シスターと機関銃

れいん

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第一章

御指名依頼の内容と仲間

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 サラッと軽い今までの出来事を説明すると。

 子供達が深夜に教会き来ました。

 その子供達の悩み事が、隣町の教会で人身売買とか、虐待などの疑惑があったと。

 そしてオーディンにご依頼になるかの確認で神殿に行った。

 その結果、御指名依頼となった。

 御指名が私となったから、子供達に留守にすると伝えた。

 子供達が私と一緒に行くと言って、困り果てた私は数刻前にブルーローズへ行った。



 その結果が…



 オーディンより今回の御依頼の同行者(神獣・聖獣・霊獣・幻獣達)を増やせば、危険が少なくなり安心だろうと言われる。
 そしてオーディン自ら選んだ同行者は、フェリスを含めずだと6頭もの巨大な聖獣達なのだ。
 魔力量、戦闘力、防御力と脅威的だと思われる。



 普通の人間達間で戦争をした際、その戦闘力は一部分の国が爆弾やミサイル等で滅びるとか、被害に合うレベルって言う問題だろう。



 それが私の今回の御指名依頼の戦闘力は、大きな国を滅ぼすのも、この世界を木っ端微塵に滅ぼすのも、時間が掛からずに終わってしまうと…。



 そんな脅威的な聖獣達が7頭。
 もしも聖獣達が怒り狂い暴走したら、私は怒り狂う聖獣達を止められるのか?
 普通の人から見てだけど、見た目だけでも威厳、威圧、存在力とかあり過ぎるのよね。



 まだ起こってない事を悩んで居ても、何も対処のしようもない。
 取り敢えず、この聖獣や幻獣達とスターチスへ戻るとしましょう。



 私は聖獣達に向かって、取り敢えず優しい微笑(営業スマイル)を顔にはりつけた。



 「皆様、身体が大き過ぎて困ります。
 なので身体を小さくして欲しいのです。
 お願い出来ますか?」



 そう伝えたのよ。
 私からしたら目の前に居る聖獣達は、見上げる程なのだ。
 体の大きな大人の男性、あるいは騎士達が10人以上とか、聖獣達の背中に乗っても凄く余裕ある。
 余裕あるじゃなく。
 人間を乗せるだけなら、何人もと言う人数を背に乗せたとしても、何も乗ってないと思うのではないか?(私の予想です)



 ご依頼での同行、もしくは町に遊びに行くなどの同行でなければ、この聖獣達を拒否とか、嫌がるなんてしないのですよ。



 神様とか私、私の仲間達は聖獣、幻獣、霊獣達を怖がったりしない。
 私から見た目の前に整列してる聖獣達にしても、この場に居ない聖獣達にしても、モフモフで可愛らしい、もしくはモフモフのイケメン、フワフワの美人に思える。
 あっ!!ツルツルして可愛い、スベスベなイケメンも居たわ。って力説します!!(オーディンからは私限定だろうと)



 敵に対してだと聖獣、幻獣、霊獣達は、猛威を振るいます。
 それを見たら恐れ戦くだろう…。



 フェリスも見上げる程の大きさに戻ってる。
 このブルーローズ(神殿)だから巨大な聖獣が何頭居ようと、空間が狭く感じる事がなく、広々していて余裕のあるのでは?



 フェリスの真っ白い長毛、
 今日もモフモフしたい!!
 でも今現在、それどころじゃないし。


 目の前の神獣・聖獣・幻獣・霊獣達の身体が金色、銀色、オレンジ色等で輝いた。
 輝きが消えたら大型犬くらいの大きさや、小型犬の大きさとか、手の平に乗る大きさに聖獣達は変わっていた。



 巨大な身体だと威厳ある、もしくは神聖な見た目である。
 それが、この大きさなら可愛い動物に見えるわ。



 私はオーディンに最上級の礼をしてお礼を言い、可愛い聖獣達を連れてブルーローズからスターチスへ向かう。
 見た目が可愛くなっただけで、決して戦闘力とか魔力量は可愛くないレベルです。





♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢



 
 スターチスに戻ると、直ぐに子供達が待っている部屋へ向かった。
 部屋の扉をノックすると子供達の返事があった。




 「アリディアーナさんですか?」


 「ヴェルディとウルウェル、ちょっと良いですか?」



 そう私が部屋の扉の前から声を掛けたら、勢い良く扉が開きヴェルディとウルウェルが飛び出て来ました。



 「ずっとアリディアーナさんを待ってたのに、なかなか戻って来なくて…」


 「僕たちを置いて行っちゃったのかなぁ…って不安だった。」



 「長い時間待たせてゴメンなさいね。
 そんな良い子で待って居たヴェルディ、それにウルウェルに良いお話しです。
 今日から私と一緒に行く事になりましたよ。」



 そう私はヴェルディとウルウェルに、優しく微笑して伝えたのです。
 すると子供達が私に抱きついて泣き出しました。


 「ほっ…本当っ…にですか?」


 「こ…こ…おる…す…ばんじゃ…ないの?」


 嗚咽を漏らしながら私に聞いて来る。


 瞳に涙を一杯溜めて、濡れた睫毛に頬。
 私に身体をくっ付けて聞いて来たの。
 だから子供達をあやす様に、安心する様に抱きしめた。



 「一緒だから大丈夫ですよ」


 ヴェルディとウルウェルの頭を撫でたり、背中をポンポンと軽く叩いた。
 暫くあやして居たら落ち着いたみたい。


 私は優しくヴェルディとウルウェルに声を掛けた。



 「もう大丈夫かしら?」


 「「もう大丈夫です。」」


 まだ私に抱き付いて居るけれど、可愛らしい笑顔で返事があった。
 なので子供達に、これから何処へ行き、何をするのかを軽く説明です。



 「ヴェルディとウルウェルに、今から向かう場所。
 そして何をしに行くのかを軽く説明しますね。」



 「「はい!!」」


 「はじめにフォルティアの貴族街にある、ファスアル公爵家へ行きます。
 それから王城へ向かいます。」


 「「公爵家と王城ですか!?」」


 昨夜より表情がくるくる変わるし、顔色も良くなっている。 
 ヴェルディとウルウェルは驚いて瞳を丸くして口を開けたままだ。
 ふふふっ可愛らしいですね。



 「そう今日は公爵家と王城へ向かいます。」


 「公爵家と王城ですか??王城ってお城ですよね…」



 「そうです。公爵家とお城ですよ。」



 「僕たち公爵家に一緒に行って良いのですか?」


 「公爵家も凄く家柄が良いし、平民が行く事もない所です。
 そしてお城なんて…あの…アリディアーナさんと一緒に行って大丈夫ですか?
 私たちが一緒で迷惑にならないですか?」



 ウルウェルとヴェルディが不安そうな顔で瞳を揺らして、そう私に聞いてきた。
 どんな表情でも可愛らしいけれど、不安に泣きそうな顔は、可哀想だし安心してもらわなくてはね。



 「私と一緒なのだから大丈夫よ。
 貴族街で美味しいお菓子を食べましょうね♪」



 そう私は笑顔でヴェルディとウルウェルに、明るく楽しそうに言ったわ。



 「「美味しいお菓子食べたいです!!」」


 不安そうな顔から笑顔に変わった。
 それを見て私もホッとしたわ。


 
 「今からヴェルディとウルウェルは、どうしても持って行きたいと思う物を用意して下さいね。」



 「「はい!!」」


 元気にお返事があって良かったわ。



 私は御指名依頼で留守にするので、スターチスを仲間に任せる為に、仲間の居る部屋へ向かった。


 仲間の居る部屋入ると数人がお話ししている。
 その中の青銀髪の女性に声を掛けた。



 「会談中、失礼しますが…
 ラキアナにお願いしたい事があります。」


 「アリディアーナどうしたのです?
 まさか…もうなのです??」


 「そうです…
 そのまさかの御指名依頼です。
 ですので私が担当していた礼拝堂の勤務と、夜の勤務をスターチスに残ってる人達にお願いしたく来ました。」


 そう私がハッキリと伝える。
 するとラキアナは心配そうな顔で私を見つめた。



 「そんな…無茶よ。前回の御指名依頼から、まだ数日しか経ってないのに…」



 「昨夜、オーディンからの御指名されました。
 ご依頼内容と場所ですが、隣町のカヴァナリアで。
 今現在の聖職街と教会内部の現状況調査です。」


 「カヴァナリアの聖職街…余り良い噂を聞かないわ。
 それに1人でご依頼って…またハードじゃないですか…
 絶対にカヴァナリアの聖職街と、教会内部の現状況調査だけで終わらないわ。」



 周囲に居た仲間からも色々な情報や、心配をされています。



 「そうよね…現状況調査で終わらないわね。
 教会内部へ潜入などして調査をし。
 調査結果で黒いモノが明らかになった後、炙り出されたのよね。
 そうにね。
 それらも全部を含めて、必須事項項目なご依頼になるのでしょうし…」



 そう心配気に物騒な事を言ってるのは、仲間のリビティーナ。
 シスターが物騒な事を口にだしては駄目です。



 リビティーナは少しキツめな外見のクール系美人。
 ラキアナは反対におっとり小動物系の可愛い系。



 リビティーナの口に出した内容は、礼拝に来てる方々の前じゃないので、まだ…良い事にしますが。
 …いや口に出して良いのですか?



