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第四章 「後悔」と「過去世」
73.気付いたかな?
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手足と首が長いキリンの神族。高さは3メートル位か。多分人間としては最長かな?同じく中央に向かって行った。さあ、始まるな。
「第4闘技場後攻戦。キリン神族ラン・ジフ・ナイラ対黒豹神族シャザ・ダン・パンディル。ーーでは、始め!」
開始の号令の瞬間シャザが後ろに飛び退いた。お?っと思ったら砂埃と共にキリンの腕がグルンと闘技場を一杯に一周していた。
おお!伸びるのか!長!手には短めのくの字型のククリを持っている。成る程、振り回してりゃ何処かで当たるわな。しかも伸縮自在みたいだ。中々速度も速い。これは楽しい。
シャザはショテルと言う湾刀を使いククリを跳ね除けながら距離を保ちつつ、様子を見ている。うん、他に何か隠してるなら危ないからな。振り回してる分遠心力で打撃の威力は上がるから気を付けないと。ふふ。
.........まあ、でも.........
3打目を受け流したシャザが地面を一蹴りし、一気にキリンの間合いに入り込んだ。
長く伸びた腕を擦り抜け一太刀。左足を音も無く切る。
「!」
ザザザと足を止めショテルをキリンに向けるシャザ。ああ、三年前より速くなってるな。狙いも的確だ。頑張ってるな.........本当良い動きだ。
キリンは右にククリ、左に円型のチュワンと言う武器を持ち、両腕を振り回し始めた。が、何だかグラグラしている。
つぶらな瞳が.........潤んでる。
気付いたかな?
シャザは地面をタンッと軽く飛び上がり、キリンが左手に持つチュワンをカアンッと弾き飛ばした。
あっ、こら!このヤロ!
チュワンが俺に向かってグルグル回りながら飛んで来る。指でチョイっと風を起こし顔の前でビタリと止める。狙いやがって。シャザはニヤリと牙を見せて笑っていた。こう言う悪戯は昔から好きだよなアイツ。
更に無茶苦茶に振り回し始めた右腕を巧みに躱しながらシャザは黒い風の様にキリンの脇腹横をすり抜けた。ビュッビュッと音を鳴らしながら闘技場の空を切っていた腕はやがてヒュンッバシッと地面を叩き速度を落としながら元の長さに戻って行く。
右手に握っていたククリがザクリと足元に刺さり、長い左足は地面に立ったまま、キリンは前に倒れた。
足を切断された時点で攻撃を切り替え無かったのが敗因だな。まあ、スピード勝負みたいなとこもあったけど。.........振り回すだけじゃシャザには勝てないな。
大歓声の中、俺はチュワンを指でクルクル回しながら試合終了の号令を聞いていた。さてと、ミル様でも観に行くか。
チュワンを闘技場に倒れているキリンの頭手前にポイッと返してからシャザが降りて来るのを待ち一緒に第1闘技場を目指す。
「良い試合だったよ。速くなったな」
「まだまだ」
「首は伸びなかったな。アイツ」
「色々伸びても邪魔だったんだろう」
「椅子にでも座れば足も使えて.....絡まるか」
「試合にならん。ははははっ」
そんな下らない事を話しながら、フイとサラの方を見上げる。
あ.........見てる。目が合って.........ドキンとした。
俺は風に声を乗せサラに話し掛ける。
『サラ、観てた?』
「アウィン.........ごめんなさい。初めの試合観られなかったよ。泣きそうだよ」
『やっぱりな。ふふ、大丈夫だよ。大した試合じゃなかったから。シャザのは観たか?』
「うん。少し遠いけど観てたよ。キリンの人が倒れたやつ。二人共何だか終わるの早いね。あの.........ゾーイ様は?」
『医務室で寝てるだろ。無傷だよ』
「そっか.........良かった。アウィン凄いね!試合して無傷で勝てちゃうんだ!カッコいい!」
「言ってるだろ?最強だって。はははっ』
「うん!アウィン私......... 」
その時、キャハハと笑う数人の女の声に遮られ聴き取れなかった。どうやらまた姫達に豪華なスペースに連れ去られようだ。.........可哀想に。
昼は早めに回収しに行かないとストレス溜まりそうだな。
「奥方は姫達に遊ばれてるか」
「うーん、そうみたいだ。危険は無いと思うけどな。結界は今回は肌に触れられない程度の柔らかいやつだけにしてるけど.........怪我はしないだろうが精神的に疲れそうだ」
「今来ている姫達は序列の高い方達ばかりだな。ミル様は58番目にお生まれの姫だが格の序列で言うと4番目だ。母様が豊穣の女神の雌牛の神獣であられるからな」
「へぇ、じゃあ、3位までは誰が母なんだ?」
「確か戦いの神の神獣の馬、知の神の神獣の蛇、土の神の神獣の土竜だったはずだ」
「.................土竜!?」
本当見境ないな!
「.........まあ、どの方も神獣さ。大昔からいらっしゃるから歳は分からん。でもどの方もお美しい」
「ふーん。しかし、ミル様はえらく最近なんだな。28歳だろ?」
「長く拒まれていたからな。1000年単位で」
「.................執着半端ないな.........」
てか、拒まれていた理由って番とかの前に原因は無節操なとこだったんじゃ無いのか?結局強姦したんだし。それまで物凄い豊穣の女神のガードがあったに違いない。
「姫は普段は別の場所にいらっしゃるんだがな.........奥方、いや『女神』がそんなに気になるのか.........」
「こんだけ色々手を出してるのに獣人神は女神とは番って無いのか?」
「.........そう言えばそうだな」
「第4闘技場後攻戦。キリン神族ラン・ジフ・ナイラ対黒豹神族シャザ・ダン・パンディル。ーーでは、始め!」
開始の号令の瞬間シャザが後ろに飛び退いた。お?っと思ったら砂埃と共にキリンの腕がグルンと闘技場を一杯に一周していた。
おお!伸びるのか!長!手には短めのくの字型のククリを持っている。成る程、振り回してりゃ何処かで当たるわな。しかも伸縮自在みたいだ。中々速度も速い。これは楽しい。
シャザはショテルと言う湾刀を使いククリを跳ね除けながら距離を保ちつつ、様子を見ている。うん、他に何か隠してるなら危ないからな。振り回してる分遠心力で打撃の威力は上がるから気を付けないと。ふふ。
.........まあ、でも.........
3打目を受け流したシャザが地面を一蹴りし、一気にキリンの間合いに入り込んだ。
長く伸びた腕を擦り抜け一太刀。左足を音も無く切る。
「!」
ザザザと足を止めショテルをキリンに向けるシャザ。ああ、三年前より速くなってるな。狙いも的確だ。頑張ってるな.........本当良い動きだ。
キリンは右にククリ、左に円型のチュワンと言う武器を持ち、両腕を振り回し始めた。が、何だかグラグラしている。
つぶらな瞳が.........潤んでる。
気付いたかな?
シャザは地面をタンッと軽く飛び上がり、キリンが左手に持つチュワンをカアンッと弾き飛ばした。
あっ、こら!このヤロ!
チュワンが俺に向かってグルグル回りながら飛んで来る。指でチョイっと風を起こし顔の前でビタリと止める。狙いやがって。シャザはニヤリと牙を見せて笑っていた。こう言う悪戯は昔から好きだよなアイツ。
更に無茶苦茶に振り回し始めた右腕を巧みに躱しながらシャザは黒い風の様にキリンの脇腹横をすり抜けた。ビュッビュッと音を鳴らしながら闘技場の空を切っていた腕はやがてヒュンッバシッと地面を叩き速度を落としながら元の長さに戻って行く。
右手に握っていたククリがザクリと足元に刺さり、長い左足は地面に立ったまま、キリンは前に倒れた。
足を切断された時点で攻撃を切り替え無かったのが敗因だな。まあ、スピード勝負みたいなとこもあったけど。.........振り回すだけじゃシャザには勝てないな。
大歓声の中、俺はチュワンを指でクルクル回しながら試合終了の号令を聞いていた。さてと、ミル様でも観に行くか。
チュワンを闘技場に倒れているキリンの頭手前にポイッと返してからシャザが降りて来るのを待ち一緒に第1闘技場を目指す。
「良い試合だったよ。速くなったな」
「まだまだ」
「首は伸びなかったな。アイツ」
「色々伸びても邪魔だったんだろう」
「椅子にでも座れば足も使えて.....絡まるか」
「試合にならん。ははははっ」
そんな下らない事を話しながら、フイとサラの方を見上げる。
あ.........見てる。目が合って.........ドキンとした。
俺は風に声を乗せサラに話し掛ける。
『サラ、観てた?』
「アウィン.........ごめんなさい。初めの試合観られなかったよ。泣きそうだよ」
『やっぱりな。ふふ、大丈夫だよ。大した試合じゃなかったから。シャザのは観たか?』
「うん。少し遠いけど観てたよ。キリンの人が倒れたやつ。二人共何だか終わるの早いね。あの.........ゾーイ様は?」
『医務室で寝てるだろ。無傷だよ』
「そっか.........良かった。アウィン凄いね!試合して無傷で勝てちゃうんだ!カッコいい!」
「言ってるだろ?最強だって。はははっ』
「うん!アウィン私......... 」
その時、キャハハと笑う数人の女の声に遮られ聴き取れなかった。どうやらまた姫達に豪華なスペースに連れ去られようだ。.........可哀想に。
昼は早めに回収しに行かないとストレス溜まりそうだな。
「奥方は姫達に遊ばれてるか」
「うーん、そうみたいだ。危険は無いと思うけどな。結界は今回は肌に触れられない程度の柔らかいやつだけにしてるけど.........怪我はしないだろうが精神的に疲れそうだ」
「今来ている姫達は序列の高い方達ばかりだな。ミル様は58番目にお生まれの姫だが格の序列で言うと4番目だ。母様が豊穣の女神の雌牛の神獣であられるからな」
「へぇ、じゃあ、3位までは誰が母なんだ?」
「確か戦いの神の神獣の馬、知の神の神獣の蛇、土の神の神獣の土竜だったはずだ」
「.................土竜!?」
本当見境ないな!
「.........まあ、どの方も神獣さ。大昔からいらっしゃるから歳は分からん。でもどの方もお美しい」
「ふーん。しかし、ミル様はえらく最近なんだな。28歳だろ?」
「長く拒まれていたからな。1000年単位で」
「.................執着半端ないな.........」
てか、拒まれていた理由って番とかの前に原因は無節操なとこだったんじゃ無いのか?結局強姦したんだし。それまで物凄い豊穣の女神のガードがあったに違いない。
「姫は普段は別の場所にいらっしゃるんだがな.........奥方、いや『女神』がそんなに気になるのか.........」
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