舞台装置は闇の中

羽上帆樽

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第9章

第88話 分類

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 クラスメートと教室に二人きりでも、特に何の変化も生じなかった。もちろん、心的変化は多少生じる。それはたぶん人間の動物としての機能だ。同類、もしくは非同類が自分の周囲にどれだけ存在するのか、常に把握しようとする。

 月夜は構わず本を読み続ける。

 学校の授業は、面白いといえば面白かった。一年生の内はまだ理系、文系という括りはなく、芸術科目以外は皆一律に同じ教科を履修する。英語も数学も国語も、どれもそれぞれの特色があり、また逆にそれぞれに関連する部分も見られ、中学の頃よりも教科の内外問わず内容が一層緻密になった感じだ。

 けれど、中学の頃と変わらないという見方もできそうだった。何をもって違う、同じという判断をするのかは不明だが、どちらともとれるように月夜には思えた。外見からすると同じ、内に入って見渡せば違うという感じだろうか。

 自分のように、学校の授業についてそうした分析を行っている者が、ほかにどれくらいいるのか、月夜は知りたかった。別に自分をとりたてて示したいのではない。純粋な疑問として興味があるのだ。あるいは、自分の同類を見極めたいという、これまた動物的な視座の表れかもしれない。

 皆、与えられた課題に一生懸命取り組んでいるように見える。それは大変素晴らしいことで、学生としての本分を充分に発揮しているといえる。しかしながら、ときにはそうした内の視点からではなく、外の視点からも物事を見つめる必要があるのではないか。自分を自分として見るのではなく、集団の内の一部として見るということだ。

 英語、数学、国語と、科目はいくつかに分けられているが、どうして分かれているのだろう?

 小学校に入学したときから、科目は分けられて提示されてきたから、それは最早当たり前のこととして認識されている。けれど、考えてみれば奇妙な話だ。たとえば、英語と国語は、ともに言語という括りで一つにまとめることができる。さらにいえば、それは「まとめられる」可能性を秘めているのではない。もともとは一つだった。それを人間の恣意的な判断によって分けたのだ。すなわち、英語と国語というのは、人間の文化の一部を切り取った部分、ということになる。

 文系と理系の区別というのは、まさにそうした行為の結果の表れであり、本当は、そんなふうに明確に分けられるものではない。理系だからといって、英語や国語ができなくて良いというわけにはいかない。文字が読めなければ、如何なる教科の参考書も読むことができない。
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