ以外は無事のようだ。
俺はサラの横に椅子を持って来て一部始終を見たと言う侍従に話を聞く。
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