記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第13章 王国が変わる日

第162話 決戦の王宮へ

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 とうとうこの日が来た。俺はいつもより早く起きると、朝食をとるためにマカロンのもとへ向かった。

「おはようございます、ゼロラさん。いよいよ"円卓会議"の日ですね」
「ああ」

 マカロンが真剣な眼差しで俺を迎えてくれる。

 王宮で開かれる"円卓会議"。ついにその日がやって来たのだ。

「ゼロラさんも出席されるんですよね?」
「一応、ガルペラの側近としてだがな」

 "円卓会議"にはガルペラ、その側近として俺。スタアラ魔法聖堂代表としてミリア。バクト、その側近としてシシバ。以上五名が協定のもとに出席する。
 また議場内にはこちらの護衛として、ローゼス、バクトの護衛二人が待機し、城内には元々宮仕えであるラルフルに仕事をしながら待機してもらっている。
 王宮前にはコゴーダ、サイバラ、ヤカタ、ネモトといった幹部を始めとする、ギャングレオ盗賊団が万一の事態に備えている。
 これらの人員配置ができたのはバクトが上手く根回しをし、オジャル伯爵に段取りを組ませたからだ。

「ゼロラさん……」

 ふいにマカロンが俺の手を握りしめてくる。

「お願いです……。何があっても帰ってきてください。ラルフルやミリアちゃん……みんなと一緒に……」

 消え入りそうな声でマカロンが俺に願う。
 ただ王宮に行くのではない。敵陣にこちらから乗り込んで行くのだ。
 俺はそんな心配そうなマカロンの頭を撫でながら返した。

「安心しろ。確かに今日は何が起こるか分からねえ。だが、そのための準備はしてきた」

 王国側には国王に王子、ボーネス公爵とレーコ公爵も出席する。
 そうなれば団長バルカウスや軍師ジャコウといった王国騎士団の面々のみならず、勇者レイキースや賢者リフィー。隊長ジフウを含む黒蛇部隊。
 最悪――魔幻塔大神官であるリョウとも戦う羽目になってしまう。

 それでも俺達は行かなければいけない。
 全てはこの日のために。改革を実現する日のためにやってきたことなのだ。

「朝食、うまかったぜ。明日もよろしく頼む」

 俺は朝食を食べ終えると、早速王都へと向かった。

「帰ってくるのを待ってますからね……ゼロラさん」

 マカロンが精一杯の笑顔を作りながら俺を見送ってくれた。



「来てくれはったか、ゼロラはん」
「フン。予定よりも早い到着だな」
「いよいよですね……」
「ゼロラさん。お待ちしていたのです」

 俺が王都に到着すると、シシバ、バクト、ミリア、ガルペラの四人が出迎えてくれた。
 三人ともいつもと変わらない表情に見えるが、どこか緊張しているようにも見える。

「それにしても……異様というか、すごい光景だな」

 ルクガイア王国の権力の象徴である王宮・ルクガイア城。
 その門前にはすでに王国騎士団と睨み合うようにギャングレオ盗賊団が待機している。

 そこへ入り込むように俺達は王宮へと足を進める。

「コゴーダ、サイバラ。万一の際には頼んだで」
「かしこまりました。どうかお気を付けて」
「へ、へい! やれる限りはや、やってみます!」

 王宮へ入る前、ギャングレオ盗賊団の先頭に立っているコゴーダとサイバラにシシバが警戒を促す。
 コゴーダは普段通り落ち着きつつも、顔は真剣になっている。
 サイバラは完全に緊張しきっているが、ここまできたらやるしかないとばかりに腹は括ったようだ。

 王宮へ入るとすぐに一人の高貴な身なりの青年が話しかけてきた。

「遠路はるばる"円卓会議"への出席のために出向いていただき、誠にありがとうございます。初めての方もいらっしゃりますので自己紹介を。僕はこの国の王子、ロギウスと申します」

 ルクガイア王国王子、ロギウス。国王である父、ルクベール三世の一人息子。
 この青年も国王と同じように、貴族の権力に逆らえない状況になっていることは事前情報で知っている。

「"円卓会議"の議場までは僕がご案内いたします。本日は何が起こるのか……楽しみにしてますよ」

 ロギウスはどこか腹黒い笑顔を浮かべながら俺達を案内してくれた。
 こいつも今の王国情勢をよく思っていないのだろう。敵にはならないでいてくれるかもしれない。

 こうして俺達は議場へと案内された。

 今ここに、一世一代の"円卓会議"が始まる――
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