付く枝と見つ

羽上帆樽

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第38部 ru

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 ルンルンと別れ、タクシーに乗り、シロップは家に帰ってきた。色々なことがあったような気がするが、公園に行って帰ってきただけだ。というのは、目に見えて分かる運動に注目した場合で、ほかの部分を見ていないことに注意。

 家の前でタクシーから降りる。二階の自室まで自力で戻るのが面倒だったから、玄関の前で指を鳴らすと、椅子が歩いて迎えに来てくれた。その上に座り、自室まで移動する。その椅子は階段を上るのが下手で、少し時間がかかった。

「オカエリナサイマセ、ゴシュジンサマ」とデスクが言った。

「ご主人?」

「オジョウサマノホウガ、イイデスカ?」

「ご主人

    様がいいな

 お嬢      」

「デハ、

 ゴシュジン

      サマ

 オジョウ   」デスクは相変わらず机の上に載ったまま話す。「コノアトハ、ドウナサイマスカ?」

「どうなさるのがいいと思う?」

「ハイ、マズ、バンゴハンヲメシアガルノガイイカト」

「食ってばかりじゃないの」

「ダメデスカ?」

「何か食べるものがある?」

「ホットサンドヲヨウイシテオキマシタ」

 デスクがそう言うと、机の引き出しが一人でにスライドし、中からホットサンドが飛び出してきた。それは放物線を描いて空を飛び、部屋の入り口付近に座っていたシロップの手にすっぽりと収まった。

「準備がいいね」

「デショウ?」

 シロップはホットサンドを食べる。先ほどバームクーヘンを食べたばかりな気がしたが、どうでも良かった。なぜなら、ホットサンドは出来てすぐに食べないと冷めてしまうからだ。こういうのを、非理屈、不理屈、屁理屈という。

「こう、散らかってくるとさ、シンプルにしたくなるよね」シロップは言った。

「シンプルニ、デスカ?」

「そう」彼女は頷く。「シンプルにする方法は二つあって、一つは、散らかっているものに共通点を見つけて、整理すること。もう一つは、散らかっているものをすべて廃棄して、まっさらにすること。どっちの方が簡単かな?」

「カンタンナノハ、コウシャデショウ」

「そうだよね」

「チラカリッパナシデハ、ダメデスカ?」

「駄目じゃないけど、人間、誰しも、散らかりっぱなしだと気持ちが悪いものだよ」

「ホカノカタニカクニンシタノデスカ?」

「してないけど」

「ジャア、ワカリマセンネ」

「常套句みたいなものだから」

「チラカリッパナシトイウノモ、アナガチワルクナイヨウナキモイタシマスガ」

「そうか」

「エエ、ソウデス」デスクは赤いランプを点灯させる。「セイリスル、ハイキスルトイウハンダンヲオコナウタチバヲステ、ジブンモ、ソノチラカッテイルモノノウチノヒトツニナッテシマエバイイノデス」
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