シスターと機関銃

れいん

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第一章

世界征服が御指名依頼でしたっけ?

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 子供達の質問に答えてから、子供達と食堂で朝食を食べた。
 子供達は嬉しそうにオーク肉のオーブン焼きと、野菜スープ、キッシュにパンを食べていた。




 育ち盛りだし栄養は必要だものね。
 この年齢の普通の子供より、2人は痩せ過ぎている。
 栄養と睡眠が必要だわ。


 私達が朝食を食べていたら、フェリスが来てオーブン焼きを欲しがっていた。
 あれだけお肉の塊を食べたのに、まだ食べるの!?って思った。



 欲しい欲しいと強請るので、フェリスに肉塊のオーブン焼きを差し出した。
 また直ぐに齧り付き平らげてる。


 『やはりオーク肉は美味しい!!』



 そう言ってソファでヘソ天してたわ。
 フェリスが人間みたいなのは、疑問とか不思議に思ってはダメよ。



 食べ終えて食器を洗って、食器棚へ片付ける。
 その際、ヴェルディとウルウェルが手伝ってくれたので早く終わったわ。



 お手伝いしてくれた子供達に、お礼のクッキーを用意した。
 チョコチップクッキーと、レーズン入りクッキーには少しだけ隠し味を入れて。
 レーズンをメープルシロップに漬けて置いたのです🎵



 そう私用にはラムレーズンクッキーにしたの♪
 ちょっと疲れてる時とかに良いのよねぇ~!!


 それに、これから疲れるであろう事を予想してですが。
 私がクッキーを焼いてると、側にいたフェリスが強請るので差し出す。味見ってレベルじゃない…。



 ヴェルディとウルウェルは、眼をキラキラとさせてクッキーを受け取った。
 そんな子供達に声を掛けた。



 「ちょっとヴェルディとウルウェル来てくれる?」



 「アリディアーナ様、何ですか?」



 少し言い難いけれど…子供達に伝えた。



 「ヴェルディ、ウルウェル。落ち着いて聞いて下さいね。私は暫く教会を留守にします。」



 私が留守にとそう言い終わる前に、喰い気味に2人が聞いてくる。



 「なぜですか?」



 「留守にするって、どうしてですか?」




 泣き出しそうな顔の子供達に、なんて言おうか考えた。



 「これから私は王城へ行かなくてはならないのです。ですからお2人は、ここで待っていて下さい。」


 
 「「嫌です…嫌ですよ」」



 そう言って泣き出してしまった。

 はて…この子達をどうしましょう…
 安心して貰うには、違う人がお世話してくれる人が来る事を伝えれば大丈夫かしら?



 「ヴェルディとウルウェル、あなた達のお世話してくれる人が来るから、このまま教会に居て大丈夫よ。だから安心してね!」



 「何処へ行くんですか??」


 「私達が一緒に行っちゃダメですか?」



 そう泣きながら聞いて来たので…
 またしても、どうしましょう?と困ってしまう。



 「ヴェルディとウルウェルを連れて行くと、あなた達が危険だと思うのよ。だから教会でお留守番をね?」



 そう窺いながら言うと、子供達が泣き崩れてしまった。
 なぜ?どうしたの!?



 私は子供達の目線と同じ高さになり、あやしながら泣いてる訳を聞いた。



 「どうしたの?何か不安なの?」



 「アリディアーナ様と離れたくないんです!!」


 「そうです!!離れたくないんです!!」



 「でもね…危…」



 と言い終わる前に、顔をクシャクシャに歪めながら泣いてる。
 泣きながら子供達が訴えて言うので、どうしたものかと思案する。
 一緒にファスアル公爵家に行って、王城に向かって、その後に隣町のカヴァナリアへ行くのよ。
 スターチスに戻って来ないのだし、子供達に危険だわ。



 でも泣き崩れてる子供達から離れるのも、心配だし気になってしまう。
 取り敢えず、ブルーローズへ行って相談してみるしかないかしら??
 悩んでても時間の無駄だと思うし、ブルーローズへ行ってみよう。


 子供達に直ぐに戻る事を伝えて、カップケーキを食べて待って貰う事にしたわ。
 直ぐに戻って来ると言っても、なかなか信じてくれず時間が掛かったけれど。



 今日はブルーローズに行く予定なんて全く無かったけれど、子供達の事で困ってしまったし仕方ない。



 ブルーローズが見えたので面倒だけど、ロザリオを持ち唱えた。



 『フルムーンの光に照らされしブルーローズ、蒼き光から正義と慈愛とご加護を…』



 うん!!やはりリーンって音が鳴り響くのと、輝いてるのを見るのは綺麗だなって思うのよ!!
 ただ唱えるのが面倒なだけで…。



 ロザリオを扉を開ける為に嵌め込んで、さっさと中へ入って行く。
 この場合もオーディンかしら…取り敢えず、祭壇の間に行ってみましょう。



 祭壇の間に着いて扉をノックする。

 《ディア中に入って》


 そうオーディンから返事があった。なので遠慮なく開いた扉から中へ入る。



 「オーディンにお聞きしたいのですが、子供達が私について行きたいと言うのです。どうしましょうか?」



 《そうらしいね。ディアと行動を共にするようにしたら?》



 「私と一緒だと子供達が危険ですよ!?」


 《フェリスの他にも連れて行けば大丈夫でしょう》


 そう言われたので、フェリスの他に快く私に付いて来るのが居るのだろうか…



 《ディアが自分なんかに一緒に来てくれるのが、フェリス以外に居るかと思ってるのは知っているよ。ディアはかなり鈍感だよね。皆んながディアに付いて行きたがってるのに…本当に自分に関する事には鈍いんだよね》


 そうオーディンが呆れながら言った。



 私は鈍くないですが?
 何故、そんな残念な子を見る表情なのです?



 「私と一緒に来たい人(聖獣・神獣・霊獣・幻獣かも?)が居るなら、子供達を守る為にも来て欲しいです。」



 《そうだな…誰が良いかな…》


 そうオーディンが思案している所に、バーンッ!!と勢い良く扉を開けて一斉に入って来た。



 『妾が行きますわ』


 『我が一緒に行ってあげよう』


 『皆さん何を言ってるんですか。この俺が行くのです』



 《何を言ってますの。私が行くから引っ込んでなさいませ。》



 うん。賑やかだ…ギャーギャー煩いくらいに。
 私は遠くから観て居た。
 私が何かを言えば、誰かが拗ねたり、不貞腐れたり、暴れたり…しそうだからだ。
 そうなれば、この空間がカオス化する。


 それ以前に何処から湧いて出て来たのだろう…と思いながら。
 こんな事が前にもあったなぁ…やはりどこから湧いて出たのか疑問だった。
 皆さんに聞きたい、何処から湧いて出たのか。そしてご依頼が沢山入ってる人が、どうして此処に居るのです?


 
 この人(聖獣・霊獣・神獣・幻獣・女神様・同僚など)たちは、盗み聞き、監視、尾行してるんですか?
 うん…こんな事をしたら、普通にストーカーじゃないですかね?



 現実逃避しようかな…って思ってたら、フェリスがブルーローズに来てた。



 そして私はヤバそうな予感がしたのです。


 『爆暴神星華』


 と言うフェリスの声と同時に、爆弾の様な音と爆風の嵐ですよ。



 ドッカーンッ!!と爆風で荒れている。



 オーディンは祭壇の間を強化して、私だけを結界の中へ入れた。オーディンには予想してたのでしょうね。



 『何をするのです。妾に当たったではないですか』
 


 『我の毛並みが崩れるであろう』



 『俺の鱗が傷付くではないか』



 《私の髪の毛と肌に傷付きますわ。反撃しますわよ?》



 ダメだわ…これ…




 『君たちさ、良い加減に黙ろうか。それとも口がきけなくなる位が良いのかなぁ?これから御依頼で疲れるのに、君たちはディアの迷惑なんだよ!!』



 フェリスの雷が落ちました。凄いですね。皆さん静かになりましたよ。




 《いくら普通に注意しても静かにならないからって、フェリスが爆暴神星華を室内で放つのは良くないですね》


 『オーディンが居るのだから平気でしょう?瞬時に祭壇の間を強化してましたし。その上、アリディアーナだけを自分の結界内へ避難させてましたし』

 
 シレっとフェリスが言ったが、オーディンは聞き流したご様子。
 そしてオーディンは先程、凄い勢いで雪崩れ込んで来た皆様を観て




 《フォルセティまで、アリディアーナの同行者の募集に来てはダメですよ。ここでの役割があるでしょう。そしてフレイヤとヘイムダルとトール、君らも役割があるでしょう。各自、自分の持ち場に戻りなさい!!》



 御指名依頼や自分の役割りの業務がある人達は、渋々ながら各自の持ち場に戻って
行った。


 だが残ってる人が思った以上に多いのだ。
 私を揶揄ってるのだろうか?



 『ここに来ていた者は全員が自己中だからと言う理由からの却下なのか。
 もしくは自己中じゃないけれども役割りがあるから却下になる場合でしょう。諦めて戻りなさい』




 フェリスが怖かったらしく、祭壇の間にオーディンとフェリス、それに私だけになった。



 《エルタニンとシリウス、アルタイル辺りならどうだろうか?》




 シリウスは大きな真っ黒い犬だったわ。アルタイルは白銀の大きな鷲でしょう。そしてエルタニンって100の頭を持つ龍だったかしら…



 うん…連れて歩けないかと思うわ。
 なんと言ってもエルタニンとアルタイルって、大き過ぎるし目立つものね。ギリギリでシリウスくらいかしら…



 「オーディンは本当に私がお連れしてて大丈夫な人(神獣か霊獣か聖獣か幻獣)をお考えなのですか?」



 エルタニンなんて連れて歩けるはずないでしょう。頭が100もあるのよ?



 《私の中ではシリウスかヨルムンガムド、ハティとスコル、ガルムとニーズヘッグとフェンリルかな…》


 
 オーディンは本気で、このメンバーを言ってるのですか?

 
 

 「……オーディンは世界を滅ぼしたいのですか?
 それとも私に世界征服でもしておいでって事ですか?
 私は御指名依頼に行くだけなのですよ?
 それにしては戦闘力があり過ぎる者達で、木っ端微塵に世界を滅ぼして来る様に言ってるとしか思えません!!」



 とても冷たい眼でオーディンを見つめた。
 フェンリルは聖獣。ガルムとハティとスコル、ヨルムンガムドは幻獣だったはず…


 これどうなの?
 って思うけれど
 

 オーディンは心配気に色々と悩んだし、考えていた事を切々と言い続けてた。
 


 《リディの事が心配だから強く頭が良いって事を考えてね》



 「オーディンが色々と考えて下さった事は分かりました。」



 《では私が連れて行きなさい》



 「はぃ!?全てとは?」



 《私がです!》



 ……ちょっと待って…

 やはり今回の御指名依頼は、隣町の事でなく、世界破壊とか世界征服って言う御指名依頼でしたか?



 オーディンを見ると眼がマジです…


 どんなに私がと言っても、オーディンは聞いてくれないだろう事が目に見えているのだし。
 これはオーディンの意見をとりいれるべきですね…


 
 「全てだと行動するのに困るので、程々でお願いしたいです。」



 《ヨルムンガムドとガルム、それにケルベロスにスレイプニル、それにフェンリルとフェニックスで大丈夫だろうか?》



 「…有難うございます。子供達を守るのに脅威的な戦闘力です。聖獣・幻獣・霊獣・神獣などの計6頭もなんて」




 《よし、ではヨルムンガムド、ガルム、ケルベロス、スレイプニル、フェンリル、フェニックス、今日からアリディアーナを主人として、主人と一緒に行動して助けるように》



 そうオーディンが声を張り上げた途端、黄金の光が祭壇の間を照らした。
 そしてヨルムンガムド、ガルム、ケルベロス、スレイプニル、フェンリル、フェニックスが姿を現した。



 ……思った通り集まった聖獣達が全て巨大です。
 威圧感とか魔力とか半端ないです。
 フェリス(巨大な白猫)だけでも脅威的な戦闘力なのですよ。
 数刻前の風魔法は国を滅ぼすのでは?



 そんな巨大な白猫に加わって、ヨルムンガムド(巨大な蛇)、ガルム(巨大な狼な様な番犬)、ケルベロス(3つの頭を持ち蛇の尾の巨大な犬)、スレイプニル(8本足の巨大な馬)、フェンリル(巨大な狼みたいな見た目の聖獣)、フェニックス(真紅の炎で体を包んでいる神獣。不死鳥や火鳥)ですね。



 トータルだと戦闘力なんて、世界征服や世界破壊とかレベルでは?
 王城に行けるのだろうか…不安だわ。



 オーディンに呼ばれて集まった神獣・聖獣・霊獣・幻獣達は、整列した様に並んでるけれど…
 これは何順なのでしょうか…って、そんな事よりも聞かなければ!!



 「オーディンから皆様への命令でですが、私が主人で良いのでしょうか?
 私は皆様へ私を主人にする事を、強制したりするつもりは全くありません。
 ですので不満に思う方は、どうぞ申し出て下さい」



 『『『『『『我々一同、アリディアーナを主人と認め、同行する事を誓おう』』』』』』



 『君たちならアリディアーナと一緒でも大丈夫そうだね。ではアリディアーナと子供達を守る様に』



 私だけか思い浮かべたか分からないが、この雰囲気からして、前世の何処かの国の軍隊の様だ…
 部隊長と副隊長、そして軍員達って感じ。
 軍員が男性ばかりのムサ苦しいイメージが…って思った。
 なんて私には言えないわ。


 「これから宜しくお願いしますね。
 そしてオーディンに質問ですが、非常に目立ちます!!
 その辺はどうしたら良いですか?」


 《それは問題ないし大丈夫です。
 皆んな小さくなれるし、アリディアーナの影に入る事も出来るからね》


 「そうなのですね!?安心しました!!」




 これで少しは問題なさそうかな…
 まだ不安の方が多いのだけど…
 もう同行決定な訳だし、スターチスへもどろう。





 
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