記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

文字の大きさ
31 / 476
第3章 汚れ仕事からの脱却

第31話 対決・ルクガイア貴族侯爵

しおりを挟む
 バキュン! バキュン! バキュン!

 ガルペラ侯爵は両手の銃を乱射させてこちらの接近を許さない。銃から放たれる弾の速度は簡単に避けられるものではない。銃の弾は無限ではないので弾切れの隙をついて接近を試みるが……。

「近づかないでほしいのですー!」
「うおぉ!?」

 ビュォオオオ!

 ガルペラ侯爵は風魔法を使ってこちらを足止めしてくる。風魔法は俺に決定打こそ与えないが、吹き飛ばされて再度距離を離されてしまう。その間に銃に弾を補充されてしまっている。

「あなたの戦い方が徒手空拳であることは調査済みです! 私に近づけない以上、あなたに勝ち目はないのです!」

 ガルペラ侯爵の言うとおりだ。あの銃という武器の威力は驚異的だ。当たり所が悪ければ命を落としかねない。


 ……いや。対抗策は一つだけあるかもしれない。
 『ガルペラ様は人の死を望まない』
 ローゼスが言っていたセリフだが、その話が本当ならば……。

 覚悟を決めた俺は意を決してガルペラ侯爵に向かって行った。

「むむ!? 諦めて玉砕覚悟で突っ込んできたのですか!?」
「そう捉えてもらって結構だ! 撃てるもんなら撃ってみろ!」

 銃の弾の方向は銃の向きを見ればわかる。
 俺はガルペラ侯爵が右手に持つ銃が"俺の額に向けられる"ようにして突っ込んでいった。

「んひぃ!? そ、その位置は危ないのです!」

 バキュン!

「ぐぅ!?」

 ガルペラ侯爵は左手に持った銃"のみ"を撃ってきた。
 弾は俺の右足を掠っていった。掠っただけだがかなり痛い。やはり銃の威力は本物だ。

 だがこれで分かった。ガルペラ侯爵は"俺を殺すことまではしたくない"ということが!

「うぉおお!!」
「ひ、ひぃ~!?」

 俺の気迫に押されたのか、ガルペラ侯爵は風魔法で距離を離す余裕すら失ったようだ。
 そのまま俺はガルペラ侯爵の近くまで行き、持っていた銃の"回転する筒状の部分"を両手でそれぞれ抑え込んだ。

「さっきからこの銃って武器を見てたんだが、弾はこの筒の部分に込められてたんだろ? 撃つときはこの筒が回転していたし、やっぱりここが回転しないと弾は出てこないみたいだな」
「こ、この短時間でリボルバーの構造まで理解してしまったのですか!? こ、こんなの負けです! 私の負けですよ~!」

 ガルペラ侯爵は泣きながら崩れ落ちてしまった。
 どうにか勝てたか……。頭を使って戦うのは疲れるもんだ……。

「クッ! 殺すがいいのです! 私だって侯爵なのです! 無駄な命乞いはしないのです! ですがどうか……どうかローゼス達家臣は助けてほしいのです!」
「いや、殺さないから。俺は本当に話を聞いてほしいだけだから。最初から言ってる通りだから」

 なんだか一人で腹をくくってしまったガルペラ侯爵に俺は述べる。

「……へ? でも、あなたはドーマン男爵の依頼を受けて私を殺しに来たのですよね?」
「その依頼に従いたくねえから、あんたに助力を求めに来たんだ」
「でもでも、ローゼスから入った情報では下水道からコソコソと屋敷に入ってきたですよね?」
「俺自身、アンタの部下以外にドーマン男爵の部下にも見張られてたんだよ。一応そいつらを撒きたかったんだ」
「…………」

 俺の話を聞いたガルペラ侯爵は立ち上がると部屋の扉を開けて屋敷の廊下を見た。

「ガ、ガルペラ様……ご無事で……?」

 扉の先には意識を取り戻したローゼスが倒れこんでいた。

「ローゼスのアホー! 早とちりー! せっかちー! なのですー!!」
「ひゃぃいいい!!??」

 ガルペラ侯爵を心配していたローゼスに放たれた言葉は八つ当たりのような罵声であった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

【男装歴10年】異世界で冒険者パーティやってみた【好きな人がいます】

リコピン
ファンタジー
前世の兄と共に異世界転生したセリナ。子どもの頃に親を失い、兄のシオンと二人で生きていくため、セリナは男装し「セリ」と名乗るように。それから十年、セリとシオンは、仲間を集め冒険者パーティを組んでいた。 これは、異世界転生した女の子がお仕事頑張ったり、恋をして性別カミングアウトのタイミングにモダモダしたりしながら過ごす、ありふれた毎日のお話。 ※日常ほのぼの?系のお話を目指しています。 ※同性愛表現があります。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...