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第二幕
60.経過観察:混浴
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だって灰だらけで今直ぐにでもお風呂には入りたい。でも大衆浴場には行っちゃダメって言うし。目の前にはホカホカ湯気が立つ清潔なお風呂。
.........え?凄く酷く無い?
でも、第5段階は待つって言ってたわよね?じゃあ.........大丈夫、よね?
私はオーランドをジッと見つめた。(唯お風呂に入るだけよ、ね?)そう思いを込める。
それを受けシャツを脱ぎ、スラックスの皮のベルトを外しながらニコッと笑う彼。
「..................あっち向いて頂戴」
既に真ん中がパックリと空いたドレス。侍女に手伝って貰わなくても容易に脱げる。チラッと彼を見ると既に膝までの浴衣姿で椅子に脱いだ衣服を掛けながら扉の方を向いていた。
よし、今だ。
パサッとドレスを脱ぎ捨てる。下着を取り、白い浴衣をサッと羽織る。シーツより薄い。服の裏地みたい。確かにこんな生地じゃ透けるし見られ放題ね。
そんな事を考えながら私はゆっくりと手を湯船に浸けてみる。
「わぁ.........温かい。意外に深いわ.........」
「気に入った?」
「うん。えっと.........入って良い?」
「勿論。まず髪を洗ってあげる。綺麗な髪が灰だらけだ、ふふっ」
「綺麗なんかじゃ無いわ。私の妹なんか.....輝く銀髪で.............あ...また.....」
言っちゃうところだったわ。
オーランドも私の妹を知らないのに。
「.........アリエラの妹?.........そうか、綺麗だったんだよね?私は知らないけど.....好きだった?」
「.........ええ.........大事だったわ」
湯船に入り腰を降ろす。気持ち良い.........温かい。魔術凄い。
オーランドが後ろに移動して来て私の髪を優しく撫でる。顔を上に向けさせると額の上から温かい湯がゆっくり掛けられる。魔術で出した先程のお湯の小さくした様な玉がフヨフヨ浮いていた。火の玉の灯りがユラユラ反射して宝石みたいに綺麗だ。
私は目を閉じてそれを受け入れた。
「.........アリエラ気持ち良い?これ良い匂いだな.........何の匂いだろ?」
そう言って彼が私の髪を洗い始める。本当に洗うんだ.........ビックリ.........。
匂いの元は洗髪用の石鹸だ。オイルが混じっている。これはいつも使っている水仙の香料の匂い。侍女から受け取ったと言っていたっけ。
「水仙よ。薔薇の香りも好きだけど水仙の香りは何だか懐かしい気持ちになるし落ちつくわ」
「そうだね、確かに。ふふ。楽しい」
彼の手付きは優しくて、手が大きいから頭全体が包まれてる感じがして、安心する。欲しくて堪らなかったオーランドの手だ。そうだ.........返ってきたんだ.........私の所に。そう思うと何だかじわりと涙が出て来る。
「アリエラ?どうかしたか?痛かった?」
「.........何でもないわ.........少し気が緩んじゃっただけ。.........色々、有ったから」
「.................そうか。そうだね」
それから彼と私は暫し無言。その間に髪を洗らわれ、再度湯で流された。
「さあ良いよ。アリエラは私を洗ってくれないの?」
「.........それは.........やめておくわ(緊張して手が震えちゃうもの。いや、動かないわ)」
「そう。まあ、仕方ないか、自分で洗うよ。今日はね?」
「明日もダメよ」
「じゃあ明後日は?」
「ダメ」
「ダメ?」
「もう一緒に入る事なんか無いわ」
「それは無い。だったら屋敷中のバスタブ全部壊して、それでこうしてまた風呂を作ってあげるよ」
「! い、意地悪過ぎるわ!」
「なんとでも?ふふっ」
「っ!」
策士どころじゃ無いわ!この人強引だったわ!
私の後ろでザバザバと身体を洗い始めたオーランド。頭の上にぷにゃぷにゃ揺れる湯の塊が浮いている。サーッと少しずつ落としてるのだ。湯は床を流れ青い魔石の中に吸い込まれて行ってる。本当魔術凄い!
その下をつい見てしまう。そこには濡れた浴衣を着たオーランド。後ろ姿の身体の線が露わになっていた。
いくら暗闇でも火の玉が彼を照らし、それはもう卑猥だ!広い背中にそこから流れる様なスラッとした腰。盛り上がったお尻、膝下も長く筋張った脚。思わず見入ってしまった。そりゃ愛人役も本気になるわよね。
でも、逆に私は冷静になったわ。
ダメだわ.........これはダメだわ.........釣り合わないわ.........無理。
チラッと自分の胸元を確かめる。
谷間.........無い。
思わず両手で寄せてみる。辛うじて.........くうっ!どうやったら大きくなるのかしら?確か揉んだら.........
(モミモミ.........)
「アリエラ?」
「ギャ!」湯の中でバシャッと手が跳ねた。
見られたかしら?み、見えてないよね?
「身体洗おうか、おいで」
濡れた髪を掻き上げながら艶麗な天使がそう言って来る。
わーんっ!まだダメ無理ーーーーーっ!
「いーっいい!自分で洗うから!貴方は湯に入って頂戴!」
ザバッと湯船から立ち上がりバスタブを跨いで床に右脚を着けようとした。が、思った以上に深くて、いや、慌てていて宙を踏み、床に脚が着かないままガクンと前のめりに倒れそうになる。
「あ.........!」
「!」
床に顔を打つけるかとギュッと目を閉じて構えた。だが冷たい床の感触より先に濡れた温かい腕が私を支える。
「あっ」
「滑るから気を付けて?慌てなくて大丈夫だ」
左脇に手が入って来てヒョイっと持ち上げられそのまま胸によいしょと抱き上げられる。
(ふ....ふわっぁあああ~~~~!!)
.........え?凄く酷く無い?
でも、第5段階は待つって言ってたわよね?じゃあ.........大丈夫、よね?
私はオーランドをジッと見つめた。(唯お風呂に入るだけよ、ね?)そう思いを込める。
それを受けシャツを脱ぎ、スラックスの皮のベルトを外しながらニコッと笑う彼。
「..................あっち向いて頂戴」
既に真ん中がパックリと空いたドレス。侍女に手伝って貰わなくても容易に脱げる。チラッと彼を見ると既に膝までの浴衣姿で椅子に脱いだ衣服を掛けながら扉の方を向いていた。
よし、今だ。
パサッとドレスを脱ぎ捨てる。下着を取り、白い浴衣をサッと羽織る。シーツより薄い。服の裏地みたい。確かにこんな生地じゃ透けるし見られ放題ね。
そんな事を考えながら私はゆっくりと手を湯船に浸けてみる。
「わぁ.........温かい。意外に深いわ.........」
「気に入った?」
「うん。えっと.........入って良い?」
「勿論。まず髪を洗ってあげる。綺麗な髪が灰だらけだ、ふふっ」
「綺麗なんかじゃ無いわ。私の妹なんか.....輝く銀髪で.............あ...また.....」
言っちゃうところだったわ。
オーランドも私の妹を知らないのに。
「.........アリエラの妹?.........そうか、綺麗だったんだよね?私は知らないけど.....好きだった?」
「.........ええ.........大事だったわ」
湯船に入り腰を降ろす。気持ち良い.........温かい。魔術凄い。
オーランドが後ろに移動して来て私の髪を優しく撫でる。顔を上に向けさせると額の上から温かい湯がゆっくり掛けられる。魔術で出した先程のお湯の小さくした様な玉がフヨフヨ浮いていた。火の玉の灯りがユラユラ反射して宝石みたいに綺麗だ。
私は目を閉じてそれを受け入れた。
「.........アリエラ気持ち良い?これ良い匂いだな.........何の匂いだろ?」
そう言って彼が私の髪を洗い始める。本当に洗うんだ.........ビックリ.........。
匂いの元は洗髪用の石鹸だ。オイルが混じっている。これはいつも使っている水仙の香料の匂い。侍女から受け取ったと言っていたっけ。
「水仙よ。薔薇の香りも好きだけど水仙の香りは何だか懐かしい気持ちになるし落ちつくわ」
「そうだね、確かに。ふふ。楽しい」
彼の手付きは優しくて、手が大きいから頭全体が包まれてる感じがして、安心する。欲しくて堪らなかったオーランドの手だ。そうだ.........返ってきたんだ.........私の所に。そう思うと何だかじわりと涙が出て来る。
「アリエラ?どうかしたか?痛かった?」
「.........何でもないわ.........少し気が緩んじゃっただけ。.........色々、有ったから」
「.................そうか。そうだね」
それから彼と私は暫し無言。その間に髪を洗らわれ、再度湯で流された。
「さあ良いよ。アリエラは私を洗ってくれないの?」
「.........それは.........やめておくわ(緊張して手が震えちゃうもの。いや、動かないわ)」
「そう。まあ、仕方ないか、自分で洗うよ。今日はね?」
「明日もダメよ」
「じゃあ明後日は?」
「ダメ」
「ダメ?」
「もう一緒に入る事なんか無いわ」
「それは無い。だったら屋敷中のバスタブ全部壊して、それでこうしてまた風呂を作ってあげるよ」
「! い、意地悪過ぎるわ!」
「なんとでも?ふふっ」
「っ!」
策士どころじゃ無いわ!この人強引だったわ!
私の後ろでザバザバと身体を洗い始めたオーランド。頭の上にぷにゃぷにゃ揺れる湯の塊が浮いている。サーッと少しずつ落としてるのだ。湯は床を流れ青い魔石の中に吸い込まれて行ってる。本当魔術凄い!
その下をつい見てしまう。そこには濡れた浴衣を着たオーランド。後ろ姿の身体の線が露わになっていた。
いくら暗闇でも火の玉が彼を照らし、それはもう卑猥だ!広い背中にそこから流れる様なスラッとした腰。盛り上がったお尻、膝下も長く筋張った脚。思わず見入ってしまった。そりゃ愛人役も本気になるわよね。
でも、逆に私は冷静になったわ。
ダメだわ.........これはダメだわ.........釣り合わないわ.........無理。
チラッと自分の胸元を確かめる。
谷間.........無い。
思わず両手で寄せてみる。辛うじて.........くうっ!どうやったら大きくなるのかしら?確か揉んだら.........
(モミモミ.........)
「アリエラ?」
「ギャ!」湯の中でバシャッと手が跳ねた。
見られたかしら?み、見えてないよね?
「身体洗おうか、おいで」
濡れた髪を掻き上げながら艶麗な天使がそう言って来る。
わーんっ!まだダメ無理ーーーーーっ!
「いーっいい!自分で洗うから!貴方は湯に入って頂戴!」
ザバッと湯船から立ち上がりバスタブを跨いで床に右脚を着けようとした。が、思った以上に深くて、いや、慌てていて宙を踏み、床に脚が着かないままガクンと前のめりに倒れそうになる。
「あ.........!」
「!」
床に顔を打つけるかとギュッと目を閉じて構えた。だが冷たい床の感触より先に濡れた温かい腕が私を支える。
「あっ」
「滑るから気を付けて?慌てなくて大丈夫だ」
左脇に手が入って来てヒョイっと持ち上げられそのまま胸によいしょと抱き上げられる。
(ふ....ふわっぁあああ~~~~!!)
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