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第14章 まどろむ世界のその先へ
第180話 情勢変化
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俺が目覚めた後、傍にいたラルフルとマカロンに思いっきり抱き着かれた。
傷口に少し響くが、とても心地よい気分だ。
俺がレイキースに刺された後、なんとか俺を連れて脱出したラルフル達は、ミリアの回復魔法でなんとか俺を治そうとしてくれた。
だがレイキースにやられた傷は深く、回復魔法だけでは治しきれなかった。
そこでバクトの医学の力を使ってなんとか傷口を塞ぐことに成功したそうだ。それでもバクト曰く、『このまま意識が戻るかは分からない』という状況だったらしく、三日三晩俺は眠り続けていたそうだ。
その間、マカロンはずっと俺の傍で目が覚めるのを待ち続け、満足に睡眠もとれず、飯も食べれていなかったようだ。
俺が目を覚ました後、マカロンの方が緊張の糸が切れたように眠ってしまった。
「お姉ちゃん……ずっとゼロラさんのことを心配してたんですよ?」
部屋のソファーで寝息をたてるマカロンを見ながらラルフルが教えてくれた。
「どうやら……俺の方が皆に助けられちまったみたいだな……」
思えばいい仲間を持ったものだ。
記憶喪失で自分自身が誰かも分からない輩をこんなに慕ってくれている。
過去の俺がどうだったかは分からないが、今の俺は恵まれている。
――しかし、あの時見た人影は夢だったのだろうか?
あいつは俺に『まだあなたを必要としてくれる大勢の人間がいます』と言ってくれた。
ただの夢にしては鮮明で、はっきりと覚えている。
あの人影はきっと俺のことを思い、俺がこうして再び目覚められるように導いてくれたのだろう。
――そう思わずにはいられなかった。
コン コン コン
不意に俺の部屋の扉がノックされ、中に一人の青年が入ってきた。
「ようやく目が覚めたようだね、ゼロラ殿」
「お前は……ロギウス……?」
入ってきたのはルクガイア王国の王子、ロギウス。
王宮であった時とは違う旅の剣士のような身なりをしているが、あの時俺達を助けてくれた男がそこにいた。
「なんであんたがここに……?」
「その辺りも含めて僕から説明させてもらう。あなたが眠っていた三日間でこの国の情勢も大きく変化した。起きたばかりで申し訳ないが、聞いてくれるか?」
説明を始めようとするロギウスだが、起きたばかりの俺の身を案じてか、近くでラルフルが心配そうに見つめている。
「ラルフル、俺は大丈夫だ。マカロンを連れて部屋の外に出ててくれ。ロギウス、ベッドの上で腰かけたままになるが構わないか?」
「わ、分かりました……」
まだ心配そうなラルフルだったが、俺の意志を汲んでマカロンを背負いながら部屋を出てくれた。
俺は上体を起こして壁にもたれながらロギウスの話を聞くことにした。
「もちろん構わないさ。……あなたが起きるのを待っていた人間はあの二人以外にもいる。時期にその者達も交えながら少しずつ話していこう」
そしてロギウスの口から少しずつ話が始まった。
■
「まずは改めて自己紹介をさせてくれ。もう知ってるだろうけど僕はルクガイア王国国王・ルクベール三世の息子、王子のロギウスだ。ああ、僕のことは気軽に好きなように呼んでくれ。固い言葉も必要ない」
「ああ。あの時は助けてくれてありがとうな」
ルクガイア王国王子、ロギウス。
あの時もそうだったが、この男は父である国王と同じ意思を持ち、ガルペラの改革にも協力的だ。
「今は仲間になってくれている――ってことでいいのか?」
「その解釈で問題ない。父もそうだったけど、僕も改めてゼロラ殿には感謝の意を述べたい。"円卓会議"でのあなたの発言が、この国の膿を晴らそうとしてくれている。本当に感謝してもしきれない」
ロギウスはそう言って俺に頭を下げてくれた。そしてさらに話を続ける。
「何より大きかったのは、父の心を動かしてくれたことだ。父は急激な変化で状況が今より悪化することを恐れ、これまでずっと保守的だった。だが、この国の膿を晴らすにはただ待っているだけでは駄目だ。これまでがひっくり返るような大きな変化――ガルペラ侯爵が望む"貴族制度の撤廃"のような、貴族のみが私腹を肥やす制度を壊す必要がある」
ロギウスは拳を握りながら決意を語る。その姿は父である国王と変わらない。
「それで、策はあるのか?」
「策はある。だが、その前に僕以外の仲間にも会って話を聞いてほしい」
確かに俺は目覚めたばかりで状況も知らなければ、まだ直接安否の報告もできてない。
そのためにロギウスは俺の部屋に一人ずつ案内をしてくれるようだ。
「では……まずは僕達、改革派のリーダーとも言える存在の話を聞いてもらおうか」
傷口に少し響くが、とても心地よい気分だ。
俺がレイキースに刺された後、なんとか俺を連れて脱出したラルフル達は、ミリアの回復魔法でなんとか俺を治そうとしてくれた。
だがレイキースにやられた傷は深く、回復魔法だけでは治しきれなかった。
そこでバクトの医学の力を使ってなんとか傷口を塞ぐことに成功したそうだ。それでもバクト曰く、『このまま意識が戻るかは分からない』という状況だったらしく、三日三晩俺は眠り続けていたそうだ。
その間、マカロンはずっと俺の傍で目が覚めるのを待ち続け、満足に睡眠もとれず、飯も食べれていなかったようだ。
俺が目を覚ました後、マカロンの方が緊張の糸が切れたように眠ってしまった。
「お姉ちゃん……ずっとゼロラさんのことを心配してたんですよ?」
部屋のソファーで寝息をたてるマカロンを見ながらラルフルが教えてくれた。
「どうやら……俺の方が皆に助けられちまったみたいだな……」
思えばいい仲間を持ったものだ。
記憶喪失で自分自身が誰かも分からない輩をこんなに慕ってくれている。
過去の俺がどうだったかは分からないが、今の俺は恵まれている。
――しかし、あの時見た人影は夢だったのだろうか?
