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第2章
第17話 談義
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「いつまで、ここにいるつもりだ?」
フィルが尋ねてきた。彼は、今は月夜の隣の机の上に大人しく座っている。
「雨がやむまで」月夜は答えた。
「やまなかったら、どうするんだ?」
「やまなかったら、帰れないけど、そうなる前に、もうやみそうにないと判断して、帰る」
「ややこしいな」
「何が?」
「月夜、そろそろ学校にも馴染んできたか?」
「いや、あまり」
「この間、馴染んできた、みたいなことを言っていなかったか?」
「言ったっけ?」
「いや、言っていないかな……」
「ややこしい」
「どんなところに馴染んでいないんだ?」フィルは机から飛び下りて、教室の床の上をぐるぐる歩き始めた。「給食がないところとか?」
「中学の頃から、給食はない」月夜は本を読みながら答える。「全体的に、私はこういう場所には馴染まない、と感じる」
「ほう。なかなか面白いことを言うじゃないか」
「面白い?」
「たしかに、制服を身に着けている月夜は、月夜じゃないって感じがするな」
月夜は少しだけ顔を上げて、フィルを見た。
「一週間の内で、制服を着ている方が多いよ」
「うん、そうだな。でも、それは月夜じゃない感じがするんだ。なんというのか……、そう、無理やり着させられている感じがする。似合ってはいるが、お前の本望ではないように見える」
「無理やり着させられているというのは、その通り」月夜は肯定する。「でも、別に、そんなに嫌じゃない」
「まあ、いいさ。その内馴染んでくるだろうよ」
「馴染まなかったら、どうすればいいかな?」
「やめればいいんじゃないか?」
「なるほど」
フィルは黒板がある方に向かって、その前にある教壇に飛び乗る。そんな彼を見ていると、彼がこの学校の長であるように思えてくる。トップに立つのが人間ではないというのは、ある意味では革新的なシステムかもしれない。これまでの人間の歴史は、誰がトップに立つかで争ってきたようなものだ。それなら、そこに人間が立てないようにすれば良い。程度の差はあるといえ、皆が皆一律に何者かによって支配されているという感覚を抱くだろう。
「お前は、支配される、支配するということについて、どう考えているんだ?」
フィルの言葉を聞き、月夜は考える。
「何も、考えていない」暫くして、彼女は答えた。「するのは嫌だけど、される分には問題ない。ただ、それで、諍いが起こるようなことは、ない方がいいな、とは思うよ」
「平和主義だな」
「誰だって、本当はそうだと思う」
フィルが尋ねてきた。彼は、今は月夜の隣の机の上に大人しく座っている。
「雨がやむまで」月夜は答えた。
「やまなかったら、どうするんだ?」
「やまなかったら、帰れないけど、そうなる前に、もうやみそうにないと判断して、帰る」
「ややこしいな」
「何が?」
「月夜、そろそろ学校にも馴染んできたか?」
「いや、あまり」
「この間、馴染んできた、みたいなことを言っていなかったか?」
「言ったっけ?」
「いや、言っていないかな……」
「ややこしい」
「どんなところに馴染んでいないんだ?」フィルは机から飛び下りて、教室の床の上をぐるぐる歩き始めた。「給食がないところとか?」
「中学の頃から、給食はない」月夜は本を読みながら答える。「全体的に、私はこういう場所には馴染まない、と感じる」
「ほう。なかなか面白いことを言うじゃないか」
「面白い?」
「たしかに、制服を身に着けている月夜は、月夜じゃないって感じがするな」
月夜は少しだけ顔を上げて、フィルを見た。
「一週間の内で、制服を着ている方が多いよ」
「うん、そうだな。でも、それは月夜じゃない感じがするんだ。なんというのか……、そう、無理やり着させられている感じがする。似合ってはいるが、お前の本望ではないように見える」
「無理やり着させられているというのは、その通り」月夜は肯定する。「でも、別に、そんなに嫌じゃない」
「まあ、いいさ。その内馴染んでくるだろうよ」
「馴染まなかったら、どうすればいいかな?」
「やめればいいんじゃないか?」
「なるほど」
フィルは黒板がある方に向かって、その前にある教壇に飛び乗る。そんな彼を見ていると、彼がこの学校の長であるように思えてくる。トップに立つのが人間ではないというのは、ある意味では革新的なシステムかもしれない。これまでの人間の歴史は、誰がトップに立つかで争ってきたようなものだ。それなら、そこに人間が立てないようにすれば良い。程度の差はあるといえ、皆が皆一律に何者かによって支配されているという感覚を抱くだろう。
「お前は、支配される、支配するということについて、どう考えているんだ?」
フィルの言葉を聞き、月夜は考える。
「何も、考えていない」暫くして、彼女は答えた。「するのは嫌だけど、される分には問題ない。ただ、それで、諍いが起こるようなことは、ない方がいいな、とは思うよ」
「平和主義だな」
「誰だって、本当はそうだと思う」
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