203 / 476
第15章 メカトロニクス・ファイト
第203話 王国最強、起動
しおりを挟む
扉の向こうから現れた、人語を話さず、蒸気音のような声を上げる大男。
身の丈は軽く二メートル以上――いや、三メートルはありそうだな。
全身に鎧をまとっているが、その姿は先程俺達が戦っていたロボットのものに近い。
兜の部分からわずかに覗く左目が赤く光っている。
こいつは本当にフロストの弟――人間なのか?
「僕もフレイムに会うのは久しぶりだが、また随分と大掛かりに自らの弟を改造したものだな」
「改造~? あっさり言い捨てられては困るな~。そもそもフレイムがこうなったのは、俺達兄弟が王国騎士団の二番隊を追放された時の出来事のせいだってーの! フレイムの巨体と言葉を話せないことからの差別意識を持ってた王国のクソ野郎どもが、フレイムの体に火を放ったせいで、全身大火傷! これはそんなフレイムの体に施した、延命措置だ!」
フロストは自らの弟、フレイムの身に起こった出来事を語る。
巨体と言葉を話せないのは元かららしいが、全身をこんな姿にしているのは全身大火傷のせいなのか……。
「もっとも、これだけの肉体の機械化に成功したのは、フレイムが持つ天性の肉体があってこそだがな。全身に大火傷を負いながらも生き延びる生命力! 機械化を受け入れられる頑強な肉体! 火傷による発汗機能を失った皮膚から常時発せられる熱を、駆動のエネルギーへと変換させることで、こいつの力は王国騎士団時代よりもさらに跳ね上がっている! この俺が持てる全ての科学力を結集させた最強の"サイボーグ"! それがこの【王国最強】の男、フレイムだ!!」
"サイボーグ"。フロストはフレイムのことをそう称した。
フロストの説明から分かるその"サイボーグ"という存在は、人間の肉体にロボットのような機械の体を融合させた存在なのだろう。
「まさかレーコ公爵への復讐心は、フレイムがこんな姿になってしまったことに関係があるのか!?」
「フオ、フォオ、フオオオオ」
俺は思ったことを口にしたが、当人であるフレイムから返ってきた言葉はただの蒸気音のような声。
……全く分からない。
「フロスト元隊長、フレイムの通訳を頼む」
「『いや、別にこの姿になったことは怒ってないよ。かっこいいし。強いし。兄ちゃんの手伝いだってできるし』……だ。あ~、我ながらいい弟を持ったな~……」
ロギウスに頼まれて、フロストがフレイムの言葉を通訳してくれた。
どうやら俺が思っていた事情とは違うようだ。
……ってか、フロストはフレイムの言ってる言葉が分かるのか。兄弟だからか?
「フオオオオオ。フォオ、フーーーオーーー」
「なに~? 『それよりも兄ちゃん。ぼくを襲わせたりせずに、この人達の話をもっとしっかり聞いてあげてもいいんじゃないかな?』だって~? うるせー! お前が首突っ込むんじゃねーよ!」
さらに紡がれたフレイムの言葉。そしてフロストの通訳。
そして意外にも戦うことにあまり乗り気ではない【王国最強】。
フロストの通訳から聞くだけだと、フレイムって意外とまともな性格なのかもな……。
「戦う当人がそう言ってるんなら、話し合ってくれてもいいじゃねえのか?」
「フオーーン」
「『そうだよ、兄ちゃん』じゃ、ねーよ! お前だって俺がレーコ公爵にどれほどの恨みを抱いてるかは知ってるだろーが!?」
「フオーーン……」
再び兄のフロストに抗議するフレイムだったが、どうやらレーコ公爵への復讐計画はフレイム自身も認めている様子が分かる。
フロストへの抗議を諦めたフレイムは、こちらを向いて両手を大きく広げて戦闘準備に入る。
どうやら俺達と戦うことに決めたようだ。
ガコンッ! ガコンッ!
両肩から大砲が計二門――
ウィィイン ギュイィイイン!
左腕が変形して、銃口がいくつも並んで回転する銃の形状に――
スィーーー……
足を上げずに、滑るように前進して俺達の前に出てきた後――
ブォオオオン
ニナーナも使っていた<バリアフィールド>という防御膜を展開し――
「フオオオオオ!!」
準備完了とばかりにフレイムが全身から蒸気を吹き出し、雄たけびを上げる。
…………。
「いやいや!? 待ってくれ!? これはもう完全に人間が相手していいレベルを超えてるぞ!?」
「フロスト元隊長!? もうやりすぎなんてレベルじゃないよ!? 僕も知らない装備が追加されてるんだけど!? "ガトリングガン"も<バリアフィールド>も前は装備してなかったよね!?」
あまりにとんでもない武装の数々に、俺もロギウスも必死に訴える。
これもう、勝てる勝てないとかの話じゃないだろ……。
「バーカ! これこそが【王国最強】と呼ばれる男の姿だ! それにフレイムは他のロボット達と違って、ベースは人間の"サイボーグ"だ! 十分に人間同士の戦いだろーが!」
その理論はメチャクチャだぞ!?
フレイムは完全に人間の範疇を超えている!
聞いてはいたが、予想の斜め上を行き過ぎている!
「ゼ、ゼロラ殿……。僕はとりあえず、生き残ることに全力を尽くすよ……」
「ああ……。俺もそれで頑張ってはみる……」
何をどう頑張ればいいのかは分からないがな。
身の丈は軽く二メートル以上――いや、三メートルはありそうだな。
全身に鎧をまとっているが、その姿は先程俺達が戦っていたロボットのものに近い。
兜の部分からわずかに覗く左目が赤く光っている。
こいつは本当にフロストの弟――人間なのか?
