舞台装置は闇の中

羽上帆樽

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第9章

第87話 読書式思考の帰結

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 学校に到着した。門を潜る。階段を上る。昇降口に入る。靴を履き替える。教室に向かう。教室に入る。

 部屋の照明が点いたままになっていた。いつからその状態になっていたのか分からない。昨日からだろうか。それとも、清掃員か技術員が朝の内にやってきて、何か作業をしていたのかもしれない。いずれにしろ、日中であっても教室の照明は点いているものだから、月夜はそのままにしておいた。

 自分の席に着く。

 正面を見る。

 黒板がある。

 鞄から本を取り出して、彼女はいつも通りそれを読み始めた。文字を追い、文章の意味を理解する。

 本を読んでいるのに、やはりそれとは別のことを考えている。けれど、読書が疎かになることはない。たぶん、インプットとアウトプットでは、脳の用いる領域が異なるのだろう。まったく別個というわけではなく、ある部分は共通に用いられているのかもしれない。インプットをすることで、アウトプットが活性化されるということも考えられる。

 おそらく、皿が家の前に落ちているのを見つけることが、今後もあるだろう、と月夜は予想していた。先ほどは、二度では故意による現象だと断定できないと考えたが、しかし……、統計的には、稀有な事象が二度起きたら、それは偶然ではないサインになる。二度起きたタイミングで何らかの行動を起こさなければ、次同じことが起きたときには手遅れになるかもしれない。

 二度あることは三度ある、という。

 しかし、三度あることは四度ある、とは普通言わない。

 これは、三度目で事態が何らかの収束を迎えるからではないだろうか。

 一度目が発端、二度目が警告だとすれば、三度目が収束に当たる。

 その次はない。

 もしそうだとすれば、今の内に何らかの対処をしなくてはならない。

 まったく論理的な考え方ではなかったし、自分でもどうしてそんな考え方をするのだろうと月夜は不思議に思ったが、一方で、そのような連想、あるいは発想があるということは、そう思わせる何らかの要因があるのではないか、とも考えられた。

 人間は環境に属している。人間自体が環境であるということは別としても、それは間違いない。そうであれば、その環境の影響を受けて、自分の思考も一定の方向に絞られていくということもあるはずだ。

 もっと別の要因かもしれない。

 たとえば、自分が空想じみた何かを深層心理のレベルで望んでいるとか……。

 教室の扉が開く。

 生徒が一人入ってきた。
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