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第四章 「後悔」と「過去世」
77.バーサーカー状態か?(挿絵有り)
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「アウィン」
サラは周りを姫達に囲まれながら、シャザと話しをしているアウィンの姿をジッと見ていた。デレっと。
(アウィンカッコいいな~。プラチナブロンド目立つな~キラキラしてる。しかもやっぱり強いんだ。直ぐに試合終わってるし。無傷だし。ふふっ。やっぱりアウィンはカッコいい!)
もっとカッコいい美丈夫に手を振り返されていたのだが眼中に入っていなかった。
フワフワしながら観覧席の手すりの前でアウィンを嬉しそうに眺めているサラに獣人神が立ち上がり歩み寄って来た。
ザッと身を引く姫達。
「儂の姫が戦うようだ」
後ろから声がして、ビクリとしながら無理矢理笑顔を作るサラ。どうにもこの獣人神は好きにはなれない。胸が嫌なモヤモヤで覆われる。だが、アウィンが側に居られないからと身の安全の為に神の側に居る事になった。仕方が無い。
「あ、は、はい!ミル様ですね?ミル様はお強いのですか?」
「ある程度はな。まあ、お遊びだ。ふん。相手は獅子か」
「煌びやかな服装ですね。王子様みたい」
「地上ではその筈だ。名前は何と言ったか.........」
「本当に王子様なんだ。へぇ」
「風の子も強いな」
「はい!アウィンは強いんです!カッコいい!!」
「.................まあ、匂いの所為もあるか。なんとでもなるわい」
「?」
「サラよ。《リンミン》が欲しいか?」
「え?はい。勿論です。その為にここまで来ました」
「.........お主は過去の記憶は無いのだな?」
「.........ええまだ。アウィンは少し有るみたいですが.........。私は風の神様に言われるまでそんなものが有るなんて知りもしなかったので」
「.................ほう?」
「でも、関係有りません。私は私、彼は彼。過去世なんて......... 」
獣人神はニヤリと笑いながら静かに言った。
「.........では、その過去世の奴の所為でお主の前世の者が命を落としていたとしたら.........どうする?」
「.........え?」
************
「ふう。それは.........卑怯ですね。ミル姫。」
「あら?卑怯なんかじゃ無いわよ?貴方だって肉体強化の術使えるじゃ無い。変わらないわよ」
「.........気づかれてましたか。ふふ。じゃあ、仕方が無いですね」
「次は何かしら?ふふっ。戦いって先が分からないから楽しいわよねー?」
「身体が刻まれる事になってもですか?豪胆ですね?」
「やれるものならやってみてよ。口だけの男はもう沢山なの。私を叩き伏せてみせて?ふふふふ」
「では、お言葉に甘えましょうか」
「良いわよ?.........さあ、来て」
「いざ!」
ヒラリと白いマントが揺れ、皇子が地を蹴る。カモシカの脚を持つミル様も同時に走り出した。
2人は突っ込みつつお互いの剣を叩き付ける。威力は同等。赤い火花が剣を合わせる度に舞い散る。
ミル様、パワーファイターにもなれるんだな。速度も早い。剣筋にブレが無い。成る程、シャザとも良い勝負になる訳だ。
ガアンッッ
と弾く重い音と共に後方に飛ぶ2人。間髪入れずに真正面から再び剣を叩き付ける皇子。それを冷静な目で見ながらミル様は左へと避ける。
ゴッッ
叩き付けるような音と共に皇子が右側横に吹っ飛ぶ。
ミル様の左腕からは筋肉の塊のような黒いゴリラの腕が生えていた。
それは直ぐにスウっと引っ込み元の腕に戻る。カモシカの脚も人間の脚に変わって行く。あまり長くは維持出来ないとシャザが言っていたが、成る程。継続時間は3分位かな。
顔を抑えながら皇子がゆっくりと起き上がりのっそりとこちらに歩いて来る。
「.................今度は.........本気で行きます」
「どうぞ」
グゥッと息を吸い込みウォォォォォーーー!と咆哮する。金の髪が逆立ち上半身がゴバンッと盛り上がる。
徐々に獅子の顔に変化して行く皇子。
やっぱり獅子の顔もカッコいいな。百獣の王だもんな。見た目が良いとなんかなんでも許されそうだ。
絶対国にハーレムとか作ってるに違いない。
とか思っていたら、ミル様の方も何だが髪が逆立ってる。腕に脚にゴツゴツした筋肉が.........え?マジで?
これ.........もしかして皇子と同じ「バーサーカー」状態か?
「おい.........ミル様.........」
「ああ。もう一つの【加護】だ。決めるつもりだろうな。元々長時間は不利なんだ。短時間で終わらす為の様子見だよ」
「成る程。考えてる訳だ。さて、どちらが勝つか」
「賭けるか?」
「んー、今ポケットにはもう大したもん入って無いんだが.........夕飯でも賭けるか?」
「追加でエール3杯だ」
「ふっ。じゃあ、それで。勿論ミル様なんだろ?」
「ああ」
「しょうがねーな。俺はあの"ハーレム皇子"にしとくか」
「.........そんな名前だったかな?」
「負けて欲しいけどな。あれ?俺負け続きだな」
「.........どうかな」
サラは周りを姫達に囲まれながら、シャザと話しをしているアウィンの姿をジッと見ていた。デレっと。
(アウィンカッコいいな~。プラチナブロンド目立つな~キラキラしてる。しかもやっぱり強いんだ。直ぐに試合終わってるし。無傷だし。ふふっ。やっぱりアウィンはカッコいい!)
もっとカッコいい美丈夫に手を振り返されていたのだが眼中に入っていなかった。
フワフワしながら観覧席の手すりの前でアウィンを嬉しそうに眺めているサラに獣人神が立ち上がり歩み寄って来た。
ザッと身を引く姫達。
「儂の姫が戦うようだ」
後ろから声がして、ビクリとしながら無理矢理笑顔を作るサラ。どうにもこの獣人神は好きにはなれない。胸が嫌なモヤモヤで覆われる。だが、アウィンが側に居られないからと身の安全の為に神の側に居る事になった。仕方が無い。
「あ、は、はい!ミル様ですね?ミル様はお強いのですか?」
「ある程度はな。まあ、お遊びだ。ふん。相手は獅子か」
「煌びやかな服装ですね。王子様みたい」
「地上ではその筈だ。名前は何と言ったか.........」
「本当に王子様なんだ。へぇ」
「風の子も強いな」
「はい!アウィンは強いんです!カッコいい!!」
「.................まあ、匂いの所為もあるか。なんとでもなるわい」
「?」
「サラよ。《リンミン》が欲しいか?」
「え?はい。勿論です。その為にここまで来ました」
「.........お主は過去の記憶は無いのだな?」
「.........ええまだ。アウィンは少し有るみたいですが.........。私は風の神様に言われるまでそんなものが有るなんて知りもしなかったので」
「.................ほう?」
「でも、関係有りません。私は私、彼は彼。過去世なんて......... 」
獣人神はニヤリと笑いながら静かに言った。
「.........では、その過去世の奴の所為でお主の前世の者が命を落としていたとしたら.........どうする?」
「.........え?」
************
「ふう。それは.........卑怯ですね。ミル姫。」
「あら?卑怯なんかじゃ無いわよ?貴方だって肉体強化の術使えるじゃ無い。変わらないわよ」
「.........気づかれてましたか。ふふ。じゃあ、仕方が無いですね」
「次は何かしら?ふふっ。戦いって先が分からないから楽しいわよねー?」
「身体が刻まれる事になってもですか?豪胆ですね?」
「やれるものならやってみてよ。口だけの男はもう沢山なの。私を叩き伏せてみせて?ふふふふ」
「では、お言葉に甘えましょうか」
「良いわよ?.........さあ、来て」
「いざ!」
ヒラリと白いマントが揺れ、皇子が地を蹴る。カモシカの脚を持つミル様も同時に走り出した。
2人は突っ込みつつお互いの剣を叩き付ける。威力は同等。赤い火花が剣を合わせる度に舞い散る。
ミル様、パワーファイターにもなれるんだな。速度も早い。剣筋にブレが無い。成る程、シャザとも良い勝負になる訳だ。
ガアンッッ
と弾く重い音と共に後方に飛ぶ2人。間髪入れずに真正面から再び剣を叩き付ける皇子。それを冷静な目で見ながらミル様は左へと避ける。
ゴッッ
叩き付けるような音と共に皇子が右側横に吹っ飛ぶ。
ミル様の左腕からは筋肉の塊のような黒いゴリラの腕が生えていた。
それは直ぐにスウっと引っ込み元の腕に戻る。カモシカの脚も人間の脚に変わって行く。あまり長くは維持出来ないとシャザが言っていたが、成る程。継続時間は3分位かな。
顔を抑えながら皇子がゆっくりと起き上がりのっそりとこちらに歩いて来る。
「.................今度は.........本気で行きます」
「どうぞ」
グゥッと息を吸い込みウォォォォォーーー!と咆哮する。金の髪が逆立ち上半身がゴバンッと盛り上がる。
徐々に獅子の顔に変化して行く皇子。
やっぱり獅子の顔もカッコいいな。百獣の王だもんな。見た目が良いとなんかなんでも許されそうだ。
絶対国にハーレムとか作ってるに違いない。
とか思っていたら、ミル様の方も何だが髪が逆立ってる。腕に脚にゴツゴツした筋肉が.........え?マジで?
これ.........もしかして皇子と同じ「バーサーカー」状態か?
「おい.........ミル様.........」
「ああ。もう一つの【加護】だ。決めるつもりだろうな。元々長時間は不利なんだ。短時間で終わらす為の様子見だよ」
「成る程。考えてる訳だ。さて、どちらが勝つか」
「賭けるか?」
「んー、今ポケットにはもう大したもん入って無いんだが.........夕飯でも賭けるか?」
「追加でエール3杯だ」
「ふっ。じゃあ、それで。勿論ミル様なんだろ?」
「ああ」
「しょうがねーな。俺はあの"ハーレム皇子"にしとくか」
「.........そんな名前だったかな?」
「負けて欲しいけどな。あれ?俺負け続きだな」
「.........どうかな」
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