記憶なし、魔力ゼロのおっさんファンタジー

コーヒー微糖派

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第21章 開戦前日

第292話 絆、集いし時

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 ロギウス主導による作戦会議は終わった。
 後はそれぞれの部隊で準備を行うこととなる。

「さてと、それじゃあここで解散しよう。あまり長く集まっていても―― ん?」

 ジジッ―― ジジジジッ――

 ロギウスが解散を宣言して席を立とうとした時、室内に青い人の影が現れる。

「こ、これは何ですか!?」
「……これ。まさかとは思うが、リョウの通信魔法やないか?」

 ラルフルは青い人影に驚いていたが、シシバと同じことを俺も考えていた。

 宿場村のイトーさんの店で見たものと同じ人影――
 不鮮明だったその人影が、どんどんと鮮明になっていく――



『……やあ、みんな。どうやら本当に無事だったようだね。ボクも嬉しいよ』

 青い人影はハッキリとリョウの姿となった。
 以前の時とは違う。色こそ青一色だが、形は完全にリョウのものだった。

「リョウ……。お前の方こそ無事だったんだな……」
『心配してくれて嬉しいよ、ゼロラ殿。今はこんな形でしか会えないけど、顔を見れて本当に良かった』

 リョウが笑顔で俺の言葉に返事を返してくれる。
 どうやら今回の通信魔法は以前のように一方向ではなく、お互いの声も姿も確認できるようだ。

『ゆっくりお喋りしたいところだけど、生憎この通信魔法も長くは持たない。……だから、必要なことだけを先に言わせて貰うよ。国王陛下からのお言葉さ』

 リョウはゆっくりと俺達に国王の言葉を伝え始めた――



『全ての状況は理解した。息子ロギウス、ガルペラ侯爵、そしてゼロラ殿……。皆の思いを一つにし、必ずやこの戦いに勝利してほしい』



 リョウが代弁した国王の言葉。
 それはサイバラが行った作戦通り、俺達の意思を国王が汲んでくれていることの証明だった。
 国王も俺達の勝利を望んでくれている。

「リョウ。ジフウの兄貴も全部承知の上なんやな?」
『そうだよ、シシ兄。ジフ兄達、黒蛇部隊も承知した上で戦場に出てくるけど、明日の戦いの総大将は王国騎士団軍師のジャコウだ。ジャコウが敗れれば、陛下も心置きなく白旗を上げられる』

 シシバの問いかけにリョウが答えたことで、今回の戦いの具体的な目標も見えてきた。
 王国騎士団、そしてジャコウ――
 それらを倒すことができれば、俺達の"改革という勝利"が実現する。

『……そろそろ時間切れだね。ボクは見ていることしかできないけど、みんなの勝利を信じているよ。頑張ってね――』

 ジジジジッ……

 激励の言葉と共に、リョウの姿は消えていった――



「明日は……負けられませんね……!」
「ええ……! 陛下やリョウ大神官の思いを無駄にしないためにも……!」

 リョウの話を聞いたラルフルとミリアにも気合いが入る。

「リョウもまだ全快やあらへんのに、無理して報告なんぞしおって……。あいつの兄貴として応える必要があるな」
「ここまで来たんだ、シシバ。貴様にも存分に働いてもらうぞ」

 シシバとバクトも決意を新たにする。

「陛下達の思いを無駄にはしないのです! やってやるのです!」
「オレも迷惑かけた分の働きはするッスよ」

 ガルペラとサイバラも決心が固まったようだ。

「明日は負けられないな……! なあ、ロギウス――」

 俺も心を決めて、ロギウスへと話を振る――





「…………」
「……おい? ロギウス?」
「……ハッ!? な、なんだい!? ゼロラ殿!?」

 俺の言葉が届いていなかったのか、ロギウスはボーッとしていた。
 そういえば、リョウの姿が現れた時から妙に静かだったな……。



 まさかこいつ――

「ロギウス……。"リョウが本当に女だった"ことに驚いてるのか?」
「い、いや! 違う! そ、そうではない! そうではなくて……」

 俺の言葉を聞いてロギウスは俯いてしまった。
 こいつは以前からリョウのことを色々馬鹿にしてたからな。
 王宮で仮面をつけて現れたリョウを見ても女性と思わず、胸のことについては、本人に聞かれれば殺されそうなレベルで馬鹿にしてたし。

 まあ、今そのことをつっつくのも野暮だろう。



「……とにかく明日だ。明日のためにも、各々でできる準備を進めてくれ」

 気を取り直したロギウスは、今度こそ会議を締めくくった。

 明日の王国騎士団との決戦のため、それぞれの最後の準備が始まる……!
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