舞台装置は闇の中

羽上帆樽

文字の大きさ
86 / 255
第9章

第86話 科学的思考の結果は万人向け

しおりを挟む
 毎日色々なことが起こる。

 人間には、物事と物事を等しく扱う能力があるので、そのような捉え方ができるが、反対にそうした捉え方をする色眼鏡を外して世界を見れば、一つ一つの物事はすべて個別のものとなる。

 色々なことが起こるというのと、何も起こらないというのは、捉え方の違いであり、世界の真なる姿を映した結果ではない。しかし、では世界の真なる姿とは何かという問題になると、これに答えるのは困難を極める。なぜなら、世界を観察するためには、人間は必ず何らかの色眼鏡をかけなければならないからだ。

 皿を家の前に置いていった者には、何か意図があっただろうか?

 あったとしたら、それはどのようなものだっただろう?

 決定疑問文から補足疑問文へと移るのは、そう珍しいことではない。

 そのような順で問わないと、論理的な対処ができないというだけだ。

 家の前に皿が落ちていたという事象について、単に葉が落ちていたとか、石が落ちていたという事象と同じように扱うことも、できないわけではない。それらは「xが落ちていた」という事象として共通だ。しかしながら、統計的な頻度という観点から考えれば、最前者のような事象が特異であることは一目瞭然となる。家の前に葉が落ちている頻度と、石が落ちている頻度に比べれば、皿が落ちている頻度は明らかに小さい。また、特異というのはそもそもそういうことを意味する。

 ここで、皿、葉、石を横並びにして、すべてを同一のものとして扱うのは、一見すると科学的に見えなくもないが、実は宗教的な方へと一歩足を踏み入れている。科学は、結果を見て、それを解釈するところまで含む。そして、その解釈というのは、人間にとって自然な形で収めるのが一般的だ。この場合の自然な形というのは、これまた統計的に、多くの人間が納得する形、と定義するのが良いかもしれない。

 したがって、家の前に皿が落ちていたという事象は、とりたてて扱わなくてはならない。少なくとも、月夜一人の生活に関しても、そのような事象が観察されることは統計的に少ないといえる。

 皿は、本来ものを食べるために使う道具だ。

 そして、おそらく、初めからそのように意図して作られてもいる。

 皿を使って、自分に何かを食べてもらうことを望んでいるのだろうか?

 だとしたら、それはなぜだろう?

 月夜は今朝、ヨーグルトを食べた。そのときに使ったのは、皿ではなく、器だった。

 ……?

 皿と器の違いは何か?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...