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周囲の心配なんのその
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「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「「「「うわぁっ!!」」」」
ここはトパーズ王国。
小国とされる国土だが、所有する騎士団は世界屈指の戦力を誇る。
その騎士団の鍛練場で、戦場さながらの鬼気迫る勢いで模擬刀を振るって若手を薙ぎ倒しているのは副団長ダニエル。
腕に自信のある騎士達が四方八方から飛びかかるも全て撃沈。
「ちょ…副団長……つよ……すぎ…」
二十五歳のダニエルよりも若く体力もあるはずの騎士達が屍の山となり、それでもなお覇気を飛ばすダニエルに苦笑しながら近付くのは同じく副団長を務めるポーレス。
「ダニー、そろそろやめてあげて」
「ふぅ……ふぅ……」
筋骨逞しく短い銀髪の髪に緑色の鋭い眼差しをしているダニエルと、細身ながらしなやかな筋肉を纏い腰まである金髪に蒼色の優しい眼差しをしているポーレスは、トパーズ王国内は勿論のこと他国の女性にもファンが多い。
ふたりを模して描かれた絵姿は世界各地で飛ぶように売れ、またその腕っぷしから門下となりたがる男達も多く訪れている。
ふたりの父親、祖父、曾祖父、以下略…も同様に多くの男女を虜にしてきた家系であり、騎士団をまとめてきたのもふたりの実家である。
城を守る第一騎士団を纏めるのはポーレスの実家であるカルダン侯爵家。
国を守る第二騎士団を纏めるのはダニエルの実家であるジョーンズ公爵家。
同い年のふたりは兄弟のように切磋琢磨しながら剣術を磨いてきたが、唯一異なることと言えばダニエルは独身でポーレスは妻帯者であること。
いつまでも男所帯の中で剣ばかり振るう幼馴染みに、三人の子持ちであるポーレスは何かと世話を焼いては令嬢を紹介してきた。
男らしい体躯とその見目の良さで話に乗る令嬢はかなりの数いたが、女性の扱いなど娼婦しか碌に知らないダニエルとは会話も弾まず、やはり見ているだけで充分との返事がお決まり。
今日も今日とて、ダニエルの父親が率いる第二騎士団への入団希望者を相手に剣を振るっている内に火がついてしまい、気が付けば屍の山。
「これでも優秀な子達なんだけどなぁ」
こてんぱんにされてピクピクと動いている騎士達をツンツンしながら、連れてきた救護班達にテキパキと指示を飛ばしていく。
「ふぅ……このくらいでくたばるなど情けない」
「そう言ってやるなよ。ダニエルとの力量は天と地ほどもあるんだぞ?これでも前線でかなり力になると思うけどなぁ」
「……ふんっ」
あれだけ鼻息荒くしていたにも関わらず、落ち着いてみれば汗ひとつ流していないし呼吸の乱れも見られない。
そんな幼馴染みにポーレスは再度苦笑しつつ、訪れた用件があった事を思い出した。
「そうだ、ダニエル。今週末あいてる?」
「今週末?鍛練くらいしか予定していない」
「それなら良かった。昼までには終わるだろ?それが終わったら俺の家に来て。あ、ちゃんと清めてから来いよ」
「は?なんで?」
「理由は来てから話す。じゃ」
ひらひらと手を振り去っていくポーレスの後ろ姿を見送りながら、いつにも増して意味不明なやつだと思うダニエル。
それでも久し振りにポーレスの家に行くことになり、実はとても楽しみなのだ。
相手をするのは娼婦くらいで女っ気のないダニエルではあるが、生粋の子供好きでありポーレスの子供達はもちろん騎士団を訪れる子供達もよく相手にしており、その姿からダニエルとの家庭を築く夢を抱く令嬢も多いものの、やはり会話が盛り上がらないことが致命的となってしまう。
ダニエルはダニエルでそこを改善する器量も努力もなく、肉欲は娼婦で事足りているし家督はいざとなれば弟の子供にでも継がせるつもりでいる。
だが、どんな因果かジョーンズ家とカルダン家は長男の血筋でないとその実力が発揮されない。
その為、ダニエルの嫁取りと跡継ぎをどうにかせねばと両家揃って躍起になっているのだ。
「新作の玩具とお菓子を買っていくか」
子供達の為なら流行りや好みを調べるのに、なぜ女性を相手に出来ないのか…それは国王陛下も頭を悩ませており、国をあげての最重要対処案件とされている。
******
「だにぃぃぃぃぃぃ!!!」
ボスっ…と足元に飛び込んできたのは、ポーレスの第二子である息子アレクシス。
四歳になったばかりで、まだまだ甘えたいさかりのアレクシスは存分に甘やかしてくれるダニエルに懐いており、訪れれば常にダニエルの逞しい腕の中で過ごしている。
「いらっしゃい、ダニエル」
「キャサリン、久し振りだな」
出迎えてくれたダニエルの妻キャサリンはふたりよりふたつ年下で、三人の子持ちとは思えないスタイルを保っている…が、そのお腹は今ぽっこりと膨らんでいる。
「順調か?」
「えぇ、お陰さまで」
アレクシスを抱き上げ、少し目立つようになってきたお腹に触れればなんとも穏やかな気持ちとなるのはいつものこと。
子供好きのダニエルは妊婦にも殊更優しい。
きっと自分の子供も可愛がるであろうに…と周囲は思っているが、なぜかダニエル自身はそんなことを露ほども思わせないのが不思議である。
「ポーレスとキャラバンは?」
「まだ鍛練してるの。キャラバンが納得いかないらしくて…困っちゃうわ」
「頼もしいな」
第一子である息子キャラバンは七歳だが、その剣筋はダニエルも目を引くものであり、将来の展望が楽しみのひとつとなっていた。
「だにぃ、ぼくあたらしいごほんかったの」
「お?どんな本だ?見せてくれ」
剣術に長けているキャラバンとは対称的に、頭脳が長けているのがアレクシス。
子供向けの絵本は二歳の頃に飽き始め、今では学術的な専門書を愛読しており、その体躯から脳筋と思われがちなダニエルも実のところ優秀な頭脳であることから、よくふたりで難しい本を読んで過ごす。
子供らしさ…といった押し付けのない家族とダニエルの支えもあり、カルダン家の子供達はのびのびと個性を磨きながら成長を見せている。
「だぁ」
「お、ミシェル」
通された家族用の居室にあるソファに座り、アレクシスを膝の上に乗せて薬草による治療法についての本を読んでいると、足元におしゃぶりを咥えた末娘のミシェルがやってきた。
「だ、ぶぅ」
もうすぐ一歳になるミシェルは、特に何かを求めることもなくダニエルの長い足に纏わりつきながら、言葉になっていない声を出しながらひとり楽しんでいる。
その様子を見て微笑みながら、再び専門書に視線を戻して記されている内容を興味深げに読み進めていく。
戦地に赴くことのあるダニエルにとって、野草で作れる薬の知識はあればあるほどいい。
見聞きしたものをそのまま知識として蓄えることはもちろん、それらを駆使してアレンジすることが出来るのもダニエルの強みであり、何度か薬師にと誘われたが断った。
ダニエルはあくまでも騎士。
その為の努力を続けているし、騎士であることを何よりも誇りに思っている。
「そろそろかしら」
ふと時計に目をやったキャサリンがそう呟いて間もなく、執事が来客を告げに声をかけてきた。
「奥様、マリーベル様が間もなくご到着されます。旦那様とキャラバン様も只今ご用意されておりますので、のちほどこちらへ」
「ありがとう」
「誰か来るのか?」
ダニエルの問いにキャサリンは笑みを返すだけで詳細は教えようとしない。
その様子に、自分には関係のない人物が侯爵に用があって来るだけなのだろうと思った。
が。
それから間もなく、訪れた人物を紹介されたダニエルは初めての経験をすることになる。
「「「「うわぁっ!!」」」」
ここはトパーズ王国。
小国とされる国土だが、所有する騎士団は世界屈指の戦力を誇る。
その騎士団の鍛練場で、戦場さながらの鬼気迫る勢いで模擬刀を振るって若手を薙ぎ倒しているのは副団長ダニエル。
腕に自信のある騎士達が四方八方から飛びかかるも全て撃沈。
「ちょ…副団長……つよ……すぎ…」
二十五歳のダニエルよりも若く体力もあるはずの騎士達が屍の山となり、それでもなお覇気を飛ばすダニエルに苦笑しながら近付くのは同じく副団長を務めるポーレス。
「ダニー、そろそろやめてあげて」
「ふぅ……ふぅ……」
筋骨逞しく短い銀髪の髪に緑色の鋭い眼差しをしているダニエルと、細身ながらしなやかな筋肉を纏い腰まである金髪に蒼色の優しい眼差しをしているポーレスは、トパーズ王国内は勿論のこと他国の女性にもファンが多い。
ふたりを模して描かれた絵姿は世界各地で飛ぶように売れ、またその腕っぷしから門下となりたがる男達も多く訪れている。
ふたりの父親、祖父、曾祖父、以下略…も同様に多くの男女を虜にしてきた家系であり、騎士団をまとめてきたのもふたりの実家である。
城を守る第一騎士団を纏めるのはポーレスの実家であるカルダン侯爵家。
国を守る第二騎士団を纏めるのはダニエルの実家であるジョーンズ公爵家。
同い年のふたりは兄弟のように切磋琢磨しながら剣術を磨いてきたが、唯一異なることと言えばダニエルは独身でポーレスは妻帯者であること。
いつまでも男所帯の中で剣ばかり振るう幼馴染みに、三人の子持ちであるポーレスは何かと世話を焼いては令嬢を紹介してきた。
男らしい体躯とその見目の良さで話に乗る令嬢はかなりの数いたが、女性の扱いなど娼婦しか碌に知らないダニエルとは会話も弾まず、やはり見ているだけで充分との返事がお決まり。
今日も今日とて、ダニエルの父親が率いる第二騎士団への入団希望者を相手に剣を振るっている内に火がついてしまい、気が付けば屍の山。
「これでも優秀な子達なんだけどなぁ」
こてんぱんにされてピクピクと動いている騎士達をツンツンしながら、連れてきた救護班達にテキパキと指示を飛ばしていく。
「ふぅ……このくらいでくたばるなど情けない」
「そう言ってやるなよ。ダニエルとの力量は天と地ほどもあるんだぞ?これでも前線でかなり力になると思うけどなぁ」
「……ふんっ」
あれだけ鼻息荒くしていたにも関わらず、落ち着いてみれば汗ひとつ流していないし呼吸の乱れも見られない。
そんな幼馴染みにポーレスは再度苦笑しつつ、訪れた用件があった事を思い出した。
「そうだ、ダニエル。今週末あいてる?」
「今週末?鍛練くらいしか予定していない」
「それなら良かった。昼までには終わるだろ?それが終わったら俺の家に来て。あ、ちゃんと清めてから来いよ」
「は?なんで?」
「理由は来てから話す。じゃ」
ひらひらと手を振り去っていくポーレスの後ろ姿を見送りながら、いつにも増して意味不明なやつだと思うダニエル。
それでも久し振りにポーレスの家に行くことになり、実はとても楽しみなのだ。
相手をするのは娼婦くらいで女っ気のないダニエルではあるが、生粋の子供好きでありポーレスの子供達はもちろん騎士団を訪れる子供達もよく相手にしており、その姿からダニエルとの家庭を築く夢を抱く令嬢も多いものの、やはり会話が盛り上がらないことが致命的となってしまう。
ダニエルはダニエルでそこを改善する器量も努力もなく、肉欲は娼婦で事足りているし家督はいざとなれば弟の子供にでも継がせるつもりでいる。
だが、どんな因果かジョーンズ家とカルダン家は長男の血筋でないとその実力が発揮されない。
その為、ダニエルの嫁取りと跡継ぎをどうにかせねばと両家揃って躍起になっているのだ。
