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第8章 気付き始めた思い
第102話 チャン老師はかく語りき
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時間が空いたので俺はマカロンに誘われて一緒に王都に来ていた。
だがこの日は何やら人だかりが多い。聞けばこの国の王子様が数年ぶりに帰還されたそうだ。
マカロンもその王子様を一目見るため王宮に入ろうとするのだが――
「現在、王宮への許可なき者の出入りは禁止です」
「なによ! ケチ!」
そりゃそうなるだろうよ。マカロンは王宮の門番に食いつくが、全く相手にされてない。仕方ないのでマカロンをズルズル引きずりながら俺は王宮から離れていった。
「そんなに王子様が見たかったのか?」
「女の子は誰だって王子様に憧れるもんなんで~す~」
ふてくされるマカロンを連れて俺はこのまま帰ろうとする。どうにも王都の空気は俺の肌に合わない。だがせっかく王都まで来て何もせずに帰るのももったいない気がするな……。
「そうだ。チャン老師に顔見せに行くか。最近会ってなかったし」
「チャン老師? そういえばゼロラさんって前に王都に来たんですよね。その時の知り合いですか?」
そういえばマカロンには話したことなかったな。
「俺とラルフルが世話になった武術の達人だ」
「へえー! それなら私も会ってみたいですね!」
マカロンも乗り気のようだ。一緒についていきたいオーラが見える。
「なら一緒に行くか。チャン老師は"壁周り"の方に住んでる。行くぞ」
「は~い! ……って"壁周り"!? あそこってすごく危ないところなんじゃ!?」
マカロンが行くのを渋り始めるが、ラルフルのこともあるので恐る恐るついてくる。
最悪俺が守ってやれば大丈夫だろう。
■
「ゼ、ゼロラさ~ん……。やっぱりここ……怖いですよ~……」
マカロンは"壁周り"に入ってすぐに半泣き状態である。
「俺から離れるな。俺の傍にいれば危害はない」
「きゃひぃ!?」
俺はマカロンを腕で抱き寄せて庇うような形で奥へと進む。マカロンも落ち着いたようで、一緒についてくる。マカロンの足並みに合わせて転ばないようにしないとな。
「ゼロラサン、ゴーイン。ゼロラサン、ゴーイン」
俺の腕の中でマカロンが何やら呪文のようなものを唱えているが、多分大丈夫だろう。
そうして奥にあるチャン老師の家にたどり着いた。孫のジャンもいたようで、早速二人で出迎えてくれる。
「ゼロラさんじゃん! 久しぶりじゃん! あれ? その女の人は?」
「フォフォフォ。ゼロラ殿も隅に置けぬな。お主らを見てるとあの若い日のことを思い出す……」
チャン老師が物思いに語り始める。
「初めてばあさんに会って、『結婚を前提にお付き合いしてください』と言った日のことを……!」
「お? 恋バナじゃん? 恋バナじゃん?」
「そんなんじゃねえし、じいさんどんだけ気が早いんだよ……」
出会って最初の話がチャン老師の馴れ初め話とはこれ如何に。
「は!? ここはどこ!? 私は……マカロン!」
お帰り、マカロン。ずっと意識飛んでたもんな。
「あ、あなたがチャン老師ですね。それと孫のジャンさんでしたっけ。以前は弟のラルフルがお世話になったみたいで」
マカロンには"壁周り"に入る前にラルフルがこの二人にケガの手当てをしてもらったことを説明しておいた。
正気に戻ったマカロンはチャン老師とジャンにかなり丁寧に、深々とお辞儀をしてお礼を言った。
「いいってことじゃん。たまたま助けれただけじゃん」
「左様。元々はラルフル殿の生命力があってこそじゃ。あの少年の生命力を見ているとあの若い日のことを思い出す……」
チャン老師がまた物思いに語り始める。
「超巨大モンスターに丸呑みにされ、尻の穴から脱出した時のことを……!」
「……ゼロラさん。この人は人間ですか?」
「モンスターのサイズにもよるんじゃないか?」
「そういう問題じゃん?」
何者だよチャン老師。そんなことを考えていると今度はジャンの方から話を振ってきた。
「ところで二人は本当に付き合ってないじゃん?」
「しつこいな。俺とマカロンじゃ歳が離れすぎてるだろ」
「恋に歳の差は関係ないじゃん? お姉さんもそう思うじゃん?」
「え!? そ、そうかもしれない……かな?」
そういうもんなのか? だが俺はマカロンには幸せになってほしい。俺みたいなガラの悪い男じゃなくて、もっと誠実な相手を探してほしいもんだ。
「うむ。双方が思いあっていれば、歳の差など些細な事じゃ。そう考えるとあの若い日のことを思い出す……」
チャン老師がまたまた物思いに語り始める。
「わしの息子が『この人と結婚します!』と言って、十歳年上の結婚相手を連れてきた日のことを……!」
「それ俺の母ちゃんじゃん!?」
「その時じいさんもうそんなに若くねえだろ」
「な、なら私にもチャンスはある……のかな?」
マカロンの顔が何故か赤い。ラルフルもよく赤くなってたし、この姉弟はそういう体質なんだろうか?
その後も他愛ない会話を続けた後、俺とマカロンは宿場村へと帰っていった。帰り際にチャン老師はマカロンに何か耳打ちしていたが、何を言ってたんだろうか?
