未完】風神アウィンの受難〜全属性神族の番になれる愛妻は女神らしい。いや、俺のだからな?〜

平川

文字の大きさ
77 / 114
第四章  「後悔」と「過去世」

77.バーサーカー状態か?(挿絵有り)

しおりを挟む
「アウィン」

 サラは周りを姫達に囲まれながら、シャザと話しをしているアウィンの姿をジッと見ていた。デレっと。

(アウィンカッコいいな~。プラチナブロンド目立つな~キラキラしてる。しかもやっぱり強いんだ。直ぐに試合終わってるし。無傷だし。ふふっ。やっぱりアウィンはカッコいい!)

 もっとカッコいい美丈夫に手を振り返されていたのだが眼中に入っていなかった。
 フワフワしながら観覧席の手すりの前でアウィンを嬉しそうに眺めているサラに獣人神が立ち上がり歩み寄って来た。
 ザッと身を引く姫達。

「儂の姫が戦うようだ」

 後ろから声がして、ビクリとしながら無理矢理笑顔を作るサラ。どうにもこの獣人神は好きにはなれない。胸が嫌なモヤモヤで覆われる。だが、アウィンが側に居られないからと身の安全の為に神の側に居る事になった。仕方が無い。

「あ、は、はい!ミル様ですね?ミル様はお強いのですか?」
「ある程度はな。まあ、お遊びだ。ふん。相手は獅子か」
「煌びやかな服装ですね。王子様みたい」
「地上ではその筈だ。名前は何と言ったか.........」
「本当に王子様なんだ。へぇ」
「風の子も強いな」
「はい!アウィンは強いんです!カッコいい!!」
「.................まあ、匂いの所為もあるか。なんとでもなるわい」
「?」
「サラよ。《リンミン》が欲しいか?」
「え?はい。勿論です。その為にここまで来ました」
「.........お主は過去の記憶は無いのだな?」
「.........ええまだ。アウィンは少し有るみたいですが.........。私は風の神様に言われるまでそんなものが有るなんて知りもしなかったので」
「.................ほう?」
「でも、関係有りません。私は私、彼は彼。過去世なんて......... 」

 獣人神はニヤリと笑いながら静かに言った。

「.........では、その過去世の奴の所為でお主の前世の者が命を落としていたとしたら.........どうする?」



「.........え?」



 ************



「ふう。それは.........卑怯ですね。ミル姫。」
「あら?卑怯なんかじゃ無いわよ?貴方だって肉体強化の術使えるじゃ無い。変わらないわよ」
「.........気づかれてましたか。ふふ。じゃあ、仕方が無いですね」
「次は何かしら?ふふっ。戦いって先が分からないから楽しいわよねー?」
「身体が刻まれる事になってもですか?豪胆ですね?」
「やれるものならやってみてよ。口だけの男はもう沢山なの。私を叩き伏せてみせて?ふふふふ」
「では、お言葉に甘えましょうか」
「良いわよ?.........さあ、来て」

「いざ!」

 ヒラリと白いマントが揺れ、皇子が地を蹴る。カモシカの脚を持つミル様も同時に走り出した。




 2人は突っ込みつつお互いの剣を叩き付ける。威力は同等。赤い火花が剣を合わせる度に舞い散る。
 ミル様、パワーファイターにもなれるんだな。速度も早い。剣筋にブレが無い。成る程、シャザとも良い勝負になる訳だ。


 ガアンッッ

 と弾く重い音と共に後方に飛ぶ2人。間髪入れずに真正面から再び剣を叩き付ける皇子。それを冷静な目で見ながらミル様は左へと避ける。


 ゴッッ

 叩き付けるような音と共に皇子が右側横に吹っ飛ぶ。
 ミル様の左腕からは筋肉の塊のような黒いゴリラの腕が生えていた。

 それは直ぐにスウっと引っ込み元の腕に戻る。カモシカの脚も人間の脚に変わって行く。あまり長くは維持出来ないとシャザが言っていたが、成る程。継続時間は3分位かな。

 顔を抑えながら皇子がゆっくりと起き上がりのっそりとこちらに歩いて来る。

「.................今度は.........本気で行きます」

「どうぞ」

 グゥッと息を吸い込みウォォォォォーーー!と咆哮する。金の髪が逆立ち上半身がゴバンッと盛り上がる。
 徐々に獅子の顔に変化して行く皇子。

 やっぱり獅子の顔もカッコいいな。百獣の王だもんな。見た目が良いとなんかなんでも許されそうだ。
 絶対国にハーレムとか作ってるに違いない。

 とか思っていたら、ミル様の方も何だが髪が逆立ってる。腕に脚にゴツゴツした筋肉が.........え?マジで?
 これ.........もしかして皇子と同じ「バーサーカー」状態か?

「おい.........ミル様.........」
「ああ。もう一つの【加護】だ。決めるつもりだろうな。元々長時間は不利なんだ。短時間で終わらす為の様子見だよ」
「成る程。考えてる訳だ。さて、どちらが勝つか」
「賭けるか?」
「んー、今ポケットにはもう大したもん入って無いんだが.........夕飯でも賭けるか?」
「追加でエール3杯だ」
「ふっ。じゃあ、それで。勿論ミル様なんだろ?」
「ああ」
「しょうがねーな。俺はあの"ハーレム皇子"にしとくか」
「.........そんな名前だったかな?」
「負けて欲しいけどな。あれ?俺負け続きだな」


「.........どうかな」















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

処理中です...