「僕もフレイムに会うのは久しぶりだが、また随分と大掛かりに自らの弟を改造したものだな」
「改造~? あっさり言い捨てられては困るな~。そもそもフレイムがこうなったのは、俺達兄弟が王国騎士団の二番隊を追放された時の出来事のせいだってーの! フレイムの巨体と言葉を話せないことからの差別意識を持ってた王国のクソ野郎どもが、フレイムの体に火を放ったせいで、全身大火傷! これはそんなフレイムの体に施した、延命措置だ!」
フロストは自らの弟、フレイムの身に起こった出来事を語る。
巨体と言葉を話せないのは元かららしいが、全身をこんな姿にしているのは全身大火傷のせいなのか……。
「もっとも、これだけの肉体の機械化に成功したのは、フレイムが持つ天性の肉体があってこそだがな。全身に大火傷を負いながらも生き延びる生命力! 機械化を受け入れられる頑強な肉体! 火傷による発汗機能を失った皮膚から常時発せられる熱を、駆動のエネルギーへと変換させることで、こいつの力は王国騎士団時代よりもさらに跳ね上がっている! この俺が持てる全ての科学力を結集させた最強の"サイボーグ"! それがこの【王国最強】の男、フレイムだ!!」
"サイボーグ"。フロストはフレイムのことをそう称した。
フロストの説明から分かるその"サイボーグ"という存在は、人間の肉体にロボットのような機械の体を融合させた存在なのだろう。
「まさかレーコ公爵への復讐心は、フレイムがこんな姿になってしまったことに関係があるのか!?」
「フオ、フォオ、フオオオオ」
俺は思ったことを口にしたが、当人であるフレイムから返ってきた言葉はただの蒸気音のような声。
……全く分からない。
「フロスト元隊長、フレイムの通訳を頼む」
「『いや、別にこの姿になったことは怒ってないよ。かっこいいし。強いし。兄ちゃんの手伝いだってできるし』……だ。あ~、我ながらいい弟を持ったな~……」
ロギウスに頼まれて、フロストがフレイムの言葉を通訳してくれた。
どうやら俺が思っていた事情とは違うようだ。
……ってか、フロストはフレイムの言ってる言葉が分かるのか。兄弟だからか?
「フオオオオオ。フォオ、フーーーオーーー」
「なに~? 『それよりも兄ちゃん。ぼくを襲わせたりせずに、この人達の話をもっとしっかり聞いてあげてもいいんじゃないかな?』だって~? うるせー! お前が首突っ込むんじゃねーよ!」
さらに紡がれたフレイムの言葉。そしてフロストの通訳。
そして意外にも戦うことにあまり乗り気ではない【王国最強】。
フロストの通訳から聞くだけだと、フレイムって意外とまともな性格なのかもな……。
「戦う当人がそう言ってるんなら、話し合ってくれてもいいじゃねえのか?」
「フオーーン」
「『そうだよ、兄ちゃん』じゃ、ねーよ! お前だって俺がレーコ公爵にどれほどの恨みを抱いてるかは知ってるだろーが!?」
「フオーーン……」
再び兄のフロストに抗議するフレイムだったが、どうやらレーコ公爵への復讐計画はフレイム自身も認めている様子が分かる。
フロストへの抗議を諦めたフレイムは、こちらを向いて両手を大きく広げて戦闘準備に入る。
どうやら俺達と戦うことに決めたようだ。
ガコンッ! ガコンッ!
両肩から大砲が計二門――
ウィィイン ギュイィイイン!
左腕が変形して、銃口がいくつも並んで回転する銃の形状に――
スィーーー……
足を上げずに、滑るように前進して俺達の前に出てきた後――
ブォオオオン
ニナーナも使っていた<バリアフィールド>という防御膜を展開し――
「フオオオオオ!!」
準備完了とばかりにフレイムが全身から蒸気を吹き出し、雄たけびを上げる。
…………。
「いやいや!? 待ってくれ!? これはもう完全に人間が相手していいレベルを超えてるぞ!?」
「フロスト元隊長!? もうやりすぎなんてレベルじゃないよ!? 僕も知らない装備が追加されてるんだけど!? "ガトリングガン"も<バリアフィールド>も前は装備してなかったよね!?」
あまりにとんでもない武装の数々に、俺もロギウスも必死に訴える。
これもう、勝てる勝てないとかの話じゃないだろ……。
「バーカ! これこそが【王国最強】と呼ばれる男の姿だ! それにフレイムは他のロボット達と違って、ベースは人間の"サイボーグ"だ! 十分に人間同士の戦いだろーが!」
その理論はメチャクチャだぞ!?
フレイムは完全に人間の範疇を超えている!
聞いてはいたが、予想の斜め上を行き過ぎている!
「ゼ、ゼロラ殿……。僕はとりあえず、生き残ることに全力を尽くすよ……」
「ああ……。俺もそれで頑張ってはみる……」
何をどう頑張ればいいのかは分からないがな。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
【男装歴10年】異世界で冒険者パーティやってみた【好きな人がいます】
リコピン
ファンタジー
前世の兄と共に異世界転生したセリナ。子どもの頃に親を失い、兄のシオンと二人で生きていくため、セリナは男装し「セリ」と名乗るように。それから十年、セリとシオンは、仲間を集め冒険者パーティを組んでいた。
これは、異世界転生した女の子がお仕事頑張ったり、恋をして性別カミングアウトのタイミングにモダモダしたりしながら過ごす、ありふれた毎日のお話。
※日常ほのぼの?系のお話を目指しています。
※同性愛表現があります。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~
繭
ファンタジー
高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。
見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に
え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。
確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!?
ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・
気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。
誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!?
女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話
保険でR15
タイトル変更の可能性あり
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる