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第三章 「獣人」と「覚醒」
57.容赦はしない!
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サラはシチューを堪能し、美味しさに感嘆の声をあげながら食事を終えた。
「サラ、部屋に戻ろうか。明日は昼から催しがあるから休んでおこう。多分俺は側に居られないし........日中途中で寝るのは難しいかも」
「そっか。そうだね。うん。アウィンも疲れたでしょ?ごめんね?ずっと抱っこしててくれたんだよね?」
「軽いし、風もあるから気にしないで良い」
「そう?うん。ミル様、ありがとうございました!とっても美味しかったです!シャザ様また明日。ゾーイ様、レイン様、ガイザック様、ゆっくり休んで下さいね?お先に失礼致します」
サラは立ち上がってニコリと微笑み俺のローブを羽織る。
「長くて引きずっちゃう」
裾を持ち上げ俺を見るサラ。包む用でサラが着るにはデカすぎる。
「俺のだからな。抱っこするよ。7階だしな」
「7階?高い所?」
「ああ。見た事無いだろ?ここは8階建ての宿なんだ。3日は滞在するから明日堪能しよう。屋上には露天風呂も有る」
「8階?屋上?露天風呂?何それ?」
「これから色々知っていけば良い。さあ行こうか」
「はい、アウィン!」
俺はローブごとサラを横抱きにして浮き上がる。
「.........まあ、そう言う事だ。もう、サラは女神になってる。完全かどうかは判らないが。俺は彼女の為に必ず《リンミン》を手に入れるぞ!全力で行くからな。掛かってくるなら容赦はしない!」
そう言うと俺は食堂から出て行った。
その後の事は次の日朝シャザから軽く聞いた。サラの【魅了】が解けた食堂の神族達は狐に摘まれたような顔をしていたらしい。だが、サラの存在が周知されてしまった。女神を手に入れようとする輩はなかなか居ないだろうが、中には危険な奴も存在するだろう。
水や火、土の奴らもその日は押し黙ったまま早々に部屋に戻って行ったそうだ。何を思ったのか。諦めて辞退してくれれば良いのだが。
俺達は自分達の部屋に戻って順番に風呂に入り床に着く準備をする。
「アウィン?どうしたの?」
「あー.........サラ。《リンミン》すぐ着けて。襲いそう.........」
「.........うん。でも.........」
「サラ、休めないから。えっとやっぱり【魅了】キツくなってるから。匂いまでしたらもう止まらん」
「.........そっか。休めないから.........。別々のベッドで寝るの?」
「その方が良いだろ?サラは壁際な」
「.................うん」
「サラ?」
「.........アウィン...私ね......鏡見たの」
「あ.........」
大分変わってるからな。衝撃だったかな?
「顔.........何だか違うの。光も強くなってるの。色も白くて違う人の手みたいなの。お、お胸もちょっと大きくなってるし.......お尻も。アウィン.........良かったのかな?アウィンはこれ好き?アウィンが良いなら.........良いんだけど」
サラは《リンミン》を塗りながら自身の両手を開げて眺める。戸惑っているんだ。そりゃそうだ。寝て起きたら姿が変わってるなんて。不安なんだな。
「サラ.....やっぱり二人で寝ようか。一つのベッド広いから落ちはしないだろう。嫌か?」
「アウィン.........うん!一緒に寝る」
嬉しそうに微笑むサラ。もう眩しいし.........可愛いな。目を細める。
変化があるのは判ってたんだ。今更俺が尻込みしてどうする。俺がサラを女神と言う大人にしたんだ。全部受け入れよう。女神の気には慣れるしかない。なら朝までに慣れてやる。
俺は壁際のベッドのシーツをまくり上げ身体を横たえた。
「サラ。来い」
「うん」
サラはベッドを膝で移動して俺の腕の中に収まる。白銀に変わった髪が俺の顔や首をくすぐった。愛しいサラ。俺を愛してくれるサラ。女神になっても変わらない。暖かい彼女を抱きしめる。ビリビリとした神力が触れた部分を刺激する。惚ける。胸が熱い。これが【魅了】。引っ張られる。脳が震えるようだ。身体が上手く動かない。
「アウィンの匂い.........《リンミン》着けてると判らなくて.........寂しい」
「.........サラ。俺もだよ。いつか要らなくなれば良いな」
「うん。アウィン。大好き。明日怪我しないでね?怖いな」
「大丈夫だよ。俺は強いぞ?ふふ。負ける気は全く無い」
「うん。アウィン。信じてる。私の神様」
「夫だろ?」
「ふふ。私の全部だよ」
「.........サラってば。俺を煽るの得意だな。だが今日は負けん!毎日したら.........お前の身体が保たないからな。日中寝ちまうと困るし。あの獣人神は信用出来ない。隙は見せるなよ?」
「隙?うん。」
「心配だ」
「ふふ。私女神なんでしょ?何とかなるよ」
「.........だと良いけど」
そんな話をつらつらしながらサラは眠りについた。俺は寝られないかと思ったが意外にも睡魔が訪れた。最初は【魅了】に抗うのにジワリと汗が滲んだ。だが、サラの微かな寝息を聞いているとふわふわ気持ちよくなってしまった。幸せな気持ちになる。これは【癒し】だ。
多分俺は他の奴よりサラの特性に耐性があるみたいだ。やっぱりパイかな?
