27 / 255
第3章
第27話 登山ごっこ手前
しおりを挟む
足もとに転がる小枝。それを拾い上げ、人差し指と親指で挟んで、くるくると半回転させるのを繰り返す。一回転させるのは難しい。二本の指をねじれさせることができれば、もう少し上手くいくかもしれない。
「もう、歩けない?」
先を行く真昼が振り返り、月夜に声をかける。彼女は顔を上げて首を振った。
「まだ、そんなに疲れていない」
グラウンドの向こう側にある斜面を、二人で登っていた。二人で、というと、二人で協力して、といった意味合いにも受け取れるが、別に何の協力もしていない。言い換えるなら、二人揃って、といった方が正確だ。しかし、揃うためには二人以上いなくてはならないのだから、初めから、揃って、といえば良かったかもしれない。
「この辺りには、たしか、奇妙な実ができる木が生えているんだ」歩きながら真昼が説明した。「赤くて、小さな実。興味本位で食べてみたことがあるけど、なんだか変な味だったなあ……。甘すぎず、酸っぱすぎず。食感も、柔らかすぎず、硬すぎずという感じで、どっちつかずな感じだった。債務不履行というか」
「また、食べたい?」月夜はなんとなく質問する。
「うーん、ま、食べなと言われたら、食べるかもね」
「じゃあ、食べな?」
「この季節に成っているかは、分からないよ」
斜面を登りきると、目の前に柵が現れた。柵といっても、二本の鉄の棒を伴っただけの、いたって簡単なものだ。境界を示すくらいの機能しかない。そして、その一部に開けている部分があって、そこから先に進めるようになっていた。立入禁止のために建てたものではないらしい。
抜けた先は、公園と同じくらいの広さがある芝生の地面で、点々と古ぼけた木が立ちっぱなしになっていた。灰色で、枝が少なく、幹の途中に大きな穴が開いていたりする。
この場所が何のために残されているのか、月夜には分からなかった。土地としてはかなり広いから、住宅を建てようと思えば建てられなくもないだろう。今はそれほどの人口ではないということかもしれない。
芝生の終着まで行けば、今度は山へ繋がる入り口が現れる。入り口といっても、明確なものではなく、枝葉に囲まれてトンネルみたいになっているため、それらを掻き分けない限り見つけるのは難しい。
今は山には登らずに、この芝生の範囲内にいることにした。
真昼は、ふらふらと歩いて、それから、勢いを失って背中から地面に倒れた。
「大丈夫?」そんな真昼を、月夜は上から覗き込む。
「自然に還る感じ」
「もう、歩けない?」
先を行く真昼が振り返り、月夜に声をかける。彼女は顔を上げて首を振った。
「まだ、そんなに疲れていない」
グラウンドの向こう側にある斜面を、二人で登っていた。二人で、というと、二人で協力して、といった意味合いにも受け取れるが、別に何の協力もしていない。言い換えるなら、二人揃って、といった方が正確だ。しかし、揃うためには二人以上いなくてはならないのだから、初めから、揃って、といえば良かったかもしれない。
「この辺りには、たしか、奇妙な実ができる木が生えているんだ」歩きながら真昼が説明した。「赤くて、小さな実。興味本位で食べてみたことがあるけど、なんだか変な味だったなあ……。甘すぎず、酸っぱすぎず。食感も、柔らかすぎず、硬すぎずという感じで、どっちつかずな感じだった。債務不履行というか」
「また、食べたい?」月夜はなんとなく質問する。
「うーん、ま、食べなと言われたら、食べるかもね」
「じゃあ、食べな?」
「この季節に成っているかは、分からないよ」
斜面を登りきると、目の前に柵が現れた。柵といっても、二本の鉄の棒を伴っただけの、いたって簡単なものだ。境界を示すくらいの機能しかない。そして、その一部に開けている部分があって、そこから先に進めるようになっていた。立入禁止のために建てたものではないらしい。
抜けた先は、公園と同じくらいの広さがある芝生の地面で、点々と古ぼけた木が立ちっぱなしになっていた。灰色で、枝が少なく、幹の途中に大きな穴が開いていたりする。
この場所が何のために残されているのか、月夜には分からなかった。土地としてはかなり広いから、住宅を建てようと思えば建てられなくもないだろう。今はそれほどの人口ではないということかもしれない。
芝生の終着まで行けば、今度は山へ繋がる入り口が現れる。入り口といっても、明確なものではなく、枝葉に囲まれてトンネルみたいになっているため、それらを掻き分けない限り見つけるのは難しい。
今は山には登らずに、この芝生の範囲内にいることにした。
真昼は、ふらふらと歩いて、それから、勢いを失って背中から地面に倒れた。
「大丈夫?」そんな真昼を、月夜は上から覗き込む。
「自然に還る感じ」
0
あなたにおすすめの小説
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる