記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

文字の大きさ
105 / 476
第9章 激突・ギャングレオ盗賊団

第106話 獅子の思惑

しおりを挟む
「ギャ、ギャングレオ盗賊団なのです!? よりにもよってなのです!?」

 ガルペラはかなり驚いたが、ミリアは推薦した理由を挙げてくれた。

 ギャングレオ盗賊団は貴族からのみ盗みを働いている。
 それ以外の人間は、たとえ同じ場所にいたとしても襲わない。
 頭領のシシバがミリアに直接宣言した。

「つまりギャングレオ盗賊団は、いわゆる"義賊"ってことか?」
「た、確かにギャングレオ盗賊団からの被害報告は悪徳貴族からのみ挙がっているようなのです。あ! 私は襲われたことないのです!」

 暗に『私は悪徳貴族じゃない』って言いたげだな、ガルペラよ。いや、確かにそうなんだけど。

「そういえば俺がギャングレオ盗賊団と戦った時も、連中は店の用心棒をしてたな」
「ええ。それ以外にも建設工事、街道整備、下水道清掃、貿易、事務代行、イベント設営、買い物代行、猫探し、犬の散歩代行なんかをしてるみたいよ」

 ローゼスがギャングレオ盗賊団の活動内容を並べてくれたが、本当に盗賊団の活動内容か? なんだかおかしなものも含まれてるし。特に"犬の散歩代行"。

「あー・・・・・でも前に戦ったサイバラって幹部も"多角経営"がどうのこうの言ってたな」
「想像以上に多角経営してましたけどね……」

 やはりラルフルも俺と同じことを考えてたか。

「でもそうやって考えてみると、ギャングレオ盗賊団は盗賊なんかしなくても十分にやっていけそうなのです。むしろ盗賊行為の手際の良さを考えると、相当手間賃がかかっているはずなのです。盗賊する方が赤字な気がするのです」

 盗賊団が盗賊行為で赤字を出すって、それもう盗賊団という概念が崩壊してないか?

「こうして考えていくとギャングレオ盗賊団は悪評こそあれど、それを"わざと流している"ようにも見えるのです。もしかするとそれも"悪徳貴族への宣戦布告"なのかもしれないのです」

 それが本当なら手を組む価値はありそうだ。だが噂に聞く頭領・【隻眼の凶鬼】シシバはかなり狂った人間のようだ。それさえも演技の可能性が出てきたが。

「とにかく一度、ギャングレオ盗賊団の人間……特に頭領のシシバには会って直接話を聞きたいところだな」
「でもどうやって話を聞くのです?」

 問題はそれだ。以前はセンビレッジの酒場で用心棒をしていたが、今もいるのだろうか?

「私の調べでは、ギャングレオ盗賊団の幹部は今も以前と同じ店で用心棒をしてるみたいよ。ただ最近、その幹部が別の幹部と入れ替わったみたいなのよ」
「幹部が入れ替わった? サイバラじゃないのか?」
「今あの店の用心棒代表をしてるのは、ギャングレオ盗賊団参謀長のコゴーダという男よ」

 ローゼスが再びギャングレオ盗賊団について知っていることを教えてくれる。
 盗賊団の参謀長か。盗賊団としてはやけに組織としての統率がとれているな。

「参謀長って人なら頭領にも近い立場でしょうから何か聞き出せそうですね」

 ラルフルが意気揚々と提案する。

「それなら早速行ってくるか」
「わ、私も行きます!」
「自分も行きます!」
「ならアタシも」

 マカロン、ラルフル、ミリアも同行を願い出る。
 おいおい。遊びに行くんじゃねえんだぞ?

「ラルフルはともかく、マカロンとミリアが来ても何もできねえだろ。相手はギャングレオ盗賊団なんだぞ?」
「でもゼロラさん、今回は交渉なんですよね? 戦いに行くわけじゃないんですよ? ゼロラさんだけじゃまた喧嘩に発展しますよ?」

 た、確かに。マカロンの発言にグゥの音も出ない。

「アタシもギャングレオとはもう一度話をしたかったし、交渉事ならゼロラさんよりは手荒なことはしないわよ」

 ミリアが俺の方を軽く睨みながら述べた。すまん、確かに以前こいつのことを強引に攫って話聞きだそうとしてたわ。

「私も行きたいところですが、私が店に行くとそれだけで混乱しそうなのでやめておくです」
「ガルペラ様が行かれないのなら、私も残ります」

 ガルペラとローゼスは屋敷に残るそうだ。もしもギャングレオ盗賊団との協定が結べそうなら、その時のための手続きの準備を今のうちにしておくらしい。

「ガルペラ侯爵はクールにとどまるのです!」

 そう言って決めポーズをとるガルペラ。こんなんだけどセンビレッジでは優秀な領主様なんだよな。

 何はともあれ、俺達四人はギャングレオ盗賊団が用心棒をしている店に向かうのであった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【男装歴10年】異世界で冒険者パーティやってみた【好きな人がいます】

リコピン
ファンタジー
前世の兄と共に異世界転生したセリナ。子どもの頃に親を失い、兄のシオンと二人で生きていくため、セリナは男装し「セリ」と名乗るように。それから十年、セリとシオンは、仲間を集め冒険者パーティを組んでいた。 これは、異世界転生した女の子がお仕事頑張ったり、恋をして性別カミングアウトのタイミングにモダモダしたりしながら過ごす、ありふれた毎日のお話。 ※日常ほのぼの?系のお話を目指しています。 ※同性愛表現があります。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...