あいつは俺に『まだあなたを必要としてくれる大勢の人間がいます』と言ってくれた。
ただの夢にしては鮮明で、はっきりと覚えている。
あの人影はきっと俺のことを思い、俺がこうして再び目覚められるように導いてくれたのだろう。
――そう思わずにはいられなかった。
コン コン コン
不意に俺の部屋の扉がノックされ、中に一人の青年が入ってきた。
「ようやく目が覚めたようだね、ゼロラ殿」
「お前は……ロギウス……?」
入ってきたのはルクガイア王国の王子、ロギウス。
王宮であった時とは違う旅の剣士のような身なりをしているが、あの時俺達を助けてくれた男がそこにいた。
「なんであんたがここに……?」
「その辺りも含めて僕から説明させてもらう。あなたが眠っていた三日間でこの国の情勢も大きく変化した。起きたばかりで申し訳ないが、聞いてくれるか?」
説明を始めようとするロギウスだが、起きたばかりの俺の身を案じてか、近くでラルフルが心配そうに見つめている。
「ラルフル、俺は大丈夫だ。マカロンを連れて部屋の外に出ててくれ。ロギウス、ベッドの上で腰かけたままになるが構わないか?」
「わ、分かりました……」
まだ心配そうなラルフルだったが、俺の意志を汲んでマカロンを背負いながら部屋を出てくれた。
俺は上体を起こして壁にもたれながらロギウスの話を聞くことにした。
「もちろん構わないさ。……あなたが起きるのを待っていた人間はあの二人以外にもいる。時期にその者達も交えながら少しずつ話していこう」
そしてロギウスの口から少しずつ話が始まった。
■
「まずは改めて自己紹介をさせてくれ。もう知ってるだろうけど僕はルクガイア王国国王・ルクベール三世の息子、王子のロギウスだ。ああ、僕のことは気軽に好きなように呼んでくれ。固い言葉も必要ない」
「ああ。あの時は助けてくれてありがとうな」
ルクガイア王国王子、ロギウス。
あの時もそうだったが、この男は父である国王と同じ意思を持ち、ガルペラの改革にも協力的だ。
「今は仲間になってくれている――ってことでいいのか?」
「その解釈で問題ない。父もそうだったけど、僕も改めてゼロラ殿には感謝の意を述べたい。"円卓会議"でのあなたの発言が、この国の膿を晴らそうとしてくれている。本当に感謝してもしきれない」
ロギウスはそう言って俺に頭を下げてくれた。そしてさらに話を続ける。
「何より大きかったのは、父の心を動かしてくれたことだ。父は急激な変化で状況が今より悪化することを恐れ、これまでずっと保守的だった。だが、この国の膿を晴らすにはただ待っているだけでは駄目だ。これまでがひっくり返るような大きな変化――ガルペラ侯爵が望む"貴族制度の撤廃"のような、貴族のみが私腹を肥やす制度を壊す必要がある」
ロギウスは拳を握りながら決意を語る。その姿は父である国王と変わらない。
「それで、策はあるのか?」
「策はある。だが、その前に僕以外の仲間にも会って話を聞いてほしい」
確かに俺は目覚めたばかりで状況も知らなければ、まだ直接安否の報告もできてない。
そのためにロギウスは俺の部屋に一人ずつ案内をしてくれるようだ。
「では……まずは僕達、改革派のリーダーとも言える存在の話を聞いてもらおうか」
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