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子供達の為なら流行りや好みを調べるのに、なぜ女性を相手に出来ないのか…それは国王陛下も頭を悩ませており、国をあげての最重要対処案件とされている。
******
「だにぃぃぃぃぃぃ!!!」
ボスっ…と足元に飛び込んできたのは、ポーレスの第二子である息子アレクシス。
四歳になったばかりで、まだまだ甘えたいさかりのアレクシスは存分に甘やかしてくれるダニエルに懐いており、訪れれば常にダニエルの逞しい腕の中で過ごしている。
「いらっしゃい、ダニエル」
「キャサリン、久し振りだな」
出迎えてくれたダニエルの妻キャサリンはふたりよりふたつ年下で、三人の子持ちとは思えないスタイルを保っている…が、そのお腹は今ぽっこりと膨らんでいる。
「順調か?」
「えぇ、お陰さまで」
アレクシスを抱き上げ、少し目立つようになってきたお腹に触れればなんとも穏やかな気持ちとなるのはいつものこと。
子供好きのダニエルは妊婦にも殊更優しい。
きっと自分の子供も可愛がるであろうに…と周囲は思っているが、なぜかダニエル自身はそんなことを露ほども思わせないのが不思議である。
「ポーレスとキャラバンは?」
「まだ鍛練してるの。キャラバンが納得いかないらしくて…困っちゃうわ」
「頼もしいな」
第一子である息子キャラバンは七歳だが、その剣筋はダニエルも目を引くものであり、将来の展望が楽しみのひとつとなっていた。
「だにぃ、ぼくあたらしいごほんかったの」
「お?どんな本だ?見せてくれ」
剣術に長けているキャラバンとは対称的に、頭脳が長けているのがアレクシス。
子供向けの絵本は二歳の頃に飽き始め、今では学術的な専門書を愛読しており、その体躯から脳筋と思われがちなダニエルも実のところ優秀な頭脳であることから、よくふたりで難しい本を読んで過ごす。
子供らしさ…といった押し付けのない家族とダニエルの支えもあり、カルダン家の子供達はのびのびと個性を磨きながら成長を見せている。
「だぁ」
「お、ミシェル」
通された家族用の居室にあるソファに座り、アレクシスを膝の上に乗せて薬草による治療法についての本を読んでいると、足元におしゃぶりを咥えた末娘のミシェルがやってきた。
「だ、ぶぅ」
もうすぐ一歳になるミシェルは、特に何かを求めることもなくダニエルの長い足に纏わりつきながら、言葉になっていない声を出しながらひとり楽しんでいる。
その様子を見て微笑みながら、再び専門書に視線を戻して記されている内容を興味深げに読み進めていく。
戦地に赴くことのあるダニエルにとって、野草で作れる薬の知識はあればあるほどいい。
見聞きしたものをそのまま知識として蓄えることはもちろん、それらを駆使してアレンジすることが出来るのもダニエルの強みであり、何度か薬師にと誘われたが断った。
ダニエルはあくまでも騎士。
その為の努力を続けているし、騎士であることを何よりも誇りに思っている。
「そろそろかしら」
ふと時計に目をやったキャサリンがそう呟いて間もなく、執事が来客を告げに声をかけてきた。
「奥様、マリーベル様が間もなくご到着されます。旦那様とキャラバン様も只今ご用意されておりますので、のちほどこちらへ」
「ありがとう」
「誰か来るのか?」
ダニエルの問いにキャサリンは笑みを返すだけで詳細は教えようとしない。
その様子に、自分には関係のない人物が侯爵に用があって来るだけなのだろうと思った。
が。
それから間もなく、訪れた人物を紹介されたダニエルは初めての経験をすることになる。
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