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第21章
第205話 蒼昼画
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昼休みになって、月夜は珍しく校舎の外に出た。校舎の外に出るというのは、アスファルトの地面を踏む状態になるということだ。渡り廊下も外気に晒されているが、それを校舎の外に出る、と表現できるかは怪しい。昼休み中に渡り廊下に向かうことは、今までに何度かあった。
校舎を囲むようにして道が続いているから、なんとなくその道を歩く。昇降口を出て階段を下りると、前方に駐車スペースがあり、左手に小規模な池がある。池がある方から反時計回りに道を進んだ。
正午を過ぎた頃だから、今は日差しがかなり強い。片手で庇を作って空を見上げると、視界が一気に白一色で覆われた。慌てて目を細める。暫くすると、その光にも慣れてきて、青と、光のものではない白のコントラストが、よく見えるようになった。
暑さに身体が蒸発して、空まで届くのではないか、という気がしてくる。
いや、それは気ではないか。
そう思おうとして、そう思ったに違いない。
風情が感じられる前提で詩を読むのと同じだろう。
顔を前方に戻して再び歩き始める。左手に校舎の白い壁。前方に裏門の黒い柵。裏門の向こう側には電車の整備を行う施設があり、敷地内には線路が巡らされている。当然、その線路は道路を横断し、そのさらに向こう側にある本物の線路へと続いている。
後ろから幾人の生徒が駆けてきて、声を上げながら月夜の傍を走り抜けていった。夏なのに、元気だな、と月夜は思う。冬でも同じことを思っただろうが。
アスファルトの亀裂から、緑色の小さな芽が生えていた。月夜はその場にしゃがみ込み、生暖かい風に吹かれて揺れる双葉に手を触れる。まだ深みがかかった緑ではなく、黄色や白が混じった色をしていた。厚いために葉に通う脈は見えない。
亀裂からその芽を抜いてしまいたい衝動に駆られたが、踏み留まった。踏み留まるために大した労力は必要ない。この種の衝動は度々生じるものだから慣れていた。自分以外の者にも生じるのか、確認したことはないが、ある程度根源的な感覚ではないかと月夜は考えている。
ものを壊すことで得られるものがある。
当然、壊す、の中には、殺す、も含まれる。
生き物もものの内だ。
もちろん、人間も。
意図を持ってものを壊すのは人間だけだろうか?
校舎を囲むようにして道が続いているから、なんとなくその道を歩く。昇降口を出て階段を下りると、前方に駐車スペースがあり、左手に小規模な池がある。池がある方から反時計回りに道を進んだ。
正午を過ぎた頃だから、今は日差しがかなり強い。片手で庇を作って空を見上げると、視界が一気に白一色で覆われた。慌てて目を細める。暫くすると、その光にも慣れてきて、青と、光のものではない白のコントラストが、よく見えるようになった。
暑さに身体が蒸発して、空まで届くのではないか、という気がしてくる。
いや、それは気ではないか。
そう思おうとして、そう思ったに違いない。
風情が感じられる前提で詩を読むのと同じだろう。
顔を前方に戻して再び歩き始める。左手に校舎の白い壁。前方に裏門の黒い柵。裏門の向こう側には電車の整備を行う施設があり、敷地内には線路が巡らされている。当然、その線路は道路を横断し、そのさらに向こう側にある本物の線路へと続いている。
後ろから幾人の生徒が駆けてきて、声を上げながら月夜の傍を走り抜けていった。夏なのに、元気だな、と月夜は思う。冬でも同じことを思っただろうが。
アスファルトの亀裂から、緑色の小さな芽が生えていた。月夜はその場にしゃがみ込み、生暖かい風に吹かれて揺れる双葉に手を触れる。まだ深みがかかった緑ではなく、黄色や白が混じった色をしていた。厚いために葉に通う脈は見えない。
亀裂からその芽を抜いてしまいたい衝動に駆られたが、踏み留まった。踏み留まるために大した労力は必要ない。この種の衝動は度々生じるものだから慣れていた。自分以外の者にも生じるのか、確認したことはないが、ある程度根源的な感覚ではないかと月夜は考えている。
ものを壊すことで得られるものがある。
当然、壊す、の中には、殺す、も含まれる。
生き物もものの内だ。
もちろん、人間も。
意図を持ってものを壊すのは人間だけだろうか?
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