記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第17章 追憶の番人『公』

第238話 対決・ルクガイア貴族公爵兼ギャングレオ盗賊団元締め②

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 ポォオオ――

「「う、ううぅ……」」

 バクトが唱えた魔法によって、倒れていた護衛二人が再び起き上がる。

「回復魔法か……。ミリアの父親だけあって、こういうのも得意なんだな」
「黙れぇえ! この俺とあの子を……同列に語るなぁああ!!」

 俺の発言にさらに怒り狂うバクト。

『バクトとミリアを同列に語るな』

 その言葉は"ミリアが上"で"バクトが下"と言いたげな様子だった。

「おい! 精鋭護衛衆ども! ダガーを出せ! 近接特化に切り替えろぉお!!」

 バクトの命を受け、護衛二人は持っていた銃の代わりにダガーナイフを手に取る。
 そのまま逆手に構えて、近接戦用のスタイルに切り替える。

「俺が援護する――今度こそ始末しろぉおお!!」

 バクトの怒号と共に、再び護衛二人が襲い掛かってくる!
 今度はダガーを交えた近接特化型のスタイル!
 俺の目や腹など、戦いながらでは<鉄の防御>でも防ぎきれない場所を狙ってくる!

 バァアン! バァアン!

 さらに護衛の攻撃の隙をついて放たれるバクトの銃撃!
 バクトは完全に後方支援に回り、護衛二人に俺への近接戦をさせてくる!

「くそ……! きりがない……!」

 護衛二人の能力も高く、体術のレベルはコゴーダと同格。こちらは防戦一方。
 なんとか反撃に打って出るが、ダメージを与えるたびにバクトが回復魔法を唱えて護衛を回復させてしまう。

「こうなったら――」

 護衛二人を切り抜けて、早急にリーダーであるバクトを倒すしかない。
 俺は襲い掛かる護衛を無理矢理引き剥がすと、バクト目がけて一気に突進した!



「フン! そう来るだろうということは織り込み積みだ!!」

 ピンッ――!

 バクトは一度銃をしまい、右手に持った物からピンを引き抜いていた。
 あれは……"グレネード"!?

「吹き飛べぇええ!!!」

 バクトが俺目がけてグレネードを投げつける!
 俺は咄嗟に両腕で体を守る!

 そしてグレネードが足元に転がった後――


 ドガァアン!!


 ――爆発した!
 俺の体に爆風が襲い掛かる!

「ぐぬぅう!?」

 爆発の衝撃に耐えながらなんとか踏ん張るが、即座に護衛二人がダガーを握りながら飛び込んでくる!

「貴様にはシシバのような馬鹿げたスピードはないだろう!? この俺に簡単に近づけると思うなぁああ!!」

 バクトは声を荒げながら俺へと宣言する。
 すでに護衛によって俺とバクトの間合いは再度広がってしまっている。
 確かにこのままではいずれこちらが押され負けてしまうだろう。



 ――だが、今の流れで一つだけ対策が見えた。

「もう一回……寝てろぉお!!」
「「ゴブゥ!?」」

 俺を左右から挟んでいた護衛二人にそれぞれ腹への肘鉄を入れ、再度怯ませる!
 身動きがとれるようになったところで、俺は再びバクトへと突進する!

「馬鹿の一つ覚えのように……! もう一度吹き飛べぇえ!!」

 バクトは胸元から新たなグレネードを取り出し、そのピンを抜いて投げつけてきた!



 ――やるならここしかない!

「オラァア!!」

 俺はバクトが投げたグレネードを"地面に落ちる前に"蹴り返した。

「そのグレネードとかいう爆弾……。"衝撃で爆発する"んじゃなくて、"ピンを抜いた時間差で爆発する"んだろ?」
「き……貴様ぁあああ!!!」

 俺がバクトへと蹴り返したグレネードはそのまま飛んでいき――

 ドガァアン!!

 ――バクトの近くで爆発した。



「手荒い真似をして悪かったな。だが、こうでもしないとあんたは止まらなかっただろ?」
「うぐぐ……! お、おのれぇ……ゼロラァア……!!」

 バクトは地面に刺したままだった刀で体を支えようとするが、爆発によるダメージでまともに立ち上がることさえできないようだ。

「バ、バクト様! しっかりしてください!」
「お、俺のことはいい……! ゼロラの口を……塞げぇ……!」

 心配して駆け寄ってきた護衛の言葉を他所に、バクトは俺を倒すことを護衛に命じる。
 肉体的にはだいぶ弱っているが、その目のギラつきはまだ衰えていない。





「そこまでや。もうええでっしゃろ、バクトはん」

 そんな俺達の元から少し離れて様子を伺っていたシシバが口を挟んできた。

「精鋭護衛衆。ギャングレオ盗賊団頭領としての命令や。もう大人しゅうせい。普段はバクトはんの命令を優先するように言うとるが、この命令に逆らうつもりやったら……この俺が相手したる」
「か、かしこまりました……」

 護衛二人はシシバに睨みつけられ、装備していたダガーを懐になおした。
 そのままシシバはバクトの方へと近づく。

「シ、シシバァ……! 貴様、この俺に逆らうなどと……!」
「もうええでっしゃろ、バクトはん。あんさん一人で抱え込んでてもええ話やありまへん。それに……もう遅いみたいですわ」
「何……?」

 シシバにも怒りの表情を向けるバクトだったが、そのシシバの言葉を聞いて視線を変える。



 その視線の先には一人の少女の姿があった。



「バクト公爵……」
「ミ、ミリア……!?」
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