未完】風神アウィンの受難〜全属性神族の番になれる愛妻は女神らしい。いや、俺のだからな?〜

平川

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第四章  「後悔」と「過去世」

66.子育て?

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 結局他の奴らは食堂には来なかった。もしかして結託してなんかしてんのかな?まあ、考え過ぎてもしょうがない。俺はやるしか無いんだ。サラと平穏な日々を送る為に。

 ミル様も後から俺達のテーブルに来た。食材についての事なんかを詳しく話してくれた。後、露天風呂は貸し切り出来るらしい。マジか!予約しとこう。サラは入った事無いから喜んでた。

 シャザと別れ食堂を後にする。サラが少し外の空気が吸いたいと言うので、2人で夜の街を歩いた。本当に獣人の街が出来てる。まあ、店を開いてるのは歳のいった奴らばっかりだ。隠居した獣人達が伴侶を伴い訪れる子孫達の為に開いた街なんだろう。そこには穏やかな時間が流れている。

 手を繋いでゆっくり歩く。ああ。初めてだな。街デート。いつかこんな日が来る事を望んでた。
 好きな女と一緒に他愛も無い話をしながら人の流れの中を歩く。俺とサラの身長差は頭3つ分。サラは少し小さ目だ。女神になっても高さは変わらなかった。髪は腰まである。白銀に変わってしまったそれはキラキラ輝いてもう唯の人間では無い事が判る。綺麗で可愛いくて目が離せない。コロコロと笑う柔らかい笑み。表情豊かなピンクの口元。見てると元気が出る太陽の瞳。俺を呼ぶ可愛い声。
 これ.........素直に嬉しいな。ニヤける。自然に繋いでいる白い手にキスをする。一瞬目を見開いて、その後ふわりと照れ笑い。

 サラ。責任は取る。一生お前を愛し抜く。その覚悟はしている。お前の心に傷を付けたかも知れないあの追い詰めた一年間。俺も.........本当辛かった。

「サラ。幸せにするから」
「.........うん。今も幸せだよ?でもきっともっと幸せになる。アウィンと家族を作る。ふふ」

「ーーーーーーっ」
ぐっサラっ。やめて、泣きそう。

「.................うん。大事にする。お前も.........俺達の........子も」

ギュッと手を握る。

「アウィン~大好き!私もアウィンを大事にする!」
「ふふふふっ。ああ、宜しく。俺の奥さん」

 俺達はお互いの存在を再確認して胸を熱くする。
 優しく笑い合う。空には大きな黄色の月が輝く。その横に有る暗い月も今日はなんだか色が明るい気がする。不思議だ。何だか気分が浮き立った。



 ****



 受付で露天風呂の貸し切り予約をする。3日目の夜なら空いてるらしい。ギリギリだな。まあ、地上にも露天風呂くらいはあるので無理には.........一応予約はするけど。

 軽く賭博場を覗く。此処は地上の通貨で遊べるようだ。宿泊客の殆どが獣人の神族だからちょっと心配だが、何故かサラを見ると恍惚な表情で迎えてくれる。だが、中には触ろうとする者も居るし、強そうな奴は獲物を前にした野獣の顔になる。
 つまり弱い奴は神聖な対象として。
 強靭な精神の奴はサラを雌だと認識出来るって事かな?シャザって割と普通に接してくれてるけどどう思ってるんだろ?


 まあ、勿論、サラに触れる事など俺が許さんがな。

 何度かチョッカイを掛けていたカバとジャッカルと、でかい色彩鮮やかなカエル顔の獣人が居たが風で遠くに飛ばしておいた。かなり穏便だ。急げば朝には帰って来れるだろう。

 一頻りルーレットやカードなどで遊んだ後、部屋に戻る。因みに俺はこう言うゲームで負けた事が無い。空気が有る空間は俺のフィールドだ。全ての角度から相手のカードが見える。風でルーレットも調整出来る。ダーツも風で.........まあ、つまらないからしないがな。
 なのでそこそこ遊んでプラマイ0で終わらせた。
 サラは全てが初めての体験だ。ワキャワキャ言って楽しんでいたが、最後は「.........これで私売られそうになったんだね。」って自傷気味に笑っていた。

 夜も更けて寝支度をする。また2人で一つのベッドに横になった。サラを抱き込む。あんまり疲れさせてはいけないからこのまま寝てしまおう。
ただ.........

「なあ、サラ。裸で寝ようか」
「え!なんで?」
「バスローブゴワゴワするんだよ。下着だけでも良いぞ?」
「.........うーん」
「大丈夫。やらないから。良いだろ?」
「.........分かったよ」
「よし」

 俺は既に着ていない。下履だけだ。普段はナイトウェアを着て寝るのだが此処には無い。獣人は着ないのかな?暑そうだしな。毛で。

 サラは下着だけになってまた俺の腕の中に戻って来た。華奢で柔らかい。肌の温もりが直に伝わる。気持ちいいな。

「アウィンの身体ポコポコだね」
「独特の言い回しだな。それ」
「父様は無かったよ?まあ、子供の時に見ただけだから今は分からないけど。ツルペタだった」
「いや、今はもっと無いだろ。ポコポコ嫌か?」
「ちょっと硬いよね。でもカッコいいよ。アウィンは何でも持ってるね?」
「そうか?」
「うん。ちゃんと生きてきた証だね。貴族でも威張ったりしないし、努力してる。私はダメだね。何にもしてないや」
「今からするんだよ。例えば.........えっと.......子育て?」


「「........................」」


「そ、その前に子を作らないとな。はは。地上に帰ったら.........」
 無事帰れるかな?

「今日は子作りしないの?」
「う!っえ?」

 サラ~っ!俺の忍耐試さないで!!
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