そうして俺はまたあの夢を.........見る。
「サラ、部屋に戻ろうか。明日は昼から催しがあるから休んでおこう。多分俺は側に居られないし........日中途中で寝るのは難しいかも」
「そっか。そうだね。うん。アウィンも疲れたでしょ?ごめんね?ずっと抱っこしててくれたんだよね?」
「軽いし、風もあるから気にしないで良い」
「そう?うん。ミル様、ありがとうございました!とっても美味しかったです!シャザ様また明日。ゾーイ様、レイン様、ガイザック様、ゆっくり休んで下さいね?お先に失礼致します」
サラは立ち上がってニコリと微笑み俺のローブを羽織る。
「長くて引きずっちゃう」
裾を持ち上げ俺を見るサラ。包む用でサラが着るにはデカすぎる。
「俺のだからな。抱っこするよ。7階だしな」
「7階?高い所?」
「ああ。見た事無いだろ?ここは8階建ての宿なんだ。3日は滞在するから明日堪能しよう。屋上には露天風呂も有る」
「8階?屋上?露天風呂?何それ?」
「これから色々知っていけば良い。さあ行こうか」
「はい、アウィン!」
俺はローブごとサラを横抱きにして浮き上がる。
「.........まあ、そう言う事だ。もう、サラは女神になってる。完全かどうかは判らないが。俺は彼女の為に必ず《リンミン》を手に入れるぞ!全力で行くからな。掛かってくるなら容赦はしない!」
そう言うと俺は食堂から出て行った。
その後の事は次の日朝シャザから軽く聞いた。サラの【魅了】が解けた食堂の神族達は狐に摘まれたような顔をしていたらしい。だが、サラの存在が周知されてしまった。女神を手に入れようとする輩はなかなか居ないだろうが、中には危険な奴も存在するだろう。
水や火、土の奴らもその日は押し黙ったまま早々に部屋に戻って行ったそうだ。何を思ったのか。諦めて辞退してくれれば良いのだが。
俺達は自分達の部屋に戻って順番に風呂に入り床に着く準備をする。
「アウィン?どうしたの?」
「あー.........サラ。《リンミン》すぐ着けて。襲いそう.........」
「.........うん。でも.........」
「サラ、休めないから。えっとやっぱり【魅了】キツくなってるから。匂いまでしたらもう止まらん」
「.........そっか。休めないから.........。別々のベッドで寝るの?」
「その方が良いだろ?サラは壁際な」
「.................うん」
「サラ?」
「.........アウィン...私ね......鏡見たの」
「あ.........」
大分変わってるからな。衝撃だったかな?
「顔.........何だか違うの。光も強くなってるの。色も白くて違う人の手みたいなの。お、お胸もちょっと大きくなってるし.......お尻も。アウィン.........良かったのかな?アウィンはこれ好き?アウィンが良いなら.........良いんだけど」
サラは《リンミン》を塗りながら自身の両手を開げて眺める。戸惑っているんだ。そりゃそうだ。寝て起きたら姿が変わってるなんて。不安なんだな。
「サラ.....やっぱり二人で寝ようか。一つのベッド広いから落ちはしないだろう。嫌か?」
「アウィン.........うん!一緒に寝る」
嬉しそうに微笑むサラ。もう眩しいし.........可愛いな。目を細める。
変化があるのは判ってたんだ。今更俺が尻込みしてどうする。俺がサラを女神と言う大人にしたんだ。全部受け入れよう。女神の気には慣れるしかない。なら朝までに慣れてやる。
俺は壁際のベッドのシーツをまくり上げ身体を横たえた。
「サラ。来い」
「うん」
サラはベッドを膝で移動して俺の腕の中に収まる。白銀に変わった髪が俺の顔や首をくすぐった。愛しいサラ。俺を愛してくれるサラ。女神になっても変わらない。暖かい彼女を抱きしめる。ビリビリとした神力が触れた部分を刺激する。惚ける。胸が熱い。これが【魅了】。引っ張られる。脳が震えるようだ。身体が上手く動かない。
「アウィンの匂い.........《リンミン》着けてると判らなくて.........寂しい」
「.........サラ。俺もだよ。いつか要らなくなれば良いな」
「うん。アウィン。大好き。明日怪我しないでね?怖いな」
「大丈夫だよ。俺は強いぞ?ふふ。負ける気は全く無い」
「うん。アウィン。信じてる。私の神様」
「夫だろ?」
「ふふ。私の全部だよ」
「.........サラってば。俺を煽るの得意だな。だが今日は負けん!毎日したら.........お前の身体が保たないからな。日中寝ちまうと困るし。あの獣人神は信用出来ない。隙は見せるなよ?」
「隙?うん。」
「心配だ」
「ふふ。私女神なんでしょ?何とかなるよ」
「.........だと良いけど」
そんな話をつらつらしながらサラは眠りについた。俺は寝られないかと思ったが意外にも睡魔が訪れた。最初は【魅了】に抗うのにジワリと汗が滲んだ。だが、サラの微かな寝息を聞いているとふわふわ気持ちよくなってしまった。幸せな気持ちになる。これは【癒し】だ。
多分俺は他の奴よりサラの特性に耐性があるみたいだ。やっぱりパイかな?
そうして俺はまたあの夢を.........見る。
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