 まぁ…その辺は気にせずに、仲間の所へ来た要件を伝えなくてはね。




 「御指名依頼の為、これから外出します。
 ですので私の業務を皆さんにお願いしたいのです。」



 「私たちに任せて大丈夫よ。」



 「無理しないで気を付けるのよ!!」



 「有難うございます。では宜しくお願いします。」


 仲間からの心配そうな声かけに、いつも感謝しかないです。
 仲間の居る部屋から、子供達の居る部屋へ向かう。


 
 部屋の扉をノックして子供達から返事があったので、中へ入ったのですが…


 これだけですか?
 凄く少ない荷物です。



 「ヴェルディとウルウェルは、持って行きたい物が用意出来ましたか?」


 「直ぐに用意出来たよ!」


 「直ぐだったんだ!」


 「少なくないですか?」


 「だって私、お財布とクッキーしかいらないもの!!」


 「僕も財布とクッキーだけが必要なだけ!!」



 そう元気良く笑顔で言う子供達。



 「クッキーって…先程にあげたクッキーですか?」



 「「うん!!」」



 「それだけで大丈夫なの?」



 「このクッキーね、私には大切な物の!!」
 

 「僕もクッキーが大切な物だから!!」

 

 「そうなのですね。では馬車で行きましょう。」



 私のあげたクッキーを、そんなに大切そうに持っているのを見て可愛らしいし、嬉しいです。



 子供達と部屋を出て、スターチスの出入り口から教会の門まで歩いた。
 時間からして既に大きな門は開いていて、門の前にはファスアル公爵家の馬車が停まっている。
 


 その馬車に居た御者が気付き、私達の前に来て礼をした。




 「お嬢様、お乗り下さい。」



 「マーク、突然の馬車の用意有難う。
 紹介するわね。女の子がヴェルディ。男の子がウルウェルよ。
 一緒に行くので宜しくね。」


 「畏まりました。」



 「ヴェルディとウルウェル、こちらはマークよ。」



 「「マークさん宜しくお願いします。」」



 「こちらこそ宜しくお願いします。気軽に声を掛けて下さい。」



 自己紹介も済んだので馬車に乗りましょう。



 「馬車へ乗りますよ。ヴェルディとウルウェル、足元に気を付けてね」


 「「はい!!」」


 ヴェルディとウルウェルが馬車に乗って座ってから、私は馬車の座席に座った。
 座ったのを確認したマークは、馬車を走らせた。



 暫く馬車の外を見ていた子供達は楽しそう。
 でも急にソワソワと落ち着かず、持って来たクッキーの包装で使ったリボンを触っている。
 


 「ヴェルディもウルウェルもクッキー食べたいのなら、リボンを解いて食べて良いのよ?」



 そう声を掛けたらビックリした様に、私の方を見ていた。



 「食べたいけど…」


 クッキーを両手で持ち迷っているみたい。
 なぜだろう…不思議に思い、またクッキー食べて良いと伝える。



 「馬車の中で食べても怒らないわよ?」


 「食べたら…なくなっちゃうもん」


 「食べたいけど、食べたら少なくなっちゃう…」



 そりゃー食べたらなくなる。
 当たり前の事だわ…
 スターチスを出る前に、ヴェルディとウルウェルはクッキーが大切な物って言ってた。
 それを思い出した私は、子供達の言いたい事が分かった。



 「確かに食べたらなくなるけれど、クッキーが好きなら作ってあげるわ。
 だから食べて大丈夫よ?」


 「「本当ですか?」」


 「本当よ。クッキーの他にもお菓子を作るから、気にせずに食べて良いのよ。」


 「「絶対に約束ですよ!!」」


 「ふふふ、大丈夫だから食べていいわよ。」


 
 クッキーの包装のリボンを解いて
 「「いただきます!!」」
 と元気に言って子供達はクッキーを食べた。


 私はインベントリをからカップと紅茶を出した。
 ヴェルディとウルウェルに紅茶を入れ手渡す。

 クッキーだけだと喉渇くし、お菓子にはお茶が付き物だわ。



 「「有難うございます!!」」


 「ふふっクッキーばかりじゃ、喉が渇くでしょう?
 ゆっくり食べてね。」


 私も自分用の紅茶をカップに注ぎ入れた。
 子供達を見ながらカップを持ち紅茶を飲む。
 これからファスアル公爵にお会いするとか、隣町へご依頼で向かうとかって思えない程に穏やかな時間だ。


 
 御者のマークより声が掛けられた。


 「少し休憩しますか?」


 「そうね…子供達に確認するわ」



 クッキーを頬張る子供達に声を掛けた。



 「ヴェルディとウルウェルに聞くけど、少しの時間だけ休憩時間として、貴族街のお店とか見てみる?」


 「お店ですか?」


 「お店を見て歩くか、そのまま目的地まで行くか。どちらが良いかしら?」


 「少しお店を見に行ってみたいです」

 
 「迷惑じゃないなら…お店を見てみたいな…」


 「迷惑でもないし少しの時間だけど、お店を見てみましょうね」



 「「はい!!」」


 
 ヴェルディもウルウェルも嬉しそうなので、休憩として少しの時間だけどお店を見に行く事にした。



 「マーク、少しだけ休憩でお店を見るわ」



 「畏まりました」



 子供達はキラキラとした瞳で、馬車の外を見ている。
 馬車が停止するまで、たわいないお話しをしていた。




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