◇◇◇
「マカロン殿。老婆心ながらお主にこの言葉を授ける。若き日の経験からわしが得た一つの結論じゃ」
「な、なんですか?」
チャン老師はマカロンに物思いに語り始める。
「『押してダメなら、押し倒せ』じゃ!」
「だ、だからそんなんじゃないんですって~! も~!」
だがこの日は何やら人だかりが多い。聞けばこの国の王子様が数年ぶりに帰還されたそうだ。
マカロンもその王子様を一目見るため王宮に入ろうとするのだが――
「現在、王宮への許可なき者の出入りは禁止です」
「なによ! ケチ!」
そりゃそうなるだろうよ。マカロンは王宮の門番に食いつくが、全く相手にされてない。仕方ないのでマカロンをズルズル引きずりながら俺は王宮から離れていった。
「そんなに王子様が見たかったのか?」
「女の子は誰だって王子様に憧れるもんなんで~す~」
ふてくされるマカロンを連れて俺はこのまま帰ろうとする。どうにも王都の空気は俺の肌に合わない。だがせっかく王都まで来て何もせずに帰るのももったいない気がするな……。
「そうだ。チャン老師に顔見せに行くか。最近会ってなかったし」
「チャン老師? そういえばゼロラさんって前に王都に来たんですよね。その時の知り合いですか?」
そういえばマカロンには話したことなかったな。
「俺とラルフルが世話になった武術の達人だ」
「へえー! それなら私も会ってみたいですね!」
マカロンも乗り気のようだ。一緒についていきたいオーラが見える。
「なら一緒に行くか。チャン老師は"壁周り"の方に住んでる。行くぞ」
「は~い! ……って"壁周り"!? あそこってすごく危ないところなんじゃ!?」
マカロンが行くのを渋り始めるが、ラルフルのこともあるので恐る恐るついてくる。
最悪俺が守ってやれば大丈夫だろう。
■
「ゼ、ゼロラさ~ん……。やっぱりここ……怖いですよ~……」
マカロンは"壁周り"に入ってすぐに半泣き状態である。
「俺から離れるな。俺の傍にいれば危害はない」
「きゃひぃ!?」
俺はマカロンを腕で抱き寄せて庇うような形で奥へと進む。マカロンも落ち着いたようで、一緒についてくる。マカロンの足並みに合わせて転ばないようにしないとな。
「ゼロラサン、ゴーイン。ゼロラサン、ゴーイン」
俺の腕の中でマカロンが何やら呪文のようなものを唱えているが、多分大丈夫だろう。
そうして奥にあるチャン老師の家にたどり着いた。孫のジャンもいたようで、早速二人で出迎えてくれる。
「ゼロラさんじゃん! 久しぶりじゃん! あれ? その女の人は?」
「フォフォフォ。ゼロラ殿も隅に置けぬな。お主らを見てるとあの若い日のことを思い出す……」
チャン老師が物思いに語り始める。
「初めてばあさんに会って、『結婚を前提にお付き合いしてください』と言った日のことを……!」
「お? 恋バナじゃん? 恋バナじゃん?」
「そんなんじゃねえし、じいさんどんだけ気が早いんだよ……」
出会って最初の話がチャン老師の馴れ初め話とはこれ如何に。
「は!? ここはどこ!? 私は……マカロン!」
お帰り、マカロン。ずっと意識飛んでたもんな。
「あ、あなたがチャン老師ですね。それと孫のジャンさんでしたっけ。以前は弟のラルフルがお世話になったみたいで」
マカロンには"壁周り"に入る前にラルフルがこの二人にケガの手当てをしてもらったことを説明しておいた。
正気に戻ったマカロンはチャン老師とジャンにかなり丁寧に、深々とお辞儀をしてお礼を言った。
「いいってことじゃん。たまたま助けれただけじゃん」
「左様。元々はラルフル殿の生命力があってこそじゃ。あの少年の生命力を見ているとあの若い日のことを思い出す……」
チャン老師がまた物思いに語り始める。
「超巨大モンスターに丸呑みにされ、尻の穴から脱出した時のことを……!」
「……ゼロラさん。この人は人間ですか?」
「モンスターのサイズにもよるんじゃないか?」
「そういう問題じゃん?」
何者だよチャン老師。そんなことを考えていると今度はジャンの方から話を振ってきた。
「ところで二人は本当に付き合ってないじゃん?」
「しつこいな。俺とマカロンじゃ歳が離れすぎてるだろ」
「恋に歳の差は関係ないじゃん? お姉さんもそう思うじゃん?」
「え!? そ、そうかもしれない……かな?」
そういうもんなのか? だが俺はマカロンには幸せになってほしい。俺みたいなガラの悪い男じゃなくて、もっと誠実な相手を探してほしいもんだ。
「うむ。双方が思いあっていれば、歳の差など些細な事じゃ。そう考えるとあの若い日のことを思い出す……」
チャン老師がまたまた物思いに語り始める。
「わしの息子が『この人と結婚します!』と言って、十歳年上の結婚相手を連れてきた日のことを……!」
「それ俺の母ちゃんじゃん!?」
「その時じいさんもうそんなに若くねえだろ」
「な、なら私にもチャンスはある……のかな?」
マカロンの顔が何故か赤い。ラルフルもよく赤くなってたし、この姉弟はそういう体質なんだろうか?
その後も他愛ない会話を続けた後、俺とマカロンは宿場村へと帰っていった。帰り際にチャン老師はマカロンに何か耳打ちしていたが、何を言ってたんだろうか?
◇◇◇
「マカロン殿。老婆心ながらお主にこの言葉を授ける。若き日の経験からわしが得た一つの結論じゃ」
「な、なんですか?」
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