未完】風神アウィンの受難〜全属性神族の番になれる愛妻は女神らしい。いや、俺のだからな?〜

平川

文字の大きさ
65 / 114
第四章  「後悔」と「過去世」

65.ガッつき過ぎかな?

しおりを挟む
 全身を洗いっこしてイチャついた後、何とか我慢してサラに《リンミン》を塗り、食堂に向かった。

 サラは.........ちゃんと洗ってくれた。下.........。

 俺の理性強靭だよな.........。自分で自分を褒める。まあ、時間も無かったし。洗ってる間ずっとふやける程キスはしてたけど。朝も悪戯してるし、なんかガッつき過ぎかな?いや、新婚だし。
.........寝る時またイチャつこう。


「シャザ。お待たせ。風呂先入ってたんだ」
「ああ。良い匂いがする」
「俺の商会で扱ってる石鹸だよ。欲しかったら.........プレゼントでもするか?ふふ」
「.........取りに行くよ。この『勝ち抜き』が終わったら.........想いを伝える」
「ははは。良し!何でも用意してやるよ。必要な物言ってくれ。指輪は獣人には邪魔だろうから.........ピアスとか.........バングルやアンクルも良いな。お揃いの」
「まだ伝えてもいないんだが.........ふふ。ありがとう、アウィン」
「お前には助けられてるからな」
「それは良かった」
「明日から個人戦だ。どうなるかな?後の方で当たるかな?ふふ」
「楽しそうだな。意外だ」
「いや、吹っ切れてるだけだ。なんか色々あり過ぎてさ。もう勝つ事だけ考えるよ」

 そう言うと俺はエールとジャックの豆とポテトグラタンを注文する。サラはおすすめを頼んだ。

「ふむ。やはり【魅了】が収まってるな。何故だろう。その後変化は無いのか?」

「ん?.........ああ。変わらないな。(中に挿れて無いからな)」
「ふうん。不思議だな。まあ、まだ分からないか。だが、これくらいなら無作為に引き寄せる事も有るまい。良かった」
「ああ。(終わるまで俺が我慢すれば)『勝ち抜き』の間何も無ければ良いけど」
「アウィン。もし、ミル姫と対戦する事になったら.........成る可く穏便に頼む」
「ああ。大丈夫。良い技あるんだ。少しやるのに時間掛かるから戦い用じゃ無いんだけど。シャザの為にミル様を傷付ける訳にはいかないからな」
「すまん」
「個人戦は流血は極力避けるよ。切った方が早いんだけど.........サラが見てるし」
「アウィン.........私」
「最悪目閉じてもらうから。それこそ目を瞑ってくれ、はは!」
「.........うん。見ない様にはするけど.........」
「悪いな、サラ。だがお前は風の俺の妻になったんだ。受け入れてくれ。まあ、こんな事地上では滅多にないから。心配するな」

 頭を撫でる。白銀の髪が波打つ。可愛いサラ。俺だって見せたくないよ。お前の顔が悲しそうに歪むから。それでも手は抜けないんだよ。止める訳にはいかないだろ?《リンミン》の為だ。勝たないと。

 料理を運んできた給仕に礼を言ってお疲れさんとエールで乾杯する。そう言えばあいつらどうしたんかな?
 火とか水とか。まあ、いいや。

 サラの頼んだおすすめは骨付きの鶏肉だった。サラダとスープと果物が付いてる。鳥肉はスパイシーな香りがする。エールに合いそうだ。
 サラは《リンミン》を塗っているから匂いが嗅げない。見た目と舌の刺激のみだ。可哀想に。早く何とかしないとな。《リンミン》以外の方法も探さないと。

「味わえないのは残念だけど見た目は楽しいね。骨を持って食べるのかな?」
「ああ。かぶり付くんだよ。ナイフで肉を骨から外してパンにサラダと一緒に挟んで食っても良いかもな」
「ふふ。楽しいね。サンドイッチだ」
「ああ、そうだ。サラはサンドイッチ好きだろ?あ、でもフルーツサンドが良いんだっけ?この間聞いたよな」
「シットリしてるのが好き。甘いと幸せ。へへ。砂糖も高かったから。節約して使ってたんだ」

 そう言ってニコッと笑うサラ。

「っ! サラ~~!」

 俺はギュッとサラを抱き寄せる。本当後悔しか無い。要らない苦労させた。早く連れ去ってれば.................俺の馬鹿!!この一年は特に貧しかっただろう。


 .........俺が..........................ハリサント家を経済的に追い詰めたから。


 だが、だからこそ手に入った。


 そうだ。審判神に裁かれるべき箇所は婚姻宣誓証などでは無い。


 手の中に落ちてくるように追い詰めたところなんだ。勿論直接的じゃ無いが.........筋書きは辿ってもらった。色々回り込んでな。
 まあ、人が死んでる訳では無いし、唯々ハリサント家を身動き取れなくしただけだけど。そして、サラから近しい人間を離して行ったのは.........やっぱり俺だ。
 俺を最後の砦にしてもらうように。俺に依存するように。俺に頼って欲しかった。
 パイの礼にと毎週贈った花にメッセージも付けた。困った事が有れば言うように、と。

 だが、サラは最後の最後まで頼らないし言わなかった。死ぬ覚悟までしてるのに。本当.........辛くて。胸が痛くて苦しくて.........


 俺自身が限界だった。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

処理中です...